バーチャル世界で斯くありたい   作:じょんらーふ

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二期生としてのスタート
二期生お披露目配信・司会進行編


東京での滞在を終え、大阪へと帰還してから一月が経とうとしていた。

その一月の間に東京での住まいを探し、賃貸契約の為にもう一度上京している。

ちょうど空いているマンションの一室があったので、そこを借りることにした。

そのマンションから交通機関含めて30分あればリビングライブ本社ビルへ到着できる。

少し値段はしたが良物件といえるだろう。

部屋を借りればやることは早い。

早々に東京へと引越しし、生活環境と配信機材を整える。

春夏冬さんや榊原部長におススメの配信機材を教えてもらったりしながらその日の為に着々と準備を進めるのだった。

 

そして、7月に入り最初の土曜日。

私達はリビングライブ本社ビルへと赴いた。

ライバー用のスマートフォンの受け取りと、明日行われるお披露目配信の段取りとリハーサルを行うためである。

もちろん、ライバー同士の顔合わせも兼ねている。

これからここに集まった5人がリビングライブ二期生として共に苦楽を共有するのだ。

5人それぞれが明日の本番の為に考えてきた配信の内容などを説明し、それを擦り合わせて配信の順番や演出方法などを骨組みしていく。

 

一通りリハーサルが終わると、外はもう暗くなっていた。

配信時間が各々30分あり、それを繋ぐ時間と合同で配信する時間もあるので諸々で3時間半から4時間程の配信時間となる予定だ。

明日の配信開始時間は午後八時から予定されており、配信が終わる頃には12時頃になっているかもしれない。

レイちゃんは昼寝する時間あるかな?、と呟いていた。

 

 

 

本番当日―

ゲネプロを行うため私達は昼過ぎにリビングライブ本社ビルにある配信スタジオに集められた。

この配信スタジオでの配信はリビングライブ公式チャンネルでの配信となっており、リビングライブ御三家の一人である屍生子先輩が司会進行を務め、オープニングトークとそれぞれのチャンネルの配信と配信を繋ぐ実況をすることになっている。

私達二期生はそれぞれ用意された会議室で順番にお披露目配信をしていき、配信を終った人達からこのスタジオに集まっていくという段取りだ。

因みに、リビングライブ公式アカウントにはオーディション合格者が4人と書かれており、4人のライバーのキービジュアルのシルエットのみが公開されている状態だ。

つまり、スカウト枠の私のことは一切公表されていない。

悪戯心満載なリビングライブスタッフの粋な計らいで、私の登場は少し特殊になってしまう。

担当者とアイデアを出し合い、納得のいくドッキリ企画ができたとは思うが、ここに来て普通に配信した方がいいのでは?と、不安になってしまうのであった。

 

ゲネプロを終えて本番まで4時間を切った。

仮眠を取りたいものは仮眠室へと向かい、それ以外のものはそれぞれに時間を潰し始める。

泣いても笑っても刻一刻とその時は近づいてくる。

その間に先輩である屍生子さんに挨拶したり、同期のライバー達と世間話をしたり、…してたみたいだけどあまり記憶に残っていない。

少し気負いすぎてるのかもしれない。

気が付けば段々と日が傾いてきており、太陽の姿が消える頃にはスタッフさんがそこかしこを走り回って本番30分前であることを告げていた。

私はスタッフさんの指示で自分が待機する会議室へと向かった。

 

 

 

午後8時―

 

リビングライブ公式チャンネルが配信を開始した。

私達二期生ライバーに用意された会議室には配信用パソコンの他に、公式配信視聴用のモニターも設置されている。

自分の出番ではないときはスタッフさんと一緒に公式配信を視聴することになる。

 

「皆さんこんばんデーッド!

 リビングライブをリビングデッドに改名させたい系美少女アンデッド!

 屍生子(かばねしょうこ)ちゃんだぞー!」

 

生子先輩のアバターはミディアムショートの黒髪に、アンデッドというには瑞々しい褐色の肌、豊満なお胸とその全身を包帯でぐるぐる巻きに覆っており、その上からぶかぶかのカッターシャツ一枚とショートパンツを履いている。

だが、包帯がかなり緩まっており、包帯の隙間隙間に褐色の肌が見え隠れしている。

はっきり言って痴女だ。

人懐っこそうな顔にも少し包帯が巻かれているが、表情を見せるために最低限に抑えられている。

生子先輩の冒頭の挨拶で待ってましたと言わんばかりにコメントが加速する。

来場者数もすでに10万人を超えており、リビングライブの凄さを再確認する。

 

「今日は待ちに待ったリビングライブ二期生、つまり私の後輩達のデビュー日!

