ゲームを運営する者達が不具合が出ないようにそれぞれイベントを管理している部屋でメイプルとサリーが【幻獣の卵】を手に入れて騒ぎになった少し後のこと。
「あああああああおい、誰だ。【海王】を担当してたやつ」
また1人の男が叫び今度は何だと思いながら耳を傾ける。
「は、はい。私です」
1人の女が手を上げる。
男の様子からして嫌な気配を感じる女職員。
「旧【海王】が倒された」
「旧【海王】ってもともと海王にするつもりだった皇帝ペンギンの事ですか?」
「そうだ。俺らは最初は皇帝ペンギンを【海王】にするつもりだった。だがとある事情でペンギンの集落を氷の大地の上に作らないといけなくなって最終的に海じゃないよね?という理由で【海王】から外されたぺんぎんだ。しかも、鳥の【幻獣の卵】もペンギンにしていたら上から「鳥なんだから空飛べるようにしよ」と言われ鳥の【幻獣の卵】を1から作り出さないといけなくなった。」
「だから何だっていうんです?」
何が言いたいのか分からずしびれを切らした他の職員質問する。
「旧【海王】を倒して旧鳥の【幻獣の卵】を手に入れたやつがいる」
『はぁ!』
その話を聞いていた職員、全員が驚きの声を上げる。
「あ、すみません。設定変えるの忘れてました」
そこで【海王】を担当していた女職員が青い顔で謝罪する。
「おい、待てよ。どうやって旧【海王】を倒したんだよ!あいつは20本の氷剣で同時に攻撃するはずだ!20本の氷剣を避けて倒した、なんて馬鹿げた話じゃないよな?!」
「その~氷剣を19本使用が出来ない状態にされてしまいまして」
質問してきた職員の圧に押されて思わず声が小さくなる男職員。
だが質問は終わらない。
「はぁ!氷剣は【不壊】がついてたよな?どうやったらそんな氷剣を使用不可状態にできるんだよ」
「あるプレイヤーが炎で氷剣を再現してしまって。炎剣が氷剣に触れると直ぐに氷剣が溶けてしまったんです」
「あ~【不懐】は折れたり欠けたり割れたりしないってだけで溶けないわけじゃないもんな。溶けないためには【溶解無効】か【溶解耐性】がいるもんな」
1人の職員が納得気に言う。
「それこそない。炎魔法の類は使用制限があるだろ。海の中では使用不可だったり、寒いところでは炎の温度が下がったりって感じで」
「そのプレイヤー、サンは【火魔人】のスキルを持っていて。」
その発言にその空間にいる職員全員がため息をつく。
「クソ、サンってメイプルと引き分けたやつじゃねぇか。危険度はメイプルと同格だぞ」
「………はぁ~、ラスボスが1人増えたな……」
「そう…だな」
サンは自分がラスボスと呼ばれて運営に問題児扱いを受けた事を知ることはない。