岸辺露伴は動かない エピソード#EX 三女神 作:アイン_BD’sR
お久しぶりです。……これ毎回言ってる気がするな。
今回も遅くなりました……前回投稿6月ですからね〜………6月ッ!?まじか……4ヶ月経ってるじゃん。
そんな訳で遅くなって申し訳ございませんでした!ただ、完結までは絶対書き切りたいと思っているので興味がある方は待っていただけますと嬉しいです!……今回でようやく半分なんだよなぁ
あと、『その2』の後書きでツルマルツヨシの話してたけどまさか実装されるとは!(サポカだけど)びっくりしましたよ……!
ちなみに最近SSランクをようやく取れるようになってきました。嬉しい……
サポカの影響力をやっと理解してきたおじさんでした。
自然と力が溢れる……足に力が入る……先まで逃げ続けて棒の様になっていた足がまた走り始める。今度はその足先を逃げていた対象へ向けて。自分でも不思議だった。どうしてこんなに勇気が出るのか。どうしてこんなに前に進もうとするのか。
全ては『その名前』を口にした時からだった。それは才能の無い自分が目覚めた『領域』であり、それは力を求めた自分が掴んだ『能力』だ。
「『DA2U………ッ!!』」
肩に乗っている歪んだ黒電話の様な形をした小さな何かの感触を確かに感じて、自分は露伴トレーナーの元に駆けて行った。瞳に映る変わり果てた『トライポケット』を追い抜いて……その先のトレーナーを目指して……!
「漸く発現したか……」
これで第一条件はクリアだ……問題は次。彼女の『能力』がこの状況で役に立つのかが問題。
『スター・プラチナ』や『クレイジー・D』の様な戦闘特化のパワー型の場合トライポケット自身を傷つけてしまう。アハラクローバーはそんな事をしないだろう。
『ハーミットパープル』や『アトム・ハート・ファザー』の様な相手に干渉できない能力の場合もダメだ。この状況に置いて意味が無い。
『キラー・クイーン』や『ボーイⅡマン』の様な戦闘に使う能力もダメ。『ザ・ハンド』なんて以ての外だ。
……ここで必要になるのはこの僕の『ヘブンズ・ドアー』や康一くんの『エコーズ』の様な相手に干渉して、基本的にダメージを与えない。その上相手の動きを止められる『能力』だ。
「……フッ」
我ながらよくこんな酷い確率に賭けたものだ。そもそも発現するかどうかも怪しかった。彼女が『あの矢』を持っていたとしても、体の何処かを貫いているとは限らないからな。そんなものに賭けた自分自身に失笑してしまう。
黒色の髪が視界に入る。アハラクローバーだ。きっと『アイツ』はすぐ近くまで迫っているだろう。自分自身の体力が尽きていくのを感じながらそんな事を思った。
隣まで走って来たアハラを見る。先程まで明るかった辺りが真っ暗になり彼女の表情は見えない。……だが、わかる。辺りの闇に黒い体が同化したその瞳……機械的にしかして炎の様に熱く光る緑の瞳。スタンドとはその宿主の精神が具現化したものだ。今彼女はきっと……
「ハァ……ハァ……アハラ……クローバー……」
「『……なんですか?露伴トレーナー。』」
「トライポケットを……止められるか?」
「『……………』」
「『…………当たり前ですっ!!』」
その言葉と共に振り返り、彼女の肩に乗っていた小さなスタンドはトライポケットの……『アイツ』の元に飛んで行く。いや、黒電話の本体部分は肩に残し受話器部分が飛んでいっているようだ。勿論『アイツ』もこの異変に気づいているだろう。先程まで逃げ回っていたアハラが急に勢いを増し走り出したのだから……
これまた黒い電話線に繋がれた受話器がトライポケットの胸元に当たり……『沈んで行く』。『アイツ』はスタンドが見えていないのだろう。自分の胸元に受話器が入り込んだのに気にしていない……気づいていない様子だ。
スタンドは基本的に特定の行動から能力が発動する。僕の『ヘブンズ・ドアー』は僕の絵を相手に見せる……最近では『ヘブンズ・ドアー』自体を描いて相手にぶつけているが。他にも『クレイジー・D』は拳で触れて。『ザ・ハンド』は右手の掌を当てる事で。おそらく彼女の……『DA2U』と言っていたか?それは見た通り受話器を相手に当てる事が条件なのか。……さて何を見せてくれるのやら。
