東方茜日誌   作:ミユメ

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【第28話】 狂気、悪魔の妹

~フラン視点~

 

 

 

紅魔館 上空

 

 

 

 

 茜お姉ちゃんが、構えずに私を見る。

 思えば茜お姉ちゃんと戦った事も、戦っている所も見た事がない。

 そんなので戦って勝てるのか…不安であった。

 

 

「…来ないのだったら私から行くけど?」

「!? させない!!」

 

 

 茜お姉ちゃんが少し急かすかのように言ってきた。

 私はそうはさせないように、レーヴァテインを大きく上から振る。

 

 …が、当たった感覚も無く、レーヴァテインはそのまま下へと行った。

 

 

「どうしたの?こっちよ、フラン」

「ッ!?」

 

 

 急に私の後ろから茜お姉ちゃんの声が聞こえ、私は後ろにレーヴァテインを左に振る。

 

 しかし、また当たらず、後ろには誰も居なかった。

 

 

「ほらほら、本気出さないと当たらないわよ?」

 

 

 また、私の後ろから声が聞こえる。

 

 私は少し恐怖をした。恐ろしいほどに避けるのが速く、後ろから声がしてもそとらに向けば誰もいない。

 それでも、私は後ろにレーヴァテインを同じように振る。

 

キィイン!

 

 また居ないであろう。そう思っていたが、今度は手応えらしきモノがあり、何かとぶつかり止められる。

 

 

「グングニル…!?」

 

 

 その何かは、アイツのグングニルであった。茜お姉ちゃんはそのグングニルを持っていた。

 それで私のレーヴァテインを止めたのだ。

 

 私は両手でレーヴァテインを振ったのに、片手で…

 

ガシ!グイッ

 

 考えていると、茜お姉ちゃんが残った右手で私の左肩の服を掴んで前へと投げ飛ばされた。

 

 その投げられた勢いに負けるも、すぐに体勢を直そうとする――

 

 しかし気付くと、私は紅魔館の庭の地面に倒れこんでいる。

 後ろ頭からは何かに殴られたかのような痛さが涌き出てきた。

 

 一体、何が……

 

 

「っぅ…ぅぅぅうううう……!」

 

 

 痛さを我慢し、呻きながら私は起き上がる。

 そして前を見ると、グングニルを持った茜お姉ちゃんがそこには居た。

 

 …茜お姉ちゃんは、誰よりも速い……だったら。

 

 私は、体を自分も合わせて4人にさせた。

 

 

「「「「クスッ…アハッ、アハハハハハ!!茜お姉ちゃんが強いから、もう動けないように壊してあげる!!!」」」」

 

 

 

 

~茜視点~

 

 

 

 

 目の前にフランが居る。

 喜んでいるのか、嫌ったような、そんな複雑な顔が見える。

 戦闘に入ったのは良いけど、どちらも動こうともしない…

 いや、まあ戦闘ってそんなもんだけどね

 別に動いても良いが、フランの戦闘値とかそう言うの知らないと手加減の調整が効かないのだ。

 …だから、私は少し急かさせる。

 

 

「来ないのだったら私から行くけど?」

 

 

 するとどうであろう、少し焦ってレーヴァテインを私に振ってきた。

 レーヴァテインから出る炎の剣は長いので、振るのが少し遅い、うん…本当に、少し……

 

 正直な話、速すぎじゃあ!!

 

 私はレーヴァテインを高速で避け、フランの後ろに回り込み、出来心でからかってみた。

 フランは回転させて後ろにレーヴァテインを振る。

 が、それも容易に避けてフランに見られないようまた後ろに…ん?

 回り込む途中で、紅魔館の壁に何かが刺さっているのが見えた。

 …あれって、グングニルだよね。何で壁に刺さっているの?

