目が覚めるとGX   作:アズリエル

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TURN-02 オベリスクブルーの洗礼

「――みなさん、決闘王(デュエルキング)を目指して楽しく勉強してください。それでは、これにて入学式を閉会します」

 

 どの世界でも校長先生の話が長いのは通例なのか。

 鮫島校長の話が終わり、解散となる。

 そう、僕は無事に特待生としての合格を勝ち取り、デュエルアカデミアへと入学した。

 

「やあ、0番くん。君はオベリスクブルーなんだね。まぁ特待生試験を見れば当然か」

 

 僕の制服を見て三沢が声をかけてくる。

 

「そういう三沢もラーイエローじゃないか。入学試験での成績優秀者はラーイエローからのスタートだ。たまたま僕が特待生枠でオベリスクブルーになっただけで、一般受験だったら僕だってイエローだったんだからスタートラインは同じだよ」

 

 そう。この学園は成績によってオベリスクブルー、ラーイエロー、オシリスレッドの3つに配属されるのだが、高等部からの編入生は原則ラーイエローが最高なのだ。

 入学直後のオベリスクブルーは中等部からの生え抜き、つまり中学3年間をデュエルアカデミアで過ごした生徒の中でも、成績が優秀な学生たちにより構成される。

 新入生は入学試験の成績によってラーイエローかオシリスレッドに割り振られ、その後は毎月行われる試験の成績によって昇格のチャンスが与えられるという仕組みらしい。

 僕の場合、特待生の文言自体が、「特待生試験にて優秀な成績を納め、他の学生の模範となるべき学生」というようなものであるため、オベリスクブルーからのスタートになった。

 特待生試験の結果によっては1年間の学費免除のみ与えられ、ラーイエローからのスタートということもあるらしいが、試験の結果が良かったということだろう。

 

「この後は寮の歓迎会だけど、微妙に時間があるね。君はどうするの?」

「僕はこのまま寮に戻ってデッキを調整するよ。さっき急に閃いた構築があってね」

「真面目な顔して校長先生の話を聞いてると思ったら、デッキを考えてたのか」

 

 三沢は真面目な優等生タイプだし、校長先生の話も真面目に聞いてるんだと思っていたが、意外とそうでもなかったらしい。

 

「0番くんはどうするんだい?」

「僕はちょっと学園の設備を見てから寮に戻ろうかな。真っ直ぐ戻ってもやることないし。……ところで、そろそろ0番くんって呼ぶのやめない?」

「はは。それもそうだな。じゃあこの辺で。またな、黒乃」

「うん、じゃあね。三沢」

 

 三沢と別れて散策をする。

 孤島を丸ごと使って建てているだけあって、敷地はとても広い。

 迷子になりそうだな。なんて思いながら散歩をしていると、聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「お、デュエルフィールドだ! 翔、早速デュエルしようぜ!」

 

 十代たちだ。折角だし、合流しようかな。声のする方向に向かうと、十代たちを馬鹿にするような声が聞こえた。

 

「ここはオベリスクブルー用のデュエルフィールドだ。お前らみたいな落ちこぼれが来るところじゃないぞ!」

 

 学園案内のしおりを見た限りそんなことはなかったと思うけど、僕が見落としたのかな? 

 

「じゃあお前、俺とデュエルしようぜ! それならいいだろ?」

「はぁ? なんでオベリスクブルーの僕がお前みたいな落ちこぼれのレッドとデュエルしなきゃいけないんだ? 時間の無駄だね」

 

 流石に聞いてて気分のいいものじゃない。口を挟もうとしたその時。

 

「be quiet! そいつ、お前たちより出来るぞ。まぐれとはいえ、入学試験でクロノス教諭を倒した男だ。……そこにいる特待生と一緒でな」

 

 そう言うと仲裁に入った男、万丈目が僕に目を向ける。

 

「まあね。オベリスクブルー1年生は中等部の成績優秀者……だっけ? 自信を持つのは自由だけど、他人を見下すのはどうかと思うよ」

「フンッ、生意気な新入りだ。学園の厳しさを思い知らせてやろうか?」

「望むところ。な? 十代」

「おう! 俺はこの学園で1番の男だぜ!」

 

 一触即発の空気が流れたところに、よく通る女性の声が響く。

 

「貴方達! 何してるの?」

「天上院くん。やぁ。この生意気な新入り達に少々お灸を据えてやろうと思ったところでね」

 

 カッコつけた万丈目の言葉を無視し、現れた女子生徒は言葉を続ける。

 

「そろそろ寮で歓迎会が始まる時間よ」

「チッ、引き上げるぞ!」

 

 そう言うと万丈目とその取り巻きたちは去っていった。

 

「貴方達、万丈目くんの挑発に乗らないことね。あいつら、碌でもない連中なんだから」

「へぇ。わざわざそんなこと教えてくれるなんて、ひょっとして俺に一目惚れか!?」

「アニキ、そんなありえないことを……」

 

