「では、ここからは二期生コラボの企画会議を始めるよ
議長は私、ニホンイエティ激カワ美少女イラストレーターのゆきをちゃんこと奥山雅が務めます
皆様、本日はよろしくお願いします」
ケーキと紅茶を堪能した後に始まった二期生コラボ企画会議。
どこかから取り出した赤縁眼鏡をかけた雅ちゃんが仕切って話を進めていく。
「尚、アドバイザーとして屍生子先輩ことテルテル先輩にも会議に参加していただきます
よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
雅ちゃんの紹介にテルテル先輩は軽く頭を下げて応えた。
いつもと違う真面目モードで進行していく雅ちゃんに皆は少し驚いているようだ。
「早速ですがテルテル先輩、テルテル先輩は何でテルテル先輩って言うんですか?」
真面目モードで全く関係のない話をし始める雅ちゃん。
やはり雅ちゃんは雅ちゃんだったか、と皆が温かい視線を雅ちゃんに送っている。
「いきなり脱線したねぇ
まぁ、いいけどさ
そう言えば君達二期生には本名名乗ってなかったっけ?」
テルテル先輩の問い掛けに皆が肯定する。
「私の本名は
照らす山に照らす子って書くよ
だから
「あ、名前が一緒なんですね」
「そう、一期生の名前ってそれぞれの本名からもじってるんだよね
私は照山照子
スクナは
バミは
テルテル先輩の説明に私達はなるほど、と呟いたり頷いたりしている。
苗字や名前からもじってるからそれぞれ渾名で呼んでいるんだな。
「じゃあ、ゲーマーズのお二人は?」
「チハとコトも本名からもじってるよ
錦は
地球子は
チハは錦先輩、コトは地球子先輩の渾名である。
それにしても、先輩全員が本名をもじっているのか。
何でなんだろうな。
「何で先輩達は皆本名をもじってるんですか?」
「うーん…私とナノと竜は親戚同士でチハコトは幼馴染だから、呼び間違いがあってもある程度カバーできるようにとかそんな感じだったと思うけど…
まぁ、こんなに人気が出るって思ってなかったのもあるんじゃないかな?」
テルテル先輩の言葉に皆はなるほどなと頷いていた。
「はいはい、私達の話はこれでおしまい
二期生コラボの話に戻ろうじゃない」
パンパンと手を叩いて強引に軌道修正を始めるテルテル先輩に従って私達はコラボ企画への話し合いを再開する。
「まず最初に頭に入れておいてほしいんだけど、今月末は一期生一周年記念3Dお披露目配信があるからスタッフさん達は皆そっちにかかりきりになってる訳よ
だから、大規模なコラボ企画を通すなら実施は来月以降になるかもしれないって事を考えて意見を出し合ってね」
私達はテルテル先輩の注意点を踏まえた上で、まずはそれぞれがコラボでやりたいことを提案していく。
源さんは正解ゲーム、寧々ちゃんは5人でできるゲーム、雅議長はVRホラーゲーム、レイちゃんはカラオケ、私はアナログゲームを提案した。
ここからはすり合わせを行っていく。
「源さんの正解ゲームっていうのは?」
「芸人さんがテレビでやってるの見たことないかな?
参加者がある議題に対する正解だと思う回答を提示していって、全員が納得した回答をそれが正解だーって決めるゲームなんだけど」
「あぁ、アレかぁ
準備もお題考えるだけだしお手軽に楽しめそうだね」
源さんの説明を聞いたテルテル先輩がうんうんと頷く。
確かに準備がお手軽で楽しめるのは高評価かもしれない。
雅ちゃんはノート代わりのPCにカタカタと何か入力していく。
「じゃあ次ね
寧々ちゃんの5人でできるゲームって何か候補とかはあるの?」
「うーん…ゲームっつってもアタシはほとんどゲームとかしないから詳しくないんだよなぁ
兄貴とかダチとやってたのはバクダンジョーとかマリおじさんのゴーカートぐらいか?
あれなら5人でもできるだろ」
お姉さんモードではなく普段モードで寧々ちゃんが話し始める。
本人曰く、ダチの前では普段通りで構わんだろ、だそうだ。
「バクダンジョーもマリゴーもシュウォッチのソフトだけど皆シュウォッチは持ってるの?」
「うちとアンちゃんは持ってるよ
皆でできそうなソフトはマリゴーだけかな」
「アタシもシュウォッチとマリゴーは持ってる」
「僕はバクダンジョーも持ってるよ」
「私だけ持ってない!」
雅ちゃん以外はシュウォッチを持っているみたいだ。
ソフトはマリゴーが雅ちゃん以外は全員持ってるからそれでいいかもしれない。
「じゃあ、やるならマリゴーかな?」
「そうですね
まぁ、やるやらないにしても、雅ちゃんは今後の為にシュウォッチは買っといたほうがいいよ」
今後シュウォッチを使ってゲームコラボすることもあるだろうしね。
「じゃあ、皆で明日買いに行こうぜー
ねぇねぇ、明日皆で行こうぜー」
雅ちゃんは隣に座る寧々ちゃんの腕をぐいぐいと引っ張りながら頭を寧々ちゃんに擦り付けてだる絡みし始める。
当の寧々ちゃんは迷惑そうにに顔をしかめているが、雅ちゃんのだる絡みを拒否したりはせずになされるがままに受け入れている。
クーラーが効いてるとはいえ暑苦しそうである。
「お、シュウォッチ買いに行くかい?
