ポケットモンスター 遥かなる高みへ   作:色即是空

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夜明けの旅立ち、砂漠の再会

 激闘の余韻が残るガンスモークに、白々と夜明けの光が差し込み始めた。

 鉄塔の火は消え、街は冷たい朝霧と砂塵に包まれている。昨夜の騒動は、自警団の腐敗した一部が「余所者に制裁を加えた末に返り討ちにあった」という形で、街の沈黙の中に飲み込まれた。

「……本当に行くのかい。お前さんなら、この街の『王』にだってなれただろうに」

 街の巨大な鉄門の前で、用心棒のガンドーが煙草を燻らせながらカグヤに問いかけた。

「あいにく、玉座には興味がないんだ。……俺には、まだ見なきゃいけない景色がある」

 カグヤは、昨夜の消耗を微塵も感じさせない足取りで答えた。頭の上では、朝露を浴びて一段とツヤを増したウパーが「ぱぁ~」と日の出を拝んでいる。

 その背後には、昨夜のメガシンカの反動をカグヤの波導によるケアで乗り越えたハッサムが、静かに控えていた。そしてもう一匹、カメールもまた、昨夜ナオを守り抜いた自信からか、以前よりも一層頼もしい顔つきで列に加わっている。

「兄貴、俺……昨日のこと、一生忘れないよ。力は守るために使う。……俺も、ナエトルと一緒にそんなトレーナーになる!」

 ナオが拳を握りしめて誓う。ナエトルも呼応するように、朝日に向かって元気に鳴いた。

「ええ、私もよ。……カグヤ、あなたの『不合理な絆』。それを完全に解析するまで、私は一歩も引くつもりはないわ」

 シオンはいつものように端末を操作しながらも、その瞳にはかつての冷徹な「計算」だけでなく、仲間への信頼という、彼女自身も気づいていない温かな色が混じっていた。

 

 ガンドーから譲り受けた特殊燃料を積み込み、一行が荒野へと踏み出そうとしたその時――。

「待って! ……カグヤ!」

 背後から響いた声に、カグヤは足を止めた。

 そこには、自警団のレイが息を切らして立っていた。彼女の傍らには、昨日の傷を癒やしたフライゴンが静かに羽を休めている。

「これ……持っていきな。次のオアシスに向かうための、古い交易路の地図よ。今のあんたなら、砂漠の王も道を譲るだろうけど……余計な争いは避けたほうがいい」

 レイから手渡された古びた羊皮紙を受け取り、カグヤは小さく頷いた。

「……助かる。あんたも、この街を頼むぞ」

「ふん、言われなくても。……またいつか、風が吹く場所で会いましょう」

 

 レイとガンドーに見送られ、一行は地平線の彼方へと歩き出す。

 砂漠の太陽が昇り、彼らの影を長く荒野に引き伸ばしていく。

「さて、次はどこへ向かう?」

「北西よ。……そこには、マホロバ地方でも最も古い伝承が残る『精霊の祠』があるわ」

 シオンの導きにより、旅は新たな章へと突入する。

 伝説の血筋、メガシンカの封印、そして深まる仲間との絆。カグヤの波導は、朝焼けの砂漠を切り裂くように、より強く、より高く輝きを放っていた。

 

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