 ま、いっか、ちょっと使わせてもらおっと。

 

 瞬時に私の隣とグングニルが刺さっている所の境界を切り、手に取って引き抜く。

 そして、またからかい、同じようにレーヴァテインを振ってきた。そのレーヴァテインは、少し震えていた。

 疲れてきたのであろうか?

 いや、ないよね…妖怪、それも吸血鬼が疲れるだなんて速すぎる。

 とりあえず今度は逃げずにグングニルで受け止めよう。

 

キィイン!

 

 レーヴァテインの炎の剣とグングニルがぶつかり合い、鈍い音が鳴る。

 そこから私は余っている右手でフランの肩服を掴んで後ろに投げ、そこから一気にまた背後に回って右手に拳を作り、後ろ頭を上から殴った。

 フランは下まで行って、庭の方へと倒れた。

 

 

「…あ、これってもしかしてやっちゃったパターン?」

 

 

 何か色々と後半らへん無意識にしちゃってたけど大丈夫かな。っていうか無意識と言うより真夏自身と言った方が良いのであろうか。

 っと、考えながらもフランの方へと向かおうとすると、ピクリっと指が動くのが見えた気がした。

 私はまさか…っと思いながら止まり、様子を見ると、フランは呻き声を出しながら立ち上がってきた。

 

…フラン、恐るべし……!

 

 あれ?フランが本当に狂気な目で私を見てきた。そんなに痛かったのかな、痛かったなら謝りたいけど今は戦闘だし ――って何かフランが4人になった!?

 あ、あれはフランのスペルカードの1つ、『フォーオブアカインズ』

 うーん、どうしよう、4人かー…

 

 

「「「「アハッアハハハハハ!茜お姉ちゃんが、強いから、もう動けないように壊してあげる!!」」」」

 

 

 4人のフランが私に狂気な目で見て4人が合わせてそう言った。

 

 壊す…?壊されるの?私…

 えぇ、やだなー…まだやりたいことあるし。

 

 っと呑気な事を考えていると、フランが各自別々の場所に移動していった。

 あ、移動された。

 うわっ!めんどくさっ!!

 

 

「翼なんてもげちゃえ!」

 

 

 一人のフランが、私の翼を標的に右手をパーにし

 

 

「キュッとして…」

 

 

 今まさに一人のフランが能力を発動させようとしていた。

 やめて私のI LOVE翼に!!

 

ドゴッ!

 

 私は勢い余ってフランの能力でもげさせられる所だった翼を死守するために速攻でそのフランに飛んで同じように上から殴って、庭に落ちていき、そのフランは消えた。

 

 

「キュッとしてー…」

「ッ!?」

 

 

 落ちていって消えたフランを見ていたら、後ろからあの声が聞こえた。

 

 

「しまっ…!」

 

 

 私はすぐに後ろに顔を向けて、誰が発動させようとしているのか3人を右や左と探して見付けた。

 

 ……が。

 

 

「ドカァアン!」

 

 

 見付けた時には、遅かった。

 あぁ、私の翼……

 

 

「……………………」

 

 

 ………ん?

 私は心の中で涙目で居たが、翼から痛みも出ない、それどころか潰れた音すら聞こえなかった。

 

 

「あれ、何で…ちゃんと狙ったのに」

 

 

 私に能力を発動させた一人のフランが驚いていた。

 …あ、そっか……

 そう言えば私、かなり昔に切断能力で相手からの能力無効にさせてるんだった。

 はぁ…一人のフランを殺す気で殴る必要無かったじゃん……私の馬鹿。

 

 

「キュッとしてドカァアン!」

 

 

 っと、少しへこんでいたら、もう一人のフランが同じように私を標的にしたが、やはり私は壊れない。

 とりあえず、今のうちにどうにかしよう。

 戸惑っている右に居るフランに近付いて、胸ぐら掴んで紅魔館の壁に放り投げる。

 そして左のフラン、真ん中のフランっと、次々にフランを同じ壁、最初に投げたフランに向けて放り投げる。

 

ドゴ、ドゴンッ!

