東方茜日誌   作:ミユメ

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【第17話】 妖怪の賢者の頼み

~茜 視点~

 

 

 

 

朝、上空

 

 

 

 どうもー、皆様方おはようございます。

 イズナとの出会いから、一週間ぶらぶらとしていた私です。

 今私とイズナは森の上、上空をゆったりと飛んでいたり…

 

 特に目的だなんて、ない!

 

 けど止まって居ても意味が無いので、取り敢えず何処か行くと言う。

 

 

『茜…何処に行くんだ?』

「んー?特に目的地なんてないよ?」

『…そうか』

 

 

 本当に無いからねー…どうしよう

 行きたい所はもうほぼ真夏が行っちゃってるし、特にと言っても良いほど行きたい場所などないのだ。

 故に、ぶらぶらする。

 ……………

 

 

『行きたい所がないだなんてなー…ん?どうした茜』

 

 

 私は、進むのをやめて止まっていた。

 イズナは私が隣から見えなくなった事に気付いて振り返って来た。

 何故止まったか、それは、妙に視線が感じられて来たからだ。

 周りには、妖怪も人間も居ない。

 それどころか、動物すらも周りには居ない。

 では何故視線を感じるのか…

 彼女が、居るからだ…

 

 

「…居るんでしょ、紫?」

『茜、お前何いきなり意味の分からん――』

「あらあら、見てたの…分かっていたのね」

『…ッ!!?』

 

 

 突然と現れた不気味なスキマから出てきた紫にビックリしたイズナが、普通の鳥みたく荒々しく翼を打っていた。

 

 八雲 紫(やくも ゆかり)、長い金髪の女性で、胡散臭い印象の妖怪の賢者だ。

 紫とは月面戦争に誘われて、知り合って居る。

 実力は神にも匹敵するほどの力で、かなりの強さ…まあ月面戦争では負けたんだけどね……

 取り敢えずどうしよう、今私は真夏でもあって真夏ではない、真夏の記憶を頼りにして喋ってもいるだけだ。

 …はて、正体は言わない限り相手は気付かないとは思うのだけど……

 

 

「最後に会ったのは、確か月面戦争以来かしら?」

「えぇ、そうよ…相変わらず記憶力が良いものね」

「それはどうも…あの月面戦争で、生き残ったのは結局私と紫と藍だけだったのかしら?」

「…そうよ」

「そっかー……」

 

 

 月面戦争では他の実力者である妖怪達も誘われ戦ったが、月の文化は私達より遥か上だ。

 アサルトライフルやら手榴弾やら…

 最新技術の兵器によって、妖怪達は次々と倒れていった…

 しかし、私はスピードが速いので、相手は銃の標準が合わずでなんとか生き残った。

 命懸けでも、あった。

 

 

『なあ、茜…あの胡散臭いババアは誰なんだ?』

 

 

 と、イズナが私の右肩に止まってそう言った。

 言ったといっても、喋ったのではなく私の頭の中に響いてくるので相手は聞こえないが、この話を紫が聞いたら殺されるだろう。

 ババアって…

 

 

「私の古い友達よ」

『へー…そうなのな』

「? 誰に喋ったの?」

「イズナにだよ」

「イズナ…?その白い鷹の名前かしら?」

「そだよ」

「ふーん…私には聞こえないのだけれど?」

「特定の人にしか聞こえないらしいよ」

「…何だか、ちょっと馬鹿にされているような感じなんだけど…」

「気のせいだよ」

 

 

 語尾に『よ』付け攻めはバレタらしい。

 

 コイツ、出来る…!

 

 …とまあそんなどうでも良い事は放っておき、イズナって、嫌いな相手にはこんな調子なのかな…

 それとも聞こえないから馬鹿にしているだけ??

 

 

「…まあ良いわ。所で、ちょっと今暇かしら?」

「うん…?」

 

 

 そこで、紫が今暇かと言われた。

 え?なに??

 まさかこれってお誘いパターン?

