ウマ娘全てに愛を振り撒くデジたんと、そんなデジたんに自分だけを見て欲しいと考えるウマ娘概念 作:こー
あとめちゃくちゃ今回オリジナルウマ娘ちゃん気持ち悪いです。デジたんもキャラおかしいかもしれません。
よろしくお願いします。
放課後の誰もいなくなった教室、そこにわたしは自分の机に座り頭を働かせていた。
目の前にあるのは数学の問題。今日出された宿題で、折角ならパパッと終わらせちゃおうと始めたわけなんだけど、最後の応用問題が他の問題に比べてめちゃくちゃ難しい。
確かここは解かなくてもいいって言ってたような気がするけど、そうしたら負けてしまったような感じがして、なんか嫌だから頑張って向き合ってる。
だけど解けない。というか一歩も進めていない。そもそも問題の意味が読み取れない。何から始めればいいんだ……? 状態。
早く終わらせてデジちゃんと一緒に居たかったのに……。
大苦戦してるから一応連絡を入れておこうかなと思ったんだけど、わたしからの連絡なんてデジちゃんが待ってるはずがないから入れてない。
いつも勝手にわたしがついていっているだけだから……。それに急に連絡したとしてもいや知らないしってなるかもしれないし……。
まぁ、とりあえず置いておこう。今は目の前の問題に意識を向けないと。
とはいっても……本当にどこから攻略していけばいいのこれ……?
そうやって悩んでいるときだった。
「失礼します。あ、ナナさん!」
「……へ? デジちゃん?」
誰も居ない教室にデジちゃんが入ってきた。クラスは違うのに一体どうして……?
「なんで、ここに?」
「ここにいるって教えてもらったんです。何やら困っているそうで。お手伝いしますよ!」
わたしのために来てくれた……? 悩んでるわたしのためにデジちゃんが来てくれた……!?!
──いや、ダメだ。めちゃくちゃ嬉しいし天にも昇る心地ではあるけど、これはいけない。デジちゃんにはデジちゃんのやりたいことをしてほしい。きっと本当はいつものようにウマ娘ちゃん観察をしたいはず。だったらここは遠慮しておくのがいい。
「……流石に悪いよ。それに大丈夫。なんとか頑張るからさ。ほら、デジちゃんは何かやりたいこととかあるんじゃない? そっちを優先してほしいな」
デジちゃんは時折やりたいことが多いと口にすることがある。具体的にはよくわからないけど、本当にそうならそっちを優先してほしい。デジちゃんの人生の足枷になりたくはないから。
だけど、デジちゃんは大袈裟に首を振る。
「いえいえ! ナナさんが悩んでいるのでしたら放っておくことはできませんよ! 手伝わせてください!」
「……そ、そう? それなら、お願いしよう……かな?」
──わたしを優先してくれた。やりたいことより、わたしを!!!
顔がニヤケそうになるのをなんとか抑えて言葉を紡ぐ。別にデジちゃんの申し出は嫌じゃないしむしろ嬉しいというかそんな感じだから有り難くお願いする。
……今のわたし、変じゃなかったよね? ちゃんと話せてたよね?
そんなわたしの不安を全く気にしてないようにしてデジちゃんが
「なるほど、この問題ですかぁ……」
「───」
ち、近い!! デジちゃん近いぃ!! え、なんでこんなに近づいてくれるの?!! すぐ触れあえる距離だし!! 限界突破しちゃう……ッ!!!
少しの疑問と果てしない幸せがわたしを包み込む。
え、本当にこれ現実? わたし今日死ぬんじゃないの???
もう目の前の問題なんて分かんない。正気を保つので精一杯だ。
「……確かこれはあの式を使えば」
「───」
あぁごめんなさい。デジちゃん本当にごめんなさい。問題を考えてくれてるのにわたしはもうそれどころじゃない。デジちゃん好きって想いしか今のわたしにはない。
あぁもう近くで見れる真剣な表情のデジちゃん素敵……ッ! 好き好き大好きぃ……! 夢みたい……!!!