 

 三人のフランが重なり、前のフランが2人消えて、一番最初に投げたフランだけが残った。

 

ガラッ……ドシャ!

 

 っと、フランが紅魔館の壁から落ちて、また庭へと、今度は仰向けで落ちる。

 …そろそろ、もういい頃合いかな?

 私はフランの所へと向かい、庭に降りて歩いて近付いて行って、フランの左に立ち…

 

スッ…

 

 っと、呆然とした感じで空を見ていたフランに、首に向けてグングニルの先端を伸ばして止める。

 

 

「茜!やめてっ!!」

 

 

 急に、グングニルを持っていた右腕を止められた。

 私は隣を見ると…

 

 

「…レミリア」

 

 

 レミリアと、咲夜が私の隣まで来ていて、レミリアが右腕を掴んでグングニルを取り上げた。

 

 

「茜が、フランを殺すだなんて見たくないわ!」

「レミリア、それはちょっと違うよ…」

 

 

 別に殺そうだんて考えてもいない。今のはただの戦闘終了の合図みたいなものだ。

 あぁしないとまた起き上がって戦闘継続とか洒落にならない事になりかねん。

 だから槍を首もとにやった。確かに誤解されがちになる場面ではあるが、ご理解頂けたい。

 正直な本音だと、まじ怖い。何もかもを壊す能力だ。被害と言う損害物などが怖い。

 別に私自身の人体の問題は無いが、他の物や者は壊れる。

 だから終わらせた。戦闘を……

 私はフランを見てから、レミリアに視界を向けさせると目が合う。そして私は言う。

 

 

「あとは貴女の番よ。レミリア」

 

 

 腕を組んでフランに視線を戻す。

 戦闘は私が終わらせた。フランとレミリアの仲直りは私には出来ない。

 だから――

 

 

「貴女が、姉としてやるべき事をしなさい」

 

 

 それを最後にして、私は口を閉ざす。

 

 

 

 

~レミリア 視点~

 

 

 

 

「姉としてやるべき事をしなさい」

 

 

 茜はそれを最後に、口を閉ざす。

 …姉として、やるべき…事……

 そこでふと、フランに顔を向けさせて見る。ずっと仰向けで紅い月を見ていた。

 

 

「フラン…」

 

 

 私はフランに近寄り、横で屈んで名前を呼ぶ。

 だがフランは答えもしず、顔を私の方ではない逆の方向に向けさせ、寧ろ無視をする。

 

 

「フラン、私を見て」

「…………」

 

 

 向いてもらうように言うが、それでもなお顔は向きを変えさせずに黙りとする。

 こうなるのは今までに初めてだった。どうすれば良いのかあまり分からず、私はこの現実から逃げるかのように茜を見るが、腕を組んだままでジッと此方を見守るだけ。

 …こんな状況までも、私は茜を頼ろうとしていた。戦闘でも普通は私が止めないといけなかったのに…

 

 

「…………ぃ」

「…え?」

 

 

 微かだが、フランが声を出した。それはとてもとても小さく、聞き取りずらかった。

 

 

「………なぃ」

 

 

 また声を出す。今度は少しハッキリと聞こえたが、最初が聞こえなかった。

 もしかしたら、謝りたいのかも知れない。

 

 

「何か言いたいの?フラン」

 

 

 私は気になり、優しく言うとフランは下唇を少し噛んでいた事に気付いた。

 そして今度は、今度こそはハッキリと叫ぶように言った。

 

 

「喋りたくもない!」

「……………」

 

 

 絶句した。

 返答は期待を裏切るかのように残酷なモノであった。

 私は思わずそこで何かを諦めていた。その何かとは、フランと仲直りをする事であろうと私は悟った。

 

 

「…フラ、ン」

 

 

