東方茜日誌   作:ミユメ

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【第25話】 初の弾幕ごっこ

天狗の里、自室

 

 

 

 

…………

 

 

「…出来たぁああああああ!!」

 

 

 蝋燭の火のみの薄暗い部屋の中で、私は喜びの声を上げながら両腕を上げて伸びをする。

 

 

「スペルカード作るのにも時間掛かるわねー…」

 

 

 そう、今の今まで部屋に閉じ籠ってスペルカードを作って居たのだ。

 決してグータラとしていたわけではない。

 …さて、作ったスペルカードの枚数は10枚。それだけでもキツイものだ。

 スペルカードの威力、射程、範囲、制限時間…その他もろもろを計算した技を考えて作った。

 別に適当でも良いけど、負けるであろう。

 まあ、スペルカードと言っても殆どは――いや、やめておこう。

 

 

「よっこいしょ」

 

 

 私は取り敢えず凝った体を起こして、襖へと歩き、開けてからブーツを履いて廊下を進んで行った。

 

 

 

 

 

少女移動中…

 

 

 

 

 

 …今日は誰も居ない、か。

 いつもなら会議でわんさかしている広間が、今日は誰一人として居なかった。

 誰も居ないのにも関わらず、私は周りを見てから扉を開けて外へと出る。

 扉を開けると、眩しい日射しが目に掛かる。

 

 

「うおっ、まぶし…」

 

 

 右手を細めた目の上にかざす。

 そうして明るさに慣れてきたのを感覚で感じ、右手を降ろす。

 

 

「さてはて、何処へ行こうかなー………ん?」

 

 

 扉を閉め、取り敢えずな気分でふと上空を見上げて見ると…

 

 

「お前達!まだまだ詰めが甘いぞ!!」

「そんな事言われましても、天魔様には敵いませんよ…」

「そうですよ、何回やっても勝った事もないんですから…」

 

 

 白亜が自慢の槍を持って目の前の服が少しボロッとしている天狗達に何かを言っている。

 あれは何してたんだろね?

 ちょっと行ってみよう。

 私は翼を出して、白亜達が居る上空へと飛ぶ。

 

 

「何してるのー?」

「え…あ、茜さん!?」

 

 

 白亜の後ろから声を掛けると、振り返って少し大袈裟なリアクションを取る。

 

 

「何でそんなに驚くのよ?」

「いや、だって…一週間も部屋に閉じ籠ってて、心配してたんですよ!?」

「あぁ、ごめんごめん」

 

 

 思えば、たまに白亜が私の部屋の襖を少し叩いては大丈夫ですか?っと言ってくれた。

 心配掛けさせちゃったね。

 

 

「それはそれとして、どうされたのですか?茜さん」

「ん、え…いやー、白亜ったら何で怒っているのかなーって」

 

 

 そう言って天狗達(約20人)をチラッと見ると、いつも通りなコソコソ話をしている。

 や、もう聞かぬぞ。

 聞いてもどうせ同じネタに違いない。

 

 

「あぁ…実は、弾幕ごっこを毎日しているのですが、この者達があまり成果を出せていないのですよ」

「ふーん…」

 

 

 なるほど、弾幕ごっこか…

 っていうか弾幕ごっこで名前確定にさせたのね。

 まあ私が言ってしまった案なんですが…

 んー…あ、そうだ。白亜と戦ってみよう。

 

 

「ねえ白亜、私と弾幕ごっこしない?」

「え、茜さんと…ですか」

「うん、あ、嫌なら良いよ」

「い、いえ、やらせてもらいます…!」

「ありがと」

「お前達は下がっていろ、折角だから観察しておくと良いだろう」

「「「は、はい!」」」

 

 

 白亜は天狗達に下がってもらうように言って、天狗達はすぐに離れていった。

 見えるくらいの奥まで離れるのを確認したあと、私も白亜から少し距離を取ることにした。

 

 

「茜さんは、弾幕ごっこは初めてなんですよね?」

「そうよ?」

「でしたら、手加減をしますが…どうでしょう」

 

 

 ん、手加減、ねー…

 手加減有って勝っても、あまり喜べないしなー。

 いつもいつも死ぬ気でやってますから…うん。

 

 

「手加減は要らないは、本気で行きましょ」

「…わかりました。では、そうさせて頂きます」

 

 

 そうして、白亜は槍を構えて戦闘態勢を取った。

 ほうほう、白亜の戦闘態勢を見るのは久方ぶりだ。真夏の記憶だが、一度は手合わせをしている。

 なんと言うか、前よりも様になっている。

 さてはて私も槍を…槍、を………

 

 …ない!?

