「む…!」
部下の
やはりダメだったか…
だが、蛭江…お前はよく戦ったよ。
「どうした?」
「部下がやられちまったようで…どうやら侵入者はかなりの手練れのようです。」
「何ィ!?」
垂金の顔色が一瞬にして変わる。
「おい!どうなっとる!?お前の部下はそんなに
弱いのか!?」
部下は決して弱くはない。
彼らのほうが強すぎるのだ。
霊的な素質があるとはいえ、彼らはこの間までは
一介の中学生。はっきり言って異常な戦闘センスと成長速度だねェ。
「…心配は無用ですよ。」
「いいや!今一つ信用できんな!」
コイツ…人の部下を侮辱するばかりか雇っておいて信用できませんってか…
「では、どうすれば信用してもらえます?」
「お前のことを少々試させてもらう…こっちじゃ、ついて来い。」
連れていかれたのは薄暗い地下にあるだだっ広い
部屋だった。
「まるで見世物小屋だ…」
そこら中が檻という檻で埋め尽くされており、その檻の中には見たこともない生物達が入れられていた。
「見事なものじゃろ?ワシの自慢のコレクション達じゃ。」
「グルルルルル…」
そして、その中でも一際異形な生物が一匹いた。
見た目は猫を何倍もデカくして凶悪なツラにさせたような化物。背中からは隆起した瘤のようなものがいくつも生えている。
檻ではなく大きな飼育小屋のような部屋に入れられているあたり、垂金のお気に入りなのだろう。
「最近中東から入手したヘレンちゃんじゃ。」
出たよ…いたねェ、こんなのも。
確か異常な遺伝子操作が生んだ芸術品…だったか?
動物はあまり殺したくはないが…コイツは生かしておいても碌なことにはならんだろうから今回もきっちりと死んでもらうか。
「どうじゃ?コイツを倒す自信はあるか?」
「いいんですか?自慢のペットが肉塊になっちまっても…」
「な、ま、待て!まさかやる気か!?」
自分から言い出しておいて何を狼狽えてるんだよ。
お前には、俺の大事な部下を侮辱してくれたお礼として大事なコレクションを一つ失ってもらおうじゃないか。
「久しぶりに戦うかもしれないんでねェ…
ウォーミングアップぐらいはしておきたかったんですよ。」
扉を開け、中へと入る。
中には餌食になったであろう生物達の骨がいくつも散見された。
「お、おい!待たんか!」
「心配しなさんなって。」
対峙してみると…なるほど、思いのほかデカイ。
俺の3倍以上の体躯はありそうだ。
「ガァァァァ…!」
獲物の匂いにつられたか早速ヘレンちゃん(どうでもいいがもしかして雌?)がこちらへやって来る。
こんな何もない中で退屈だっただろう?
俺が少しばかり遊んでやるよ。
俺の記憶が正しければ、原作だとコイツを倒した
形態は…30%だったかな?
作中で戸愚呂が発した台詞の通り、確かに20%でもやれなくはなさそうだが…何せ久しぶりの実戦だからな。
「30%で相手をしてやろう。」
「むぅ!?」
「はあぁぁぁぁぁぁ…!!」
俺の唯一無二の筋肉操作にも弱点はある。
いちいち上着を脱がなきゃならないことだ…
「な、なんじゃ!?筋肉がみるみるうちに…!」
…くだらない冗談はさておいて、目の前の相手に
集中しようか。
「ゴァァァァァァ!!」
「ほぉ…」
30%の俺にも怯むことなく向かってくるか。
「ガァッ!?」
と言っても、獣に俺の強さが理解できるわけもないだろうから当たり前の話なんだが。
「冥土の土産に教えてやるよ…」
拳に力を込める。
「強さってモノをなァ…!」
「ッ…!!」
「ふぅ…」
良いウォーミングアップになった。
ヘレンちゃんはすでにその動きを止めていた。
見事な一発K・O。
少しやりすぎちまったかな。
「……ふ…」
「悪く思わんでくださいよ、垂金さん。」
「ふ…ふははははは!やるではないか!素晴らしい!」
微塵も気にしてないのかよ。
こっちは多少心が痛んだってのに…
「信用してもらえたようで何よりです。」
こんなのに信用されても1ミリも嬉しくないけど。
「坂下!至急電話じゃ!」
「は…どちらへ?競売の連絡なら先ほどいたしましたが…」
「
あー…垂金権造氏、今回もまた無事に破滅ルートへと突入…と。
人ってのは同じ過ちを繰り返すものなのね…。
「賭けを行うのでございますね…!」
「賭けですか…さしずめ、闇ブローカー対二人の侵入者…といったところでしょうか。」
やめといたほうがいいと思うけどね俺は。
「そうじゃ!ヤツラから金をせしめるこのチャンスを逃す手はないわ!ふひゃひゃひゃひゃ!」
これは面白いショーが見られそうだ。
…垂金の破滅的な意味で。
ひひひひ破滅じゃ破滅じゃ