転生したらベビーサタンだった件   作:あしあと

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(2022/1/30 魔族(魔物)語の文字色を黄緑から緑へ変更しました。)

ストーリーは軽く入れていきます。

今回はちょっと長めです。


目標と修行

レベルズはあらくれとの一戦の後、すぐに(つた)で覆われた扉と鉄柵でできたリーザス像の塔の入り口に向かった。

 

(急がないと…原作じゃこの扉を持ち上げれば通れたはず)

 

扉に触れようとすると、扉が眩しく光を発して体が弾かれた。

 

「くそっ 何だこれ!」

 

(中からじゃ開かないのか?それとも俺が魔物だからか?…こうなったら鉄柵をよじ登って追いついてやる)

 

レベルズが鉄の柵に触れようとすると、今度は柵が激しく光り弾き飛ばされた。

 

「ぐっ ここもかよ!」

 

(…あのあらくれが何をしゃべってるかはわからなかったが…おそらく奴は俺がサーベルトをやったと思ってる…奴がリーザス村に到着すればサーベルトを殺したのが俺になってしまう…言葉が通じないから説得もできないし…どうしたら)

 

「どうしたんだいレベルズ さっきから外へ出ようとしているみたいだけど」

 

一体のホイミスライムが近づいてそう言った。

 

「ミイ! ここから出る方法を知らないか?」

 

「何かあったのかい? …だけど残念ながら今すぐここから出る方法はないよ ボクたち魔物が外へ出ようとすると 不思議な光に弾かれるんだ」

 

「そんな!」

 

「今すぐ外に出なきゃいけないのかい? すぐじゃなければ出る方法はあるよ」

 

「……すまない教えてくれないか? だいぶまずい状況なんだ」

 

(サーベルトをやったのが俺だと思われたとしても この塔から逃げさえすれば死なずに済む)

 

「この塔にはニンゲンがときどき見回りに来るのさ ニンゲンが塔を見回っている内に この扉は開けっ放しになる その時はここから出られるよ」

「何があったかよければ教えてくれるかい? キミいまひどい顔をしているよ」

 

(…リーザス村の人は血眼になって俺を探すだろうけど…入れ違いで出られればいけるか?)

 

「実は…」

 

レベルズは成り行きを説明した。

 

「…なるほど つまりキミは戦士の姿をしたニンゲンの仇だと勘違いされたのか それでこの塔から出ていきたい…と」

「…協力するよ 困っている生き物を助けるのが ボクたちホイミスライムの生きがいだからね」

 

「ありがとう、ミイには助けられてばかりだ。前にも言ったけど、何か助けられないか?」

 

「それじゃボクの話し相手になってよ それでいいからさ キミはどんな感じにあの戦士と戦ったんだい?」

 

「どんな感じ…か う~ん…あんまり覚えてないんだけど、初めてニンゲンに会って慌てて呪文を打ったんだ。魔力足りなかったんだけどさ」

 

「アハハ! 初めての戦闘はみんな緊張するみたいだね」

 

「それで、いきなり距離を詰められて、やらなきゃやられると思って、もう一回呪文を打とうとしたら倒されてたんだ。運良く仕掛け壁で入違ったから殺されずに済んだけど」

 

「…なるほど ちょっと聞いておきたいんだけどさ レベルズはニンゲンを殺すべき…というか 殺したいと思うかい?」

 

(何だこの質問…ミイは原作でもちらほらいた“いいスライム”みたいな感じなのか?…あの時は暴走してたしそれで死にかけたんだ…もう絶対戦いたいなんて思わないな)

 

「あの時はちょっと混乱してたんだ。死にたくないし、もう戦いたいなんて思わないな。」

 

「…そうか キミがニンゲンを殺そうとする魔物じゃなくてよかったよ! みんな仲良くすれば誰も傷つかなくていいのさ」

 

ミイはそう言って触手をフヨフヨと動かし力説する。

 

「そうだな」

 

「キミはここから逃げたらどうしていくんだい? ニンゲンを殺さない魔物は少なくてさキミがどうしたいか気になるんだ」

 