 十代の軽口に翔が苦笑する。

 

「……ふふっ、オシリスレッドでも、歓迎会が始まるわよ」

「そうだ! 寮に戻るぞ!」

「あ、兄貴! 待ってよ~!」

 

 そう言うと十代たちは走り出してしまった。慌ただしいやつだ。

 

「そうだ! お前、なんて名前だ?」

 

 立ち止まった十代が振り向き、女子生徒に問う。

 

「天上院明日香。よろしくね」

「俺、遊城十代! 煉、明日香! 今度デュエルしような!」

 

 名前を聞いたと思ったらまたすぐに走り去ってしまった。

 

「面白いわね。十代」

「あぁ。入試の後、話したんだけどいい奴だよ」

「えぇ……貴方は、特待生の?」

「うん。特待生の黒乃煉。よろしくね」

「貴方、オベリスクブルーになったのね。改めてよろしく。さっき言った通り、万丈目くんたちにはあまり関わらない方がいいわよ」

 

 改めて忠告してくれる明日香。それもそうだろう。レッドの十代たちと違って僕は同じ寮な分、絡まれる機会も多そうだ。

 

「ありがとう。でも、そんな険しい顔しないで? さっきみたいに笑ってた方が可愛いよ」

「かっ、可愛いって……」

 

 忠告してくれるのはありがたいんだけど、入学早々こんな話も嫌だからね。空気を変えるためにも軽口をたたく。

 

「んじゃ、僕も寮に戻るよ。またね!」

「え、えぇ。また」

 

 明日香と別れて寮に戻ると丁度、寮の歓迎会が始まるころだった。

 とはいえ、僕以外の生徒は全員が中等部からの進級。その上、誰かがさっきのやり取りを見ていたらしく、ヒソヒソと「オシリスレッドの落ちこぼれとつるんでいるなんて……」「ブルーの品格が……」などと気分の良くない話が聞こえる。

 わざわざ友好的ではない相手に話しかける理由もないので、万丈目たち以外では唯一の顔見知りであるクロノス先生に話しかける。

 

「クロノス先生。試験ではお世話になりました」

「シニョール黒乃。合格おめでとうなノーネ。これからのアナタの活躍に期待していルーノ」

「はは、ありがとうございます。ところで、ちょっとデッキの相談をしたいんですが、いいですか?」

「もちろん大歓迎でスーノ! アナタのデッキは興味深いカードが沢山ありましたカーラ、ワタシも気になっていたノーネ」

「じゃあ、ちょっとデッキを見てもらえますか?」

 

 この世界に来てから数カ月たったとはいえ、遊戯王に触るのは久々な上、もともとシンクロ召喚を切り札としたデッキを無理やり改造した形なので何かアドバイスをもらえないかと思い、クロノス先生にデッキを渡す。

 

「カードのテキストを読むのに時間がかかるかもしれないからちょっと待つでスーノ。その間、ワタシのデッキを見てるといいノーネ」

 

 そう言うと先生も僕にデッキを渡してくれた。

 ふむふむ。古代の機械(アンティーク・ギア)モンスターを軸に、上級モンスター召喚のためのギミックに《黄金の邪神像》などが採用されている。

 手札消費が激しそうなのが気になるな。

 

「なるほどなるほーど。墓地を活用してモンスターを展開していくデッキなノーネ。闇属性モンスターには強力なモンスターも多いし、墓地を活用するカードも多いので相性のいいカードも多そうなノーネ。シニョール黒乃、このあと少し時間はありますーノ?」

「はい、特に予定もないので」

「それでは、この後、ワタシの部屋に来るノーネ。相性のよさそうなカードをいくつか見せてあげるノーネ」

「え? いいんですか? ありがとうございます」

「もちろんなノーネ。ワタシは勤勉な生徒には出来る限りのことを教えまスーノ。ちょっと準備をしておくので、20分後くらいに来るノーネ」

 

 クロノス先生の思いがけない提案で、クロノス先生のカードを見せてもらえることになった。

 居心地の悪い歓迎会も抜けられる口実が出来た。

 

「それでは、ワタクシは部屋に戻りまスーノ。学生の諸君は歓迎会を楽しむノーネ。とはいえ、羽目を外しすぎないように気を付けるノーネ!」

 

 そう言うとクロノス先生は歓迎会を後にした。

 僕もそっと抜け出し部屋に戻る。

 折角相談に乗ってもらうのだから、僕も先生のデッキに合いそうなカードを何枚か持っていくことにしよう。

 

 カードを探していると丁度いい時間になったので先生の部屋へと向かう。

 クロノス先生の部屋は……お、ここか。

 軽くノックをすると中からクロノス先生が出てくる。

 

