刑務所にきてまだ日が浅かったころ、私は倫太郎先輩をなめていた。死刑執行人の一族に生まれていながら死刑に反対して性善説を信じているし・・・だから私はいたずらで先輩のケーキを食べた、すると・・・
「舞ちゃん僕のケーキ食べたでしょ!」
なんと倫太郎先輩は嘘を見抜いたのだ!
「すみません・・・すぐに弁償します・・・」
私はすぐに買いに行こうとしたら喜一郎先輩に言われた。
「あまり倫太郎をなめないことだ。アイツが動くと世界が動く。」
喜一郎先輩にも認められる彼のことがますますわからなくなっていった・・・
そしてしばらくたったころ倫太郎先輩がルンルンでやってきた・・・
「どうしたの・・・倫太郎先輩?」
「実は死刑囚のカウンセリングの時間を設けてもらったんだ!」
所長と喜一郎先輩が話してるのみたけどそういうことか・・・きっと直談判したんでしょうね。相変わらず愛してもらってることに気付いてないな・・・
私は倫太郎先輩のカウンセリングを見てたけど
「茂屋氏(もやし)まなぶくん。君なら構成できると思うんだ。」
「更生もなにも僕は悪いことなんてしてません。」
サイコパスに先輩の言葉は届かなかった・・・
今回の死刑囚は同じ学校のマドンナたちに愛を伝えようとして監禁して衰弱させてミイラにして保存した外道だ。
「君は狂ってるよ!」
「人を好きになるのは当たり前のことでしょ?」
「相手の気持ちを全然考えてないじゃないか!」
「どうやったら好きになってくれるか真剣に考えてる!」
話は平行線だった・・・っていうかいつも喜一郎先輩にグイグイいく倫太郎先輩がそれを言いますか・・・?
休憩時間中に喜一郎先輩がやってきて
「サイコパスの話を聞くだけ無駄だろう?」
倫太郎先輩にそう言い放った。
「私も今回は相手が自分勝手ですし死刑にした方が良いと思いますけど・・・」
「そんなことありません!僕は必ず・・・」
そう言いかけたとき私たちの視界にある拷問器具が目に入った。
「なんで僕のデスクにコウノトリが・・・?」
これは相手を拘束して精神を追い詰める道具ですね・・・まぁ倫太郎先輩は今回真剣ですし使うわけ・・・そう思った瞬間倫太郎先輩は消えていた!
「まさか!」
私はすぐに刑場に向かうと
「いででで!なんだよこれ!」
「まるでコウノトリみたいだ~。ピッタリの道具だね。」
そこにはもうまなぶを器具にセットしていた先輩の姿だった・・・
「天然でやってるんですかね・・・」
私が呟いたとき
「賭けは僕の勝ち~!やっぱり使っちゃたね。」
「あの野郎!拷問の誘惑に負けやがって!」
喜一郎先輩と所長がいた。
「もしかしてあの道具所長が・・・?」
「そうだよ。君も彼のサイコパス度を見てみなよ。」
そういって倫太郎先輩はまなぶと問答を始めた。
「君が謝罪すればすぐに外してあげるから。」
「こんなのただの取引だろ!拷問は禁止されてるはずだ!」
「これはユーのハートをオープンさせるフレンドさ。」
先輩がなんかムカつく言い方になってる・・・!
「アイツがああなったらサイコなスイッチが入った証拠です。」
喜一郎先輩が苦々しい顔で言う。
「本来の目的を見失い始めたね。」
所長の言う通りこれじゃ心からの反省は聞きにくいんじゃ・・・?
