東方茜日誌   作:ミユメ

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【第14話】 再度旅立つ時

~茜 視点~

 

 

 

 

 あの祝福のパーティーが終わって、一週間が過ぎた。

 その一週間は本当に長かったような、短かったような…

 妖精メイド達から歳を聞かれたり

 レミリアとの関係を聞かれたり

 握手して下さいと言われたり…

 そんなの色々だ。

 しかし、とても楽しかった。

 …が、もう、決断をしないといけない。

 

 

「そろそろ、旅に出るわ」

「はぁ!?」

 

 

 私がそうカミングアウトすると、レミリアがめっちゃ驚いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜、玉座の部屋

 

 

 

 

 どうも、こんばんわ皆様方。

 私は今、玉座の部屋でレミリアと向き合って座っている。

 

 

「旅に出るのよ。今日の朝に行く予定」

「ちょっとちょっと!急過ぎるわよ!?」

「旅人はみーんなそんなものなのよー」

「…絶対に嘘よね?」

 

 

 …嘘です。はい。

 って言うか何故バレた…

 

 

「朝まであと…1時間くらいね」

「そうだねー…ちょっと皆に旅に出ることを言ってくるよ」

「そ、その伝えが終わったら…後で来て欲しいの……良い、かしら」

 

 

 私は立ち上がり、皆に私が旅に出ることを伝えに行こうとすると、レミリアが後でまた来て欲しいと言ってきた。

 …レミリアが、レミリアが少し顔赤くさせて照れて少し顔を横にして視線を他に向けて言っているレミリア可愛い!

 なにこれ反則じゃないの!?

 

 

「レミリアったら可愛い~♪」

 

 

ワシャワシャ

 

 私は、無意識にレミリアの髪を撫でていた。

 

 

「…ぅー……」

 

 

 レミリアが少し唸った。

 もう、辛抱たまりません…

 けど、これで時間掛ける訳にもいかないしね。

 

 

「分かったわ、それじゃ、また後でね」

「…うん」

 

 

 撫でるのを止めて、そろそろ行くことにした。

 

 

 

 

 

 

少女移動中…

 

 

 

 

 

 取り敢えず、調理場へと来た。

 たぶん調理場に居るかなーみたいな。

 あの人が…

 

 

「美鈴ー!」

「で、此処で豆腐をですね…あ、はいはいー!何でしょう茜さん」

 

 

 そう、美鈴…

 まさか本当に居るとは思わなかったけど、まあ良いか。

 奧を見てみると、妖精メイド達が何か料理を作っていた。

 たぶん、麻婆豆腐であろうと私は思う。

 

 

「ちょっと伝えたい事があってねー」

「え、何ですか?」

「今日の朝に、旅に出ることにしたのよ」

「えっ!?」

 

 

 美鈴が驚き、次に奥に居るメイド達も少し驚いてコソコソ話をしているのが見えた。

 

 

「えっ、茜さんが旅に?」

「もっと此処に居ても良かったのに…」

「茜さんの料理おいしかったのにねー」

 

 

 などのコソコソ話、料理は一回だけ興味本意で作ってみただけだ、作ったのはフレンチトースト…全員から大好評されました。

 ん?何でそのコソコソ話が聞こえるか?

 耳が良いからです。

 

 

「それで、お別れの言葉ですか?」

「んー…まあそうなるわねー」

「…茜さん、ちょっと待って下さいね」

「……?」

 

 

 美鈴が奥に行くと、何やら料理を盛り付けた白い皿を持ってきた。

 …こ、これは……!

 

 

「これ、麻婆豆腐なんですが…良かったら食べてみて下さい!」

「本当に?わぁ、凄いわねー!」

 

 

 本当に、凄い物だ…前世の時にあった麻婆豆腐とほぼ一緒のが今、目の前にある。

 美鈴は近くのスプーンを私に渡してくれた。

 

 

「ありがと、早速食べてみるわね」

「はい!」

 

 

 椅子がないので、私は皿を持って立ちながら食べる事にする。

 言わば、立ち食いだ。

 スプーンで掬い上げ、口へと運んで食べる。

 

 

「…んー♪」

 

 

 おいしい!