「お、シニョール黒乃。どうぞ、中に入るノーネ」

「失礼します」

 

 木製のアンティーク家具で統一された上品な部屋だ。

 そして、机の上には何枚かのカードが並べられている。

 

「シニョールのデッキに合いそうなカードを何枚かピックアップしてみたノーネ」

「まずは《ダーク・アームド・ドラゴン》、一見手札0枚という条件とは相性が悪いように見えますが、先攻で《ダーク・グレファー》の効果を発動して、相手のターンにダーク・グレファーが破壊されればすぐに条件を満たすことが出来るノーネ」

「なるほど。確かに。持っているので今度使ってみます!」

 

 流石はアカデミアの実技担当最高責任者。元の世界のインフェルニティでは如何に素早くコンボを始動するかが問われ、採用されることのなくなったカードなので頭から抜けていたが、確かに今のデッキにはいいカードかもしれない。

 

「そういえば、先生のデッキは《炸裂装甲(リアクティブアーマー)》が入ってましたが、《次元幽閉》なんかは使わないんですか?」

 

 この世界では珍しい、しっかりと墓地の重要性を理解しているクロノス先生がほぼ上位互換となる次元幽閉を使っていないのが疑問だったため尋ねてみる。

 

「なるほーど。カードの知識が深いアナタらしい質問なノーネ。ワタクシがこのカードを使わない理由は、ワタシはプロデュエリストではなく、教師であるからなノーネ」

 

 どういうことだろう。イマイチ意図が読めずに首を傾げるとクロノス先生はこう続けた。

 

「ワタシは、生徒たちを叩き潰したいわけではありませんーノ。各々が学び、工夫し、いずれはワタシのこのデッキを破って欲しいノーネ。ですが、次元幽閉のようなカードは《死者蘇生》のようなカードを使った逆転のチャンスを奪ってしまうノーネ。まだ、1年生のアナタ達には少し早いと思っていますーノ。とはいえ、今年は既に2人もワタシを破った学生が出てしまいましたーガ……」

「ははは……」

 

 挨拶した際は普段通りであったため、気にしていないのかと思いきや、しっかりと入学試験での敗北を気にしてたらしいクロノス先生は少し悔しさを滲ませながらそう語る。

 

「それに、次元幽閉は高額なカード。切り札を揃えるので精一杯の学生達には手が届かないカードですカーラ、なかなかワタシのデッキを参考にデッキを構築するというのも難しくなってしまうノーネ……って、こんな話、生徒にする話ではなかったノーネ。忘れて欲しいでスーノ」

 

 なるほど。クロノス先生も色々と考えているんだな。だからこそ、先生の意志を尊重して答える。

 

「……すみません。ちょっとぼーっとしていて。ダーク・アームド・ドラゴンの話でしたっけ?」

 

 そう惚けて見せるとクロノス先生は苦笑しながら次のカードを手に取って解説してくれた。

 その後、僕の持っている古代の機械カードや機械族のサポートカードと先生のオススメしてくれたカードのうち、僕が欲しかったものをトレードしてもらい、クロノス先生の部屋を後にする。

 

 その時、後ろポケットに入れていた端末から振動が伝わった。

 確認すると、学園から支給された携帯電話にメールが届いていた。

 差出人は取巻太陽……誰だ? 

 内容はお互いのベストカードを賭けたアンティデュエルを行うので夜にデュエルフィールドへ来いということだった。

 あぁ、昼間に揉めた万丈目と一緒にいたブルー生徒か。

 アンティデュエルは校則で禁止されていたはずだし、夜間の無断外出も禁止のはずだ。

 行く理由は無い……と思ったんだが、このメールは僕だけじゃなくて十代にも送られてる。

 十代は恐らく校則なんて読んでない可能性が高い。

 ただでさえ成績ギリギリのオシリスレッドだ。

 校則違反で停学なんてことも有り得るかもしれない。

 ……止めに行こう。

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

「ほう。てっきり逃げるかと思ったんだが、よく来たな!」

「2人揃ってノコノコと。生意気なお前らにエリートの俺達がこの学園のルールってものを教えてやる!」

「フンッ。くだらん」

「デュエリストなら売られたデュエルからは逃げないぜ!」

 

 いきり立つ万丈目の取り巻き2人とそれを眺める万丈目。

 そして、それに対して応える十代。心配そうに僕達を見つめる翔。

 しかし、ここはハッキリと言っておかなければならない。

 

「悪いけど、アンティルールを受ける気は無いよ」

「負けるのが怖いのか! この腰抜けが!」

「たまたま試験に合格した成り上がりくんには厳しかったかな?」

 

 口々に煽ってくる彼らに僕は1枚のカードを見せる。

 

「僕が持ってるレアカード、例えばこれだけど、君たち、釣り合う物を賭けられるの?」

「なっ……! そ、それは!」

「カ、《カオスソルジャー -開闢の使者-》!?」

 

