冥獄界へは逝きたくない   作:TAKACHANKUN

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ゲームオーバー

 

「霊丸!!」

 

浦飯の指先に集まった青白い閃光が次第に大きくなり、視界を覆いつくした。

 

「ざまぁみやがれ!余裕ぶっこいてやがるからだ!」

 

直に見る霊丸は中々の迫力だった。

普通の妖怪ならばこれで終わりだろうが…

 

 

「…惜しかったな。」

 

 

「な…剣が…盾に!」

 

さすがは兄者だ…剣から盾への素早い変形。

俺でなければ見逃しちまうねェ。

 

「言ったはずだ…兄者はあらゆるものに

変形できるとな!」

 

「ぐぁっ!」

 

今度は手応えがあった。

浦飯は後方に大きくぶっ飛び、壁に叩きつけられた。

 

「うわははははは!いいぞォ!戸愚呂!

二度と刃向かえぬよう叩き潰すのじゃ!

念入りにな!」

 

やれやれ、うるさい外野(垂金)だ…今の霊丸でやられて

おけばよかったかな…お前はあとできちんと始末

してやるから黙って見てろよ。

 

 

「どうした!?お前達の力はこんなものかね!?」

 

 

「ぺっ…!ざけんじゃねー!今までのは準備運動だってーの!!」

 

「良い気になってんじゃねーぞコラ!!」

 

ガラが悪いな…だが、虚勢の類いじゃあない。

その証拠に、霊力が衰えるどころか上昇してやがる。

 

いいねェ…

それでこそ、嬲りがいがあるってもんだ。

 

「盾があってもこれなら防ぎきれねーだろ!」

 

先に動いたのは浦飯。

 

拳に霊力が集中していく。

何か仕掛けてくる気か…

 

「ショットガン!」

 

なるほど…散弾式のショットガンか…確かにそれなら全てを防ぎきることはできないが…

 

「いい線いってたが、単純に威力不足だ…これじゃあ致命傷にはならないねェ…」

 

霊丸とは違い、霊力が分散する分威力は劣る。

多少喰らってしまったが大したことはない。

 

「くっ!ダメか!」

 

「甘いねェ…ぬんっ!」

 

「がはっ…!」

 

「浦飯ィ!」

 

「他人の心配をしている場合かね!?」

 

「うぐぁっ!!」

 

これでは戦いというよりも蹂躙だな…。

もっと楽しめると思ったんだが…少しやりすぎ

ちまったか…

 

 

 

 

 

 

 

「ち、ちくしょお…強ェ…!」

 

…もう何度彼らに打撃を浴びせただろうか…

 

「どうやら、あっちの彼はもう立てないみたい

だねェ…」

 

「…………」

 

「く…桑原…!!」

 

桑原は完全にダウンしたか…

霊力も風前の灯…消えかけの蝋燭の火といったところだ。

 

「…俺はお前たちと戦える日をずっと待っていたんだがね…どうやら期待しすぎちまっていたようだ…」

 

「戸愚呂!もうよいぞ!さっさと殺ってしまえ!」

 

「…とのことだ…せいぜいあの世で後悔するん

だねェ…お前たち…」

 

「く…そォ!」

 

「終わりだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「剣よのびろ!」

 

 

 

「…!?」

 

 

 

俺へと向かって伸びた霊剣が頬をかすめた。

まさか…ヤツの霊力は確かに風前の灯だったはず…

 

「桑原!生きてやがったか!」

 

「…誰が立てねーって?」

 

「こいつは驚いた…まさか立ち上がるとは…」

 

それどころか霊力もさらに上昇してやがる。

一体どういう原理だ。

 

 

やりすぎちまったかと思っていたのは、どうやら

杞憂だったようだ。

 

「…じゃ…ねーよ…」

 

「何?」

 

「…人間のやることじゃねーよ…てめーらのやってることはよ!」

 

「それが彼女の運命だった…というだけの話じゃあないのかね?」

 

「どけ!オレがぶっ殺さなきゃなんねーのは

アンタの後ろにいる腐れ外道だ!」

 

「順序が逆だなァ…先ずは俺をぶっ殺さなきゃ、

後ろの腐れ外道は殺れないねェ…」

 

どのみち、あとで俺がぶっ殺すんだけど…

 

「どけって言ってんだ!!」

 

「無駄だ!猪みたいに突っ込んでくるだけじゃあね…」

 

剣を振りかぶる。

当ててくださいと言ってるようなものだと何度言わせる気だ?

 

「ぐふぁっ…!」

 

剣の一撃が完全に桑原をとらえた。

 

「今度こそ終わり…むっ!?」

 

腕が掴まれた。

まだ意識があるっていうのか…

 

「攻撃が来る場所さえわかってりゃあよ…霊気を

そこに集中させてガードするなんざワケねーんだよ…!」

 

…ワザと攻撃されたのか!

俺を捕まえるために…

 

「剣ごと掴んじまえば自慢の武器も使いモンにならねーだろ…」

 

肉を切らせて骨を断つ…か。

なんてムチャしやがる…

 

腕が動かない…

コイツ、俺の動きを止めるためだけに全力を…

 

「もう逃げらんねーぜ!!」

 

「!!」

 

浦飯!

すでに霊丸の構えに入っている!

 

俺の真横…ご丁寧に桑原を巻き込まない位置から…

 

「決めろ!浦飯ィーー!!」

 

「今度の今度こそ…喰らいやがれェーー!!」

 

「くっ!」

 

 

「霊…丸!!」

 

 

為す術なく霊丸が俺を直撃する。

 

 

「…良い…コンビだ…久しぶりに楽しい…戦い…だった…よ…」

 

 

ドサリとそのまま後ろへと倒れ込む。

 

「な…と、戸愚呂!な、何をしとる!立つんじゃ!立ってヤツらを殺すのじゃ!」

 

見苦しい…アンタはもう…終わりだよ。

 

 

 

 

そして…無情にも悪魔(左京)の声が響く。

 

「…ゲームオーバー…」


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