岸辺露伴は動かない エピソード#EX 三女神   作:アイン_BD’sR

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 初めまして!アインと申します。普段はpixiv様の所で活動してるのですが、今回のこの話だけはいつも使ってるここハーメルンでも投稿しようと思いました。

 キャラ崩壊、オリジナル設定、オリキャラ注意です!!!

 ジョジョの奇妙な冒険はかなり好きで6部までマンガで読んでいます。(7.8部はまだ読めてないのですが…)

 その中でも4部が特に好きで、全てのジョジョの物語とは違って日常の中に隠れている殺人鬼を追いかけるストーリーが面白いです。

 岸辺露伴は動かないもとても好きで単行本2冊も読みましたし、アニメもドラマも見ました!

 それに対してウマ娘の方は大体1ヶ月前に初めてアニメを見てそこからハマりました。
 ゲームもやってるのですが、まあ「にわか」
ってやつです。

 そんなやつが2次創作を書いたらキャラ崩壊が起こると思い、今回は原作に出てきたキャラを極力出さないようにしました。

 途中で出てくるウマ娘は名前も設定も実在しない完全オリジナルのウマ娘です。
 あと完全にオリジナルの設定を加えてます……ヘヘッ。こ、怖いものなんて……ないぜ……

 基本的に岸辺露伴は動かない主体の作品になっているので、ウマ娘サイドに綻びとかがあるかもしれません。
 もしあったら「ここ、こんなんじゃねーよッ!」ってコメントしてください。
 直ちに直します。

 最後に、岸辺露伴は動かないのドラマ第二弾の詳細発表よかったです!!めっちゃ楽しみです!!ってかそれに感化されて書きました。
 ウマ娘ファンのみなさまもぜひ見てみてください。ジョジョ知らなくても楽しめると思いますよ!


岸辺露伴は動かない エピソード#EX 「三女神」

 

 

 

 ま…知ってるやつが多かろーが少なかろーがどうでもいいことだが、僕の名は岸辺露伴。漫画家だ。

 

 『ピンクダークの少年』と言う作品を少年ジャンプで連載しているが、編集部からは短編も書いて欲しいと言われることがある。

 

 なにも変な事はない。提案されて描かされたとか、元々企画されていたとか、別冊からやってきたとか、そもそも連載の予定が打ち切りになったとか。短編はそういったものだ。

 

 今回の話は次の短編のために題材の取材に行くものだ。まあ、察しの良い読者ならわかると思うが、ただ取材をしただけなんてことにはならなかったがな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある日、カフェ・ドゥ・マゴに僕はいた。担当の泉 京香がいつも通り僕に短編の話を持ちかけてきたからだ。

 

 

 

「露伴先生!今回の短編45ページよろしくお願いします!題材は『ウマ娘』なんてどうです?」

 

 

 

 開口一番にそんな事を言い出す。

 そんな彼女を横目に珈琲を飲む。

 

 

 

「君ィ……そのさっさと短編の話題を終わらせようとする言い方……あの別荘の時とそっくりじゃあないか。」

 

「まさかまた何かしようと思ってるんじゃあないよな?あの時のことちゃんと反省してるのか?」

 

 

 

 あの時を思い出す。富豪村に取材に行った時だ。

 マナー違反をし、死にかけた彼女を思い出す。

 あの日以降、多少は大人しくなったと思っていたが……

 

 

 

「まさか!今回はちゃあんと短編の話をしに来ましたよ。で、どうです?『ウマ娘』!話題性もあるし、不思議なことが沢山あって……露伴先生ってこういうの好きでしょ?」

 

「オイオイオイオイオイオイオイ。君ねェッ!オイオイオイオイオイオイオイ。勝手に僕の趣味を決めつけないでくれるかッ!?」

 

「ちゃんと『日本ウマ娘トレーニングセンター学園』から許可も取ってますよ!行きましょうよ!」

 

 

 

