ポケットモンスター 遥かなる高みへ   作:色即是空

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世界大会決勝戦編
天を突く歓声、決戦の幕開け


 

 シュートスタジアムを埋め尽くした数万人の観客が発する熱気は、もはや一つの気象現象のようだった。アリーナを包み込む幾重ものホログラムスクリーンには、ガラル地方の象徴である世界王者のエンブレムと、そこへ挑む若き挑戦者の名前が交差するように輝いている。

 選手通路の重厚な自動ゲートの前に立つカグヤは、両手で大きく息を吸い込み、そして胸の奥に燻る緊張を押し殺すようにゆっくりと息を吐き出した。

 背後には、ルカリオ、ゲッコウガ、カイリュー、ジュカイン、スピアー、ブラッキーの6体が静かに、しかし圧倒的な気迫を纏って並んでいる。絶対的エースであるハッサムの姿はここにはない。控室のベッドで眠る相棒の重み、そしてマホロバで出会ったカメックスやゾロア、ヒノヤコマ、ウパーたちが託してくれた想いのすべてを背負い、カグヤの瞳には揺るぎない覚悟が宿っていた。

 

「――さぁ、お待たせいたしました! いよいよ、世界王座の頂点をかけた最後の戦い、頂上決戦の時がやってまいりました!」

 実況アナウンサーの絶叫が、地鳴りのような歓声を切り裂いてスタジアム全体に轟く。

「ガラル地方の絶対王者! 予選からここまで全試合ストレート勝ち、相手に主導権を一度たりとも許したことのない無敗の伝説――ダンデ選手の入場です!」

 割れんばかりの大歓声と拍手が渦巻く中、まばゆい照明を浴びて現れたダンデは、トレードマークの赤いマントを優雅に翻し、一切の隙のない涼しげな笑みを浮かべてフィールドへ歩みを進める。その傍らでは、最強の相棒であるリザードンが地面を揺るがすほどの熱波を伴う咆哮を上げ、観客のボルテージを最高潮へと押し上げた。王者が纏う空気は、まさに『自然災害』そのものだった。

「対するは、数々の強敵を泥臭く、しかし確かな絆で打ち破り、ここまで這い上がってきた新星――カグヤ選手の入場です!」

 アナウンサーのコールが響き渡ると同時に、カグヤは一歩一歩、噛みしめるような力強い足取りでフィールドへと踏み出した。

 スタジアムを埋め尽くす完全アウェイの観客、世界中が見つめる無数のカメラの視線、そして目の前にそびえ立つ圧倒的な存在感を放つ王者の背中。そのすべてが織りなす重圧を全身で受け止めながら、カグヤは背筋を真っ直ぐに伸ばして前を見据えた。

 広大なバトルフィールドの中央、審判を挟んでダンデとカグヤが向かい合う。

 漁り火のような鋭い闘志を隠そうともしない王者の瞳と、すべてを背負って立つ挑戦者の真っ直ぐな瞳が、空中で激しく交錯した。

 

「よくここまで辿り着いたな、カグヤ。周囲の予想なんて関係ねぇ、お前がアランを破ってここに立っている事実だけを、俺は楽しみにしていた。……さぁ、お前のその熱、俺のすべてですべて受け止めてやるよ!」

「はい、あなたが築き上げたその圧倒的な壁を、僕たちの絆とすべてをかけてぶち抜く!」

 火花が散るような無言の睨み合いのあと、主審が両手を高らかに振り上げた。

「それでは――バトル、スタート!」

 世界最高峰の頂点をかけた、運命の最終決戦が、今、熱狂の渦の中で静かに、そして激しく幕を開けた。

 




【カグヤ】     【ダンデ】
ルカリオ     ドラパルト
ゲッコウガ    ゴリランダー
カイリュー    エースバーン
ジュカイン    ギルガルド
スピアー     カビゴン
ブラッキー    リザードン
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