そんな事を考えていると真っ暗になっていた辺りが急に光り出す。ターフのライトが付いたのだろう。突然の事に目が眩む……がそれも直ぐに慣れる。……しかしその明るくなった光景には一つ足りない物があった。視界の端に確かにいた、ライトが付くまで確かにいた『彼女』がいない。この場での最後の希望がいない。
「………な」
まさかと思い振り向く。そこには身体中に傷を作っているアハラクローバーが『倒れていた』ターフの緑色を所々赤に変えて『倒れていた』
「なんだとッ……!?アハラクローバーッ!!」
彼女の名を呼びかける。………が彼女は『アハラクローバー』は
ピクリとも動かなかった。
いつの間にか自分は椅子に座っていた。一面が暗闇だった。目を閉じているのでは無いかと錯覚するほどに暗闇に包まれていた。……自分が何をしていたのか思い出せない。何か……何か大切な事をしていたはずなのに体が動かない。そんな体に意識を移すと全身からヒリヒリとじんじんと痛みが感じられる。……この痛みは久しぶりだがよく知っている。転んだ時の痛みだ。それも結構思いっきり転んだ時の……そんな痛みだ。
自分は昔からよく転んでた。お母さんと競争をした時や公園で遊んでいる時。学校に行く時や校内でふざけて走った時。それに………
『トライと一緒に走った時とか……か?』
そう……トライと一緒に走って……彼女を目指して……追い越したくて……無理して走った時なんかはよく転んでた。その度に先生から怒られて、みんなから笑われて、私も釣られて笑って。………とても楽しかったな。
『でもその時トライはどんな顔していたか覚えているか?』
……トライが?トライはいつも笑顔なんだからその時だって…………
………あれ?トライなんでそんなに怒ってるの?なんで涙なんて流してるの?……お願い泣かないで……お願いだから……トライが笑顔じゃないと私………………
目の前に突然現れたのは怒りに顔を歪ませ頬を涙で濡らす、見たことの無いトライの姿だった。そう……見たことの無い………
『本当か?』
『本当に……覚えていないのか?』
『私は幽波紋……魂の具現化……貴女が忘れていることも知っている。』
『…………それならあの時の記憶……貴女が忘れている記憶………私が見せてやろう。』
あの日……私がトライに憧れたあの日。正直その後何を話したのかを覚えていなかった。子供の頃の記憶だ。忘れる事もある。更にその直前に私の中の目標ができたのだから。でも……
『そうだ。貴女が忘れているのはこの瞬間からだ。まずはこの後の会話でも見ようじゃあないか。』
ある日の体育の時間、アハラクローバーとトライポケットはウマ娘という事もあり2人で競走をする事となった。アハラクローバーは母親としか走った事が無い為とても楽しみにしていた。
しかし、そこでアハラクローバーが見たものは『自分よりも自分の母親よりも圧倒的に速いトライポケットの姿』だった。そして走り終えた後のトライポケットが見せた清々しい『笑顔』だった。
そんなトライポケットを見てアハラクローバーは不思議に思った。何故そんなに嬉しそうなのだろう。何故そんなに笑顔なのだろう。……正直アハラクローバーから見てトライポケットはあまり表情が無いウマ娘だった。笑顔な時は何度も見たがここまで嬉しそうなのは初めてだった。よって彼女が不思議に思うのは当然の事だった。
「ねぇトライ。何でそんなに嬉しそうなの?」
「……そうだね。なんで……ふふっ。なんでだったんだろう。」
「と、トライ……?」
「……私ね目標があるの。」
突然空を見上げて話すトライポケットは嬉しそうで寂しそうな複雑な表情をしていた。
「名前も知らない……顔もほとんど忘れちゃった……一回しか会えなかった人に……あの人に私の事を伝えたいの。」
「あなたの背中が見えたよって」
「私はこんなに強くなったよ……って」
……一回しか会ってない人に自分の事を伝えたい?どういう事だろう。アハラクローバーは子供ながらに考えたが、理解できなかった。目の前で優しく微笑むトライポケットは暫く口を閉じ、その誰かを思い出すように目を閉じていた。そんな姿を見てアハラクローバーは思いついた。
「……じゃあさ!もっと強くなればいいんだよ!」
「え……?」
アハラクローバーは我ながらなんて馬鹿らしい事を言っているんだろうと思った。
「強くなって……強くなって……!トライの事を知らない人がいないくらいに強くなって!」
「…………!」
しかし口が動くのを止められなかった。……なら思った事を全部言ってしまえと笑われる事を覚悟して言葉を続けた。
