ウマ娘全てに愛を振り撒くデジたんと、そんなデジたんに自分だけを見て欲しいと考えるウマ娘概念 作:こー
そのため表題の通り、色々あって後輩に懐かれてるナナさんと、モヤるデジたんです。
これまで以上にキャラ崩壊が起こっているかもしれませんが、番外編と言うことでここは一つ……。
デジちゃんのための手伝いをし始めて、結構経ってきた。
最初は本当に言われたことも出来ない状態。むしろわたしなんていない方が回るんじゃないかとさえ思ったほど。そんなわたしだったけど、デジちゃんからの感謝や、デジちゃんのトレーナーさんからのアドバイスを受けて、徐々にではあるけどサポートのやり方が分かってきた。
そのおかげか、今は大体この時は何をすべきか、どうしたら役に立てるのか、というのが分かってきた。
だからか分からないけど、最近デジちゃんのトレーニングの調子がかなりいい。正確にはデジちゃんの調子がいいというよりは、その準備というか、効率が凄く良くなったとかそんな感じ。環境が整備されたって感じだ。だからかなのか、元々デジちゃんが最強ってのもあるけど、ガンガン実力を伸ばして言っている。
そんな頃だろうか。理事長さんとの1対1での面談があったのは。
最初はなんでそんなことをするのか分からなかった。だって前に話したのって、母さんがやってきたあの時だし。そう、かなり前。理事長とその学園の生徒って言うほぼ他人の距離で、接点はそこだけだったのに、何故か面談の声を掛けられた。
でも折角話せる機会ではあるしってことで、ちょっと話してみることに。
最初は軽い雑談だった。最近の調子はどうか、どんな風に生活しているのか──などの、本当に軽い世間話のようなもの。というか理事長さんからしたら、わたしのことを気になっててもおかしくなかったかもしれない。母さんとわたしの関係を間近で見ていたんだから。
勿論、今はちゃんと仲直りしてるから心配不要だけど。定期的に電話してるし。
それで、今はデジちゃんのサポートとして頑張っている旨を話したところで……本題を言い渡された。
──サポート科への転入の申し出。
今わたしは、デジちゃんや皆と同じ科にいる。そこはサポートについての勉強は多少はするけど、本当に多少程度だ。
なぜなら、ここに来ている者は【選手】を目指してきてる。最低限の知識は必要だけど、それ以上の専門性は持つ必要が無い。
だけど、そんな科にいるわたしが、サポートに関して知識と経験を積もうとしていた。
これを理事長さんはもったいないんじゃないかと捉えたらしい。
『無論、これは提案だ。強制ではない。だがもし、将来の方向性が決まっているのなら、サポートへの道を進むのなら、私たちは喜んで背中を押したいッ!』
ふわっとしていた未来が、なんとなく見えた気がした。そっか、そういう選択肢もあるのか、と気が付けた。
悪くはないのかもしれない、と思った。サポートする側に立つ喜びというのもあるのだと、これまでの経験で知っている。そもそも選手としてのわたしは無理だし、あの頃を思い出しちゃってちょっと精神的にも厳しい所がある。
だけどレースは好きだ。きっとこれは"ウマ娘"としての本能のようなものなのだろう。サポートという形でレースに携わることも、それはそれで良いのかもしれない。
……だけど、わたしがこうしてサポートをする一番の理由は──デジちゃんの頑張る姿を一番近くで見たいから。折角想いを伝えあったのに、遠い場所に居たくなかったから。
そんな、自分勝手で邪ばかりな理由。なのにも関わらず、サポートを専門にするだなんておこがましすぎる。
『……一旦、考えさせてください』
その時に決めることは出来なくて、とりあえずこれだけ告げてその面談は終わった。
あまり、考えてきていなかった将来。確かにこのまま今の科に居続けても得られるものは多くはないのかも。勿論デジちゃんとずっと一緒に居られるって言う大きすぎるものを除いてる。学費に関しては今払っているものから増えることはないと言っていたから、そこは問題ないっぽい。
だけど、わたしはそんな高潔な精神でサポートの知識や経験を得てきたわけじゃない。そこがどうしても気になっていた。
わたしのような変な意識でサポート科に行くだなんて……今サポート科に居る人に絶対迷惑になる。めちゃくちゃ不純なんだから。
──そんな思いを、デジちゃんに打ち明けた。
否定されるかもしれない、打ち明ける前は一瞬思った。だって、デジちゃんは"ウマ娘"という種族全てに尊さを感じている。そんな彼女たちを支えられるサポートという存在をデジちゃんは素晴らしい存在だと感じていると思う。そんなところに、不純な動機を持ってるわたしが行っていいわけないと、思うかもしれないから。
でもデジちゃんがそんなこと言う訳ないと思えたから、こうして話せたんだ。
……そして、話し終わった後デジちゃんは告げた。