 コイツ……話を聞いてない……

 というか、返事を聞く前に許可を取るなんて……相変わらずだなコイツは。

 たしかにウマ娘自体に興味はあるが………

 

 

 

「悪いが、僕は行かないよ。その『トレセン学園』にはね。」

 

「エエ〜ッ!?なんでですか!?」

 

「いいか?マンガにはリアリティが必要だ。これは前にも言ったよな?妖怪だとか神だとかそういった存在はしてないが伝承などがしっかり定義されてるのはわかる。……実際に体験したしな?」

 

「だか、『実在』するのにどうやって生まれたのかどんな存在なのか、そんな訳のわからない『ウマ娘』を描いたところで読者は納得できるかい?いずれ新しい事実が生まれ、綻びができるさ。」

 

「そ、そんなぁ……」

 

「というわけで、許可してくれた『トレセン学園』側には申し訳ないが諦めてくれ。」

 

 

 

 項垂れる彼女を見ながら短編の題材をどうするか考える。

 康一くんが出会った生命を産むスタンドを題材にしてもいいな……だけど書くとなれば実際に会って話を聞かなくては。

 そして珈琲の最後の一口を飲み干す瞬間に後ろから良く知る声が聞こえた。

 

 

 

「露伴先生!今『トレセン学園』って言いました!?取材に行くんですか!?」

 

「こ、康一くん!?」

 

 

 

 広瀬 康一くん。一緒に殺人鬼を止めた僕の最高な友達だ。他の奴らも手伝ってた?まあ、それは置いておこう。

 しかし、今の康一くんの言い方はまさか……

 

 

 

「……い、いや取材は……

 

「凄いですッ!僕は最近よく見るようになったんですけど、あの『ウマ娘』の学園ですよね!?」

 

「あのな……こ、康一くん……?

 

「ってことは次の話は『ウマ娘』関係か〜〜ッ!僕楽しみにしてますよ!アッ、由花子さん待たせてるんだった!それじゃあまた!」

 

「………………」

 

 

 

 それだけ言うと康一くんは嵐のように走り去っていった。

 よくあるマンガのように頭を抱えてしまう……

 短編の内容がバレるのは別にいい。康一くんは広めたりしようとしないからな。

 ……だがッ!どんな状況であっても期待を裏切る事はしないッ!友達だからって事じゃあない。彼が読者だからだッ!

 

 

 

「いいだろう……」

 

「え?露伴先生、今なんて?」

 

「ハァ……行くよ。その取材……」

 

「この僕が直々に行くんだ。それこそウマ娘のことを全て解き明かしてやろうじゃあないか!」

 

「ヤッタァ〜〜〜ッ!!それじゃあ日時を決めておきますね!」

 

 

 

 まったく……やれやれだ……

 ……このセリフをよく言う承太郎さんの事がよくわかる気がするな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーウマ娘

 

 彼女達は走るために生まれてきた

 時に数奇で時に輝かしい歴史を持つ別世界の名前と共に生まれその魂を受け継いで走る

 

 それが彼女たちの運命

 この世界に生きるウマ娘も未来のレース結果はまだ誰にも分からない

 

 彼女達は走り続ける

 瞳の先にあるゴールだけを目指してーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「どの本も大体こんな感じのことしか書いてない……本当にそれ以外のことについてわからないのか……?まったく……」

 

(だが……強いて言えば『別世界』これが気になるなァ。スタンド能力にそういったものがあって、ウマ娘の伝承と繋がっているとかだったら面白いかもな……)

 

 

 

 ウマ娘の歴史に関する本をバッグの中に戻す。

 

 僕の住んでいるM県S市杜王町のような田舎とは違い、中央にその学園はある。

 片道2時間57分というそれなりに長い道のり。

 

 編集者の泉 京香は会社に呼ばれたらしく僕1人での取材だ。

 

 

 

「それにこの本に載ってる三女神……少し気になるな。何かわかればいいのだがな。」

 

 

 

 足を止めると目の前には巨大な学校と1人の女性がいた。

 