 ちょ、いや、今忙しいです。

 他を――

 

 

「真夏は、楽園計画に興味はあるかしら」

 

 

 ら、楽園…?

 そこにお誘い??

 いやー、楽園でゆかりんと一緒は……

 ないわー…

 …で、またもやそんな事は置いておいてだな。

 楽園計画…つまりは幻想郷を作る計画だ、その手伝いを、私にさせたいのであろう…

 別に良いんだけど、頼みによるかな。

 

 

「その計画を手伝ってほしいって事?」

「流石、頭の回転も速いわね…そうよ、手伝って欲しいのだけれど…良いかしら?」

「別に構わないけど、頼みによるわ」

「そう、ね…」

『おいおい、そんな簡単に手伝いを了承しても大丈夫なのか?』

「良いのよ。興味あるし」

『…さようか』

 

 

 さて、紫が考え始めた。

 暇だなー…

 

 

『暇そうだな』

「そりゃそうでしょ…」

『あの紫と言う者、強いのか?』

「えぇ、まあ…私と同じって考えれば良いと思うよ?」

『…そうか』

 

 

 と、短い会話が丁度終わった時に、紫が何か思い出したかのような時顔をして私を見た。

 

 

「ねえ、貴女…100年程前に自分の領地を潰されたんですって?良く生き延びれたわね」

「…あ、あぁ…うん、まあ……あはは、そう、だね………うん」

 

 

 …正直、喜んで良いのかが分からない。

 

 

「どうしたのよ、生き延びたんだから素直に喜ぶべきよ?…まあ、領地と仲間を失った気持ちは分かるわ」

『…茜、お前そんな事が……』

「あはは、ありがとう…紫……イズナ、貴方にはまた今度話すわ」

『ん、お、おぉぅ…分かった』

 

 

 今此処で全てを話すのは、正直洒落にならない…あ、この事だけは言っておかないと

 

 

「あと紫、私は名前をその日から変えて紅夜 茜って名前にしたから、茜って呼んでね?」

「そうなの?…分かったは、茜」

 

 

 うん、真夏って呼ばれたら、調子狂っちゃうし…さて

 

 

「で、何か閃いた?」

「えぇ、まあいちおは…」

「なになにー?」

「…妖怪の山で、天狗の長と鬼に話をしてもらいたいの」

「へー…妖怪の山……」

『何だか不気味な名前の山だなー』

「結構妖怪が住んでいる山だよ、イズナ」

『んなもん名前で分かるわ!』

「だよねー」

 

 

 妖怪の山…簡単に説明すると、人間より昔から棲み着いている妖怪が多く棲む場所だ

 

 その山では、鬼が一番で二番目に天狗が強い。

 その二人に話をしろと?

 無茶苦茶言ってくれる…

 二つの営業社の社長に話をつけて来いっと言っているようなものだ。

 まあ余裕には余裕なのかもしれないけれども…

 

 

「天狗の長はともかく、鬼は話を聞いてくれるかしら?」

「だから茜に頼むのよ」

「…めんどくさいだけよね?」

「……ち、違うわ」

『嘘だな』

「嘘ね」

「もー!良いじゃない、鬼と戦うのは嫌なのよ」

 

 

 あ、本音言った。

 

 

「私もそれがめんどくさいんだけどなー…」

 

 

 鬼って言うのは、とにかく酒と喧嘩が大好きだ。

 なので、まず話をしたいと言っても必ず喧嘩をさせられるであろう。

 …まあ、その時はその時で行けるには行けるんだけども…だけども…!