行くなら秋葉原がおススメだぞ」
「あ、秋葉原行ってみたーい
ねぇねぇ、秋葉原行こー?」
源さんの提案を聞いて寧々ちゃんをゆっさゆっさと揺さぶる雅ちゃん。
秋葉原には引っ越しした時に電化製品を買いに一度だけ行ったことがあるが、行ったのは大きめの家電量販店だからなぁ。
「私は構わないよ」
「うちも行くー」
「アタシも問題ないかな」
「僕はいつだって行けるよ」
「私は残念ながら3Dお披露目の件で予定があるから行けないなぁ」
まぁ、テルテル先輩はそれでなくてもリビングライブライバーの中では一番忙しい人だから仕方ないかな。
「残念だけどしょうがないかー
じゃあ、明日の11時に秋葉原駅前に集合よろしくねー」
雅ちゃんの提案に私達は各々了承の合図を出し、再び会議の方へと流れを戻す。
「じゃあ、次は私のVRホラーゲームね
これは私達の中の一人がVRホラーゲームをしてるのを見て楽しむ愉悦企画だよ」
VRホラーゲームはやったことないけど、普通のホラーゲームとは比べ物にならないぐらい怖いらしい。
ビックリビビりマンだからホラーゲームは私はあまりやりたくないんだよなぁ
「プレーターミナルとジョーキのVR機器はリビングライブ本社に常備してあるからソフトさえあれば問題なくできるよ」
「じゃあ、これに決まったら明日一緒にソフトも買っておこうか」
「さんせーい」
テルテル先輩の情報を聞いてVRゲームの配信も可能であることを確認し、雅ちゃんはパソコンにカタカタと何かを入力していく。
「じゃあ、次はレイちゃんのカラオケだね
これはそのまんまカラオケなの?」
「うん、ライブとかじゃなくてただ単に皆でカラオケするだけだね
2、3時間程皆で歌えればなーって」
「録音ブースで機材をレンタルすればできるかな?
後はヨーチューブとかから音源使えればそっちでもいいし
でも、著作権とかあるからマネージャー陣と要相談だね」
レイちゃんの案にテルテル先輩が補足説明を加え、それを雅ちゃんはパソコンに入力していく。
「最後はアニーのアナログゲームだね」
「そうだね
まぁ、これは画面映えが全然ないから何かと並行してやることを考えてるよ
例えばなんだけど、雅ちゃんの案のVRホラーゲームをやっている裏で他の四人がジェンガやってるとか、ドンジャラやってるとかね」
「画面の動きはあまりないっぽいけど組み合わせるなら面白いんじゃない?
VRゲームは視界が制限されるからジェンガとかの崩れる音だけでもびっくりリアクションが出るだろうしね
まぁ、組み合わせは考える必要があるかもしれないけど」
組み合わせとしては音が出る方がいいかもね。
超エキサイティングなやつとか、ワニがパックンするやつとか。
カタカタとパソコンに打ち終えた雅ちゃんはふぅと一息つく。
「さて、とりあえず一通り意見が出た訳だけど、どれか一つに絞るのはちょっと厳しくない?」
「じゃあ、時間分けて何個かやる?」
「あー、マリゴーの敗者がVRホラーやるってのもいいかもね」
「それならいっそのこと全部やろうよ」
「一日で全部するのもあれだから日にちも分けようか」
「いいねぇ
二夜か三夜連続企画で」
「どうせなら1人1日企画でやろう」
「じゃあ、私と雅ちゃんの案は合体したから他にもう一つ考えないとね」
「1人1日で計5日、打ち上げ配信と予備日を入れて計7日で企画組みましょう」
トントン拍子にコラボ企画の内容が膨れ上がっていき、何と1週間連続の大型コラボ企画へと成長してしまった。
このまま続けていたら年単位の超弩級企画に成長し、『リビングライブ二期生による二期生の為の超弩級コラボ企画』としてV界隈の歴史にその名前を刻んでしまう未来があったかもしれない。
何てことを妄想しつつも細かい部分を詰めていき、企画書を纏め終わる頃には既に日が沈んでいるところであった。
日が沈むとは言っても夏直前の日没時間は午後7時前後。
もう既に夜である。
ゲーマーズ公式配信が8時からなのでもう1時間を切っている訳だ。
薄暗くなってきた部屋の電気をつけ、私達は少し休憩してから夕食の準備を開始する。
とは言っても下拵えなどはすでに終わっているので、ホットプレートと材料や食器をテーブルに移すぐらいなものだ。
そんな中雅ちゃんはコソコソとゲーマーズ公式配信同時視聴配信の準備を始めていたのだった。