 

 

「初めまして。岸辺 露伴と言います。今日は取材に来ました。」

 

「はい。取材のご予定で予約されていた岸辺 露伴様でございますね。理事長秘書の駿川 たづなです。まずは理事長への取材ですね。案内します。」

 

「お願いします。」

 

 

 

 そういうととても物腰が柔らかそうな女性は校舎の中に入っていく。

 道中に怪しい小屋があったり、切り株?のような物に叫んでいるウマ娘がいたり、何故かセグウェイに乗っているウマ娘がいた。

 ……もう本当になんでもありだなここは。後で色々描かせてもらおう。

 

 校舎を暫く歩くと、とても大きな扉の前に着く。

 その奥にはこの『トレセン学園』を支える理事長が……

 

 

 

「歓迎ッ!ようこそ、我がトレセン学園へ!漫画家、岸辺 露伴殿!」

 

 

 

 目の前には子猫を頭に乗せた小さな子供がいた。

 僕は『予定通り』秋川理事長に前もって考えてきた言葉をぶつける。

 

 

 

「紹介ッ!私の名前は秋川 やよいという!今回はよろしく頼む!」

 

 

「……オイオイオイオイ。こんな『子供』が理事長?ハンッ。やっぱり取材はやめだ。碌な話が聞けそうにない。」

 

「なッ!?い、遺憾ッ!初対面にも関わらず無礼な発言をッ!」

 

「変な話し方で大人ぶるのはやめとけよ。『子供』が。」

 

「くぬぅぅぅ……ッ!」

 

 

 

 目の前の小さいやつが唸り声を上げる。

 そんな状況を理解してないのか、頭の子猫が呑気に鳴き声を上げる。

 

 

 

「それじゃあここに用はないから僕は色々見学させてもらうぞ?安心しろ。ちゃんと常識に則って見学させてもらうからな。」

 

「き、危険ッ!この様な発言をしたお前を校内に行かせるわけには行かない!」

 

「悪いがそういったことをする気は無いな。僕は漫画家だ。粗探しをしにきたわけじゃあない。それでも何かあれば集英社の方に連絡してくれ。」

 

「ま、待てッ!待ちたまえッ!」

 

「……フフッ。『断る』」

 

「ちょ……ちょっと待ってください!私が案内を……」

 

「それも『断る』」

 

 

 

 そういうと僕は入った扉を出る。

 先程から怒涛の展開すぎて一言しか喋れなかった秘書さんも置いていく。

 

 正直このような発言をしたのは理由がある。案内をして欲しくなかったからだ。何度も言うが僕はリアリティを求めている。だからこそ、自然体のこの学園を見たい。だからそうしたのだ。

 申し訳ないとは思っている。まあ、謝る気は無いけどな。

 

 さて……どこから回るかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フゥ〜〜ッ。いろいろ回ったな。」

 

 

 

 学園内にあるベンチに座り、スケッチブックを捲る。

 あれから数時間気に入った瞬間を見て写真を撮ったり、描きたいッ!と思ったらその場でスケッチをした。勿論、撮ったり描いたりする前には許可をもらっている。

 

 

 ページを捲ると茶碗にマンガのような米の盛り方をしている前髪だけ白いウマ娘。その周りに集まり喋っている友人達。そしてその後ろに全員の量を合わせた量でも足りない量の料理を食べているウマ娘というカオスな空間。

 

 

 ページを捲ると図書室で本のページを捲る栗毛のウマ娘。その後ろでイタズラをしようとして反撃を受けてるウマ娘と偶々反撃してしまったウマ娘。廊下でトレーナーの顔に飛び付いてるウマ娘というこれまたカオスな空間。

 

 

 ページを捲るとボーイッシュなウマ娘とお嬢様なウマ娘が取っ組み合っている。その後ろに歩いている無表情のウマ娘とその後を隠れながらついていく真っ黒なウマ娘。それとその大きな体に似合わないようなバナナを頬張っているウマ娘……なんだ?寒気がするな。ま、そんな感じのまたまたカオスな空間。