 さっすが美鈴、中国料理上手いわねー…

 この豆腐のやらわかさ、甘さ、そして少しの辛味。

 麻婆豆腐だなんて、久々に食べた物だ。

 

 

「おいしいわね!美鈴」

「ありがとうございます!」

 

 

 美鈴が喜んだ。

 まあ、自分の料理をおいしいと言ってくれれば、誰だってそんなものよね。

 私は勢いで麻婆豆腐を全て食べて、皿の上にスプーンを置いて、テーブルの上に皿を置いた。

 

 

「ご馳走様」

「お粗末様です……茜さん」

「んー?」

「その、いつ頃帰られて来ますか?」

「そう、ねー……分からないわー、何せ色々な所行くし?」

「そう、ですか…」

 

 

 美鈴が悄気た。

 旅と言うのは、そんなものだしね…帰って来る日だなんて、分かるわけがない

 しかし、紅鈴が落ち込んでいる姿だなんて、見てられないわね…

 

ギュ…

 

 私は、美鈴を抱き締めた。

 

 

「!?…あ、茜さん」

「美鈴、大丈夫…帰ってこれるから」

「………………」

 

 

 そう、きっと帰ってこれる……

 

 

「…美鈴、レミリアとフランを……頼んだわよ?」

「…はい、茜さん」

 

 

 美鈴がレミリアとフランの面倒を了承してくれた。

 私が居ない間、どうなるか解ったもんじゃないしね 。

 

「そろそろ、フランにも伝えてくるわ」

 

 

 私は美鈴から離れて、フランに会ってくる事を伝えた。

 

 

「はい、行ってきて下さい…」

「…うん、じゃあね、美鈴」

「……あの、茜さん」

「…どうしたの?」

 

 

 調理場から出ようとすると、美鈴に止められた。

 どうしたのであろう?

 

 

「あの時、私を、殺してくれてありがとうございました」

 

 

 殺してくれた。と言うは物騒でもあったが、美鈴はその事に感謝しているそうだ。

 

 

「………ふふ、お礼が言いたかったのね」

「そうです」

「別に良いのよ…あんなつまらない場所で居るのは、堪えられないものだし」

「………はい」

「…美鈴、元気出しなさい、貴女は生まれ変わっている…生まれ変わっているから、昔の事は忘れなさい……お礼だなんて要らないわ。美鈴、またね」

「また、また会いましょう、茜さん…」

「えぇ」

 

 

 私は、美鈴に笑顔を見せて、調理場を後にした。

 

 

 

 

 

 

少女移動中…

 

 

 

 

 

 んー……

 

 

「フランったら、何処に居るのかしら?」

 

 

 私はフランを探すのにかれこれ、20分くらい経った。

 本当にわからない、最後に会ったのは確か、夜食を一緒に食べた時だ。

 うーむ……

 …っと、考えていると。

 

タッタッタッ

 

 何やら、廊下の奥の角右側から走っている足音が響いて聞こえてき、その音は近付いて来ている。

 すると、フランが出てきて、私を見付けるとこっちに走って来た。

 

 

「茜お姉ちゃんー!!」

 

 

ポフッ

 

 フランが私の腹らへんに頭から突撃してきた。

 痛くはない、可愛いだけ。

 

 

「茜お姉ちゃん、どっか行っちゃうの!?」

 

 

 フランは私にくっつき、顔を上にしてそう言う。

 何度も何度もこんな感じで話をするのだが、全然慣れない。

 可愛すぎて慣れない…

 

 

「あら、誰から聞いたの?」

「美鈴が教えてくれたんだよ、だから急いで茜お姉ちゃんを探してたの!」

「そっか…まあ話は本当よ、私は今日の朝に旅に出るわ」

 

 

 フランも、美鈴と同じで悲しそうな目で、少し俯いた。

 …こう言う時は、あれに限るわね。

 

 

「ぅ、ん…」

 

 

 私は、フランの頭を撫でた。

 

 

「フラン、私も貴女達と別れるのは悲しいのよ?」

「じゃあ、何で旅に出るの…?」

「…この世界はね、とても広いのよ、そんな世界を見ずに、ただ一ヵ所に留まるのは私はあまり好きではないの…出会いあれば別れもある、よ」

「出会いも、別れも…ある?」

「そう、出会いが無ければ私とも会えていない、同時にその出会いでも、別れは絶対にあるものよ」

「茜お姉ちゃんとは、もう、会えないの?」

「会えるわよ、絶対、私達が生きていればね」

 

 

 そう、生きていれば会える。

 幸いにして、私は寿命で死ぬことは無いので、何百何千年生きて行ける、が…誰かに殺されたり、灼熱に落とされれば死ぬけどね。

 私はフランを撫でるのを止める。

 

 

「茜お姉ちゃん…」

「どうしたの?」

「また、絶対会うって約束して!」

「ふふふ、フランは寂しがり屋なのね」

 

 

 まあ、フランもレミリアも、まだまだ子供だもんねぇ…

 

 

「良いわよ、約束する」

「やったー♪」

 

 

 フランの機嫌が戻ったようだ、良かった良かった。

 それにしても、約束したからには死なないようにしないとねー…あはは

 

 

「…そろそろかしら、フラン、私はちょっとレミリアの所に行ってくるわ……また、会いましょうね、フラン」

 

