リビングライブ公式チャンネルから移動してきた二期生トップバッターのチャンネル。
チャンネル名は『
アカウント画像にはベリーショートの灰色の髪に、浅葱色の着物と羽織を着た無色さんが扇子で頭を叩き、左目を閉じてテヘペロしている画像が使用されている。
お茶目か。
ヘッダーにはオレンジ、緑、黒の三本の線が縦に入った定式幕の真ん中に『十処府亭無色Ch.』の文字と、SNSツールの1つ、ツイッテルのアドレスが記載されている。
配信待機画面も定式幕で揃えられており、配信開始の間を繋ぐために出囃子が流されている。
ここまでくればトップバッターがどんなキャラクターかが分かるだろう。
そう、彼は『
落語家じゃないのかと無色さんに聞いてみたが、噺家の方が響きが恰好いいだろうと彼は扇子を広げて笑って答えた。
形から入る派らしく、リアルでも扇子を持ち歩いているようだ。
コメント欄
【コメント】:落語家か
【コメント】:歌舞伎じゃないか?
【コメント】:十処府亭無色って住所不定無職ってことかww
【コメント】:まーた尖ってそうな奴を出してきたな
【コメント】:リビングライブ(変人の巣窟)は伊達じゃない!
などのコメントが流れている。
そうこうしている間に出囃子の音楽が変わり、定式幕が開かれるアニメーションが入る。
そして十処府亭無色の姿が初お目見えとなった。
「いやぁ、最近肩こりが酷くてですねぇ、病院へ先生に診てもらいに行ったんですよ
そうしたら先生があんたの事は診れないって言うんです
あたしゃ何でだい、と聞いたんですよ
そりゃあ、あんた、ここは動物病院だからに決まっているだろうって言うんで、そこであたしゃ言ってやりましたよ、人間だって動物だろうってね
そしたら先生がこう返したんです、犬のコリーは診れるが肩のこりーは専門外だってね
どうも、十処府亭無色と申します」
小噺が終わり、無色さんのアバターが頭を下げる動きをする。
コメント欄
【コメント】:888888
【コメント】:小噺いいね
【コメント】:幕が開くアニメーションも作りこんでるな
【コメント】:やっぱり落語家か
「おっと、あたしゃ落語家じゃあございませんよ
あたしゃ『噺家』でございます
なんたって響きの格好良さが違いますので忘れずに覚えて帰ってくださいね」
無色さんがコメントを拾って自分が噺家である事を説明した。
「それでは、改めて自己紹介させていただきますのでね
こちらのプロフィール画像を見ながら進めていきましょう」
はい、どんッ!、という掛け声と共に『十処府亭無色』のプロフィール画像が表示された。
「あたしゃ十処府亭という亭号の一門で噺家を生業とさせていただいておりましてね
御年31歳の若造ではございますが、これでも真打を務めさせていただいております
この無色という名はあたしの
『無色というのは何色でもなく、何色にもなれるという事
お前のなりたいようになりなさい』という意味が込められております」
コメント欄
【コメント】:設定練られてるな
【コメント】:おっしょさん呼び好き
【コメント】:リビングライブにしては真面目な人選
【コメント】:まだ最初だから人格抑えてるのかも
【コメント】:あの5人がぶっ飛んでるだけだろww
無色さんのプロフィール紹介が続く間もコメント欄では先輩達と無色さんの話で盛り上がっている。
無色さんはどちらかというと話術が優れた技巧派の印象があるので、キャラクターが濃い先輩達と比べると薄口に見えるのかもしれない。
「さて、これで自己紹介も終わったので今後の方針でも話そうか…と思ったのですが、それはまた次回の放送に回しましょうか
実はね、先輩達についての面白い話があるんですよ
ね、皆さん興味がありませんか?」
先程まで優しそうだった無色さんの声が悪戯っ子のような悪い声に代わり、ウッヒッヒと悪い笑い声をだしながら耳打ちするように小声で視聴者に尋ねる。
コメント欄
【コメント】:あるある!
【コメント】:ちょうど切らしてた
【コメント】:教えてくれ、師匠!
【コメント】:十処府亭、お主も悪よのぅ
【コメント】:悪代官おるやんけww
コメント欄もほぼ満場一致で先輩達の話を聞きたいとコメントが高速で流れる。
「では、話させていただきましょう
先日あたしがリビングライブ本社に伺った時に神代スクナ先輩に御会いしましてね
この配信を観てくれている皆さんはスクナ先輩の事はご存じでしょう
いやぁ、これがもう本当に小さくて、あれで23歳って噓でしょ神様って思いましたよ
あたしの娘だって言ってもバレないんじゃあないですかね」
コメント欄
【コメント】:スクナ様の話か!
【コメント】:その本人が現人神なんだよなぁ
【コメント】:勝手に娘にせんでもろて
【神代スクナ】:パパー♪
【コメント】:スクナ様乗り気やないですかww
スクナ様のコメントにさらにコメントの流れる速度が加速する。
「いやぁ、さすがに未婚でパパは炎上が怖いので、このまま先輩後輩のままでいましょう、スクナ先輩」
【神代スクナ】:おい、認知どころかフラれたみたいになってるんだが?
