ポケットモンスター 遥かなる高みへ   作:色即是空

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絆の果てに、蒼き閃光が散る

 

 シュートスタジアムを焼き尽くさんばかりの猛烈な熱風が、観客席の肌をもヒリヒリと焦がしていく。

 メガリザードンXが放った『ブラストバーン』の煉獄の炎が、フィールドの半分を飲み込み、圧倒的な破壊力でゲッコウガの足元へと迫り来る。その紅蓮の業火の中心で、シンクロによって完全に変異したゲッコウガは、一歩も引かずに蒼き水のオーラを盾にして耐え抜いていた。

 その激闘を正面から見据えながら、アランの胸中にはふと、過ぎ去った過去の記憶と、目の前に立つ少年の姿が重なり合っていた。

 

(……驚かされるな。あのゲッコウガとの完全なシンクロ、そしてその底知れぬ気迫……。思えば、カグヤの親父のサトシもまた、同じようにゲッコウガと深く共鳴し、限界を超えた戦いを繰り広げてきたな。親子二代にわたって、ポケモンと魂を完全に一つにし、ここまで高みに登り詰めるか……。本当に、末恐ろしい血筋だ。だが――!)

 アランの瞳に、王者のプライドと、この戦いを楽しんでいるかのような熱い闘志の炎が深く宿る。かつて自分がサトシや数々の強敵と超えてきた境界の先で、今、目の前のカグヤとその相棒が、自分と対等以上に渡り合っている。その事実が、アランの胸を心地よい高揚感で満たしていた。

 

「リザードン、手加減なしで行くぞ! 俺たちのすべてをこの一撃に懸けろ、『フレアドライブ』!!」

 アランの魂の叫びに応えるように、メガリザードンXの漆黒の巨体が青い炎をまといながら、まるで空を引き裂く流星のように突進した。

 世界王者が誇る最強の牙が、すべてを粉砕せんがためにゲッコウガへと直進する。

「ここで退くわけにはいかない……! みんなの想いも、ハッサムたちの勝利のバトンも、すべてはこの一撃の先にある!」

 カグヤの全身からみなぎる闘気が、ゲッコウガの背後にそびえ立つ巨大な水の水手裏剣へと完全に注ぎ込まれる。

 アサメタウンの小さな街を出発し、マホロバの地を経由して、たくさんの仲間たちと紡いできたすべての絆が、今、一つの蒼き閃光へと収束していく。

「いけぇっ、ゲッコウガ!! 『みずしゅりけん』、全霊を込めろ!!」

 カグヤの絶叫と共に、ゲッコウガが凄まじい跳躍を見せた。

頭上に掲げられた巨大な水手裏剣が、極限まで高められた圧縮水流の刃となって、突進してくるメガリザードンXの『フレアドライブ』へと正面から真正面へと叩きつけられる。

 ガァァァンッ!! と、シュートスタジアムの天井が割れんばかりの凄まじい爆発音が轟いた。

 青い炎と蒼い水の激流が互いを激しく削り合い、フィールドの中央に直径数十メートルにも及ぶ巨大なクレーターが穿たれる。衝撃波で周囲の空気が激しく歪み、観客席の誰もが息を呑んでその光景を見守った。

 わずかコンマ数秒の静寂ののち――。

 水手裏剣の圧倒的な回転がリザードンの炎の壁を文字通り両断し、その直撃のエネルギーがメガリザードンXの巨体を大きく吹き飛ばした。

 ドゴォォォンッ!! と、リザードンが競技場の端の壁に激しく叩きつけられ、その衝撃で崩れ落ちた瓦礫の中に埋もれる。

 直後、リザードンの体が元の通常の姿へと戻り、両目を渦巻き状にしてピクリとも動かなくなった。

 その数歩手前で、ゲッコウガもまた膝をつきかけ、荒い息を吐き出しながらも、どうにかその四つ足で大地を踏み締めて立ち続けていた。

「リザードン、戦闘不能! ゲッコウガの勝ち! したがって、勝者――カグヤ選手!!」

 主審の力強く振り上げられた旗と宣言が、広大なスタジアムの隅々まで鳴り響いた。

 

 一瞬の静寂のあと、割れんばかりの大歓声と、地鳴りのような拍手がシュートスタジアムのドームを突き破る勢いで沸き起こる。アランへのリベンジを果たし、カグヤが頂点へと手が届く歴史的な勝利を掴み取った瞬間だった。

 




【カグヤ】      【アラン】
ブラッキー ✕――◯ バンギラス
スピアー  ◯――✕ バンギラス
スピアー  ✕――◯ メタグロス
カイリュー ◯――✕ メタグロス
カイリュー ◯――✕ マニューラ
ハッサム  ✕――◯ キリキザン
カイリュー ◯――✕ キリキザン
メガルカリオ◯――✕ ファイアロー
ゲッコウガ ◯――✕ メガリザードンX
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