 

 

 ほとんどカオスじゃあないかと一通り絵を見終わるとベンチを立つ。

 次はどこに行くか歩きながら考えていると噴水と一体化している像が目につく。

 

 

 

「ン?あぁ…これが三女神の像か。確かに立派だが、神秘的とは思えないな。ウマ娘には違って見えるのか?」

 

「まあ、スケッチくらいはしといてやるか。フフフ……感謝しとけよ?」

 

 

 

 返事をしない像になんとなく挑発をし、スケッチを始める。スケッチは正直まったく時間がかからない。普段からマンガを描くのに4日、カラーで5日でできるしな。

 ……それより騒々しいな。ま、それはさっき見学したところも同じだったが…….これはまた……

 

 

 

「……さて、次はどこに行くかな。」

 

 

 

 そう言い立ち上がると僕はまっすぐ校舎に向かった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私には何も無くなってしまった。

 

 

 

 私は平凡な家庭に生まれた。『ウマ娘』として。特に名家でもなく、優しいお母さんとお父さんから生まれた。

 

 そんな私がトレセン学園に入れるなんて夢のようだった。初めてのレースは圧倒的な差で1着も取れた。

 

 トレーナーはいないが同級生も優しい。友達も賑やかで一緒にいると大丈夫。たとえ私がレースで結果を残せなくなっても。レースが楽しかったからそれでよかった。

 

 

 

『速い速い!トライポケットッ!もはや独走状態!この走りをどう思います!?』

 

『彼女はそこまで名前が売れてないウマ娘でしたから、こんな才能があるとは驚きです!』

 

 

 

 そんなある日だった。とても調子の良いレースだった。まるで何かが私を押し上げているような……有名な人もいたのにとても足が軽く誰も寄せ付けない速さを出せた。

 

 だけどそれは……私が見る最後の夢だった。

 

 

『おっと!?一体どうした事でしょう!?快調だったトライポケット!走り方が少しおかしい様ですが!?』

 

 

 意識が飛ぶ……足が絡まる……

 目の前が眩しく光った瞬間、激しい痛みと共に視界が暗闇に包まれた。

 

 

『なんと……!?故障です!ここに来てトライポケット故障ッ!!』

 

 

 その言葉を聞くと私の意識は無くなっていった。

 

 

 そしてそれ以降、私は全力で走ることができなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 扉を開けると屋上の端の方に誰かがいる。

 ただそこにいるなら違和感はないが、一つおかしいのは屋上につけられている柵を超えている事だ。

 

 

 

「そこの君!飛び降りるなら少し待ってくれないか?」

 

「……!?あ、あなたは一体?」

 

「僕がここにいる状況で飛び降りされたら、まるで僕が落としたみたいになるじゃあないか。話も聞けないから僕に得が全くないからな。」

 

 

 

 そうふざけたように声をかける。

 変に止めようとすると逆効果だったりするしな。

 

 

 

「話を聞く……?……ッ!?悪いですけどもう止まりませんから!あなたが有る事無い事書くより、あなたを陥れた方が私の死にも意味ができます!」

 

「オ、オイオイオイオイ……」

 

 

 

 まさかコイツ……僕を記者と勘違いしてるんじゃあないか?

 確かに都合が良すぎるし、『そういった』悪質なやつもいるがな。だが………ッ!

 

 

 

「最後に意味ができてよかったです。さようなら……」

 

「ここからじゃ止められないとでも思っているのか?残念だったなッ!『ヘブンズ・ドアーーーーッ』!!!」

 

 

 

 僕の持っているスタンド。『ヘブンズ・ドアー』それは相手を本にして、そこに文字を書き込むことができる能力。

 

 そして少し前からこのスタンドは成長し、離れた場所からでも文字を飛ばすことができるようになった。

 

 

 つまり、今の状況でも対処可能さッ!