 余分な力を出したくも無い。

 

 

「まあ良いわよ、その頼み、引き受けるわ」

「本当に!?」

「暇だしね…良いでしょ?イズナ」

『…何かあった時は頼むぞ……』

「はいはい、イズナも良いってさ」

「そう、じゃあ早速、妖怪の山まで連れて行って上げるわ」

 

 

 紫がそう言った瞬間、下からスキマが出てき、私とイズナを飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖怪の山近く

 

 

 

 

 紫のスキマに飲み込まれて、少しの間スキマの中の目玉が見えた後に妖怪の山まで着いた。

 私の空間が速いと思うのだけれど…ボソッ

 まあそんな事はさておき…

 

 

「此処が妖怪の山…」

『…少し、気分がわりぃ……』

「大丈夫?イズナ??」

『俺は茜の空間の方が速くて良いわ…』

「あら、イズナもそう思ったんだね」

 

 

 イズナは少し疲れているような、そんな感じで私の肩まで飛んでくる。

 さて、妖怪の山だ…

 結構広いわね。此処が幻想郷の範囲内だから、近くに人里が……あったあった。

 で、向こうの竹林が迷いの竹林…永琳と輝夜、大丈夫かな……

 実は真夏は輝夜とも会っており、永琳とも会って、月に残る計画を手伝ったりした。

 …もちろん妹紅にも会っていた。

 当時、天魔様をしていたののにどうやって会っていたか?

 真夏ったら毎日のように外出や抜け出したりして会ったりしてたんだよ?

 つまりサボり!

 まあ良いんじゃないかと私は思うのだけれどもね。

 と、そこで紫がスキマからやって来た。

 

 

「鬼と天狗には、楽園計画の事を色々説明してほしいのよ、楽園の領域は、この妖怪の山も入っているから、ね…ちなみに楽園って言うのは、妖怪と人間が共に暮らせる場所よ」

「うぃー、了解だよー」

「じゃあ、頼んだわね、茜」

 

 

 そして、紫はスキマへと消えて行った。

 ふー……まずは天狗から会いに行こうかしらね。

 

 

「イズナー、天狗の所に行くわよー」

『へいへい』

 

 

 私とイズナは、妖怪の山へと飛んで入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖怪の山

 

 

 

 

 …ん?

 何かがこちらに近付いてくる…たぶん、白狼天狗であろう。

 ってことは、天狗のテリトリーに入ったのかな…

 

 

「そこの者!止まれ!!」

 

 

 突如、とは言わないが、予想通りに白狼天狗が来た。

 右手に剣を持ち、左手には紅葉のマークがある盾…そして白い髪のショートヘア、狼の耳と尻尾

 間違いない、椛である。

 あぁ、良い…可愛い……抱きたい…

 けど此処ではっちゃけたら殺されるので今は堪えよう。

 私とイズナは、そのモミジの言葉によって止まった。

 イズナは私の右肩に止まってだ。

 

 

『なんじゃい、あの白いのは…』

「白狼天狗だよ、主に天狗のテリトリー内での自衛隊で、テリトリーに入って来た者を追い返す天狗達だよ」

『へー…』

「何をコソコソと話している!」

 

 

 おっと、怒られてしまった。

 まあそうだよね、普通…その普通が本当に普通なのか否かはおいておき。

 

 

「何でもないわよー」

「…ッ、貴様、何の用で来た」

「天狗の長と話をする為よ」

「天魔様に何の話をする気だ」

「それは貴方には言えないわ、白狼天狗さん?」

 

 

 幻想郷の話をしに来たんですー

 だなんて白狼天狗に言っても仕方がなさすぎる。

 って言うか、彼女は気付いていないのであろうか?

 私の翼を見ても…

 

 

「引き返せ、でないと力ずくでも追い返すぞ」

「へー…ふふふ」

「何がおかしい」

「いえ、ちょっとね…因みに天魔様は何処に居るのかしら?」

「此処より奥の…って、言うわけないであろうが!!」

 

 

 ふむ、奥か…オーケーオーケー、それだけでもう充分だわ。

 

 

『茜、急に笑っていたが大丈夫なのか?』

「いやー、ちょっと面白い事しようかなーって…イズナ、私の手まで来てくれるかしら」

『ん?おぉぅ…』

 

 

 私は右腕を横に上げて、移動させるようにしてもらう。

 イズナは言われるがままに、私の右手まで足を運んび、そして右手を私の胸へと近付かせて左手でイズナの体を抑えた。

 

