東方茜日誌   作:ミユメ

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【第15話】 謎の妖怪少女

~茜視点~

 

 

 

 

 

 

 

ザッ、ザッ、ザッ

 

「……何もない、なぁ」

 

 

 どうも皆様こんにちはです。

 えぇ、現在は知らない山を徒歩で歩いています。

 そう、飛ばずに。

 何故そうしているのかと言うと…実はこの山から何か面白そうな、そうでもない気配が、上を飛んでいる途中に感じたのだ。

 …まあ、勘なんだけれど……

 

 

「んー………」

 

 

 しかし、一方に歩いても見えるのは木、木、木…ばかりである。

 これと言って何かある訳でもなかった。

 

 

「勘が鈍ってきたかなぁ…?」

 

 

 もし、そうだとしたらショックがデカイ。

 勘は大事、絶対。

 …いや、ちょっと大事。

 っと、どうでも良い事を考えているうちに山の頂上らへんまで来てしまった。

 

 

「うわ、何も成果無し」

 

 

 な、なんてこった。

 これは最悪である…や、まあ暇な時間が潰れて良かったには良かったんだけどね。

 

 

「さて、また何処かブラブラしようかなぁ………ん?」

 

 

 今まさに、翼を出そうとした時だ。

 北西らへんから何かの気配が感じ取れた。

 人か妖怪の気配…だがその気配は弱々しく、弱っている、と言った感じだ。

 

 

「…………行ってみよう」

 

 

 私は気になり、その気配がする方へと歩く。

 感じていた気配はそう遠くもなく、近くの木に倒れて居た。

 

 

「ふむ…」

 

 

 彼女は、全身何かに切り裂かれたような傷を被っており、血が所々から出てきている。

 彼女に近付いてしゃがみ、そっ、と肌に付いていた血に触れる。

 その血は固まっておらず、ドロッとした。

 

 

「まだ新しい…っと言う事は間に合う、か」

 

 

 私は物質能力で、彼女の傷を全て元の形へと戻していった。

 こうすれば、痣は出来ないからね。

 …今思うと、あの時…何故こんな使い道を、思い付かなかったのかが分からなかった。

 この使い方が、あの時分かっていれば……

 ……………

 …彼女に付いているの血を、物質能力で地面に落としていっておこう。

 

 

 

 

 

 

 

少女治療中…

 

 

 

 

 

 

 

「………まあ、こんな所よね」

 

 

 彼女の傷を全て無くし、血は地面に落ちて土に固まっている。

 

 

「うーん、それにしても彼女起きない…」

 

 

 治療している間、彼女はまったく目を開ける事は無かった。

 …彼女は、赤いワンピースを一枚だけ着ており、少し大きい帽子を被っている。

 髪は薄い水色のショートだった。

 外見こそは普通の人間に見えるが、微量ながら妖力を感じられる。

 

 

「何の妖怪なのかな…?」

 

 

 私は少し気になり、彼女の帽子を取ろうと手を伸ばそうとすると…

 

 

「……ん…………」

 

 

 っと、起きるかな?

 伸ばそうとしていた手を戻し、彼女が起きるのを待ってみた。

 

 

「ん、んー………」

「…おはよう?」

「……ッ!?」

 

 

 彼女は瞼をゆっくりと開けて行き、私は挨拶をすると、少し寝呆けた顔で私を見てからビックリして後ろに逃げようとしたが、背中は木だ。

 左右に逃げない限り、逃げれる訳がない。

 

 

「た…食べ、ないで……食、べな…いで…」

 

 

 彼女は私を見て、そう何度も何度も言う。

 目からは涙が出ており、体を震わせていた。

 たぶん、あの傷は妖怪に付けられたものであろう。

 妖怪は人間を襲い、喰う。

 しかし彼女は妖怪だと感じ取れる。

 妖怪が妖怪を喰うと言うのはあまりないのだが、彼女を喰おうとした妖怪は、彼女が人間だと思って襲ったのではないだろうか。

 …いや、取り敢えず落ち着かせるのが最優先であろう。

 

 

「大丈夫よ、私は人とか妖怪を食べた事は…事は……無いわよ」

 

 

 ……何故、私は言葉に詰まったのか。

 それはとても昔、真夏だった時の事…

 真夏は妖怪だ、人間を昔に食べてはいたのだ。

 …まあ、それは9000年前の話だ。

 それ以降は食ってもいない。

 因みに食べようと思った理由は、只の興味本意だったらしい。

 正直怖い。

 

 

「本当、に…?」

「うん」

「……」

 

 

 私を見続ける彼女は、徐々にだが体の震えと涙が止まっていくのが分かる。

 

 

「相当怖かったのね、喰われなかった事が幸運だわ」

「…は、い」

 

 

 正直な感想を言うと、ぎこちない返事が返ってきた。

 よしよし、段々と落ち着いてきてる。

 

 

「貴女の縄張り…うーん、家は何処?」

 

 

 縄張りは何処か最初は聞こうとした。

 が、彼女はまだ10歳くらいの体だ。

 自分の縄張りを持つのは少しキツいかもしれない。

 