 無意識にぎこちない声で名前を呼ぶ。その声は少し小さかった。

 今にも壊れそうな心。挫けそうな思い。

 私は一体何がしたいのであろう。何の為に、フランに近付いて向いてもらうように声を掛けたか。

 それは勿論、仲直りをしたかったからだ。

 だがしかしなんと言えば良い?言葉が見つからないでいた。

 

 

「話す事ないなら、もうどっか行ってよ。そもそも、私は話す事もないし、声も聞きたくない」

「…………」

 

 

 フランの容赦ない言葉に、私は何も言えないでいた。

 こうなったのは全て私のせいなのだ。

 こんなことになったのは全て私のせいなのだから。

 だからフランの言葉を受け入れていた。ただ黙って受け入れていた。心の声を受け入れていた。どんな酷い言われようでも受け入れるつもりだ。

 全て――

 

 私が悪いから………

 

 

「ねえ、聞こえてるの?どっか行ってよ」

「…………」

 

 

 何処かに行け。

 そう言われたから立ち上がって離れようとした。しかし、まるで地面と私の体が縫われているかのように動かなかった。

 

 "何か"を伝えなくちゃいけない。

 "何か"を言わなくちゃいけない。

 

 だが"何か"が分からない。単純そうな事なのに、分からない。

 それに、此処で私が離れれば、また私は茜を頼ってしまう事となる。それだけは絶対に嫌だった。

 だから、体が動かないのかもしれない。

 

 

「…………………」

 

 

 沈黙が流れる時、微かに私の視界がボヤけてきた。

 ポタッと、何かが私の目から頬を通って下に落ち、手に水滴が落ちる。雨なんか降ってもいないのに、おかしな話だ。

 …だが本当は、これが雨じゃ無いことぐらい私だって分かる。

 

 これは涙。

 

 そう、涙なのだ。別に誰も死んでも居ないのに、何故か両目から涙が出る。それは止まらずに、私はただ無言で涙を流していた。

 悲しい訳ではない。悔しい訳でもない。寂しい訳でもなく、苦しい訳でもない…なのに涙が出る。

 誇り高き妖怪である吸血鬼だと言うのに、涙だなんて無粋だ。

 

 ――けど、何故だろう

 

 こうやって涙を流していくと、フランに言いたい"何か"が思い浮かんでくる。

 それを忘れないうちに、震える唇を開いていき、言葉を出そうとする。

 しかし声が出ない。代わりに何か喉から叫びたいようになる。

 

 駄目。此処で大口泣いたら駄目。そんなんじゃいつまでたっても、フランに言わなくちゃいけない言葉が言えないじゃない。

 

 私は一度強く歯を食い縛り、再度口を開ける。まだ少し震えがあるが、今なら言える。

 

 

「フラン…」

 

 

 もう、何度目の呼び掛けだろう。それすら覚えていなかった。

 …けど、今はそんな事どうだって良い。

 私は思い浮かんだある言葉を出そうと必死になる。息が少し荒れているので、一度息を整え、そして言う。私が言わなくちゃいけない言葉。絶対に言わなくちゃいけない言葉を…

 

 

「ごめん、なさい…っ」

 

 

 必死にして出した私の声は、自分でも気持ちが悪い程に酷い声でフランに謝る。

 私がフランの気持ちも考えずに495年間も地下に閉じ込めた。

 それ以来私は、フランと会わずでいた。

 私は495年間、フランを孤独にさせていたのだ。その孤独は、私にも分かっては居た。なのに閉じ込めていた。

 そんな事をした私を呪いたい。その気持ちが溢れ返る。

 呪いたいが、そうする前に言っておかないといけなかったこと…それは「ごめんなさい」と謝る事であった。

 こんな簡単な事を、私は今まで言えずに居た。

 謝るのが遅かったかも知れない。けれど、言わせて欲しかった。涙を流しながらでみっともない顔ではあるが、心からは真剣だ。

 

 こんな…こんな――

 

 

「こんな、駄目な姉で…ごめんね。フラン……」

 