 

 

「これは……いったい……!?」

 

「『全身が石のように固まる』と書かせてもらったよ。この柵を乗り越えるのはかなり厄介だが……まぁなんとかするか。」

 

「……っ!?………っ!」

 

 

 

 全身と書き込んだから口も動かないようになってしまったのか。まあ、変な事言われるよりかはいいか。息はできてるようだしな。驚いた表情をして固まっている彼女の前に行きながらそんな事を考える。

 

 三女神の像前でトライポケット……彼女の事を聞いた時、もしかしてと思ったが見つけれてよかった。いい友人を持ったな。やっぱり人生で一番大切なのは最高の友人を持つ事だな。

 

 それに、自殺まで追い詰められたウマ娘は興味がある。その人生を、どうしてそうなったかを聞かせてもらいたい。大体の内容はさっき彼女の友人から聞いたが、直接の方がリアリティがあるだろうしな。

 

 もちろんページを破る事なく彼女の口から聞いてな?もしページを持って帰ったら康一くんに怒られるだろうし。

 

 

 

「よっ……と。日頃から運動しておいてよかったかな?安心してくれ。……僕は、記者じゃなく、ジャーナリストでもないし………漫画家だ。」

 

「…………」

 

「それじゃあ安全なところまで持っていくか。ちょいと雑な持ち方になるかもしれないが、我慢してくれ。」

 

 

 

 そう言うと彼女の体を持つために手を近づける。

 その時、ふと見えたその彼女の顔は

 

 

 

 

 

 

 

 

 笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「………なッ!?」

 

 

 全身だから顔も石のように固まっているはずなのに……どうしてだッ!?

 その思考をしている一瞬だった。

 動くはずの無い彼女の腕が僕の手を掴み、僕ごとその体を空中に投げる。

 

 

「なにィーーーーッ!?」

 

「バカなッ!?僕の『ヘブンズ・ドアー』は僕自身がその文字を消さないと解けないはず!?なぜ動けるんだッ!?」

 

「………ウフフ。」

 

 

 なんとか柵の格子を掴み、彼女が僕を落とそうとする構図が出来上がる。

 僕を見上げる彼女の顔を見ると……そこには少女とは思えない顔が浮かんでいた。

 目には光がなく、口はまるで狂人のように不気味な笑みを作っている。

 肌はさっきの彼女のような健康的な色をしておらず、くすんだような灰色に近い色をしている。

 長い髪の毛も逆立ち、まるで生きてるかのようにユラユラと動く。

 

 

「これは……一体なんだ!?」

 

「スタンドかッ!?いや……そんなものじゃあない……ッ!!!」

 

 

 腕の負担がグンッと重くなる。ウマ娘はレースの時に蹄鉄を付けると聞くが、そんなものの重さとは全く比較にならないだろう……!

 

 まるで数十人……いや、それ以上か?肩が外れるような、腕が千切れるような重みを感じる……!!

 

 それなのに彼女の指は僕の腕を全く離そうとしない。釘を打ちつけたようにピッタリと腕にくっついている!僕の腕がへこむような力でッ!!

 

 

「も、もう一度だッ!『ヘブンズ・ドアーーーーッ』!!!」

 

「こ、これは!?コイツ……一体何者だ!?」

 

 

 僕は海外の言語もある程度わかる。取材でよく海外に行くし、取材のためには必要だからだ。

 

 しかし!彼女に書いてあるのは全く見たことが無い言葉だッ!この世の文字では無いような禍々しさを持っている言語だッ!

 

 元の彼女は『日本語』を話していた!彼女の普段使う言語が日本語じゃなくても、本にしたら多少は書いてあるはず……

 

 だがッ!今のコイツには日本語の文字が全く見当たらない………!そして何より……僕のさっき書いた文字が無い!これじゃあまるで………

 

 

 

 

 

 

 

……………コイツが誰かと入れ変わったみたいじゃあないかッ!!!