 僕が見せたカードに取り巻き2人どころか万丈目、十代、翔までもが目を丸くする。

 それもそうだろう。

 伝説のデュエリスト、武藤遊戯の使用カードとして伝えられている上に、簡単な召喚条件であるにも関わらず3000もの攻撃力と凶悪な効果を持っていることから数千万円で取引されることもあるほどのカードだ。

 

「場合によっては家が建つくらいのカードだけど、君たち、このデュエルに何が賭けられるの?」

 

 そう凄むと、ブルー生2人は何も言えずに黙り込むしかない。

 

「俺は別にアンティルールなんて無しでいいぜ。この学園のエリートのデュエル、見せてくれよ!」

 

 そう言うと何故かデュエルにノリノリの十代がディスクを構える。

 まぁ結局夜間外出しちゃった以上、あまり変わらないか。

 付き合ってあげることにしよう。

 

「まぁ十代も乗り気なことだし、デュエルは受けてあげるよ」

 

 そう言うと気圧されていたブルー生が勢いを取り戻す。

 調子のいい奴らだなぁ……

 

「ふ、ふん! 生意気な。成り上がりと落ちこぼれに負けるはずないだろ! お前らなんて俺達が叩き潰してやる! タッグデュエルで勝負だ!」

 

 万丈目がそんな2人の様子を見て小さく溜息をつくのが見えた。

 もしかして万丈目、乗り気じゃないのに付き合わされたのかな。

 ……タッグデュエルか。十代のデッキとのシナジーはあんまりないけど、まぁ何とかなるかな。

 

「この慕谷雷蔵(したいたにらいぞう)様が相手をしてやることを光栄に思え!」

「万丈目さんに次ぐ実力と言われる取巻太陽(とりまきたいよう)様の力、見せてやる!」

「煉と戦う前にタッグを組むことになるなんて思わなかったぜ! 楽しみだなぁ!」

「十代はブレないなぁ」

 

 各々がディスクを構え、宣言をする。

 

「「「「デュエル!」」」」

 

煉 & 十代 LP8000

取巻 & 慕谷 LP8000

 

「ほ、ほんとに始まっちゃったぁ……アニキと煉くん、大丈夫かなぁ」

 

 翔が心配そうにこちらを見つめているのを感じながらディスクを確認する。お、僕のターンからか。

 

「僕のターン、ドロー! 僕は、手札から《終末の騎士》を召喚! 終末の騎士の効果で、僕はデッキから《ヘルウェイ・パトロール》を墓地に送る。カードを1枚伏せてターンエンド」

 

《終末の騎士》 ATK/1400 DEF/1200

 

 ダーク・グレファーより攻撃力は低いが、コスト無しに墓地を肥やすことが出来る強力なモンスターだ。

 

「俺のターン! ドロー!」

 

 万丈目の腰巾着その1、取巻太陽が勢いよくカードを引き、ニヤリと笑う。

 原作の記憶自体、そもそも曖昧なのだが、流石に彼のデッキは覚えていない。

 アニメで万丈目の取り巻きがデュエルした回なんてあったっけ? 

 そんなことを考えていたら、取巻が早速カードをプレイする。

 

「僕は、《ロード・オブ・ドラゴン -ドラゴンの支配者-》を召喚!」

 

《ロード・オブ・ドラゴン -ドラゴンの支配者-》 ATK/1200 DEF/1100

 

 場に竜をモチーフにしたローブを纏った魔術師が現れる。

 

「更に、僕は魔法カード、《ドラゴンを呼ぶ笛》を発動! この効果により、手札から《エメラルド・ドラゴン》と《サファイアドラゴン》を特殊召喚!」

 

《エメラルド・ドラゴン》 ATK2400 DEF/2000

《サファイアドラゴン》 ATK/1900 DEF/1600

 

「一気にモンスターが3体も!? このままじゃアニキ達が負けちゃうよ!」

 

 取巻の場に並んだたドラゴン達を見て、翔が悲鳴をあげる。

 

「ふふっ、所詮成り上がりのお前はエリートの僕に勝てないんだよ! 更に、魔法カード《スタンピング・クラッシュ》を発動! お前の伏せカードを破壊し、500ポイントのダメージを与える!」

「僕はチェーンして罠カードを発動。《インフェルニティ・インフェルノ》、この効果で手札を2枚捨てて、デッキから《インフェルニティ・ジェネラル》と《インフェルニティ・デーモン》を墓地に送る」

 

「ふんっ。自ら手札を減らしてカードを墓地に送るだけ? 勝負を捨てたか? サファイアドラゴンで終末の騎士を攻撃!」

 

煉 & 十代 LP8000→7500

 

 サファイアドラゴンの爪によって終末の騎士が引き裂かれる。

 