 

 ずっと掴んでいたフランの両手を一つ一つ離しながら、そう言う。

 

 

「うん、またね、茜お姉ちゃん…」

 

 

 そうしてフランに手を振って、レミリアが居る玉座の部屋へと、足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

少女移動中…

 

 

 

 

 

 

朝間近、玉座の部屋前

 

 

 

 

 ふー…本当に紅魔館って、迷路でもあって広いのよねー……

 やっと玉座の部屋に着いた。

 窓を見てみると、明かりが少し見えてきた。

 急がないと、いけないわね…

 私は玉座の部屋である扉のドアノブに手を伸ばし

 

ガチャッ

 

 っと、音と共に開けた。

 

 

「…遅かったわね、茜」

「いやぁ、ちょっとフランを探すのに時間掛かったのよ」

「そう…」

 

 

 はて、レミリアは部屋奥の玉座に座って居る。

 普段は右側にあるテーブルを囲んだソファーで向き合いながら座って話すのだが…

 

 玉座に座られたら私は立つしかない!!

 

 しかし、そんな殺生な…だなんて思わない。

 立つだけだなんて慣れているので苦にも思わないのだ。

 

 

「で、どうしたの?レミリア」

 

 

 私は扉を閉めて、レミリアに近付く。

 

 

「…えっと」

「……?」

 

 

 何を考えているのであろうか、私には到底想像が付かなかった。

 話しづらい事なのであろうか?

 

 

「帰って…来るのよね?茜…」

「えぇ、けど帰って来るのは何時かは分からないけどね」

「そう…」

「どうしたの?」

 

 

 何故そこまで考えているのか分からない。

 分からないのであれば、聞くまで

 

 

「レミリア、どうして考えているのよ?」

「え、いや、その…」

 

 

 聞いてはみたが、今度は戸惑いが見える。

 うーむ…これは少し待つしかないわね。

 

 

「…………………」

 

 

 暫くずっと黙って居ると、レミリアは私をチラッ、チラッっと目を合わせては何処かに視線を送る。

 チラリズムですか、そうですか。

 はっ…!

 そう言えば、此処まで照れているレミリアは初めて見るぞっ!?

 私はジーっとレミリアを見る。

 …はぁ、可愛過ぎてもう……

 あ、いかんいかん、こんな所で倒れては駄目だ。

 もしそれで死んだら死因は何になる?

 「萌え死」か?

 いや、意味が分からん。

 こんなの前世の私のテレビ番組でのニュースでそんな事が記事にされて報道されてもみろ。

 「えぇ、次のニュースです。今朝、午前6時半頃、紅魔館の玉座の部屋で、急に人が倒れ、そのまま死亡しました。死因は"萌え死"との事です」

 やめいっ!

 こんな報道があって堪るか!!

 って言っても、脳内再生させたの私なんですが…

 そんなどうでも良い事を考えていると、レミリアが意を決したのか、少し赤い顔で私を見る。

 

 

「……茜、次に、また…会えたら……血を、吸わせて欲しいの…///」

「…へ?」

 

 

 え?血を吸わせて欲しい??

 つまり吸血と言う事であろう。

 別に構わないけど…何故そこまで照れる事なのであろうか?

 

 

「別に良いけど、何でそこまで照れるの?」

「だ、だって………御母様にそんな事…」

「御母様?」

 

 

 御母様と言うのはどう言う事であろうか、レミリアの御母様だと言う事は分かるのだが、何故此処でその名前を呼んだのか…

 まったくもって分からなかった。

 

 

「…と、取り敢えず、ありがとう!ほら、もうじき朝よ?行ってきなさい」

「あー…うん」

 

 

 御母様…はて、本当にどう言う事であろうか?

 うーん…まあ、別に気にしなくても大丈夫だよ、ね?…ね??

 私は玉座の部屋にあるコチコチ時計を見る。

 4時58分…まあ良い時間ね

 

 

「じゃあ、行ってくるわね、レミリア」

「えぇ、また…会える日を楽しみにしているわ」

「うん、バイバイ」

 

 

 手を振ると、レミリアも少し手を振った。

 私は後ろに振り向き、扉を開けて玉座の部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

少女移動中…

 

 

 

 

 

 

朝、紅魔館門前

 

 

 

 

 

 太陽が出てきているのが見える。

 雲は少々あって、気温は高くもなく低くもない。

 初風が、私の頬を撫でるように前から吹いてき、髪を撫でるようにしながら後ろへと通りすぎる。

 私は体を横にし、顔を後ろにさせて

 

 

「…それじゃ、またね…皆」

 

 

 そう言う。

 …さあ、新しい発見を期待しながら行こうかな。

 私は翼を出して、大きく空に飛んだ。

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