 

 

 

 

 

 

「ウ、ウオォ……流石にキツい……こ、これでは僕も……」

 

「「………アッハハハハハハハハッ」」

 

「ま、まずいぞッ……まずいッ………」

 

 

 

 指が一本ずつ柵から剥がされていく……

 残った指は血が流れないのだろう……紫色に変色している……僕の手を掴んで持ち上げようとしている『ヘブンズ・ドアー』も限界のようだ……

 

 片方の腕には相変わらずガッチリと手がくっついて離れないようだ……

 ………!!いや……!くっついてるのではない………!見えない手が何重にも重なって僕の腕を掴んでいる……!!だから一番下のコイツの手は離れないのか……ッ!

 

 

 

「ウグッ!も、もう駄目か……この手は使いたくなかったが………ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 そう言うと僕もコイツの手をガッチリ掴み、逆に柵を掴んでる手を離した。

 

 

 

 

 

 

「う、ぉおおおおおおおおッ!」

 

「「「「………キャッハハハハハッ!」」」」

 

「クッ!その気持ち悪い笑い方はやめてもらおうじゃあないかッ!」

 

 

 コイツの顔を見ながら恐ろしい勢いで降下していく。掴まれてない手にペンを持ちコイツの方に文字を書く。

 

 

「この僕が何の考えもなしに落ちたと思ってるのかッ!?『ヘブンズ・ドアーーーーーーーーーーーーーッ』!!!!」

 

「「「…………っ!?」」」

 

 

 

 

 しかしその文字はコイツの顔のすぐ横を通り抜けていった。

 

 目の前の顔が再びニタァッと笑う。そんな顔を見せられた僕の顔は同じく『笑み』だった。

 

 

 

 

 

 最初っからコイツに『ヘブンズ・ドアー』を使う気は無い。よくわからない言語を扱うコイツが本当に僕の書く日本語を理解できるのかわからないからな。

 

 だから僕が文字を書くのは目の前のコイツじゃあ無い!!

 コイツの後ろにある『木』にだッ!!

 

 

 

『枝が曲がり、トライポケットと岸辺露伴とぶつかる。』

 

 

 僕のスタンドは人間や動物じゃあなくても使える。以前フライドチキンに使って消費期限を読んだようにな……

 

 もちろんただの木だからその上に落ちたとしても、どちらも怪我をする可能性はある。命は無事でも彼女はそれこそレースにはもう出ないだろう。

 だからこそッ!あえてッ!その木から少しズレた場所に『自分から』落ちたッ!

 

 

 

 枝が不自然に曲がり僕らの下に待ち構える。この勢いでは間違いなく折れてしまうが、もちろんそれも計算通りだ。

 あえて、木の一部を僕らに当てるようにしたのだ!

 

 

 

「グッ……残念だったな!僕はキサマと死ぬ気は無いッ!」

 

 

 

 勢いが落ちた僕らの体を受け止めたのは……三女神の像だった。

 もう少し厳密言うと三女神の像がある噴水に着水した。

 

 

 

「………ップハ!ハァ……ハァ……なんとか……なったか……今回だけはこの三女神に感謝……しといてやる……」

 

「………ッ!……〜〜〜〜っ!!!!」

 

「ン?…………ああ、元に戻ったから動けないのか。……ホラ文字を消してやったから動けるぞ?」

 

「……ぷあっ!けほっ……かほっ……」

 

「大丈夫か?」

 

「は、はい……私……どうしてこんな所に?それにあなたまで……」

 

 

 

 彼女は何があったのか覚えてないようだ。

 ま、詳しく教えるのはショッキングだからな。

 落ちたのを止めたが、一緒落ちてしまった。だがたまたまここに落ちて助かった。

 ……とテキトーに話しておいた。

 

 

 

「な、なぜ記者さんが私と一緒に落ちて……」

 

「何度も言わせるな。僕は記者でもなく、ジャーナリストでもない。僕は漫画家だ……」

 

「ま、漫画家……?」

 