『ナナさんは、どう思ってますか?』
『え……?』
『嫌なら、断るべきです。でもこうして悩まれていると言うことは……違うのでしょう?』
あぁ、やっぱりデジちゃんにはかなわない。わたしの思ってることを、的確に付いてきてる。
『うん、興味はある。だけど……』
『自信が無いんですよね』
『……うん』
『だったら、付けちゃえばいいんですよ!』
『……え?』
──そうして、今に至る。
思い立ったが吉日とは言うけど、ちょっと早すぎるとも思っちゃう。
「おーい、こっちだよー」
「あ、はい! 行きます」
今わたしのやってることは、色んなトレーナーさんのサポートに回ること。実際にサポートの経験を積んでみて、色んなウマ娘ちゃんへサポートをすることで、感じるものを探ろうとしている。
やる内容としては、ちょっとした雑用が主。いきなり入って来て出来ることは限られてくるからそんなものだと思うけど、こういうのは結構大事だから。
でも、それだけじゃない。
「悪いね……ほら、あの子だよ。私の教え子なんだけどね。前のレースでちょっとメンタルやられっちゃったみたいで……。本当はトレーナーである私が直接聞くべきなんだけど、中々話してくれなくて……。同じウマ娘だからこそ話しやすいってこともあるだろうから、聞いてくれるかい?」
「なるほど……分かりました」
そう、こうやってウマ娘ちゃんの話を聞いたりすることもある。
一人だけじゃない。そしてみんな後輩だ。やっぱり入学したてってこともあって、色々あって心を病んじゃう子がそこそこいるみたい。
この日も一人、そんな子と話す機会が来た。
「……ね、ちょっといいかな」
「……ナナ先輩?」
「あ、わたしのこと知ってくれてるんだ」
「そりゃあ……有名ですよ」
「そっか。ありがとう」
……ただ、横に座る。
正直、メンタルケアなんてやったことはないから、どうすればいいのかはっきりとは分からない。この対応は間違ってるかもしれない。それは、かなり怖い。
でも、かなりやりがいがある気がする。
「──中央ってさ、すごいよね」
「っ……!」
「わたしもそうだったの。……活躍できると信じていたの」
話をする前に、この子について少し調べた。
入学する前は、地元から期待されてたような子だったみたい。だけど、直近のレースで惨敗。それが大分心に来ているようだった。
わたしからすれば、トレーナーが付くだけでも十分凄いと思うけど……きっとこの子の欲しい言葉はそういうのじゃない。
「入学するのが大変でね。必死に勉強も走りも頑張ってようやく入れたんだ。……でも、もっと強い子が勝っていく。きついよね、頑張ってるのに」
「……約束したんです。皆と」
わたしが自分のことを話したから警戒を解いたのか、ゆっくり語りだすその子。
「テレビに出て活躍して……皆に恩返しをするって。育ててくれて、ありがとうって」
「……立派だよ」
「でも……私、負けちゃって……!」
「……」
なんとなく、分かっちゃう。この子は怖いんだ。悔しいだけじゃない。失望されるのがきっと怖いんだろう。どこか負けというものを、重く捉えすぎているように見える。
「……だからこそ、負けを生かして次に気持ちを向けないとね」
「!」
その価値観に、ちょっとだけメスを入れる。
まだこの子が負けたのは一回だ。
大きい一回なのかもしれないけど、それだけで終わるわけがない。
「負けってね、大事なんだよ。それがあるからこそ、強く反省できる。ダメだった場所を直すことが出来るんだ」
これはデジちゃんと共にトゥインクル・シリーズを見て来て感じたこと。当然サポートとしてではあるけれど。
「それに君を送り出してくれた皆は、たった一回の敗北で失望するような人たちじゃないでしょ?」
「……そう、ですけど」
「なら、大丈夫。もしこれで失望してくるような人はむしろ何ッにも分かってないんだから、気にしたら負けだよ?」
「……ふふ、なんですかそれ」
うん、もう大丈夫。もう少し休む必要はあるかもしれないけど、その後はもう大丈夫のはずだ。
「ま、でも無理はしないでね。心がぐちゃぐちゃのときに無茶すると、本当に壊れちゃうから」
「はい。……ありがとう、ございます」
「また何かあったらさ、わたしでよかったら呼んでもいいよ。役に立てるかは分からないけど。
……それじゃあね、応援してるから」
こうして立ち直ってくれることはすごく嬉しい。貢献出来たような感じがしてとってもいい。
デジちゃんのお陰で、サポートっていう新たな道を発見できた。近い内に、サポート科への転入について、もう一回理事長さんとは話そうと思う。これも全部、近くにいてくれるデジちゃんのおかげなんだ。
──ただ、こういうことを、色んな後輩のウマ娘ちゃんに何度かしてきた結果なのかもしれないけど……。
「──あ、ナナ先輩! その……今日、一緒にご飯とか」