 

『お、おい!胸が、胸が当たっているぞ!?』

「うるさいわねー、我慢しなさい、あと、私が良いと言うまで目を瞑る事、そして暴れない、良い?」

『…何だかようわからんが、分かった』

 

 

 イズナは目を瞑る。

 さて、もう準備は良いわ…ふふ、楽しくなりそうね。

 

 

「…帰らないつもりですか?」

「えぇ、帰らないわ?まあ私を追い返すと言うなら、追い返してみなさいよ!!」

 

 

バサッ!

 

 

「…ッ!?」

 

 

 私は翼を大きく打って、加速させた。

 一瞬にしてモミジの横を通って行き、奥へと向かう。

 そして、一瞬にして天狗村?って言うか里って言うか…

 まあ何でも良いわ、今は時間がない、あの村の奥にあるめっちゃ豪華そうな大きな屋敷に入ろう。

 大きな屋敷前で、石で出来た道の上で降りて私のブーツが当たる音がする。

 周りは家やら騒がしい居酒屋やら色々で、天狗は居なかった事には幸運だった。

 

 

「…イズナ、良いわよ」

『んぐ…何か、すっげースピード出して飛ばなかったか?』

 

 

 イズナが目を開けて、私はイズナを押さえていた左手を退かすと私の右肩へと体を登って行った。

 

 

「本気で飛んだもの」

『…………速すぎる』

「そりゃね、たぶん天狗の中でも私が速いわよ?」

 

 

 さて、そんな話をしている暇だなんてない。

 私は何の躊躇も無く、屋敷の扉を開けた。

 

ガチャ

 

 

「ですから、此処の部分の強化を……誰だ?今は会議中だぞ!」

 

 

 開け、たら…天狗がたくさん居ました。

 周りに天狗居なかった理由ってまさか会議してたから!?

 あー、やってしまった。

 

 

「貴様、誰だ!!」

「侵入者が居るぞ!」

「くそ、白狼天狗共は何をしている!」

 

 

 騒がしくなってきて、天狗達が武器を持ち始めたりした。

 もう、やっぱし戦うしかないのかしら?

 

 

『茜、これ不味いんじゃないのか』

「本当、不味いし最悪…」

 

 

 戦うか逃げる

 さあどうする私!

 戦ったとしても次の鬼も戦うだなんて私めんどくさいよ!!

 だからってこの状況を打ち砕く手段がない!

 …いや待てよ、戦ったとして、そのあとどう話す…?

 ……死人に言葉無し。

 頭の中で一人で緊急会議(仮)をしていたその時だ

 

 

「真夏様!!?」

 

 

 …ん?

 私は声がした奥を見てみると、そこには白髪で天狗帽子を付けている者が見えた。

 あれ、まさかあの子……

 

 

「…白亜?」

「はい!」

 

 

 白亜だった。

 白亜とは、むかーし私が男だった時に、真夏の家に行く際に大弓で狙ってきり、やたらガン見してきたりしてきたあの子だ。

 

 

「生きていたのね、もう皆死んでいるかと思ったわ…」

「私は、真夏様が生きている限り、ずっと生き続けますよ!…あ、それと……私以外の天狗は皆殺しに、されました…」

「…そう」

 

 

 まあ、月の住人だし、生き残れるのは難しいものだ…

 

 

「あ、あの…天魔様……あの者は誰なんですか?」

 

 

 一人の天狗が、白亜に聞く。

 天魔様、か…白亜が天魔様にまでなっているだなんて、思いもしなかった。

 

 

「無礼者!このお方は私達天狗の頂点に至る者ぞ!!」

「「「「えっ!!?」」」」

 

 

 …うん、まあ…そうなるでしょ……

 天魔様が一番の頂点なのに、そのまた頂点が居るだなんておかしな話だ。

 

 

『なあ、茜って一体何者なんだ…俺訳が分からんようになってきた』

「そうねー、私は約100年前まではとある大きな森で天魔をしていたのよ。そう、10281年くらいね」

「「「「『10281年も!!?』」」」」

「あ…言っちゃった……」

 

 

 イズナと、周りに居た天狗達が大きく驚いた。

 まあそんな馬鹿みたいに長く天魔してたら、どれほど優秀な実力者か分かるもんね…

 つい言ってしまったが、まあ良いでしょう。えぇ…

 ヤケクソじゃないからね?