「あ、わかりました! これはこうすれば……って、ナナさん?」
「──えっ?! あ、うん! ごめん、なんだっけ」
正気に戻って、なんとか表情を繕う。
今のわたし大丈夫だよね。というかさっきから大丈夫なのかな。ここで死んでもいいんだけど。
「大丈夫ですか? あ、ここはですねあの式を教えてもらったあの変形をすれば───」
「──あ、なるほど! そうすればよかったんだ!」
ごめんなさい全く頭に入ってきてないです。それどころじゃないんです本当に。
でもここで分かったみたいにしてないと申し訳ないから、なんとか表情を動かして理解したような顔を作る。加えてデジちゃんの言ったことを何も考えずそのまま紙に書いていく。
……後で見直さないと。
内心の大荒れ具合をなんとかしようと色々と思考をしていたその瞬間、教室の扉付近に誰かの気配を感じた。
デジちゃんも気が付いたみたいで、目線がわたしと同じ方向を向く。
「ナナさん、いらっしゃいますか?」
「先生?」
来たのはわたしのクラスの担任の先生。珍しいな、こんな放課後にわたしを求めてくるなんて……。
「あ、良かった。いらしたんですね。少し用がありますので、よかったら一緒に来て頂けませんか?」
「あ、はい。分かりました」
何なんだろう……。でも行くしかないよね。何かやっちゃったのかな……怒られないといいけど……。
「ごめんねデジちゃん。手伝ってくれてありがとう。ちょっと行ってくるね」
「あっ──」
席を立って先生のところへと向かう。その瞬間────後ろから制服を引っ張られている感覚がした。軽く振り向くと、デジちゃんが何故かわたしの制服を引っ張っていた。
……え? という気持ちはデジちゃんも同じだったのか、自分の行動なのに驚いたような顔をしている。
「……デジちゃん?」
どうしたの、と声をかけようとした時、
「あ、あぁぁいえなんでもないですはい! すみません変なことしちゃって! ささ、先生が呼んでいますよ? 早く行かないと!」
「そ、そうだね。じゃあ、行ってきます」
デジちゃんに言われて思わず急ぎ目で先生のところまで軽く走って向かった。
職員室のほうへと歩いていくその時、わたしの内心はまた荒れていた。
……何あれ、反則だよデジちゃん。何あの可愛い仕草……! なんであんなことしてくれるの??! わたし勘違いしちゃうから止めてよ本当にぃぃ!!
「ぅぅぅ……っ!」
「……あの、ナナさん? 体調が悪いのでしたら保健室に行きますか?」
「いえ、そんなんじゃないんです……。放ってくれてたら治りますから……」
「そ、そうですか……?」
ごめんなさい先生。今はまだ治せそうにないです……!
────
「あぁぁぁぁ…………あたしはなんてことをッ!!」
さっきの教室での出来事を思い返しながら、あたしは猛省していました。内容は勿論、全て。あたしのわけのわからない行動全てです。
主に何故か距離を近付けてしまっていたこと。そして最後の謎に制服を掴んでしまったこと。この二つです。
まず前者。こちらに関してはやっている最中も内心では自分の行動に疑問を投げ続けていました。
どうして距離を縮めるんだ、そんなことをするべきじゃない、ナナさんが迷惑だろう、と。
だけど……また別のあたしが言うんです。嬉しいって。もっと近付きたいって。
訳が分かりませんでした。こんなやってはいけない行動を推奨し、さらにその先を求めるような自分がいるなんて信じられなかったからです。
意味のわからない二つ目の感情を忘れるべく、あたしはあの問題に集中しました。クラスが違うということが関係してるのか、あたしのクラスはナナさんのクラスよりも数学の進行度合いは一回分だけ早いんです。
なのであの問題は一度解いたものだったのでなんとかすぐ解けました。
そして今度は教えることで忘れようとしました。ナナさんは要領が凄く良いので軽く教えれば全てを分かってくれました。
そのため、再び思い起こされたんです。あの感情を。
自分が持つべきではないその感情をなんとか殺すべく色々思考を続けました。しかし、消えてくれません。
ならばせめて表に出さないようにしようと考えました。持つことはとりあえず良いとして、行動をしないようにしようとしたのです。
ゆっくりと席を離していって、正しい距離感を作ろうとしたんです。それが正解であり、真理であるから。ナナさんみたいに尊い方にあたしが近づくなんて恐れ多いのだから。
しかしさっき、先生に呼ばれてナナさんが行ってしまうその瞬間、変なことが過ってしまったんです。
──行っちゃう、と。
先生のところに行くのだから当たり前。なのにも関わらず、そう思った瞬間手を伸ばしてしまっていました。
一体今あたしはどうしてしまったんでしょう。あの日からなんだか変です。タキオンさんと楽しそうにお話をしてるナナさんを見ちゃってから……。
……このままで良いはずがありません。今は正しくないのですから。
それになんだかナナさんの反応もぎこちないものでした。あまり良くは思っていない証拠でしょう。
「……少し、距離を置いた方がいいのかもしれない……いや、置くべき」
そもそも最初からおかしいんです。ナナさんに会いに行くなんてこと、おこがましいにも程がある。加えて今みたいな感情でナナさんと接するなんてナナさんにも失礼です。
そうしましょう。少なくとも今みたいな感情が無くなるまでは、ナナさんと距離を置かせていただきましょう。これがきっと、正しいはずですから。