 

「いちお、あります…でも、親とはぐれてしまって……」

「ふーん…それはまたまぁ……」

 

 

 おいおい、親何やってるの…

 ちょっと一回ガツンと言ってやりたいものだ。

 

 

「…あれ」

「?」

 

 

 会話の途中、彼女は自分の体を見て目を丸くした。

 

 

「え、傷が…私、妖怪に……」

「あぁ、勝手ながら私が治療したわ。しなかったら今頃、貴女死んでたと思うわよ?」

 

 

 主に血の不足でね…

 

 

「貴女…が」

「そうだよ? あぁ、別にお礼は良いよ、暇だっただけだから」

「で、でもーー」

 

 

ガサッ…

 

 っと、隣の草の方から誰かが近付いて来るのが感じ取れた。

 妖力はまあ強い方だった。

 そして、その誰かが視界に入った。

 

 

「お、お父さん!?」

「遥奈!!」

 

 

 彼は、黒と白の少しゴツい格好をしており、あまり似合ってもいない帽子を被っていた。

 どうやら彼が彼女のお父さんだったらしい。

 彼女は立ち上がり、彼にしがみついた。

 

 

「よしよし、悪かったな、遥奈を見失ってしまって…」

 

 

 彼は、遥奈と言う彼女の頬を撫でる。

 

 

「…えーと」

「む、あぁ悪いな、遥奈を助けてくれて助かったよ」

「へ?」

 

 

 え?何故彼がそんな事が分かったのであろうか??

 私も遥奈も、そんな事は言ってもいない。

 

 

「能力だ、僕の能力は『未来を読む程度の能力』でね。探す際に見たのだよ」

「ほーん…」

 

 

 なるほど、レミリアみたいな運命と同じ…なのかな。

 …ん、でも

 

 

「何ではぐれる前にその未来を見なかったのかな……」

「あっはははっ!いや、それは不注意だったな、今度からは気を付ける事にするよ」

「なら良いんだけどね…」

 

 

 本当に、気を付けてほしい…危うく死ぬか喰われる所でもあった状態だった。

 

 

「…彼女にお礼はなしでも、こちらには言う権利はあるな。遥奈を助けてくれてありがとう」

「そ、そんな所まで見たのね…貴方」

「良いではないか、言わせてほしかったんだよ」

 

 

 にっ、と彼は笑った。

 しかし…

 

 

「……………」

「……どうしたの?」

 

 

 急に、彼は笑顔から徐々に私を真剣な目で見てきた。

 何か悪い事したかな…

 

 

「…言いたい事が、1つある」

「ん?」

 

 

 すると、彼は私の耳元まで近付きこう言った。

 

 

「この先の未来で、遥奈を…頼むな」

「え?」

 

 

 それだけを言って、彼は後ろに下がる。

 どう言う事であろう。

 この先の未来で遥奈を頼む……それって、まさか…

 

 

「…………」

「…まあ、そんな訳だ」

 

 

 …いつか彼は、死ぬか、居なくなるのであろう。

 そこまで先の未来を見るとは、この人はかなり能力に慣れており、かつ長生きしていると見た。

 自分が死ぬと言う未来を見れるのは、噂だが難しいと言われている。

 しかし彼は見た…それが先の話なのか、もっと遠い未来なのかは、分からない。

 ……ふむ。

 

 

「貴方の見た通りの感じになるとはあまり思えないけど…まあ、頼まれたからやってはみるわ」

「…それは助かるよ、遥奈、自己紹介をしてみたらどうだ」

「え…あっ」

 

 

 彼は遥奈に、この先の事を考えて自己紹介をするように言ったのであろう。

 遥奈は私の前へと立つ。

 

 

「碧意 遥奈(あおい はるな)です。助けて下さってありがとうございました」

 

 

 シンプルに言って、ペコリ、と 頭を下げた。

 

 

「私は紅夜 茜、また会ったら宜しくね」

「はい!」

「…では、行こうか遥奈」

 

 

 彼は自己紹介が終わった事を見て、振り返って遥奈の手を繋ぎ、何処かへ行こうとする。

 

 

「貴方、は?」

 

 

 遥奈の自己紹介は終わったが、彼の名前までは聞いていなかった。

 私は呼び止めると、彼は少しだけ顔を右に向ける。

 眼までは、見えない角度だった。

 

 

「言っても、仕方がないだろう……」

 

 

 そう言った。

 

 

「………そう、ね…悪かったわ」

「いや、僕の方が悪い。じゃあな」

「茜お姉ちゃんまたねー!」

「えぇ、バイバイ」

 

 

 そうして、彼と遥奈は、茂みの奥にへと向かって行き、見えなくなった。

 

 

「……まったく、自分の子供に死ぬ事を教えないだなんて、良いお父さんなんだか、ね」

 

 

 私は少し笑い、翼を出して大空へと飛び出す。

 あぁ、そう言えばガツンとも言えなかったなぁ……まあ良いか。

 

 さて次は、どんな出会いが待っているのであろう…

 そんな気持ちを心に抱き、進んで行く。

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