「そうしたらさ……きっと……きっと会えるよね!」
「……っふふ。」
トライポケットが俯きながら肩を震わせるのを見てやってしまった……と今更後悔した。しかしトライポケットは目から涙を溢れさせ綺麗に笑って見せた。
「そうね。ふふ……『世界で誰も知らない人がいない。そんなウマ娘になる事』かぁ……」
「確かに……それならあの人に私の事を伝えられそう。」
「そ……そうだよ!だからさ、がんばろう!!」
いつも以上に大人な雰囲気を出すトライポケットの姿に動揺しつつも、予想より馬鹿らしい夢を真剣に考えてくれた事に嬉しくなった。
走り終わった後に長い間話していたからだろうか先生から集合の言葉が聞こえる。先生とクラスメイト達の元へ戻ろうとした時、不意に声をかけられた。
「それじゃあ……アハラも一緒にね。」
「………へ?」
「私の自慢の友達だもの!あの人に紹介したいの!だから一緒に『世界で誰も知らない人がいないウマ娘』になろう!」
それが彼女達の……トライポケットとアハラクローバーの始まりだった。共に頂点を目指す2人の約束だった。そこには確かに芽生えたての絆があった。
その後彼女達はとても高い目標を目指し、切磋琢磨と走り込んだ。何度も並走をした。何度も模擬レースをした。しかしアハラクローバーの目の前にはトライポケットの背中。何回やっても何十回やっても同じ視点。その光景がアハラクローバーの心を少し、ほんの少しだけ傷付けた。
だからこそだった。防衛本能か、アハラクローバーの意志か、それとも『何かに押されたのか』……ある日の模擬レースでアハラクローバーはいつものペースより速く走った。その背中に追いつくために。追い越すために。無理をして走った。結果としてはアハラクローバーはトライポケットを抜かした。追い越す事ができたのだ。だが、アハラクローバーはその事を知らない。気付いていない。視界が突如黒く染まったからだった。
『……思い出したか?貴女の……アハラクローバーというウマ娘が走り続ける理由を。トライポケットが初めて見せた怒りの理由を。』
「うん。思い出した。いや、思い出す事ができたのかな。『DA2U』……ありがとね。」
瞬きをすると先程まで見ていた過去の出来事ではなく暗闇に戻っていた。自分の腕を見ると目が慣れて来たのか微かにその形がわかる。そんな状況から今自分は目を閉じているとか目が見えないとかではなく光のない暗闇の中にいる事が理解できた。
……そしてここが何処かも慣れた目から自ずと理解できた。目の前のステージに掛かった幕が左右に開いて行き、薄暗い光が隙間から漏れ出す。やがて開き切った幕が隠していたステージが2.3つのライトで照らされる。ライトアップされた壇上に倒れているのは
「……トライ。」
自然に出たその声に反応し、ステージにうつ伏せで倒れているウマ娘はゆっくりと目を開いた。その瞳は薄暗く濁り生気が感じられないものだった。唇はカサカサに乾燥し、顔は青白くなっている。誰が見ても衰弱している様子だった。そんなは唇をゆっくりと動かし呟いた。
「……アハラ。どうしてきたの?どうして?彼女に……関わってはいけない。早く逃げて。おねがい……あなたまで巻き込みたくないの……」
「………」
いつも聞く様な綺麗な声はしない。いつも見る様な表情もしない。……いつも見る笑顔はそこに無い。
……でも
『貴女は絶対私に弱音を吐かない。』
そんなトライを見てわかった。
『貴女は絶対私に涙を見せない。』
子供の頃から知らない事がようやくわかった。
『貴女には古くから明かさない秘密があるからな。』
トライはずっと苦しんでいたんだ。自分はそんなことに気が付かなかった……でも今ならわかる。
『でも感じるんだよ。そこでは何かが起きている。貴女に何かが起きている。』
だから自分に教えてほしい。
『だから私に教えてほしい。』
『Did Anyone Approach You? 』
「貴女に近づいたのは一体誰なの?」
その言葉が……スタンド名がトリガーになったのか『DA2U』の能力がスッと頭の中に入り、理解した。今すべき事が。トライにやるべき事が。そして自分が何をすべきなのか。
座っていた椅子からゆっくりと立ち上がる。壇上に上がる階段を登り、蹲るトライに近づく。目の前にいるトライを見つめ、意識を研ぎ澄ます。瞳を閉じ息をゆっくりと吸い込む。心臓が驚くほど静かに鼓動を刻む。先程まで息が切れる程走り続けていたのに呼吸も鼓動もとても静かだ。そんな静かな音すら感じとる程意識を集中させ……