無色さんとスクナ先輩のやりとりにコメント欄がまた加速する。
「その時にですね、少しスクナ先輩とお話しする時間がありまして、他愛のない会話を楽しんでいたんですよ
そしたらですね、急にあたしの顔をチラチラ見ながら『あー肩が凝ったなー』って露骨に自分の肩を揉み始めたんです」
コメント欄
【コメント】:早速先輩面してんなww
【コメント】:スクナ先輩のパワハラが後輩を襲う!
【コメント】:俺もスクナ様の肩モミモミしたい
【神代スクナ】:バッカお前、その話はやめろーッ!!
【コメント】:スクナ様必死すぎんかww
「これはアレだな、後輩としての行動を試されているな、と思いましてね
よろしければ肩をお揉みしますよ、ってあたしゃ言ったんです
そしたら、それはもう見るからにわっるい顔をしましてね
『いやぁ、しょんなちゅもりはなかったんだけどなぁ』って言って背中を向けたんです」
コメント欄
【コメント】:これは悪い先輩
【コメント】:舌っ足らず助かる
【コメント】:それはもう見るからにわっるい顔ww
【コメント】:容易に想像できるww
【神代スクナ】:おい、スタッフ!配信止めろ!
「あたしゃしょうがなく、いいですか皆さん、しょーうがなくですよ
決して役得などではありませんとも、ええ
あたしゃしょうがなくスクナ先輩の小さなお肩をマッサージし始めたんです
皆さんお分かりでしょうが、まったくコリなんてないんです
とにかく痛くしないように優しく軽く揉んでいたんです
…まぁ、ここまでは良かったんです
肩モミなんて先輩後輩の軽いスキンシップ、ノリで話がすみますからね
でも、地獄はこの後始まったんです」
コメント欄
【コメント】:おっと、事情が変わった
【コメント】:流れ変わったな
【コメント】:これからどうなるんです?
【コメント】:大惨事大戦だ!
【神代スクナ】:マジやめろってお前ッ!!こちとら先輩やぞ!!
コメント欄には無色さんの話の流れが変わったことに対して、不安と期待が入り混じったコメントが大量に流れ始めた。
スクナ先輩のコメントへの反応コメントも大量に流れており、私の周りのスタッフさんもそのやり取りを見て爆笑していた。
「ふと、スクナ先輩の顔がこちらを向いて『こってるか?』と尋ねて来たんです
あたしゃ嘘つく訳にもいかず、いやぁ、まったくこってませんねぇ、と苦笑いしながら返したんです
そしてら笑顔で「こってるだろ?」って
いやぁ、時間が止まりましたよね
だって目が笑ってないんですもん
それはもう凄い圧でして、否定なんてしようものなら死を覚悟するほどのものでしたよ」
コメント欄
【コメント】:こってるか?ww
【コメント】:先輩の圧パネェww
【コメント】:何がそこまでスクナ様を動かすんだww
【神代スクナ】:無色ーッ!!!お前ーッ!!!
【コメント】:スクナ様もあらぶっておられるww
「あたしゃ圧に抗いきれずに、は、はい、そういえばかなりこってらっしゃる、と言って肩揉みを続けたんです
そうしたら、『しょーだろしょーだろ? いやぁ、巨乳は肩がこるからちゅらいよなー?』って仰るじゃないですか
あたしゃ耳を疑いましたよ
明らかに胸ぺったんなのに巨乳と言い張っているんですから」
【コメント】:ファーwww
【コメント】:巨乳は肩がこるww
【コメント】:スクナ様は自分の胸を疑ってもろて
【コメント】:胸ぺったん(巨乳)
【コメント】:宇宙の法則が乱れる
【神代スクナ】ウワァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!
コメント欄でも配信を視聴している私やスタッフさん達の間でも大爆笑が起きる。
この配信が終わったら生子先輩にも大爆笑されながらいじられることだろう。
「ここまでされたらあたしももう引くことはできない訳でありまして、スクナ先輩の言う通りですね、って心を無にして同意したんです
すると、『しゃしゅが無色、後輩の鏡だなー これからもわっちの肩を揉ませてやろう』って、天使のような可愛い笑みで私にそう仰ったんです
だから、あたしゃ言ってやったんです
肩を揉むのはもうコリゴリ、ってね
御後が宜しいようで」
そう言って無色さんは頭を下げるような動きをする。
コメント欄
【コメント】:888888
【コメント】:やるやん師匠
【コメント】:天使(現人神)
【神代スクナ】:お前後で肩揉ませてやるからな!!
【コメント】:勘弁してつかーさい!
「さて、今回はスクナ先輩とのお話でしたが、いかがでしたでしょうか?
おもしろい、楽しめた、と思う方はチャンネル登録と高評価を是非お願いします
実は他の先輩や同期とのお話もありますのでね
それはまた後日あたしのチャンネルで配信した時に話させていただきたいと思います
では、スタジオの生子先輩に配信をお返ししたいと思います
今日の配信はここまで
では、また後ほど御会い致しましょう」
無色さんがそう言って頭を下げる動きをすると、画面が薄暗くなって定式幕が閉まるアニメーションが入った。
このチャンネルは配信を終了しました、という表示が出た後に公式チャンネルの方に自動で飛ばされていく。
二期生最年長の貫録を見せつけ、堂々とトップバッターの役割を果たした無色さんに私とスタッフさんは画面越しに大きく拍手を送ったのだった。