 

 ……作るの忘れてた。

 

 

「ちょっとタイム」

 

 

 

 

~白亜視点~

 

 

 

 

 ちょっとタイム

 っとよくも分からない言葉を茜さんが言って、下へと降りて行った。

 それはどうでも良いとして……また、茜さんの戦う所を見れる…!

 でも私は敵だから、充分に見れるかは分からない。

 けど、それでも、茜さんの戦う所をまた見たい!

 最後に見たのは確か…560年前、かな。

 雑魚妖怪の群れに一人で行って倒す姿…あぁ、今にでも鮮明に思い出せます。

 

 

「いやー、ごめんなさいね。またさせたわ」

 

 

 私が妄想していると、茜さんが戻ってきた。

 

 

「…え、あ、いえいえ滅相もありません!大丈夫です!!」

「あー…そう?」

 

 

 戻ってきた茜さんの手には、人1人くらいの長い茶色の棒を持って戻ってきた。

 槍の…代わりなんでしょうか?

 だとしても刃はないし……

 いや、何にせよ何かには使うんでしょう。

 

 

「…えっと、スペルカードはお互い3枚、それを全てかわす。弾幕を3発当てる。戦闘不能となる。このいづれか3つが起こった者が負けで良いですか?」

「うん、良いよー」

 

 

 茜さんは右手を上げて言う。

 

 

「それでは……行きますよ!」

 

 

 私はそう言って右上に行きながら、手始めに緑色の少し小さな少量の弾幕を適当にばらまく。

 

 

「おぉ、これが弾幕…」

 

 

 茜さんは弾幕を見ながら呟き、それを容易に避けて行った。

 やはり、茜さんにはこんなの簡単すぎますか…

 速いですが、使わせて貰います…!

 

 

天魔「猛烈なる風」

 

 

 私は懐から一枚のスペルカードを取り出して発動させた。

 私の向いている方向へと強い風を起こし、大きい弾幕と少し小さな弾幕を多くばらく。

 茜さんは風のせいであまり身動きが取らせず、弾幕に被弾させるのだ。

 さすがの茜さんでも、最初はキツイであろう。

 そう思った時だ。

 

 

茜符「アサルトバスターズ」

 

 

 っと、茜さんも懐から一枚のスペルカードを取り出して発動された。

 同時に棒を横にし、右手を棒の後ろに持ち、左手は持たずに手を広げて前へとつき出す。

 何をする気であろう…っと思ったら、大きな私の弾幕が茜さんを覆い隠して通っていく、通り過ぎた頃には、茜さんは居なかった。

 

 

「!何処に…ッ!?」

 

 

 一歩遅れて何処に行ったかを右や左と見る。

 姿は何処にも居らず、気配すらない。

 しかし、突如として茜さんは目の前に現れ、棒を私の鳩尾目掛けて思いっきり突き出してきた。

 

ズンッ!!

 

 

「グッ!!?」

 

 

 激痛が走った。

 腹らへんが猛烈に痛い、苦しい。息が出来ない。

 そうして勢いに負けて、私は後ろの方へと大きく飛んで行く。

 

 あぁ…やっぱし、茜様は…強い………

 

 私は飛ばされていく際、何だか視界が悪い眼で茜さんの顔を見ようとする。

 しかし表情は見えず、暗かった。

 今、どんな表情を…している。のか、な……

 その思考を最後に私は山の地面に背中から叩きつけられ、呆気なく意識が途絶える。

 

 

 

 

 

~茜視点~

 

 

 

「………………」

 

 

 私はただただ白亜は飛んで行った森を眺めて、無言でいた。

 

 

「………ゃ」

 

 

 そこで一つ口にする。

 

 

「やっちゃったあああああぁぁぁーっ!!」

 

 

 私は持っていた棒を手離して両手で頭を抱える。

 やってしまった!瞬殺じゃないか!!

 なんだあのスペルカード、鬼畜じゃないか!誰だ作ったの!?