「お前たちに、ひとつアドバイスをやる。これに懲りたらエリートの俺たちに逆らうのをやめることだ! エメラルド・ドラゴンとロード・オブ・ドラゴンでダイレクトアタック!」

 

 エメラルド・ドラゴンの攻撃により僕達の前に爆風が巻き起こる。

 そして、その爆風が晴れた時、僕達の場には2体のモンスターが並んでいた。

 

煉 & 十代 LP7500→5100

 

 僕達のライフと場を見た取巻と慕谷が目を見開く

 

「ど、どういう事だ!?」

「お前達のライフは3900になるはず!」

 

 僕は不敵に笑って答える。

 

「君たちにひとつ、アドバイスをしてあげよう。相手の場に何も無い時は攻撃力の低いモンスターからダイレクトアタックした方がいいよ。僕は手札から《冥府の使者 ゴーズ》の効果を発動した。このカードは、自分の場にカードがない状態で戦闘ダメージを受けた時に特殊召喚出来る。その後、受けたダメージと同じステータスの《カイエントークン》を特殊召喚する。僕はこの2体を守備表示で特殊召喚したんだ」

 

《冥府の使者 ゴーズ》 ATK/2700 DEF/2500

《カイエントークン》 ATK/2400 DEF/2400

 

「そ、そんなカードが……」

 

 僕達の場に2体の冥府の使者が佇む。

 フリーチェーンのカードが多いことや、コンボまでの時間稼ぎ兼、相手の除去を要求する斥候役としてオススメされ、ついさっきクロノス先生とトレードしたカードだ。

 

「くっ……カードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

 苦虫を噛み潰したような顔で取巻がターンエンドを宣言する。

 

「煉、やっぱすげぇよ! 俺も負けてられないぜ! ドロー!」

 

 十代がワクワクしたような顔でカードを引く。

 本当に楽しそうにデュエルをするから、こっちも楽しくなる。

 

「俺は、《融合》を発動! 手札の2体のヒーローを融合して、現れろ! 《E・HERO フレイム・ウィングマン》!」

 

《E・HERO フレイム・ウィングマン》 ATK/2100 DEF/1200

 

 十代の融合を見て、取巻がニヤリと笑う。

 

「罠カードオープン! 《ヘル・ポリマー》!」

 

「へ、ヘル・ポリマー?」

「ヘル・ポリマーは融合モンスターが召喚された時、自分のモンスターを生贄にコントロールを得るカード。デュエリストなら、基本的な知識よ」

 

 いつの間にか現れた明日香が翔に向けて解説をする。

 

「俺のフレイム・ウィングマンが!」

 

 相手の場に現れるフレイム・ウィングマン。

 なるほど。僕達のデッキを対策したからこその自信って訳か。

 

「ず、ずるいぞ! アニキに対するメタカードなんて!」

「彼らの方から仕掛けてきたデュエルなんだから、メタカードは警戒するべきよ。貴方のお兄さん、ちょっと迂闊ね」

「あ、違うんだ。兄貴ってのは本当の兄貴じゃなくて……」

 

 なんだかちょっと面白い誤解が生まれてるが、デュエルに集中しよう。

 十代も少し驚いたようだが、冷静さを取り戻している。

 

「俺は、冥府の使者 ゴーズとカイエントークンを攻撃表示に変更。バトル! カイエントークンでフレイムウィングマンを、ゴーズでエメラルド・ドラゴンを攻撃!」

「くっ、オシリスレッドの落ちこぼれ風情が!」

 

取巻 & 慕谷 LP8000→7700→7400

 

「そして、俺は《E・HERO クレイマン》を守備表示で召喚。カードを2枚伏せてターンエンドだ!」

 

《E・HERO クレイマン》 ATK/800 DEF2000

 

 僕達の場に、粘土の身体のHEROが現れる。十代のデッキの防御を担うモンスターだ。

 基本的な下級モンスターでは突破できない守備力のモンスターなので中々硬い。

 これで取巻達の場にはサファイアドラゴンだけ。

 さて、どう出てくるかな? 

 

「俺のターン! ふふっ、いいカードを引いたぜ! まずは魔法カード《大嵐》を発動! お前の伏せカードを全て破壊する!」

「くっ!俺は《非常食》を発動!ヒーローバリアを墓地に送ってライフを1000回復する!」

 

煉 & 十代 LP5100→6100

 

 あれ? ヒーローバリアって確か……うん。やっぱり。

 

「十代、ヒーローバリアはフリーチェーンのカードだから非常食の前に発動できるわよ? 相手の最初の攻撃を無効に出来るわ」

 

 明日香も気づいたようでツッコミを入れる。

 

「えっ、マジかよ!? ごめん! 煉!」

「はは、気にしないで。集中集中!」

 