 そんなめでたいお披露目配信の司会進行役に選ばれるなんて感無量で目から変な汁出ますよ!

 いやぁ、私にもやっと後輩ができると思うと胸がでかくなるなーッ!」

 

そう言って生子先輩は胸を張るような動きを見せる。

2Dだからアバターの可動域が少ないが、生子先輩の動きは胸をそらしているようにちゃんと見えた。

その動きにさらにコメント欄が加速するが、そのコメントの中に生子先輩と同じ御三家の一人、神代(かみしろ)スクナ先輩のコメントが流れた。

 

【神代スクナ】:これ以上胸をでっかくするんじゃねえ!

 

スクナ先輩は幼女体系で胸にコンプレックスがあるため、胸の話題になるとキレるムーブをかます。

勿論ネタとしてだ。

スクナ先輩のコメントに対してのコメントも相まってコメント欄がお祭り騒ぎ状態だ。

 

「おっと失礼

 正しくは胸が熱くなるな、の間違いでした

 ちっぱいちっぱい」

 

スクナ先輩がコメントしているのを確認した生子先輩はスクナ先輩の舌足らずを踏まえた上で更に煽りを重ねる。

基本的に生子先輩とスクナ先輩はお互いを煽りあって笑いを取るスタイルを多用している。

もう一人の御三家である蟒蛇呑兵衛(うわばみのんべえ)先輩は二人を止めるでもなく、酒を吞みながらもっとやれと囃し立てるのだ。

誰も止める人がいないので、お互いにいいところに着地させるように心がけているようだが、見ててハラハラする時もある。

 

【神代スクナ】:なんだお前? やんのか? お?

 

「あ?

 やってやるよ!

 表出ろよコラァッ!」

 

そう言って生子先輩のアバターが変な姿勢で止まり、バタバタと遠ざかっていく足音が聞こえる。

コメント欄では、本当に行きやがったww、司会進行中やろww、この後どうすんねんww、などのコメントが流れている。

いや、ほんまどうすんねん。

ネタなんだろうが凄いハラハラする。

 

十秒ほどして、ばたばたと足音が近づいてくる音が聞こえた。

生子先輩のアバターが息を吹き返したかのように動き出す。

 

「いやぁ、後輩のお披露目配信ってこと忘れるところだったよね

 今日のところはこの辺で勘弁しといてやる

 だから、今度一緒にパフェ食べに行こ」

 

【神代スクナ】:そうだな イチゴパフェ食いに行こうぜ

 

突然の和解、突然のてぇてぇにコメント欄も困惑と興奮を隠しきれていない模様だ。

 

「よし、それじゃあ改めて今日の趣旨を説明していくぞ

 この後は私のキュー振りでリビングライブ公式チャンネルからトップバッターのチャンネルへと自動的に移動することになるぞ

 その間公式チャンネルでの配信は待機画面が映るだけだから二窓はしなくても大丈夫

 ちゃんと後輩の配信を見てやってくれよな

 配信時間はそれぞれ約30分で、配信が終われば一度この公式チャンネルに戻ってくる仕様になっている

 その後に少しその配信の感想を言う時間を取って、次の後輩のチャンネルへ移動、配信が終わったらまた戻ってくる

 それを4回繰り返す訳だな

 因みに二人目の配信が終わってスタジオに戻ってきたら休憩タイムを10分設けているぞ

 トイレなどはその時に済ませてくるようにな」

 

生子先輩が画面に表示された仕様の説明や配信予定を説明していく。

この説明が終わればトップバッターのライバーのチャンネルへと移動になる。

 

「それじゃあ、準備はいいか亡者共!

 リビングライブ二期生のお披露目配信、まずはコイツだーッ!!!!」

 

高速に流れるコメント欄を残し、画面は二期生最初の配信者のチャンネル配信画面へと移動を始めた。

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