「トライのバカァァァァァーーーーーーーーッッ!!」
トライに向けて叫んだ。
「トライのバカっ!馬鹿だよっ!なんでなにも抵抗しないの!?トライの意識はここにいる。ずっと意識はあったはずだよ!トライだって抵抗できた!!そんな事分かってるでしょ!?」
「…………」
「露伴トレーナーと会ってからずっと恩人だ恩人だって……私まだ露伴トレーナーに会ったことなかったのに、あの人にすごく感謝していたっ!酷く落ち込んでいたトライを元気にしてくれたあの人にっ!!」
「…………………」
「それじゃあそんなトライの恩人を傷つけているのは誰!?トライ自身でしょっ!?トライが蹲って目を逸らして私は関係ないって……」
「………………っ」
「ふざけないでっ!ずっとトライは優しくて目標に一生懸命で辛い事があっても乗り越える力を持っていると思ってた。でもそれは勘違いだったんだね……トライはただの臆病者だっ!」
「………そんな事」
喉の奥がへばりついた時の様なカラカラな声がトライから聞こえる。暗く濁った瞳からライトに照らさせ光るものが見える。きっとトライは今とても辛いのだろう。悲しいのだろう。
……でも。だからこそ。ここで言わないとトライは諦めてしまう。挫けてしまう。きっとあの『何か』がトライの目標を奪ってしまう。
だから声を上げるんだ……トライを目覚めさせるために。トライの背中を押すために。
「トライ……聞かせて?貴女の目標って何だ?」
「トライの目指してた人って誰なの?貴女に走る意味を教えた人は誰なんだ?」
「私は待ってるぞ。向こう側でトライが話してくれるのを待ってるよ。」
「だから見せてよ。トライの本当の力を……本当の気持ちを……」
時は少し遡り……
「………な」
まさかと思い振り向く。そこには身体中に傷を作っているアハラクローバーが『倒れていた』ターフの緑色を所々赤に変えて『倒れていた』
「なんだとッ……!?アハラクローバーッ!!」
頭の中が真っ白になった。もうどうしようもない。僕の体力はほぼ尽きており、『アイツ』はもうそこまで来ている。最後の望みであるアハラクローバーのスタンドに賭けたがそれは無駄な足掻きだったようだ。『アイツ』は止まらない。止める事ができないのだ。
「グッ……!!オ、オイオイオイオイ……」
振り向いた一瞬を突かれた。本当に一瞬スピードが緩まっただけだ。『アイツ』の手は僕の喉元へ既に届いていた。先程までのペースではここまで接近する事は不可能……あり得るはずがない。だと言うのに追い付かれた。その理由は一つしか考えられない。
僕の速度が予想以上に遅くなった?断じて違う。本気だったさ。
『アイツ』が成長した?この一瞬だけで速度を上げるなど成長とは言えない。
ならばその理由は……
「おっ……お前っ!!本気じゃあなかったのか!?まさかずっと手加減して走っていたのかッ!?」
「「………っフフ」」
ただただ不気味に笑う。それだけでわかるだろうと言っているように『アイツ』は笑う。そしてゆっくりとしかし残酷な力でこの僕の喉を締め上げる。いつの間にか地面から足が離れ、体を持ち上げられる。
「ウグッ……この岸辺露伴がッ!……舐められたままじゃあ……終わらないぞ………ヘブンズ………ドアー………ッ!!!」
意味がないと知りながらもスタンドで攻撃を仕掛ける。せめてもの抵抗ってやつだ。しかしその直後に僕は後悔した。仕方がなかった。これまでスタンドに見向きもせず、攻撃にも反応せず、アハラのスタンド攻撃を受けた時も何もしなかったのだから。
『アイツ』は大きく開かれた瞳をヘブンズ・ドアーに向け腕を伸ばした。そしてその腕には半透明な『もう一本の腕』が重なっていたのだった。それは正しくスタンドであり、そして迂闊に攻撃を仕掛けた事が致命傷となりかねない最悪の事実だった。
「……ッ!?戻れッ!!ヘブンズ……」
その言葉を言い終わる前にヘブンズ・ドアーをその手に収めようと2重にぶれた腕を伸ばし指を広げその掌はヘブンズ・ドアーの目の前で静止した。
何が起きているのか分からなかった。この岸辺露伴は喉元を『アイツ』の手によって締められ、苦し紛れに出したスタンドを見切られると言う最悪な状況だった筈だ。では何故今奴の左腕は自分自身の右腕によって抑えられているのか。何故先程まで不気味な笑い声をあげていた奴は苦しそうな唸り声を上げているのか。