「漫画家の岸辺露伴さ。あと、君……本当はまだ走りたいんだろ?」

 

「そ、それは………そんな事思っても、もうこの足は全力で動きませんから。」

 

「そう思ってるのは自分だけかもよ?」

 

「……え?」

 

「………君に頼み事があるんだが、理事長かその秘書に『岸辺露伴が帰った』と伝えておいてくれ。」

 

「ちょっ……なんですかいきなり?」

 

「伝えてくれるだけでいいからさ。頼むぜ?」

 

「え、えぇ……」

 

 

 彼女はそう引き気味に声を漏らしながらこちらを見た。まあ、未来の読者には優しくしておくべきだからな。

 ……それにもう一つ言っておくことがあったな。

 

 

 

「あ!それと……『おまえ』のレース見させてもらうからな。」

 

「……わかりました。あなたがそこまでいうならもう一度走ってみます。」

 

「それはよかった。」

 

 

 

 そういうと僕は逃げるように校門に向かった。取材とかもうどうでも良くなってしまった……

 なぜならもう一度走ることを宣言し苦笑いする彼女の後ろから何かが見ているような気がしたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……す、すごい体験でしたね。露伴先生!」

 

「康一くん……すごいの一言で収まるようなものじゃあなかったよ……あれは……」

 

「いやーっ『ウマ娘』の短編やめるなんてちょっと勿体無いなとは思いましたけど、こんなことが起きたら誰でもやめますもんね。」

 

「流石にこの僕も、ヒヤッとしたよ……」

 

 

 

 康一くんの家で僕は『トレセン学園』での事を話していた。彼に聞きたいとせがまれてしまったからだ。

 少し前に億泰の家に住む話が出てたが、環境が悪く原稿を書く気にもなれなかったので丁重にお断りした。

 父親のことは見せてもらった。腐敗は肉の芽というやつによるものだから彼に何を書き込んでも無駄だったけどな。まあ、億泰は『マ!しょ〜〜がねぇかッ!夜飯はトニオさんの店行って飯食おうぜッ!』と気にしてないようだったが。

 

 

 

「そういえば、なんで落ちる時『この手は使いたくなかったが』って言ったんですか?」

 

 と康一くんがさっきの話について聞いてくる。ま、それは簡単な話で……

 

「それは『相手が強いと思ってる時に相手の思うようにしてしまったから』かな?」

 

「はは……相変わらずですね。露伴先生は。」

 

 

 

 そう康一くんが苦笑いしながら言うと空になった僕のコップを持ってお茶を汲みに行ってくれた。本当に優しいなァ……

 

 ふとテレビを見ると彼女が映ってる。トライポケットだ。

 恐ろしく速い脚で、1着を独走している。

 

 

 

「凄いですよねぇ。この人。露伴先生が取材に行った時から無敗らしいですよ。」

 

「………そうかい。」

 

 

 

 彼女の活躍は嫌でも耳に入ってくる。だが、最初の一回だけ見てそれ以降彼女の走りは見ていない。

 

 テレビにもう一度目をやると、1着のままゴールしたようだ。観客に手を振って笑っているいる。

 

 

 

 ……そしてこちらを見るもう一つの顔も笑っている。

 

 

 

 彼女に憑いているのはなんなのだろうか。

 天使の反対に悪魔がいるように。三女神の反対にも何かがいるのだろうか。

 

 その力を彼女に貸すために最後奴に『おねがい』をしたが……効果は抜群だったな。

 

 そんな事を思いながらテレビの電源を消す。

 

 

 

 

 

 

 結局奴はなんだったのか誰にも分からない。

 そう……たとえ人の心を見ることができる僕のスタンドでさえも。

 

 

 

 

 




 最後まで読んでいただき本当にありがとうございます!
 
 この作品は思いついて2日で書いてしまったので誤字とか脱字を報告してくれると助かります。

 あと、希望とかあったら初期設定とか消した部分とかまとめたの投稿してもいいかもなぁ……
 高望みしすぎかな……?
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