ポケットモンスター 遥かなる高みへ 作:色即是空
「こいつが、ウパー」
「ウパッ、ウパーッ!」
ウパーを画面に映るように抱き抱えながら、テレビ電話越しに話しかけるカグヤ。ウパーもさっそく画面越しの人物になついたようで、嬉しそうに鳴き声を発していた。まあ、画面の向こうの人物は、カグヤの母なのだから、当然といえば当然なのだが。
『あら、凄くかわいい。元気一杯でいいじゃない』
画面の向こうで笑顔を見せる母。そこに、母の手持ちたちが乱入してくる。
『テルナー!』『フィーア!』
テールナーもニンフィアも、母に似て世話好きで少々お節介なポケモンたちである。まだカグヤが幼かったころ、テールナーたちに何かと世話になったものである。
『……でも、あんまり無茶しちゃダメよ。アコマシティって、あんまり柄が良くないみたいだから』
テールナーたちがガヤガヤとウパーに話しかける一方で、母が一転して心配そうな様子を見せる。
それも当然で、カグヤが居るアコマシティは、マホロバ地方の中でも特にポケモンバトルが盛んな土地柄なのだが、そのせいか好戦的な者が多く集まり、また夢破れた者が道を踏み外して悪事に走る事も多く、問題になっている。
そのような土地で、到着早々いきなり争いを起こしたのだ。母の心配は当然である。
そして、母のその心配は当たっていた。そのような連中は大抵が執念深く、今もなおカグヤが泊まっているポケモンセンターを張り込み、彼が出てくるのを待ち構えていたのだから。
それでも、カグヤは母の心配に無頓着である。彼自身は、そのような土地だからこそ、そこを最初の戦場として選んだのだ。
カグヤがそこまで強さに拘る理由は、父にあった。彼の父は幼い頃からポケモンマスターを目指して旅をしており、『黄色い悪魔』と恐れられたピカチュウやリザードンとともに数々のリーグを制覇。既に引退したとはいえ、今もなお生きた伝説として君臨する最強のトレーナーである。
その父のバトルを間近で見たカグヤが、憧れを抱くのも当然である。その思いはいつしか、『父に勝つ』『父を越える』といった感情に変わっていった。
それだけに、カロスリーグで敗退したのが相当悔しかったのだ。いくら相性の悪さがあったとはいえ、リザードン一体に何も出来なかった事が不甲斐なかった。かつて見た父のバトルで、相性の不利すら関係無く相手を圧倒していたピカチュウの姿が、鮮明に記憶に残っている。もっと強くなりたくて、カロスを飛び出して来たのだ。
だから、こんな所で躓いている訳にはいかない。この程度で止まっていたら、父を追い越すのは一生不可能である。だから、いくらアコマシティが柄の悪い土地柄とはいえ、カグヤは逃げるつもりはなかった。
カグヤの手持ちポケモン
●ハッサム
●????
●ウパー