 ミスをしてしまうのは仕方ない。怖いのはミスを引きずって更なるミスを生むことだ。

 そう思い、十代に明るく声をかける。

 

「ふんっ、特待生は中々やるようだがやはりレッドはレッドだな! 俺は手札から《傀儡虫》の効果発動! このカードを手札から捨てて、エンドフェイズまで相手の場の悪魔族モンスターのコントロールを得る! 冥府の使者 ゴーズはいただくぜ!」

 

 お、今度は僕のメタカードか。よく勉強してるなぁ。

 

「メタカードばっかり! 卑怯だぞ!」

「フンッ。知ったことか! 勝てばいいんだよ!」

 

 あからさまなメタカードに翔が文句を言う。

 それを慕谷が一蹴する。この点において、僕は彼に同意する。

 

「その通り。僕達のデッキを知ってるんだから対策するのは何ら悪いことじゃない。翔、勝つための努力を卑怯の一言で済ますのは違うと思うよ」

 

 まさか僕が慕谷に同意するとは思わなかったのだろう。翔が唖然とした顔をする。

 慕谷すらもぽかんとしているのだ。無理はない。

 

「僕の使うインフェルニティに悪魔族が多いことを調べたんでしょ? 闇属性のメタカードなら直ぐに思いつくだろうけど、悪魔族のメタはパッと出てくるカードじゃない。真剣にデッキ構築した証拠でしょ。応援してくれるのは嬉しいけど、相手のデッキを否定しちゃダメだよ」

 

 僕がそう言うと、翔は俯いてしまった。

 

「申し訳ないっス……」

「わかってくれたならいいよ。僕らを心配してくれたのは伝わってるから。ごめんね、慕谷くん、ターンを続けて?」

 

 まさか僕が味方をすると思わなかったのであろう慕谷は少し動揺しながらもターンを続ける。

 

「お、おう。俺は魔法カード、《ライトニング・ボルテックス》を発動! 手札を1枚捨てて、相手の表側表示モンスターをすべて破壊!」

 

「くっ! クレイマンとカイエントークンが……」

 

 こっちの場のカードがすべて破壊されてしまい、場はがら空き。

 ……これは少しまずいかも? 

 

「バトル! サファイアドラゴンと冥府の使者 ゴーズでダイレクトアタック!」

 

煉&十代 LP6100→4200→1500

 

「くっ……だが、傀儡虫の効果はエンドフェイズまで。ゴーズは返してもらうぜ!」

「あぁ。返してやるさ! ただし、俺はこいつを召喚するぜ! 《聖なるあかり》を守備表示で召喚! カードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

《聖なるあかり》 ATK/0 DEF/0

 

「攻撃力、守備力0のモンスター? そんなんじゃゴーズをどうすることもできないっス! これで兄貴と煉くんの方が断然有利!」

「貴方、本当に何も知らないのね。聖なるあかりが場に存在する限り、闇属性モンスターの召喚、特殊召喚と攻撃が封じられるの。闇属性のモンスターを展開する彼にとっては致命的なカードよ」

「じゃ、じゃあ煉くんは何もできないじゃないか!」

「その通り。どうするつもりなのかしら。冥府の使者ゴーズが壁になるとはいえ、このままじゃ……」

 

 聖なるあかりか。僕のデッキ、相当対策されてるなぁ。

 

「僕のターン、ドロー!」

 

 僕に残されたのは場のゴーズとドローを含めた3枚の手札。

 あの伏せカード次第だけど、なんとかなるかな。

 

「僕は、墓地から罠カード《ブレイクスルー・スキル》の効果を発動! 墓地からこのカードを除外することで、相手モンスター1体の効果を無効にする!」

「まずい! 俺は《神の宣告》を……何故だ!? なぜ発動しない!」

 

 あ、伏せカードわかっちゃった。

 神の宣告かぁ。いいカードだよね。

 

「神の宣告は、モンスターの召喚、特殊召喚かカードの発動を無効にするカード。墓地のブレイクスルー・スキルは効果の発動だから無効にできないよ」

「つ、つまりどういうことっスか……?」

「俺もわかんねぇや……」

 

 翔と十代の頭がショートしちゃったみたい。

 やれやれ。まだまだカードやルールの知識が足らないなぁ。

 

「これで僕は闇属性モンスターを召喚できるようになった。墓地のヘルウェイ・パトロールの効果発動! このカードを除外することで、手札から攻撃力2000以下のモンスターを特殊召喚できる! 《インフェルニティ・ネクロマンサー》を守備表示で特殊召喚する!」

 

《インフェルニティ・ネクロマンサー》 ATK/0 DEF/2000

 

 僕の場にローブを着た魔術師のような風貌の悪魔が現れる。こいつの効果はかなり強力だけど、僕の狙いはそれだけじゃない。

 