 

 最低な姉だ。居なくなれば良い。

 自分自身にそう言う。その言葉は全部フランが言っている事だと考え、自分を追い込んだ。

 その度に涙が溢れる。

 今すぐにでも目障りなこの涙を無くそうと両手で拭うが、そうも簡単に止まらない。

 もう何…?どうやったら止まるんだろう……

 

 

「……ッ……グゥ…」

 

 

 そこで、フランは何かを堪えるような感じで居た。表情は見えないが、何かを堪える声を出していた。

 

 

「フラ、ン…?」

「…………ぃ…」

 

 

 そしてまた、何かを言おうとしていた。

 

 

「…………さぃ…」

 

 

 その声は最初と同じく小さかったが、震えている声であった。

 また、喋りたくもない。見たくもない。何処かに行け。

 そう言うのであろう。

 言いたい事は言った。だから私は、此処から離れようと立ち上がると、スカートの下を誰かが掴んでくる。その掴んでくる手を見ると、フランであった。

 どうしたのか気になっていると、フランは手を離して私と向き合うが、顔を下にして少しふらふらとよろめきながら立ち上がる。

 

 

「お姉様……」

「……どうしたの…?」

 

 

 フランが私を呼ぶ。私はそれに答え、止まりかけの涙を拭って聞く事にする。

 

 

「お姉、様…私……」

 

 

 言葉を詰まらせた。しかし、フランは必死に私に何かを言おうとしていた。

 何処かに行けとか、そんなのではない今度は違う何か言いたい言葉…

 ズルズルっと、フランは鼻水を吸うかのようにして、顔を上げて私と目を合わせる。

 フランも目からは一筋の涙が目から流れていて、その涙は下にポタポタと落ちていた。

 

 

「お姉様、私も…!私もごめんなざい"っ!もうこんな事しない、から…嫌わないで…!!」

「フラン…」

 

 

 フランのその声は紅魔館の壁に当たりながら少し響く。

 

 

「ぅう…」

 

 

 伝えたかった言葉を言い切ったフランは涙を更に流し、その場で立ったまま泣き叫び始める。その泣き声はまるで生まれたての赤ん坊かのようであった。

 私はそんなフランに抱き締めて、耳元で大きく口を開け、大声を上げて泣き続ける。

 

 

「私はフランを嫌ったりしないわ。たった一人の…私の大事な妹だから」

 

 

 フランの頭を撫でながら、私はフランにしか聞こえないくらいの声で優しく言った。

 

 そうして、フランの泣き声は、約10分にも続いて泣き止んだ。

 同時に、この異変の終わりを告げた合図でもあったのだった……

 

 

 

 

~茜 視点~

 

 

 

 

紅魔館 屋上

 

 

 

 やべ、レミリアとフランの感動的場面を見て、思わずちょっと泣きそうになった。

 あんな場面を私は腕を組みながら真剣そうで無表情な顔をして見ていた私が死にたいわ。

 

 …さて、まあその場面は置いといてだ。只今、私とレミリアとフランと咲夜と霊夢と魔理沙とパチュリーと紫が屋上のバルコニーに居ます。

 最後だけもう一度言います。

 紫が居ます。

 何で居るか?

 知らん、寧ろそんな事私が知りたいくらいだ。

 っと、最初こそは言えたが、どうやらこの異変での事で来たらしい。

 めちゃくちゃ納得である。

 だがしかし、この異変でフランがスペルカードルールを無視した処罰を聞いて、私はただ呆然としていた。

 

 

「この異変での処理は、こんな所かしら?」

「待ってよ紫!?」

 

 

 紫が終わらせようとした所を、私は止めた。

 

 

「どうしたのよ、茜」

「いやいや、何でフランの処罰が1週間間私と一緒に居る事なの!?」

 

 

 そう、処罰の内容が聞き捨てならなかった。

 

 

