転生したらベビーサタンだった件   作:あしあと

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目覚めと接敵

ふと目を覚ます。

 

「…なんだ?ここはいったい…」

 

固い場所で寝ころんでいたようで痛む背中を気にしつつ周りを見渡すと、松明に照らされ石のレンガに包まれた空間が広がっていた。

 

何があったか思い出そうとすると、ぽつぽつと記憶が蘇ってくる。

 

「…そうだ、俺は…確か、大学の講義の帰りに事故にあって!!?」

 

慌てて自分の体に目をやる

 

「………っなんだこれ!?」

 

自分の体の安否を確かめようとした彼の目には、紫色の体にこげ茶色の足が映っていた。

 

「いったいどうしちまったんだ俺は」

 

(落ち着け、垣川讓次(かきかわ じょうじ)…自分の名前だってちゃんと覚えてるし、大丈夫だ!)

 

気持ちを落ち着けつつも、この突拍子の無い事象を説明する記憶が浮かんできた。

 

「まさか…異世界転生…か?」

 

転生先によってはまだ希望はあると思いつつ、周りをもう一度見まわすと、自分の体より大きいフォークを持った紫の小悪魔<ベビーサタン>が目の前を横切り、フォークで壁の仕掛けのようなものを作動させると石を引きずるような音とともに壁が回転して見えなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「状況を整理しよう」

 

しばらく唖然としていたが、いくぶんか落ち着きを取り戻した様子で彼は状況を整理し始めた。

 

(まず俺はベビーサタンに転生したようだ…俺の近くにフォークが落ちてたことや体の色からおそらくあってる…となると転生場所はドラクエの世界か…4とか8とかモンスターズで見た気がするが…MPが足りなくて呪文が不発するギャグキャラだった気がする…これはやばい…強いやつに殺される…けどさっきのベビーサタンの反応から少なくても同種からは襲われなさそうだし…ドラクエの世界って基本主人公 vs 魔物の戦闘だった気がするから魔物は大丈夫か?…となると)

 

「問題は人間か」

 

そう話した途端、強い衝動に駆られた

 

「…っ」

 

(…ってなんだ!?人間って考えた途端…奴らで遊びたくナッテ…オレサマニニンゲンノオビエタカオヲミセロォォォォォ)

 

彼は自分の口角が吊上がってるのも感じない様子で、本能に従うままその欲を満たせる相手を探しに駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ちなみに、讓次(じょうじ)が居るリーザス像の塔では、回転する仕掛け壁を作動させて通り抜けないと他の場所に進めないのだが、彼はそんなことは忘れているようで今いる部屋をグルグルと回っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくの間讓次が走っていると、戦士のような格好をした美男子が回転する仕掛け壁から出てきた。

 

「ピャアァァァァァァニンゲンダァァァァァァァァ」

 

意表を突かれて戸惑った様子の男にベビーサタンは超強力な即死呪文を放った。

 

「 ザ ラ キ 」

 

 

 

 

 

 

 

-しかしMPが足りない

 

時が止まったかのように場が硬直する。超強力な即死呪文を前に男が倒れたのではない。呪文は発動しなかった、MPが足りなかったのだ。

 

男は緊張した顔を緩め、ゆっくりとこちらに近づいて来た。

 

(オカシイィ…オレサマノジュモンガキカナイィ!…ナラベツノジュモンヲツカウマデダァァァ)

 

今度は知りうる中で最も強力な爆裂呪文を唱えようとしたが、その男は、讓次が呪文を放つ直前に石畳みの床が割れんばかりに足を踏み込み、腰の剣を抜き放ちつつ猛スピードで迫ってきた。

 

「ック イオナズギャァァァァァ」

 

剣で腹を抉られながら吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。

 

「グヘェェェ」

 

すると男が入ってきたものとは別の仕掛け壁が作動したようで、仕掛け壁がぐるりと回転した。

 

(…うっ 何だいったい…腹が、全身が尋常じゃなく痛い…青色の血がめっちゃでてる…そうだ正気を失っている間に男にやられたんだ…あいつ…どこかで見た顔だ…確かドラクエ8のサーベルト!…ゼシカの兄でかなり剣の腕が立つキャラだった気がする)

 

 

 

 

 

 

 

「何だあのベビーサタンは…やけに殺気立ってるようだが。やはり塔に何か異変が起こっているのか…?」

 

取り残された男は、何かを勘ぐるように呟きつつ、魔物を仕留めに吹き飛ばした仕掛け扉に向かった。

 

(足音だ…壁の向こうに居る…殺しに来るぅ…!…けどもうボロボロで動けないぃ…!)

 

重い音とともに仕掛け扉が作動する。讓次にはその音が、2度目の生の終わりの音に聞こえた。

 

サーベルトは仕掛け壁を作動させると、回転し終わる前にその場を飛びのき、壁の先の空間でさっきの魔物を警戒する。奴らは追い詰められたときこそ一番危険なのだ。だが、魔物はどこにも見当たらない。

 

「…死んだか」

 

魔物は死ぬと跡を一切残さずに消える。稀に何か落として死ぬものもいるが、彼は奴がさっきの剣撃で死んだと考え歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―足音が遠ざかり、しばらくたった。

 

(危ねぇーーー! セェーーーフ!!! この仕掛けはまじ助かった!)

 

そうである。仕掛け壁によって一人と一匹は入れ違いになったのだ。

 

「う…ゴボッ」

 

しかし讓次の腹の傷は相当深いようで、彼の体の下には青い血だまりができつつあった。

 

(やばい…出血多量でしぬ…からだうごかねぇ…いたい…いしきが…めのまえが…まっくら)

 

そう考えたきり、彼は意識を失ってしまった。

 




友達とドラクエ8やっててその時のノリより生まれし小説。
小説書くの初めてなのでお手柔らかにお願いします。
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