ウマ娘全てに愛を振り撒くデジたんと、そんなデジたんに自分だけを見て欲しいと考えるウマ娘概念 作:こー
多分大体おまけの内容こんな感じになるかと思います
ドギマギする二人と、彼女たちを遠くから見守るタキオン概念
──あの日から、デジちゃんが返してくれたあの時から、わたしとデジちゃんの関係は変わった。幼馴染みや親友ではない、別の呼び方の関係に。
一日経った今でも正直信じられない。だって、わたしなんかを受け入れてくれたなんて信じられないから。嬉しくないわけないし寧ろめちゃくちゃ嬉しいんだけど、こんなに幸せでいいのか、と思ってしまう。
そのせいなのか──
「……」
「……」
こういう関係になってからめちゃくちゃ意識するようになっちゃって、まともにデジちゃんと話せてない。また前みたいに距離を置かれてたり、逆に置いたりしてるってことはないし、むしろ距離感は前よりも縮まっている。
なんだけど、会話がない。ただただ学園内の同じベンチに座っているだけになっちゃってる。
わたしはデジちゃんといれるだけでドキドキしすぎてて心臓痛くなってるほどだし、側にいられるだけで幸せすぎてヤバい。余裕がない。
あぁ、こういうときに何か気の利く言葉をかけてあげれたらなぁ……。たまに気づかれない程度に様子を窺うと、ちょっと困ったような表情のデジちゃんだったから、わたしがそういう人だったらデジちゃんを困らせないのに……。
でも流石にこのまま何もしないというのもよくないはず。どうすれば……。
と、とりあえず話しかけてみる……?
「……で、デジちゃん!」
「は、はいっ!」
声をかけてみた。だけど、ここからどうしよう。
ヤバい何も考えられない……! ──あぁもうデジちゃんすっごくかわいいなぁ……じゃなくて! ──あ、デジちゃん今日ちょっと雰囲気違うような……じゃなく、じゃなくて……
……ん?
「その……今日、ちょっとお化粧変えた?」
「! へ、変ですか……? やっぱり変ですよね?! やっぱりあたしなんかはこんな感じのは──」
「いや、そうじゃなくて! すごくキレイだしかわいいよ!」
「き、キレイでかわ、かわいい……っ!!」
あぁ、まだちょっと困ってる! 言い方間違えちゃったかな……? でも嫌われたくない! えっと、えっと、どうしよう……!
「あ、あのね? 今日も最ッ高なんだけどね? ただその……いつもと違うなぁって。あぁいや! だからといって悪いってわけじゃなくてね!? 単純になんでかなぁって思っただけ……なんだよね」
慎重に言葉を選びつつも早口になって告げる。
わたしの中でめちゃくちゃ頑張って編み出した言葉だけど、大丈夫だよね? 気分を害する感じになってないよね?
これを受けて、デジちゃんは少し間を置いてから、さっきのわたしみたいな感じで話してくれた。
「あのですね、そのぉ……これは、タキオンさんから貰ったもので……」
「──」
た、タキオンさんから……? え、それはどういう意図で? いやこんな感覚になるほうがおかしいし、きっと考えすぎなんだろうけど、なんかもやもやしちゃう……?
待って待って、わたしおかしい。これ以上考えちゃいけない。
「そ、そうなんだぁ……」
いまわたし、うまく顔作れてたかな。デジちゃんがこのお化粧をしてきたってことは少なからず気に入ったところがあったってことのはず。だったら受け入れるべきだし、わたしが口を出す権利なんて存在しない。
前までのわたしだったらこの段階に至る前に身の程をわきまえて考えないようにしていたんだけど、わたしを受け入れてくれた今のデジちゃんを前にしちゃうと、どうしてもこんな面倒なところに陥ってしまう。たとえ受け入れてくれたとしても、きちんと身をわきまえ続けないといけないのに……。
あぁもう、折角デジちゃんと居れて幸せだったのに、なんでこんな思考しちゃうかなわたし……。よくないところがもろに出てしまってる。
「……あの、どうでしょう?」
「──え?」
「その……似合っているのかな、って……」
「──」
か、可愛すぎないデジちゃん!?!? 自分からそうやって聞いてきたこと今までなかったのに! しかも何その表情!? わたしのこと可愛さで殺しにきてるの……?!