「その、ナナさん、今日の放課後空いてたりしませんか? ちょっと聞いてみたいことが」
「あ、あはは……」
デジちゃんとの時間を取りづらくなってるのは、ちょと寂しいかもしれない……。
────────
ナナさんが将来について悩み始めた時、凄く嬉しかったんです。
サポート科という道。ぴったりだと思いました。だってトレーニングのサポートをしてくれるナナさんは、完璧と言っても差し支えないほどなんですから。多少の色眼鏡も入ってるかもしれないですけど、アタシからすれば最高なんですから。
……でも、このままでいいのかと思ってきていたのも事実なんです。一緒に居たいからサポートをしたい、と言ってくださったのはナナさんです。だけど、それは本当にナナさんのためになるのかな……と。
アタシたちは大人に成長します。そう、嫌でも。
その将来のことを考えたとき、アタシがナナさんを縛り続けていいのか……と。
そんな時、ナナさんから相談をされたんです。理事長からサポート科へ転入の打診が来たと。
乗り気な反面、怖がっているようでした。相応しくないと、そんな理由で悩まれていたんです。
相応しくないなんてありえない! と心の底から感じてはいましたが、これはナナさんの決めるべき道。アタシからの意見でなく、ナナさんの思いで決めるべき。本心としてはやってはみたいけど、アタシ以外のウマ娘ちゃんに心からサポートできるかの自信が無いとのことでしたので、色んなウマ娘ちゃんのサポートを実際にしてみて自分の心を確かめてみることになりました。
結果としては大成功。たまに自分の言ったことに後悔してか弱弱しいナナさんになってたこともありましたが、サポートの喜びを見つけることは出来ていたようです。
──なん、ですけど……。ここ最近、かなり……かっっなり複雑な思いがアタシを支配しています。
「ナナ先輩!」
「あ、ナナさーん!」
後輩のウマ娘ちゃんたちに、ナナさんがすっっっごく懐かれているんです……ッ!
非常に尊く、昇天してしまいそうな光景であることには違いありません。あまりそういうのに慣れていなさそうだけどまんざらでもなさそうなナナさんと、精神的に助けられてから先輩としてナナさんを純粋に慕っている後輩のウマ娘ちゃんたち……。一つの花園が生まれていると言っても過言ではないです。
ですけど……
遠いなぁって。……ちょっと嫌だなぁって。
ナナさんは、アタシのなのになぁって。
えぇ、嫉妬です。分かってます。決して尊ぶべきウマ娘ちゃんに向けるべきでないこの感情であることも。
何度も無くそうとしました。でも、消えないんです。だって……ナナさんは、アタシの特別なんですから。
本当は心から喜ぶべきなんです。ナナさんが将来への道を決めたのですから。後輩のウマ娘ちゃんがナナさんに懐かれているということは、ナナさんのサポートが上手く行った他でもない証拠なのですから。
今もナナさんへお声掛けをしようとしたときに、目の前の光景に遭遇したんです。
「この後暇ですか? よかったら一緒に──」
……帰りましょう。今日はナナさんと、久々にウマ娘ちゃんグッズ店舗巡りでも出来たらないいなと思ってましたが、止めましょう。きっとナナさんも、折角出来た後輩ちゃんたちを優先されるはずですから……。
「ごめんね、この後は予定が……あ、デジちゃん!」
ふいに呼ばれて振り返る。眩しい笑顔のナナさんが、向かってくる。
あ、今すっごく温かい。
「よかったぁ。探してたんだ。ね、前にお店巡ろうって話してたよね? よかったらこの後一緒に──」
「……ナナざぁん」
「!?! で、デジちゃん大丈夫?! どこか痛いの?!」
思わず抱きしめる。あぁ、ナナさんがそこにいる。傍にいる。
アタシを、優先してくれた。それだけで、ありえないくらい心が満たされていく。
「と、取り敢えず部屋に行こっか! 準備もあるし、ね? それで大丈夫?」
「……はぃ」
「そういうわけだから、また今度ね!」
一言後輩ウマ娘ちゃんたちに挨拶された後、一緒に部屋に向かいます。勿論手つなぎで。
あぁ、温かい。……放したくない。
「……ナナさん」
呟くように、言った。
「今日は、ずっと一緒にいたいです。……だめですか?」
「! ……ううん、わたしも、一緒にいたい」
その後、ナナさんの同室のウマ娘ちゃんに無理を言って、二人きりになれるようにしてもらいました。
……本当に、このまま時が止まってしまえばいいのにと、思いました。
ナナさんは何も聞きません。それが申し訳なくて、でもその優しさに甘えちゃって……。
「こういう日も、いいよね」
「……えぇ、そうですね」
結局その日はずっと、ただ二人でいました。
いつか、一緒に暮らせたらと、ふと思いました。
……ナナさんも、おんなじ気持ちだったらいいなぁ。
後輩ちゃんになって先輩百合ップルのイチャイチャっぷりを直で摂取してで尊さ限界突破したい人生でした。