 

 

「相変わらず、お元気ですね、真夏様」

「んー、私の事は茜で良いよ。名前はあの領域を潰された日に変えたの、紅夜 茜よ」

「なる、ほど…そうですか…では、茜様と?」

「様は止めてよー、私は今は只の天狗なんだし」

 

 

 そう、もう只の天狗…

 今の天魔様は白亜なんだから、様付けだなんて不要である。

 

 

「ですが、それでも私の心の中では茜様が天魔様なので…私なんかまだまだですよ」

「白亜は何時から天魔様をしたの?」

「えっと、69年前くらいでしょうか」

「うーん…まあ長い方じゃない」

「茜様は10000年以上ですから、それに比べれば…」

 

 

 …どうやら、自信を持ってはいないようだ。

 こんなので天魔様だなんて続けられそうに無いし、此処は一つ、助言をしよう。

 

 

「白亜、何でもかんでも続けてきた年数で決めるんじゃないわよ?

仮に何もせず10000年天魔をしていたとして、それで私と同じだと言えるかしら?そんなの答えは決まっている。同じじゃあない…それも愚かな位ね、天魔って言うのは、皆から信用され、同時に皆を愛し、村を守る事。それだけでもう十分立派なのよ、白亜は皆を愛しているかしら?」

「…え、は、はい!それはもちろんです!!」

「他の天狗達は、白亜の事を信用しているかしら?」

「そ、そりゃあもちろん、天魔様はいつもいつも俺達に優しく、時には厳しくだが、天魔様が居てからこそこの村は保っているのだ」

「そうだそうだ、天魔様を信用してない奴は居ない!そうだろ!」

「「おう!」」

「…これで分かったかしら、白亜、貴女はもう十分に立派な天魔なのよ、ほら、自信を持ちなさい!」

「…はい!ありがとうございます!!」

 

 

 白亜が、私に頭を下げた。

 天魔様が、只の天狗に頭を下げるだなんてね、笑える話だ…

 

 

『…何か茜がカッコ良く見えた』

「ふふ、それはどうもイズナ」

 

 

バンッ!

 

 突然、閉めていた扉が勢い良く開く音がした。

 振り返ってみると…

 

 

「ハァ、ハァ…やっと、追い付きましたよ…ハァ……」

 

 

 うわー…

 疲れ果てている椛が、そこには居た。

 

 

「何用だ、白狼」

「は、天魔様!そちらの者が無断で侵入してきたので追い掛けに来ました!すぐに追い返しますので――」

「その事なら大丈夫だ」

「…え、それはどう言う……」

「このお方は、私の師匠でもある友達だ」

「えっ!?」

 

 

 師匠でもあって友達でもあるって…

 そんな大げさな話がありますか?白亜さん…

 私は内心でそう思いながら、無言で会話を聞く。

 

 

「だからもう元の任務へ戻りなさい」

「あ、は、はい!失礼致しました」

 

 

ガチャ

 

 椛は最後に私をチラッと見て、扉を閉めて出る。

 

 

「…で、白亜、話があるのよ」

 

 

 私は白亜に体を向けて言う。

 

 

「話、ですか…わかりました。貴方達、今日の会議は一時中断で明日に続きよ」

「「「はっ!」」」

 

 

 すると、天狗達が一斉に立ち上がり、椛が帰って行った扉を開けて次々と出て行く。

 

 

「なあ、あの茜って言う美人さんすげーカッコ良かったな」

「あぁ、カッコ良かったカッコ良かった。あんなのに俺もなってみたいなー…」

「無理だろ、あの天魔様が頭を下げたお方だ、なれる訳がねー」

 