「だって、フランの面倒を見れるのは貴女くらいじゃない」

「レミリアは!?」

「暴走したら止められないじゃない」

「…もうフランの処罰じゃなくて私に対する何らかの苛めじゃん……」

 

 

 最後に私はボソッと言う。

 や、別にフランと居ても良いけど、1週間は…うーん

 

 

「レミリア…も、それで良いでしょう?」

「えぇ、茜ならまったく構わないわ」

「ほら、当主も良いって言ってるのだから、我慢しなさい」

「ぅ、うぐ…」

 

 

 私って、こんなに味方少なかったっけ…

 あれ?おかしいなー、あはは

 

 

「茜お姉ちゃん、フランの事…嫌い?」

 

 

 少し落ち込んでいた私の元へとフランが来て、上目遣い+少し涙目で言ってきた。

 ゴファ…死ぬ。

 フラン!可愛いとは罪深いものだなぁ!!

 

 

「そんな訳ないじゃないフラン、私はフランの事が好きよ?」

「やったー♪」

 

 

 そうして、フランが微笑んで喜ぶ…あ、やばい鼻血出そう。

 

 

「わわっ!」

 

 

 私は堪らずフランを持ち上げて肩車させた。

 何でかは分からない。寧ろ聞きたい。

 何故やった?

 

 知らん。

 

 自分で聞いて自分で答えると言う脳内で寂しい事をする。

 

 

「茜、了承するって事で良いのかしら?」

「えぇ良いわよ」

「…凄く嬉しそうね?」

「気のせいよ」

 

 

 たぶん私はニヤニヤしているのであろう。

 いや、もうフランが可愛くって可愛くって…

 

 

「そう…じゃあ、まあ、レミリア…霊夢との勝負は負けたから、紅い霧…どうするか分かっているわよね?」

「分かってるわよ、今から消すわ。パチェ」

 

 

 紫が異変の話に飛んで戻して、レミリアに紅い霧を消すように言うと、レミリアは魔理沙の隣に居たパチュリーを呼ぶ。

 

 

「良いのね?レミィ」

「良いのよ、負けたのだから仕方ないわ」

「…分かったわ」

 

 

 そして、パチュリーが抱えていた一冊の本を開いて、何かをぶつぶつと唱えている。

 …すると、紅い霧が段々と晴れて行った。

 

 

「……もうじき紅い霧が無くなるから、レミィとフランは中に入っておきなさい。 今は朝だから」

 

 

 え、今朝なの?

 紅い霧があるせいで分からなかっただけ?

 恐るべし…紅い霧

 

 

「そう、分かったわ、行くわよフラン」

 

 

 レミリアが、肩車しているフランに言う。

 私はしゃがんで下ろす事にした。

 

 

「…茜、貴女を行きなさい」

「え、異変の話とかは…」

「もう終わったでしょ? 紅い霧は消えるし、処罰も言った。 後は霊夢達を帰らせるくらいだし、茜はフランと一緒に居ないと駄目でしょ」

「そうだったね、じゃあ紫またね」

「…えぇ、また」

 

 

 私は紫にまたっと言って フランの背中を押しながらバルコニーのガラス張りの扉に行く。

 レミリアは後ろから付いてきて、咲夜とパチュリーも付いてくる。

 

 

「またな、パチュリー」

 

 

 そこで、魔理沙はパチュリーに満面な笑顔で手を振る。

 

 

「…他の魔法を知りたいなら、また来なさい」

「おう」

 

 

 …やっぱし、魔法使い同士って仲が良くなるものねぇ。

 でもまさか魔理沙が本を死ぬまで借りる事となるのは、私以外知る者は…あ、レミリアは見れるかな?

 そんな事を考えながら扉を開け、中に入る。

 それにしても1週間、かぁ…

 長そうで、短そうだよね…取り敢えず楽しめば、良いよね?

 

 そんな半分能天気な事を考えて、階段を降りて行くのであった。

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