冥獄界へは逝きたくない   作:TAKACHANKUN

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対峙

 

B・B・Cのメンバーが集まるのにそう時間はかからなかった。メンバーの中には左京さんの姿も…

そして、俺の横では垂金が賭けの詳細について

説明をしている…自らの破滅への導火線に火をつけているとは夢にも思わずに…

 

賭けの図式は侵入者二人対闇ブローカーの妖怪衆。

勝った者には賭けた額の倍の金額が支払われる。

当然ながら、闇ブローカー側が圧倒的優位なのは

一目瞭然である…が、それが罠。

 

侵入者の詳細(スペック)など知りもしないメンバー達は

まんまと闇ブローカー側に大金を賭けていた。

 

 

 

「侵入者二人に100億…!」

 

ただ一人(左京)を除いては…

 

 

 

「ぬ…!!」

 

あからさまに垂金の顔色が変わる。

100億の倍は200億。

いきなりブッ飛んでるねェ…

アンタのそういうところ、俺は好きよ。

 

「む!!」

 

「ど、どうした!?」

 

しかし、あの二人、まったく容赦がない。

 

バタバタと部下達の妖気が消えていく…彼らには相応に思い入れがあっただけにショックは隠しきれない。

 

 

 

「…全員、やられちまったようです。」

 

「フ、私の勝ちのようだね。100億の倍は…

200億か。いきなり大損失じゃありませんか

垂金さん。」

 

「な、なに…まだまだこれからですじゃ…」

 

そう、地獄はまだまだこれからよ。

 

 

 

 

「…さぁ、賭けを続けましょう。」

 

動揺を隠しきれぬまま垂金が先を進める。

 

 

「戸愚呂、ヤツラを呼んでくれ。」

 

「はい。」

 

パチンと指を鳴らす合図とともに3つの影が音もなく現れた。

 

「闇ブローカー三鬼衆…ここに。」

 

魅由鬼(みゆき)隠魔鬼(いんまき)獄門鬼(ごくもんき)…彼らは今までの部下達とは一味違います。」

 

「おぉ…!闇ブローカーの中でも精鋭中の精鋭と言われる…こりゃあ、さすがの彼らにも勝ち目はあるまい!」

 

「勝った方には賭けた3倍の額をお渡しします。」

 

秘書の坂下君だっけ…今からでも遅くはないから

お前は早く転職したほうがいいよ。

 

「闇ブローカーに4億!」

 

「ワシもじゃ、4億!」

 

「ワシは5億!闇ブローカーに!」

 

ジジイ共が白熱しているが残念。

三鬼衆でも彼らの進撃は止められないだろう。

三鬼衆の個々の実力は朱雀や乱童には及ばない…

全員で一斉にかかればあるいはなんとかなるかもしれないが…

 

 

 

 

「侵入者が勝つ方に200億…!」

 

そんな中空気を読まない男が一人…そう、他でもない左京である。

 

「えっ?」

 

思わずえっ?って言っちまったよ…

左京さん、自重しないなぁ…おかげで垂顔の顔が

凄まじいことになっちゃってますよ。

 

「構わん。全力をもって侵入者を排除しろ…行け。」

 

「「「はっ!」」」

 

 

 

 

数分後。

 

「見てっか垂金!百匹でも千匹でも連れてこいってんだボケ!」

 

魅由鬼を倒した侵入者二人の姿が監視カメラに映し出されていた。

 

「バカな!ど、どうなっとるんじゃ戸愚呂…!」

 

「やるじゃないか…」

 

ここに来るのも時間の問題だねェ…

 

「な、なにを笑っとるんじゃ!!」

 

「まぁ、そう慌てなさんな…垂金さん。」

 

さぁ、早く来い。

 

 

 

 

「ピース!あと一人!」

 

続く隠魔鬼もあえなく返り討ち。

 

「垂金さん、顔色が悪いんじゃあないか?まさかやめるだなんてことは…」

 

「は、はは…まさか。」

 

顔面蒼白とはまさにこのこと。

 

 

 

 

 

「垂金ェ!今から行くから茶ァ用意して待ってやがれ!」

 

最後の砦獄門鬼も撃沈。

ていうか、コイツ原作でも瞬殺されてたよな…。

今は自分の部下だからあまり悪く言いたかないが…

 

「600億…ありがたく頂戴しますよ。」

 

「ぬ…うぅ…!!」

 

もはや、後には退けなくなったな垂金。

そして次が生涯最期の賭け。

 

「…最後の賭けは侵入者対闇ブローカー戸愚呂兄弟!左京さん、どちらにいくら賭けますかな…?」

 

「ふーっ…」

 

左京さんが吸っていたタバコの煙を吐く。

 

…さぁ、来るぞ。

左京さん、一発かましてやってくれよ。

アンタなら期待を…

 

「…66兆2000億…」

 

「…は?な…なに…?」

 

 

 

 

 

「 侵入者が勝つ方に66兆2000億円…!! 」

 

 

 

 

 

…裏切らなかった。

左京!こいつは狂っとる!

 

「垂金さん、持ちかけた賭けは最後までやるのがB・B・Cの掟。」

 

「掟は守らなければなりませんなぁ…」

 

「ふふふ…まぁ、ワシらは高見の見物とさせていただきますよ。」

 

お前嫌われてるだろ絶対。

 

「……わ、わかった!のってやる!66兆2000億円!戸愚呂兄弟に賭けるぞい!」

 

帰るって言ったらどんな顔すんだろなコイツ。

 

「た、頼んだぞ…戸愚呂!もうお前しか残ってはおらんのじゃ…!!」

 

「ご安心を。万に一つもありゃあしませんよ。」

 

 

 

アンタが助かる可能性はね。

 

 

準備は万端。

さぁ、いつでも来い。

 

「あそこか!」

 

彼らの声が、足音がすぐそこまで迫ってきている。

そして…

 

「いたぞ!雪菜さんだ!」

 

「そんで…あいつが最後の敵ってわけか…」

 

 

 

 

「やぁ…よく来たね。」


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