 

 っと、出る際にコソコソと聞こえた。

 嬉しい事言ってくれるものね…

 そして、天狗達が全員部屋から出て行った。

 うわ、中広いわねー…

 最初は天狗が一杯居てあまり分からなかった。

 まあ会議をするんだからこのぐらいの広さは当たり前よね。

 

 

「それで、話と言うのは?」

 

 

 白亜が、地べたに座って問い掛けてきた。

 私も地べたに座ると、イズナは私から降りて右手側の畳の上で丸まった。

 

 

『おらー、少し寝る』

「そ、おやすみイズナ」

 

 

 私は右手でイズナの体を撫で始める。

 

 

「イズナ、と言うのは…その白い鷹の名前ですか?」

「そうよ、実は私にしかイズナの言葉は聞こえないの、さっき少し寝るって言っていたわ」

「そうなんですか、良いですね…動物と喋れるだなんて」

「まあ、そうよねー…普通は」

 

 

 イズナが眠ったので、私は撫でるのを止めて、本題に入る事にする。

 

 

「話なんだけど、実は八雲 紫って言う妖怪の賢者が楽園計画を作ろうとしているのよ。その楽園の範囲はこの妖怪の山も範囲内なのよね」

「楽園、ですか…それはどう言う楽園なんですか?」

「えーと、妖怪と人間が共に暮らせる場所だって言ってたわねー」

「はー…そうですか、それで、この妖怪の山も楽園の一部となると」

「そゆこと」

 

 

 今考えてみたら、妖怪の山も範囲内だなんて、無茶するよねー…

 何でこんなおっかない妖怪の山を…あー

 たぶん妖怪がたくさん住んでいて人里もあるから妖怪も人も居る世界になるのか、なるほど。

 そんな単純な答えに、私はいまさらながら辿り着いたのである。

 

 

「あの、茜…さんは、その楽園に賛成するのでしょうか?」

「賛成していなかったら私は此処まで来てわざわざこんな話しないわよ?」

 

 

 そう、賛成していなかったら白亜とも会えてはいないであろう…

 

 

「ですよね。でしたら、その楽園…承知致しました」

「それは良かったわ…さて、次は鬼かなー」

 

 

 天狗の方は承知してもらったけど、鬼はどうだか…なんせ鬼退治の時に人間に騙されたから、人間嫌いになっていると思うし…

 一言で言うと……

 

 キツイ

 

 もうこの言葉以外に何があるか?

 ないであろう。

 それほどキツイ。

 

 

「鬼でしたら、この天狗の村から少し東の空洞に居ますよ」

「空洞…ね。分かったわ、ありがとね白亜」

「いえいえ、こちらこそ…また今度来た時はちゃんとおもてなしをしておきますね。それから、茜さんが来ても通すように天狗達に言っておきます」

「あら、それは助かるわ…じゃあ、そろそろ行ってくるね」

「はい」

「ほーらイズナ、もう行くよー」

『…ん、んぐ……もう終わったのか』

「終わったよ、次は鬼に会いに行くの」

『おぉぅ、そうか分かった』

 

 

 私は立ち上がって、イズナは私の右肩に飛んで来た。

 …右肩好きなのかな

 

 

「じゃ、またねー白亜♪」

「いってらっしゃいませ」

 

 

 手を振って元気良く言い、扉を開けて外に出る。

 それから私は東に向けて空へと飛んだ。

 

 

『おぉ、うわっ!』

 

 

 イズナがバランスを崩して落ちる。

 肩に居たらそりゃそうなるでしょうに…

 

 

「ずっと右肩に居たらバランス崩して落ちるよイズナ…」

『無理かー…』

 

 

 イズナは渋々っと言った感じで私の隣へ飛んで行く。

 

 さて、鬼が居る空洞へと行かなくちゃね。




おまけであと一話投稿して此処までにしておきます。
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