プロローグは予想以上にたくさんの方々に見ていただいたようで、とても驚いています。
お気に入り登録してくださった方々、ありがとうございます……!! テンションが上がって、バリバリのモチベであっという間に書き上がってしまいました。
さて、早速ですがバカおと第一問の投稿です。ではでは、どうぞ!
季節は春真っ只中で、けれどまだ少し肌寒さが残るこの時期。オレは夢と現実の狭間で布団のぬくぬくした心地よさを満喫していた。
「――ん。……ン、リンってば」
と、唐突に誰かがオレの体を揺さぶり始めた。どうやら起こそうとしているらしい。
せっかくの春休み最終日、ゆっくり寝て過ごそうと思ってるのに、邪魔すんなよな……。
「りぃんー。朝だよ、早く起きてよ。朝ごはん冷めちゃうって」
「うぅん……あと、あと五――」
「あと五分? そうやっていつまでもだらけ」
「あと五時間……」
「ダメに決まってるよね!? ああもう、こうなったら……!」
しばらくして揺するのが止んだと思ったら、相手は『布団を引っぺがす』という最終手段に出てきた。
「リン、ねえ起きなよ!」
「ぅうー……」
「むうう……!!」
「……うー」
「ぬぐぐぐ……!!!」
「ううう……に゛ゃあああ!!」
ドゴッ!
勢いよく起き上がったことによって完全に目が覚めたオレは、何故か拳を固めて振り切った格好で静止していた。そしてその傍らにはひっくり返ってのびている明久が。
「……あっ」
★BAKA OTO☆
「いっつつ……、酷いよリン」
「あー、ごめんって。思いっきり寝ぼけてたんだよ」
気絶していた明久を介抱し、気がついてから聞いた話によると、どうやら今日から学校が始まるので起こしに来た明久を、オレが殴り飛ばしてしまったらしい。
明久には悪いことしたと思うけど、そんなこと全然覚えてないからなんか微妙な気分だ。
「全く、リンの寝起きの悪さは昔から変わらないね」
「そんなこと言われてもなあ……自分じゃどうしようもないし」
昔から、と言うとおり、明久と俺は家族ぐるみの付き合いで小さい頃からよく遊んでいた。それでお互いの家に泊まり合うこともかなりの頻度であったのだが、その度に寝起き最悪のオレが半ば無理やり起こしに来た明久を泣かせていたらしい。
そんな明久とは、お互い両親の海外勤務と言う都合でいま一緒に暮らしている。親いわく『アキちゃんとは昔っからの付き合いでリンくんとは双子の兄弟みたいなものだし、私たちも同じ仕事場ってことで一緒に海外に行くことになるから、お金を浮かすために一緒に住んでね♪』って事らしい。オレも明久も別に構わないよなって事でこうして一緒に暮らすことになったのだが、それはいいとして『アキちゃん』『リンくん』……周りからずっと『リンくん、リンくん』って呼ばれてきたからオレ的には全く違和感はないんだけど、普通性別的に考えたら『アキくん』『リンちゃん』なんじゃないかとたまに疑問に思う。
温め直した朝食を食べながら、明久と話を続ける。
「(もぐもぐ)……うん、やっぱり明久の作る飯はうまいな。オレも人並みには料理できると思ってるけど、明久は普通に店開けるレベルなんじゃね?」
「リンの作るご飯もすごく美味しいと思うけどなあ。あ、そうだリン」
「ん?」
「リンってさ、学園内じゃ男に娘と書いて『第四の性別
「マジか。確かに自分でも見かけも中身も男っぽいなーとは自覚してるけど、そんな風に言われてたのは知らなかったわ。ま、そんな気にしないけど」
「……普通の女の子なら気にすると思うんだけどなあ。そこがリンらしいというか男娘の子って言われる所以というか」
男に娘で男娘か。うまいこと考える奴もいるもんだなあ。さっきの『リンくん』呼びのとおり、オレは男っぽい外見や性格をしてる、と自分でも思う。とは言っても外見の方は男性にしか見えない! ってワケではなくて、どちらかというと男『の子』っぽい見た目をしている。そのせいでよく『僕、どこから来たのかな?』とかすごい子供扱いを受けてその度に女であることと高校生であることを伝えるのだが、いっつも相手に怪訝そうな顔をされる。はあ、148cmか……せめてもうちょい身長があればいいんだけどなあ。関係ないけど。
「明久とオレって、お互い生まれてくる性別間違えたのかもな」
「いやいや、僕はれっきとした一男子だから」
「だってよくアキ姉に女「あーあーあー!!! なんっにも聞こえない!!」なんかごめん」
「ったくもー。リンだってよく男の子としてあちこち連れ回されてたし、同じようなもんじゃん」
「んー、あーいうもんだと思ってた」
「ちょっと考えればすぐに気づくと思うんだけど。やっぱりリンって馬鹿なんじゃない?」
「それ前にも言われた。オレってそんなに馬鹿なのかな……というか、明久にだけは言われたくねえよ!」
「リンよりかは頭いい自信あるね! なんなら今度小テストの点数で勝負してみる?」
「いいぜ。絶対負けねえ」
なんて適当に会話をしながら、ちらっと時計を見る。すると、時計の短針と長針は十時半という時間をしめしていた。
「ところで明久、今日って学校何時からなんだ?」
「え? ……たしか九時半とかだったと思うけど」
な ん だ っ て ?
「時間やべえぞ!! 早くしないと鉄人にぶっ飛ばされる!!」
「えっ? ……って、あああああああ!!!!」
時間がやばいということに気がついた俺たちは、それまでゆっくりたべていた朝食を無理やりながしこみ、マンションを出て全速力で学校へと走り出した。