「いぎぎぎ!体が痛くてたまらない!!」
「どうやったら謝罪の気持ちが湧くのかな?」
倫太郎先輩はつぶらな瞳で問いかける。これって・・・
「あいつまるで茂屋氏と同じ問いかけをしてるじゃないか。」
「それに気づいてないところがサイコパス。」
くしくも先輩は被害者と同じ状況に茂屋氏を追い込んでいた。確かにこれは凄い才能だね・・・
「反省の言葉を述べるんだ!」
「本当に申し訳ありませんでした!」
「茂屋氏の野郎、黄泉が人の感情に敏感なのが分かってませんね。」
「黄泉くんは歩く嘘発見器だからね。」
茂屋氏は取りあえず謝ってこの状況を打開しようとしたんだろうけど甘すぎたね・・・
「続行コウノトリ!」
「ああぁぁぁ!本当に申し訳ございませんでした!」
「どうやったら心から謝ってくれるのかなぁ?」
「茂屋氏が女の子たちにやっていた拷問と同じ構図になってるねぇ。」
「奴の才能に少しばかり引いてる自分がいます。」
「倫太郎先輩は怒らせないようにしよう・・・」
私たちじゃ手に負えない事態になりそうだし・・・
「あばらばばばば!」
「全身痙攣は痛いよね!今なら被害者の気持ちがわかるでしょ?」
ピュアな目なのがまた怖いな・・・
「申し訳ありませんでした!」
「やっぱりピンとこないなぁ。ホントに反省してる?」
「してるっていってんだろーが!このゲスがぁ!」
気弱な奴がついにブチギレた!
「相当だね。」
「天然の煽り程人をムカつかせるものはないですからね・・・」
私ももうため息しか出なさそう・・・
「殺してやるからな!」
「そんな物騒な言葉はノンノン!この世はラブアンドピースだよ!」
「ナチュラルに拷問を続けてやがる。アイツの才能は天井知らずだな・・・」
喜一郎先輩の言う通り言葉に説得力がないですよ。黄泉先輩・・・
さらに気絶しそうになると
「気絶しちゃダメ、ノンノンノン!冷たいお水で目をさませ!」
これがホントにさっきまで死刑反対だった先輩?死んでなかったら何してもいいってところがサイコパス・・・
「黄泉ッち、生き生きしてない?」
「あいつの紫眼があんなに輝いてるのは初めてかもしれません。」
「任せてもらって舞い上がってるんじゃないですか?」
「確かに、俺たちは今まで黄泉の意見を聞かなかったからな。それでか。」
ついに茂屋氏は限界を見せ始める。
「あぅぅぅ。誰か、助けて。」
「あちゃちゃ!失禁したうえに脱糞かい!?筋肉が緩んできちゃったか!」
「僕は誰かに愛されたかっただけなんです。」
奴は苦しみを語り始めた。先輩は真剣に話を聞く。
「僕も辛さは知ってるから同情するよ。」
「好きな人に振り向いて欲しかった。ただそれだけなんです。」
「わかるわかる。愛されないのは辛いよね。」
「おっと。ここで茂屋氏と黄泉野郎の気持ちが交差するのか?」
喜一郎先輩も固唾をのんで見守る。さて先輩の返答は?
「だけど君は間違ってる!相手の心を開かせるためにはまず人の話を聞かなきゃ!」
先輩はバシッというけど。
「だったらまずは僕のお願いを聞いてくれ。拷問を辞めてください。」
まずは茂屋氏の今の気持ちを汲み取ってくださいよ・・・
「それはできないよ!君が心を開かない限りコウノトリは続行だい!」
「ヤバいですね・・・」
「なんかもうどうにも逃げられない全問答みたいになってるね。」
「一休さんでも黄泉のとんちは解けないでしょう。」
所長も喜一郎先輩も呆れてしまう。そうこうしてるうちに心臓の鼓動が弱まってきた・・・
「本当に心から申し訳ございませんでした。」
「よく言えたじゃないか!今の言葉には気持ちがこもっていたよ!」
いやそれは・・・
「呼吸が止まってる!?」
遺言だからですよ・・・
「無自覚に殺してますね・・・」
「結局ショック死かぁ。なんだかんだで初めての執行だね。」
所長が大満足の笑顔で先輩のところに向かった・・・
「すぐに治療してあげるから!」
あの地獄をもう一回やろうっていうの・・・?
「っていうか執行しているのに気付いてないアイツどんだけサイコパス。」
これで先輩のヤバさを再認識出来ました・・・