「さて、準備は整った。これで墓地の闇属性モンスターはインフェルニティ・ジェネラル、インフェルニティ・デーモン、終末の騎士の3枚。手札から、《ダーク・アームド・ドラゴン》を特殊召喚!」

「ま、まずい! 《神の宣告》を発動! ライフの半分を払い、ダーク・アームド・ドラゴンの特殊召喚を無効にする!」

 

取巻 & 慕谷 LP7400→3700

 

「うん。じゃあ、手札を1枚伏せるよ。これで僕の手札は0枚」

「ハ、ハンドレスコンボが……」

 

 え。僕の戦術、ハンドレスコンボって呼ばれてるの? 初耳なんだけど。

 

「インフェルニティ・ネクロマンサーの効果発動! 手札が0の時、墓地からインフェルニティモンスターを特殊召喚できる! 僕はインフェルニティ・デーモンを特殊召喚! そして、インフェルニティ・デーモンが特殊召喚されたとき、インフェルニティカードを手札に加えることが出来る! 僕が手札に加えるのは《インフェルニティ・バリア》!」

 

 

「どうして? インフェルニティガンじゃないの……?」

「どういうことっスか?」

「だって、相手の場にはサファイアドラゴンと聖なるあかりだけ。入学試験でも使っていた《インフェルニティガン》の効果でインフェルニティ・ジェネラルを特殊召喚すれば、大ダメージを与えられる。プレイミスかしら?」

 

 明日香がごもっともな指摘をする。明日香ってアカデミア女子の中でトップなんだっけ? 

 かなりデュエルも強そうだ。

 

「バトル! ダーク・グレファーで聖なるあかりを、冥府の使者 ゴーズでサファイアドラゴンを攻撃!」

 

取巻 & 慕谷 LP3700→2900

 

「そして、インフェルニティ・デーモンでダイレクトアタック!」

「くそっ! 手札から《バトルフェーダー》の効果発動! ダイレクトアタックを無効にしてこのカードを特殊召喚! その後、バトルフェイズを終了する!」

 

《バトルフェーダー》 ATK/0 DEF/0

 

 一応保険をかけたんだけど、正解だったね。

 こっちの世界だとついこの間発売されたパックに入ってたカードなのに、よく持ってるなぁ。

 

「まさかここまで読んでたというの!? なんてデュエルタクティクスなの……」

 

 次のターンプレイヤーである取巻の手札が0枚だったし、ターンを渡しても問題ないって判断したから保険をかけただけなんだけど、明日香の中で僕の評価が上がってるみたいだし、勘違いしておいてもらおう。

 

「メインフェイズ2、カードを1枚伏せてターンエンド」

「こ、こんなはずじゃ……俺のターン……」

 

 項垂れながらドローする取巻。

 だが、引いたカードを見て突然笑い出す。

 

「ふはははは! やはり、勝利の女神もエリートの俺たちに味方してくれたようだ!」

「俺は、バトルフェーダーを生贄に捧げ、《砂塵の悪霊》を召喚!」

「砂塵の悪霊……まずいわ!」

 

《砂塵の悪霊》 ATK/2200 DEF/1800

 

 砂塵の悪霊の効果を知っている明日香が悲鳴を上げる。

 他のメンバーだと……万丈目だけ理解してるみたいだね。

 

「砂塵の悪霊の効果発動! このカードが召喚に成功したとき、このカード以外のフィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する!」

「この効果が通ったら俺たちの場はがら空き、ライフは1500しかない……」

 

 十代が、心配そうな顔で僕を見つめる。

 大丈夫だよ。これは読んでる。

 

「僕は《インフェルニティ・バリア》を発動! 僕の場にインフェルニティモンスターがいるとき、相手モンスターの効果を無効にし、破壊する!」

「何!?」

 

 砂塵の悪霊によって破壊されるはずだった僕のモンスターは無傷。

 逆に、取巻達の場が空になった。

 

「馬鹿な……エリートの俺達が……嘘だ! お前等、何か不正をしたんだろ!」

「やめろ、取巻。俺達の負けだよ」

「うるさい! お前が足を引っ張らなければ……!」

 

 慕谷は素直に敗北を認めたようだが、取巻は現実が受け止め切れなかったようだ。

 取巻が慕谷の胸倉を掴む。

 その時、何者かの声がした。

 

「おい、こんな時間に何をしている! そこを動くな!」

 

 いち早くその声の正体に気づいた明日香が声を上げる。

 

「ガードマンよ! 夜間外出に、施設の無断使用、バレたら退学かもしれないわ!」

「まずいな。十代、翔、逃げるよ!」

 

 僕達が駆け出すと同時に、取巻が慕谷を突き飛ばして走り去るのが見えた。

 慕谷は万丈目が手を取り、立ち上がらせたので彼らも逃げられるだろう。

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

「危ないところだったわね」

「ほんとにね。なんとか逃げ切れてよかったよ」

 

