「同じ武道を志す者として、純粋にお主には敬意を抱いていたのだが…人から魔へ墜ちた今となっては見る影もない…ここで打ち倒してくれる!」
なんか、牙野みたいなヤツ来た。
…原作に出てくるんだよ、そういうキャラが。
マイナーなキャラなんだけど…あらゆる格闘技をマスター(笑)した武道家ってのが。一部の技が俺と被ってんだけどね。佇まいからして中々の使い手だと見てとれる。
俺に敬意を抱いていたのか何なのかは知らないが、どうやら俺のことが気にくわないらしい。
やれやれ、いかにもな正義ヅラ野郎か。
「口上は終わりかね?」
「あぁ…お主は何か言い残すことはないのか?」
おいおい、命まで獲る気かよ。
「何もないねェ…死ぬのはアンタなんだから。」
「よかろう…望むところ!」
コイツ相手には…
「…20%ってところか。」
「何?」
「…はぁぁぁぁぁぁ!!」
「む!?筋力も…妖力も…膨れ上がっていく…!?」
そんなに驚くことかね?
言ったろ?20%だって。
「ふぅ…」
…ミスった。
絶対に20%じゃない。
気合い入りすぎて30%ぐらいになっちまった。
いや、コントロールが難しいんだコレが。
いまだに慣れない。
ていうか、そもそも基準がわからん。
「これほどとは…これで5分の1の力だというのか…!?」
悪い、それはウソだ。
「どうした?来ないのかね?」
「く…おのれ!」
男が間合いを詰めてくる
独特な動き…それに、速い。
「くらえ!我が必殺奥ぎっ…!?」
「隙だらけだよ。」
…自分の技名を口にしなきゃならない決まりでもあるのかね?思わず殴っちまったわ。
知ってるか?圧倒的パワーの前では、どんな技も無力なんだぜ?
「…殺せ。」
やれやれ…気が進まないねェ。
妖怪ならまだしも人間だ。
さすがに気が引ける…
「ぐっ…!?」
「兄者!」
「何を躊躇している?」
と思っていたら兄者が手をくだしやがった。
「妖怪になっても甘さは抜けんな…お前は。」
余計な真似を…
「兄者は容赦がなさすぎる。」
「くくっ…オレは差別しない。赤子も子供も老人も女も邪魔するヤツはまとめてひねり潰すさ。」
兄者さぁ…やっぱ品性売ってるわコイツ。
戸愚呂(本物)…アンタ、よく我慢できたな。
「それにしても、退屈だな。」
それについては同感だ。
人間にしろ妖怪にしろちょいちょい俺達の命を狙う輩はいるが…だいたい20%(適当)で事足りる。
妖怪に転生してからそれなりに時間は経ったが、来るのはしょうもない連中ばかりである。
名を上げるために俺の命を狙う(潰煉を倒したことでだいぶ名が轟いてしまったらしい)者。さっきのアイツのように武道家の汚点である俺を許せない者。
大抵はそんなヤツラを相手にしたり、修行したりしている。妖怪に転生し、新たに手に入れた能力の筋肉操作。
…この筋肉操作…単純なように見えて実はかなり
繊細な能力なのだ。
まず、さっきも言ったが調整が難しい。
20%とか言って明らかにそれ以上とかザラにある。
それに、疲れる。当然のことなのだが%が上がるに比例して妖気を消耗する。これがすごい疲れるんですよ。
ちなみに、最高記録はだいたい60%。
ヘタレて80%にすらなれてません。
だって怖いじゃない。
そんなわけで戦う相手がいないんだもの
そりゃあB級妖怪止まりにもなりますわ。
原作じゃあ俺は霊界の中でB級妖怪ってことになってるらしい。上にはA級、さらに上にはS級なる妖怪がいるんだってさ。納得いかんよな?
憂さ晴らしに日課の組み手で必要以上に兄者を
ボコボコにしてやった。悪いとは微塵も思っていない。
最近、扱いが雑になっているのは自覚しているが、そのことについては何も言ってこないので気にもしない。
兄者は体を様々なものに変形させることができる武態という能力を持っている。変形する時の音がキモいと一度苦情を入れてやったのだが本人曰くどうにもならないことらしい。
話が脱線したが…ひとまずは自身の能力を完全に
モノにするところから始めなければ
いけないねェ。
評価してくれた皆様、本当にありがとうございます!もう感謝しかありません。