だが、確かに状況は変わっている。そして確実に決着へ向かっている事を頭を抑えて身動きが取れない『アイツ』とその奥で立ち上がるアハラクローバーを見て確信した。
「アハラクローバーッ!!これは一体どうなっているんだ!?」
「露伴……トレーナー……痛っ……」
「……ご心配させてしまいすみません。トライはもう直ぐ目覚めますよ……」
「トライポケットが……?君のスタンド能力か……!」
苦しむ『アイツ』の横を抜けアハラクローバーの元へ駆け寄る。ゆっくりと立ち上がる彼女は自分のスタンド能力が理由と頷く事で肯定した。
「自分の能力……『DA2U』は繋ぐ……事ができます。それを使って……トライの意識に語りかけました。」
「意識を繋いで語りかける……念話か……」
念話……テレパシーはかなり有名だ。言葉や身振りなど必要なく直接相手の心に意思を伝える。スタンドが見えない人からしたらスタンド同士で会話している能力者はテレパシーに見えないこともないが……おそらくアハラクローバーは相手が何者であろうと関係ないだろう。そしてそんな能力は今までの状況をひっくり返す事ができるものだったのだ。
「『ううゥゥゥゥゥ………』」
「っ!トライ……!」
「『わたシの………』」
「『わタしの友達を……恩人を………っ!!』」
「これ以上……傷つけるなーーーーーーッ!!」」
その叫びはトライポケットが奴に勝利した叫び声だった。
「トライっ!!よかった……よかったよぉ……」
「アハラ……ありがとう。私ずっと怯えていたんだ。私の中にいる『悪霊』のせいでみんなが傷つくところを見たく無かったから……」
意識を取り戻したトライポケットはその胸に飛び込んできたアハラクローバーをしっかりと抱きしめ静かに泣いた。これで一件落着というわけじゃあないがこの場はやり過ごせたようだ。……が『アイツ』の事に関しては根本的な解決には至っていない。
「……悪いが今君の意識がある内に『アイツ』の事について聞かなくてはいけないんだ。それも大量にな?一旦スピカのトレーナー室に戻るとしよう。さっさとけりをつけたいんだ。」
「……えーっと露伴先生。アハラがですね……」
「ン?……………………ハァ」
スタンドを初めて使ったからか……能力の使い過ぎか……コイツ眠っているぞ。さっきまでの戦闘が嘘かのように寝ていやがる。それも熟睡だ。トライポケットが起こそうと揺すっても軽く叩いても一向に起きようとしないじゃあないか。
「………明日の昼に話をする。チームスピカのトレーナー室に集まるからな。絶対に忘れるんじゃあないぞ?」
「は、はい。……あの……露伴先生?アハラに何を……?」
「……安心しろ。ちょいとしたイタズラさ。」
その後トライポケットに抱えられたアハラクローバーは寮に帰って行った。スピカのトレーナー室にはトレーナー1人だけ残っておりスペシャルウィーク含めウマ娘は全員帰らされていた。スペシャルウィークに渡された手紙はまだ開かれていなかった。スピカのトレーナーに明日の昼ここで話をすると伝えるとその場で眠りやがった。余程疲れていたのだろうか。部屋の電気を消し、こちらも借りた教室に戻った。
その夜何故か1時間に1回目が覚めてしまう現象に襲われたアハラクローバーは回らない頭で考えた。
『明日露伴トレーナーに復讐しよう。』
……その具体的な方法を考える前に彼女は眠りに落ちた。1時間後に同じ事を考え、方法を考える前にまた眠ってしまうことを彼女はまだ知らない。それがあと何回繰り返されるのかも……
図書室の扉が開かれる。限られた者しかいない静かな校舎。その場所にウマ娘がいた。そして一つの本を手に取りページを捲る。そのページには『三女神の像に似ているウマ娘が写っていた』
そしてまた図書室の扉が開かれる。そこに居たのはトライポケットの姿だった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!!
くぅ〜疲れましたw………なんてね?
なんか区切りがよかったので……まだ続きますよ!!
次回はトライポケットの過去と何かとの因縁について書けたら……いいなぁって感じです。
感想いただけますととてもやる気になります!!ダメ出しとかも全然問題無いので書いていただけますと幸いです!!!