「……ナナさん?」
「──はっ! え、あ、似合ってるか、だよね!? もちろん似合ってるしキレイに決まってるよ! さっきも言ったけど、最高にかわいいから!」
「……そうなんでしょうか?」
「うん! そうなんだよ!」
そうなんだ。デジちゃんは本当にめちゃくちゃかわいいしキレイ。なのにどういうことか自分にそこまで自信がない。正直もっと自信を持って、自分がかわいいんだってことを自覚してほしい。
……そう考えると、このお化粧はいい機会なのかもしれない。うん、そうだ。それがいい。こういうお化粧も似合う素敵な人なんだって自覚してくれる機会。
タキオンさんのものをつけられてるっていうので何でかもやもやしちゃうけど、それは考えちゃだめなんだ。消せ。消してしまえ。
ということで一旦置いて、デジちゃんの様子を窺う。多分これで、少しは自覚してくれたんじゃないかなと思っていたんだけど……
「──よかった、です」
デジちゃんから見られるのはどこかほっとしたようなもの。予想していたものと全く違って、思わず力が抜けてしまう。あ、でも安心してるデジちゃんもかわい……。
って、なんで安心なんだろう……? と考えていると、デジちゃんが続けてこう言った。
「……ナナさんにそういってもらえて」
「……へ?」
「白状しちゃうとですね……今朝、タキオンさんに渡された時に言ってくださったんですよ。『折角だし、いつもと違う化粧をしたらどうだい?』って。プレゼントしてくださったんです」
「……そうなんだ」
嬉しそうなデジちゃんの顔と話を聞いてる内に少しだけ冷静になれてきて、タキオンさんがわたしたちのことを知ってかあの日の帰りに一言『おめでとう』って言われたのを思い出した。
……そうだよね。このことを知ってるタキオンさんがそんなことするわけないよね。……わたし、さらに嫉妬深くなったっぽい。流石にこの調子なのはいけない。なんとか沈めて消さないと……。
「うん、やっぱりとっても似合ってる。かわいいよ」
「あ、あのぉ……あんまり褒められるのには慣れてないので、もうそろそろ止めていただくと幸いなんですが……」
「──」
ず、ずるい……! ずるいよデジちゃん……! それはずるいって……!
具体的に何がどうずるいのかなんかよくわかんなくなってるんだけど、とにかくずるいよ!!
──でも、そんなデジちゃんの可愛さを前にしても、消えないこのもやもや。さっきから消えろと念じてるのに。
……待てよ? これ、使えるかもしれない!
「こほん……ねぇデジちゃん、今度一緒にお出かけに行かない?」
「へ? お出かけ、ですか?」
そう! わたしもお出かけの中で何かデジちゃんにプレゼントをすればいいんだ! わたしのプレゼントしたアクセサリーか何かを身に付けてくれたら、わたし凄く嬉しいし、このもやもやも晴れる!
……いや、落ち着けわたし。あくまでそれはわたしの独り善がり。そもそもそれをデジちゃんが欲しがってるのか分かんない。デジちゃんの欲しいものをプレゼント。それが第一目標。アクセサリーなんかはあくまであわよくば、だ。
それに話のネタになる。無言もわたしとしては悪くはないんだけど、デジちゃんはもしかしたら違うかもしれないから。
「うん、確か近々丸一日休みがあったよね。その日にどうかなって」
「あ、いいですねぇ! どこに行きましょうか!」
あぁ、よかった。今ちゃんとデジちゃんと話せてる。それに楽しそう。始まったのはつい先日のことなんだけど、そういったことはしてなかったからかな。そうだったら嬉しいな。
……あれ、これって所謂『デート』ってやつなのでは?? 自分から提案しておいてなんだけど、これって初デートになるのでは???
