リビングライブ一次審査から2週間が経ち、二次審査の期間が過ぎ去った。
やはりながら、一次審査合格者に対しての電話での質疑応答には少々時間がかかったようだった。
一次審査はリビングライブ内だけで審査できる内容だったが、二次審査はリビングライブ側と合格者側との時間の都合がある。
そのすり合わせに時間がかかってしまったのだろう。
さて、改めて着たリビングライブからのメールをれいちゃんと一緒に目を通す。
最終審査はリビングライブ本社に赴いての面接、面談である。
「まぁ、言うまでもないことだけど、レイちゃんにも私にも時間の制約はない」
「不登校児と家事手伝いだもんね」
そう、レイちゃんは学校に行っていない。
二年前、中学生のときに受けたイジメが原因で、高校に進学した今も一度も登校できないでいる。
私はレイちゃんと一緒に家にいるために仕事を辞めたのだ。
辞めてよかった、とその時も今も思っている。
「とりあえず、いつでも行けると返事を出すとして、時間帯は未成年だから昼間にしてもらったほうがいいな」
「そうだね
じゃあ、日にちと時間帯を決めてもらってから計画を練るってことでいい?」
「異議なし!」
弁護士からの異議申し立てもなく、レイちゃんは返信のメールを作成し始めた。
それから数時間した後にメールが返信されてきた。
面接の日程は来週の金曜日の14時からと決まった。
曜日の都合がない以上、休日より平日のほうが時間が取りやすいとのことだ。
レイちゃんと話し合った結果、木曜日の昼から新幹線で東京に向かい、ホテルで一泊してから本社に向かうという予定になった。
出発までの期間で東京へ行く支度を始める。
旅行かばんに荷物を詰めたり、足りないものを買い足したり、気分は旅行である。
実際に二泊三日であるので最早旅行といっても過言ではない。
ルンルン気分の旅行とはならないだろうが、空いた時間できっちり観光などをしていく予定だ。
レイちゃんも面接のことは頭の隅っこにでも置いているらしく、パソコンで観光名所案内のサイトを閲覧している始末である。
まぁ、二年ほどまともに家から出ていなかったのだから仕方ないと言ってもいい。
両親も楽しそうに準備期間を過ごすレイちゃんを見て、幾分かホッとした表情をしていた。
「いざ、鎌倉!」
「いや、鎌倉は神奈川県だから」
そう言って家を出たレイちゃんの渾身のボケにツッコミを入れた本日は面接日前日の出発日当日。
雲もなく蒼い空が広がっている。
大阪の空がレイちゃんの門出を祝福してくれているようだ。
時刻は昼過ぎ。
朝のラッシュ帯に比べれば比較的空いている時間帯に最寄り駅から電車に乗って新大阪駅へと向かう。
久しぶりの遠出となるレイちゃんの体調を心配するが、今のところ問題はないようだ。
新大阪駅から東京駅までは約二時間半。
新幹線の車窓から過ぎ去る景色を眺めたり、お菓子をつまんだり、他愛もない会話をして時間をつぶす。
途中、姿を現した雄大なる富士山に感嘆の声を漏らしたりながら、気がつけば東京駅。
新幹線を降りて駅から出ると目の前に広がるビル群。
大都会大阪も真っ青な首都東京。
首都だけあって人が多い。
人がゴミのようだ。
さて、時刻は17時少し前。
帰宅ラッシュを考慮して、まずはホテルにチェックインすることにした。
東京の帰宅ラッシュは大阪よりもやばいらしいからなぁ…。
サラリーマンの方々毎日仕事お疲れさまです。
無事に予約していたホテルにチェックインし、部屋に荷物を置いて少し休憩する。
気づいていなかったが、長距離移動で少し疲れが溜まっていたようだ。
ベッドに身体を預けると少し身体が楽になった気がした。
レイちゃんも疲れが溜まっているのか、ベッドにダイブしていた。
「レイちゃん、疲れた?」
「ちょっとだけね
それより、夕飯どうする?」
うつ伏せにベッドに身を任せ、枕に顔を沈ませるレイちゃん。
思ったよりも疲れているようだ。
出歩くのも考えものだなと思い、何がいいものかと思考を巡らせる。
「何か食べたいものある?」
「そうだなぁ…
軽いもの…カツ丼かな?」
「軽くないねぇ」
私はレイちゃんの矛盾に対してツッコミを入れた。
「それはアレよ、ほら
カツは油で揚げてるから
フライしてるから軽いん」
うまく言ってやったぜ、とドヤ顔が私に向けられた。
大阪人はこういうとこよくある。
「まぁ、験担ぎ的にもありだし、食べに行くか」
「おー!」
結局明日の面接のことを考えてカツ丼を食べることとなった。
日本人だし、験担ぎは大事だよな。
明日はいよいよ最終審査、面接だ。
レイちゃんにとって今後の運命を変える勝負の一日。
万全の体調で勝負に挑ませるために、今日は早めに休ませることにした。
そして、遂に運命の日へ―