 ちょっと出てこいよ、久々にキレちまったよ…って言っても作ったの私だがなっ!!

 じ、自分で自分を殴るか……そ、そうするしかなさそうね。あははは…

 自分で自分を殴る…あはははは……

 私は意味もわからず右拳を作って意味もわからず前に振ろうと右腕を後ろにさせた時だ

 

 

「いやー流石天魔様のお師匠様!こうも呆気なく天魔様を――」

 

 

 文が私の目の前に現れる。

 待てえええええぇぇぇーっ!!!!

 タイミング良すぎだろおおおおぉぉぉーっ!!

 

 

「文避けてっ!!」

「え?」

 

 

ドゴッ!!

 

 文は私の言葉に疑問を持ったが、もう遅し。

 私の右腕の勢いは止まらずで文をぶっ飛ばしてしまう。吹き飛んでいったのは白亜とほぼ同じ場所だ。

 

 

「またやっちゃったあああぁぁーっ!!!」

 

 

 いちお威力は本気の5分の2ではあったが、それでも痛いものだと思う。

 何だ、何か私…戦いが全部瞬殺で終わりそうで怖いんだけどどうしよう。

 いやいやそれよりもあの二人を助けるのが先か!

 私は二人が飛んで行った方へと飛んで行く。

 

 

 

 

少女移動中…

 

 

 

 

 

「………………」

 

 

 …取り敢えず、見付けて助ける為に降りたものの、これまた酷い。

 見事に文は白亜の上に居る。

 どちらも気絶しており、もし文が先に起きたらびっくりして飛び起き、白亜が先に起きれば激怒するであろうこの面白そうな状況。

 待つか?待ってみる??

 ……待ってみましょ。

 

 しかし、待っても二人は一向に起きず、五分が経過する。

 

 …………うん。

 

 

「はよ起きなさいよ」

 

 

 私は空間から棒を出して上にいる文の背中を叩く。

 

 

「いった!?」

 

 

 まあそれほどの威力で叩き、文は体を起こして右や左と顔を向け、最後に私を見る。

 

 

「え、あれ。何で私森に居るんですか?」

「…分からなくてよろし」

「は、はぁ…そうですか」

 

 

 どうやら、何故此処までぶっ飛ばされたのか忘れたらしい。

 

 よっしゃ!

 

 心の中でガッツポーズを取る。

 え、あぁいや別に殴れて良かったとかそんなんじゃないよ?

 謝る手間省けたやったー、みたいな感じだ。

 

 

「でさ文」

「はい、何でしょう?」

 

 

 私は文の手を見ながら言う。

 

 

「下見た方が良いよ」

「え?」

 

 

 文は言われた通り、下を見る。

 すると文は、今の自分の状況に理解をし、体が固まって冷や汗をかく。

 表情こそはもはや絶望しており、死ぬんじゃないかと言う思考が溢れている。

 何故文はそんな事になっていると言いますとね、実は今文は白亜の上で馬乗りとなっております。

 そうして白亜は起きているかと聞かれれば、起きている。

 もうめっちゃ文を睨んでますよ。

 おぉ、怖い怖い。

 

 

「文…?これは一体どう言うつもりですか?」

「え、いや…その………」

 

 

 白亜はまんまめっちゃ睨んでいるが、文は目を泳がせては白亜を少し見てはまた泳がせる。

 まあさ、文が何で此処に居るかも分からないじゃん?

 って言うか、こう言う状況作ったの私じゃん?

 いやー、面白いですなー。

 私はニコニコとしてその場を見る。

 

 

「すみませんでしたぁーっ!!!」

 

 

 とうとう先程の状況に堪えられず、文は猛スピードで上空へと飛んで行く。

 

 

「はぁ…」

 

 

 白亜は一つ溜め息を吐いてから起き上がり、背中に付いていた土を払う。

 私はそれを見ながら今まで折っていた膝を伸ばして立つ。

 

 

「全く、初めてあんな状況になった…」

 

 

 そこで、白亜はポツリと一人言を言う。

 

 

「あの状況が茜さんだったら――」

「おーい白亜ー?」

「良かっ……茜さんっ!?」

 

 

 言葉の途中で呼び掛けると、白亜は私を見て何か幽霊を見るような表情をする。

 

 ひ、酷い…

 

 今日で二回目だ、こうも私を見て驚く顔をしてくるのは。

 私は死んでないぞ、死んでなんていないぞ!