(俺は…どうしたいんだろう…この世界で…どうやって生きていくんだ?…死にたくないな…けどミイみたいに人間を憎まなくて話しやすい魔物は少ないらしいし…もとは人間だったんだ…魔物とだけじゃなくて…人間とも友達を作って…人間らしい生活がしたい…人の食べ物も食べたいし…しばらくはごめんだけど)

 

「……しばらくは人間と会いたくないけど、俺は人間みたいな、人間っぽい生活がしたい」

 

「…キミは変わってるね そんなこと言う魔物は見たことないよ でもそういう魔物が一体くらい居てもいいかもね」

 

(どうにかして人間の言葉を使えたら…話してくれる人間もいなくはなさそうだけど………そうだっ原作では三角谷ってとこで人間と魔物が共存してたはず…あそこにたどり着ければ人間の言葉を覚えていろいろできるかもしれない)

 

「逆にミイはどうしたいんだ?」

 

「さっきも言ったけど ボクは困ってる生き物を助けられればそれでいいのさ ニンゲンも含めてね …みんなが傷つけ合わなくなればいいんだけどなあ」

 

ミイは目を輝かせてそう言った。

 

その後二体は見回りが来るであろう日中に塔の入り口を見張る約束をして、今日はそのまま夜まで見張ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

清らかな水が溜まり、壁面に反射して透き通るような青が揺れている滝の洞窟の中、二人の男が道を歩いていた。

彼らはトロデ王国をいばらで呪ったドロマゲスを追う道中、立ち寄った町トラペッタの占い師の娘ユリマの願いで水晶玉を探していた。

 

「待ってくだせぇ おちんちの兄貴」

 

こんぼうを背中に携えた強面の元山賊ヤンガスがどうのつるぎを装備している細身の近衛兵おちんちに駆け寄る。おちんちはあたりを警戒している。

 

「さっきのおおきづちはなかなか強かったでがすが アッシらに力勝負で勝てるわけないでげすよ」

 

ヤンガスがそう言う。

 

「そんなことないよ 力を溜めて隙を突けなかったら危なかったよ」

 

「そうでがすか? さすがは兄貴 用心深くて頼れるでげす!」

 

洞窟で立ちふさがる力自慢のおおきづちもトロデ王国の近衛兵と元山賊ヤンガスにかかれば楽な相手だった。なぜなら一行は既に一帯で名のある魔物たちを倒し、経験を積みまくっていたからである。彼らは今日も油断せず突き進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

塔の入り口を隠れながら二人で見張りつつ、ミイが触手をくねらせて言った。

 

「そういえば最近 ここらへんで名のある魔物が二人組のニンゲンに倒されていってるらしいよ 不屈のスナイパーリリッピとか 愛の戦士ピエールとか 滝の洞窟の門番きづちんとかさ」

 

「なん…だと…」

 

(絶対主人公達じゃん)

 

「特にリリッピは防御呪文スカラと回復呪文ホイミを使いこなす凄腕リリパットだって有名だったのに そいつらもやるよね …幸い殺されはしなかったみたいだけど」

 

「ソウダナ ソレハサイワイダナ」

 

(絶対強いじゃん)

 

「…なんかカタコトになってない?」

 

(ゼシカが仇討ちに行ったことを知って主人公たちも来るはずだし…塔に来た人間をうまくかわせなかったときを考えて修行しとこ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虫の鳴く声が聞こえる夜、石壁が松明の炎で照らされた空間で1体のベビーサタンが真剣な顔つきで魔法を練習していた。

 

師匠の教え通り魔力を体の奥底から捻出し、明確なイメージを持って呪文を唱えていく。

 

「……メラ!……ヒャド!……ギラ!」

 

詠唱時の光の反応すらなく呪文は失敗に終わる。

 

「……バギ!……イオ!……ホイミ!……ザキ!」

 

今度も詠唱時の光の反応もなく呪文は失敗した。

 

(詠唱時の光すら出ないなんて…イオナズンやザラキを使うにはおそらくMPが足りないから初級魔法を練習しようと思ったのに…明確なイメージが足りないのか…それともそもそも生まれた時から使えない魔法があるのか…俺は一応エリート魔族として集められたんだ…才能はあるはず)

 

その後も練習を続けるが、一向に詠唱時の光すら出ない。

 

(まるで反応がない…もうちょっと考えて練習するか…生まれた時から使えない魔法があったとしてもイオ系-ザキ系-メガンテは使えるはず…しっかりイメージしてそこから練習しよう!) 