 建物の影に座り込み、息を整える。

 

「それより、貴方、どこまで読んでたの? インフェルニティガンでインフェルニティ・ジェネラルを特殊召喚すればライフを0にできる場面だったのに、貴方が手札に加えたのはインフェルニティ・バリアだった。どうして?」

「あぁ。もちろん、バトルフェーダーまで読み切ってたわけじゃないけど、別にあのターンで決着をつけないといけないって場面でもなかったし、次のターンプレイヤーである取巻くんは手札が0、彼にターンを回してからの方が確実な場面だったからだよ。慕谷くんの手札が冥府の使者 ゴーズだったり、取巻くんにカオスソルジャー -開闢の使者-を引かれると負けだったけど、彼らの反応的に、どっちのカードも持ってないみたいだったしね」

「貴方、とんでもないわね……そこまで読み切れるデュエリストがいるなんて……」

 

 僕の答えを聞いた明日香が目を丸くする。

 ちなみに冥府の使者 ゴーズまでケアするならインフェルニティ・デーモンは攻撃しないのが正解なんだけど、その場合は取巻くんのデッキトップが《釣り天井》だった時、十代のドローフェイズに発動されちゃうからね。

 僕のデッキを対策するなら入ってることもありえそうなカードだから、確率の低そうなゴーズを割り切って少しでもライフを削りにいったんだけど、そこまで説明するのもくどいかなって。

 

「そこまで考えてたのかよ……俺、足引っ張っちまった」

 

 十代はショックを受けてるみたいだ。

 確かに、ヘル・ポリマーを喰らって壁に出したクレイマンはライトニング・ボルテックスで破壊され、ヒーローバリアがフリーチェーンなことを知らずに発動機会を逃した。

 結果だけ見れば十代が凹むのも無理はないかもしれない。

 

「気にしないで。相性が悪かったり、調子が悪い日もあるさ。今度タッグデュエルするときには頼りにしてるよ」

「そうっスよ兄貴!」

「……そうだよな。アカデミアには強いやつがこんなにいるんだ! 落ち込んでる場合じゃねえ! 煉、早速デュエルしようぜ!」

「おいおい。夜も遅いし、また邪魔が入っても嫌でしょ? また今度ね」

 

 そう言うと十代は納得しつつも少し不満げに口を尖らせる。

 

「ちぇっ。それもそうか。帰ろうぜ、翔」

「またね。十代、翔」

 

 十代と翔が帰るのを見届け、明日香に声をかける。

 

「じゃあ、帰ろうか。天上院さん」

「え? こっちは女子寮よ?」

「いやいや、学園内とはいえ、こんな夜遅くに女の子一人で帰せないでしょ。寮まで送るよ」

「でも、それじゃ貴方が帰るのがもっと遅くなっちゃうじゃない。迷惑かけられないわ」

 

 断ろうとする明日香だが、僕はダメ押しに言葉を続ける。

 

「じゃあ、僕がもう少し君と一緒にいたいからって理由じゃダメかな?」

「あ、貴方ねぇ……もう、わかったわ。お言葉に甘えさせてもらうわね」

 

 さっきのデュエルの考察や、僕のデッキの話などをしながら歩いていると、いつの間にかブルー女子寮の前に着いた。

 

「それじゃ、またね。天上院さん」

「ねぇ。そんな他人行儀な呼び方じゃなくて、明日香って呼んでくれない?」

「もちろん。じゃあ僕のことも煉って呼んでくれる?」

「えぇ。送ってくれてありがとね」

「いやいや、こちらこそ僕の我儘に付き合ってくれてありがとね」

「我儘……?」

 

 少し考えた後に、僕が送ると説得した際の言葉を思い出した明日香が小さく笑う。

 

「ふふっ、そうだったわね。おやすみなさい、煉」

「おやすみ、明日香」

 

 明日香と別れ、ブルー男子寮へと戻る。

 ブルー生の選民思想はどうかと思うけど、明日香のような子もいるし、十代たちとなら、楽しい学園生活が送ることが出来る気がする。

 この世界は間違いなく遊戯王GXの世界だが、明日香や十代、翔、間違いなくこの世界で生きている。

 僕がいることによって、変わる運命があるかもしれないし、変えられない運命もあるのかもしれない。

 細かい流れは覚えていないが、アニメには闇のデュエルなど、危険な戦いもあったことは覚えている。

 デュエルで人を傷つけるなんて、もう二度と御免だ。

 だが、僕の手が届く範囲くらいは、守れるように戦おう。

 デッキケースの中から2枚のカードを取り出す。

 かつて、激情のままに大切な人を傷つけた僕のデッキの切り札達。

 あの日以来、このカード達をデュエルで使ったことはないが、いつか頼る必要があるのかもしれない。

 願わくば、そんな日は来ませんように。

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