 そして白亜は何を言おうとした?

 何も聞いていなかったから分からん。

 

 

「い、いいい何時から居たんですか!?」

「え、最初から…」

「…………」

 

 

 あれ?黙りこんだ。

 何かまずかったかなー…?

 

 

「…あの」

「え、はい」

 

 

 思わず私は敬語で言ってしまう。

 だ、だって白亜の目線が真剣そのもので背筋シャキッてなっちゃうんだもん。

 怖いっていうか何て言うか……

 …何も言えん。

 

 

「……さっきまでの事」

「う、うん…」

 

 

 な、なんだ…

 

 

「…忘れて下さい!!」

「は、はいいぃぃーっ!分かりました!!」

 

 

 白亜が大きな声で言ってきたので、私はそれにビックリしてまじもんの敬語で返答する。

 そうして、白亜の真剣な表情が崩れて行き、笑う。

 

 

「すみません。思わず真剣になってしまいました」

「あ、うん」

 

 

 正直何で真剣になっていたのかが分からないが、終わり良ければ全て良し、なのであろうか。もはやどうでも良くなってきた。

 

 

「それにしても、やっぱし茜さんは強いですね。初めてなのに一瞬で私が負けてしまいました」

「ん、そうね…」

 

 

 たかたんにあれ、私のスペルカードが鬼畜だっただけなのかも知れないが…

 

 

「体とかもう大丈夫?」

「はい、大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます」

「いや、気にしない方が良いよ」

 

 

 ふむ、取り敢えず大丈夫なようだ。

 いやー良かった良かった。

 大丈夫じゃなかったらあのスペルカード破いて土下座しようかと思ってたけど、その必要は無かったようだ。

 

 

「じゃ、他の天狗達の所へ戻ろ?」

「はい」

 

 

 そうして、私と白亜は同時に翼を打ち、上空へと上がる。

 その上空へと、行ったときだ。

 ある光景を目にする。

 

 

「…………わぁお」

 

 

 私は思わず声を出してその光景を見る。

 

 

「何ですか…あの"紅い霧"は……?」

 

 

 そう、湖付近から不気味な"紅い霧"が出てきていた。

 その"紅い霧"はほんの少しずつだが、広まって来ている。

 

 

「…紅魔館から、ね」

 

 

 まあ分かりきっている事なのだが、口にする。

 

 

「そのようですね。あれが、異変っと言うものなのでしょうか」

 

 

 異変…それは、普段は見られない異常な現象・出来事。変事。 普通と異なり変わっていること。また、そのさまだ。

 今は見たことが無い紅い霧が、湖の方から来ている。

 

 

「えぇ、そうよ……もうじき夜…今日は満月かしら」

 

 

 太陽はもう山の方へと行っており、夕暮れだ。

 紅い霧…これはのちに紅霧異変と言われるものであろう。

 いやー……速いっ!

 流石、紅霧異変だ。一番最初に起こす異変。速過ぎる。

 

 

「あれを、博麗の巫女が解決するのですよね」

「んー、まあ、そんな所ね…」

 

 

 私はただ呆然と紅い霧を見ながら答える。

 

 

「……茜さん」

「何?」

 

 

 今度は私を呼んでくる。

 白亜の視線が気になり、私は顔を向けると白亜は少し心配そうな表情をしていた。

 

 

「…まさか、行くんじゃ……」

「あらまー、勘が良いわね白亜」

「茜さんはこう言う面白そうな事には毎回興味津々じゃないですか…」

「あはは、まあ良いじゃない、暇なんだし」

 

 

 私は笑って言うと、白亜は少し呆れた顔になる。

 良いじゃないか、楽しそうなんだし。

 それに、そろそろ会わなきゃいけないしね……

 

 紅魔館の住人達に。

 

 

「止めても無駄なのは分かっていますので止めませんが…気を付けて下さいね?」

「…ありがと、まあ程々に気を付けるわよ。じゃあね」

「行ってらっしゃいませ」

 

 

 そう言い、私は紅い霧が出ている紅魔館へと向かうのである。

 

 さて、久々にご対面としますか…

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