 

レベルズは背中に生えた蝙蝠のような羽根を伸ばし何度か羽ばたかせ、フォークを左手から右手、右手から左へと持ち変えると改めて練習を始めた。

 

(イオとは…小さな爆発…爆発とは…空気の瞬間的な膨張…爆発を起こすには…エネルギーを凝縮して…)

 

「……イオ!」

 

なにも起こらない。

 

「…魔法の練習かい? レベルズ」

 

ミイがフヨフヨと漂ってきた。

 

「ミイ! 逃げるのに失敗してこの前みたいに魔法が出なかったら怖いからね」

 

 

「何がうまくいかないんだい? このボクがホイミの使い方でも教えてあげようか?」

 

ミイが得意げに言いつつすぐそばまで近寄ってくる。

 

(…助けるのが生きがいなのはいいけど…ミイってなんかいつも近くないか?……っは!相手はホイミスライムだぞ!俺は何を考えているんだ!しっかりしろ――!)

 

「そっそれもありがたいんだけど、今はイオの練習をしているんだ、詠唱時に光の粒が出るのが教えてもらったイオナズンとザラキくらいでさ」

 

「ザラキだって!? キミは誰かを呪い殺したいのかい?」

 

ミイが信じられないものを見たかのように触手をうようよさせている。にへらとした笑顔も普段より引きつっているように感じる。

 

(…嫌われてしまう…はっ…違うこれは命を救われたからその補正ガガガ…)

 

「ちっ違うんだ!魔族の村に住んでた時、師匠にザラキは呪い殺す気でやれって言われたんだ!その時は人形相手だったし…つい」

 

「…ふ~ん…ほんとかな~」

 

ミイが離れていきこっちを疑っている。目が笑っていない気がする。

 

「ほんとなんだ!信じてくれ!今はあの男に殺されかけて人間と戦う気なんかこれっぽっちもないんだ!それにほら!前に人間っぽい生活がしたいって言ったじゃないか!」

 

「アハハ冗談だよ~ キミは慌てると面白いな」

 

そう言うとまたフヨフヨと近寄ってきて、満面のにへら顔をこちらに向け、肩に触手を置いてくる。

 

「ぐっ このっ」

 

(ミイに遊ばれている…!)

 

「まあでもそこが重要なんだ 気持ちを込めないと呪文は打てないのさ」

「ホイミなら相手を癒したい ザキなら相手を殺したい 攻撃魔法を使うなら相手を傷つける強い気持ちが 覚悟が必要なんだ」

 

一変して真面目な調子でそう言う。

 

レベルズもミイの真面目な様子を見て、真剣な顔つきに戻って考え始めた。

 

(死ぬわけにはいかない…そのためには相手を傷つける…!死なないためだったら…サーベルトだって…あのあらくれだって誰だって傷つけてやる!)

 

そう決意を固め、魔力を体の奥底から呼び出し凝縮するイメージで、数メートル先の瓦礫へ解き放つ。

 

「………イオ!」

 

―しかしMPが足りない

 

呪文は発動しなかったが、詠唱時にオレンジの光の粒がレベルズの体から溢れ出る。

 

(…さっきと違って呪文の詠唱はうまくいった……けど初級魔法ですら…MPが足りないのか)

 

「…キミは魔力が少ないみたいだね …アハハ」

 

ミイがちょっと呆れた様子でそう言った。

 




主人公の名前は、友達とドラクエ8したときに名前で遊んじゃったのでそこからきてます。本当に申し訳ないw

※名のある魔物は原作におけるスカウトモンスターやボスなどの強いモンスターのことです。

魔物の言葉が黄緑ってどうですか?

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