い、いやでもこういう風になる前もちょくちょくお出かけはしてたし? 何なら一緒にライブとかも行ったし? うん、大丈夫。だから落ち着け、わたし。
身体がガチガチに固まっていくを自覚しつつ、なんとか隠しながら計画について話し合う。
緊張していても話は出来るみたいで、順調にその日どうするかを決めていった。
あぁ楽しみ。事前に下調べとかするべきかな。どんな格好でいったらデジちゃんと釣り合えるかな。手を繋げたりできたらいいなぁ。
わくわくが止まらない。デジちゃんと別れて自室に戻ってきたわたしはカレンダーのその日に丸を付ける。
あーもう、待ち遠しいなぁ。早く来ないかなぁ。
────────────
「おや、デジタル君。嬉しそうだねぇ」
「あ、タキオンさん」
今日は解散し部屋に戻った後でも顔のにやけを沈められてないデジタルに対して、タキオンが声をかける。
「その様子だと、上手くいったみたいだね」
「はい! 今日は本当にありがとうございました!」
今日こうして話が出来たのはナナがデジタルの化粧に気が付いたことがきっかけだ。それを感謝するためにも、自分たちのためにプレゼントをしてくれたということに対しても、再びその言葉を告げる。
「気にしないでおくれよ。ところでナナ君はどういう反応だったか教えてくれるかい?」
「……え?」
ここでやって来たのは、どういうわけかナナの反応を聞くもの。
「……どうして、それを?」
「いや、単純に気になってね。差し支えなければ、聞かせて貰えないかな?」
「……わかりました」
今日のナナの反応を言っていく。それを聞いているタキオンは納得してるようなしてないような、そんな表情をつくる。
「ふむ、そうかい。助かったよ」
最終的には納得した様子を見せるタキオンであった。
「……」
なんとなく、じっとタキオンのほうを見つめてしまうデジタル。少し考えていたタキオンがそれに気が付き、くすっと小さく笑う。
「心配しなくても、デジタル君からナナ君を盗るつもりはないから、安心したまえよ」
「──え、あ……っ!」
そこでようやく正気に戻ったのか慌て出すデジタル。
「ち、違います! そんなこと考えてないですよ!! それに、アタシはなんてことを……!! タキオンさんにこんな態度を取ってしまうだなんて……!」
「ふふふ、それこそ気にしなくてもいいさ。当然の感情だろうからね」
そう言われてもなお少しの間謝罪を続けるデジタルと、どこか楽しそうに落ち着かせるタキオン。そのおかげでデジタルは徐々に落ち着いてくる。それと同時にふと疑問を抱いた。
聞くのは野暮なのかもしれないとも思いつつ、聞いてみることにした。
「あの……」
「ん? どうしたんだい?」
「なんでアタシたちに協力を、といいますか……その、いつも助けていただけるんですか?」
ある程度価値観の多様化が問われている現代とはいえ、全ての人が受け入れているわけではないのは事実。そんな中にこの関係だ。
以前タキオンはどこかで、そういうことは気にしないとは言った。仮にそうだとしても、ここまで親切に色々やってくれるのは不思議なところはある。
デジタルはそういうところを前々から疑問に思っていた。嬉しくないわけではないが、どうしてそこまでやってくれるのだろうと。言ってしまえばタキオンにはメリットはないはずなのに、と。
これにタキオンは考え込み始めた。はっきりしているなら悩む必要はない。ここで悩むということは、まだ自分でもはっきりしていないのか、あるいは……。
「──そうだねぇ……言うなら、気まぐれさ」
「気まぐれ……ですか」
「あぁそうさ、ただの気まぐれ。深い理由なんてないよ」
「そう、ですか」
そこでその話は終わった。その先へは行かなかった。
今の本当の真偽は本人にしか分からない。他に理由があるのかもしれない。
だが、これは確実に言えるだろう。
「変な空気にしてすまないね。それより、今日はそれ以外にも何かあったのかい?」
「あ、そうなんです! 実はですね──」
これからもタキオンは二人を見守っていく、ということを。
補足
あくまでこれは可能性の世界の一つで、確実に本編の後日談であるというわけではないです。
つまり本編の後こうなったかもしれないですよーって感じの世界です。