東方茜日誌   作:ミユメ

29 / 32
【第29話】 紅魔館での一日の朝

紅魔館 部屋

 

 

 

~茜視点~

 

 

 

 

 ふぁああ…あー……ぅ?

 …あ、皆様方おはようございます。

 只今朝です。

 私は体を起こし、ベッドから降りて立ち上がる。

 ベッドと窓との距離は空いており、歩いてそちらに向かう。

 

シャー…

 

 ゆっくりとカーテンを開けていき、太陽の日射しが当たる。

 

「はぁ…何しよう」

「…ん、んー……」

「んにゃ?」

 

 っと、誰かの声が聞こえたので、私は声がしたベッドに行くと…

 

 フランが可愛い顔して寝ていました。

 反則的な可愛さでぶっ倒れそう…あ、やばい抱きたい。だが堪えろ…堪えるんだぁあああ!!

 って言うか何でフランが居るんだ…?

 …………

 

「…そーいえば、1週間フランと一緒に居ないと駄目なんだっけ……」

 

 すっかり忘れていた事を、今フランを見ながら思い出した。

 とりあえず朝だし、起こさないと…って。

 吸血鬼が朝起きるのもどうかしてる!!

 危ない危ない、危うく起こす所であった。

 私は気付かれないように背を向けて部屋から出ようとする。

 しかし――

 

「…ぁ、茜お姉ちゃん……?」

 

 ギクッ!?

 

 …ば、バレた……

 私はソッとフランの顔へと視線を向けて行くと、半目のフランが私を見ていた。

 

「えーと…うん、おはよう?」

「……おはよう…」

 

 う、うん…どうしよう。子守唄でも歌って寝かすか、無理矢理寝かすか…いやどちらも違うような気がする。

 しかしどうするよこの状況。一歩も動けないんだが…

 っと、そこでフランが体を起こして私にのそのそと近付いてくる。

 

ギュ…

 

 そして抱き締めてきた。

 フランは顔を横にして私の腹の服に付ける。

 何だ、寂しいのか…?

 しかし、私のその考えは外れるのである。

 

「……スー…スー………」

 

 まさかの立ち寝っ!?

 

 

 

 

紅魔館 ダイニングルーム

 

 

 

 フランが立ち寝をしてから5分ほど…さすがに私は立ち続ける事が出来ずにフランを起こして朝食を食べるために食卓に来た。

 中は長いテーブル1つに上に白い布を乗せていて、豪華そうな白い椅子が10個ほどである。

 天井にはシャンデリアで何とも輝かしい…

 今此処には誰も居らず、私とフランのみだ。

 

「誰か居るかなー?」

 

 食事は自分でも作れるが、メイド達が居るとそんな事は出来ないので、とりあえず奥の右にある調理場へと足を運ばせ、開ける。

 

「…誰も、居ないっと」

 

 調理場には誰一人も居なかった。

 朝速すぎた?それともやっぱし吸血鬼は夜だからまだ起きていないとか?

 

「茜お姉ちゃん、どうしたの?」

「メイド達が居ないから、料理頼めないなーってね」

「え、じゃあご飯無しなの?」

「いやいや、それは健康に悪いわよ…私が作るから、フランはどうする?」

「え!?茜お姉ちゃんが…?フランも茜お姉ちゃんの手伝いする♪」

「あら、ありがとうフラン」

 

 フランが驚き、そして喜ぶ。

 そういえば、誰かに料理を作るのはレミリアとフランを助けて、ルーミアと一緒に食べたあの時くらい…?

 私は昔の事をほのぼのと思い出しながらフランと調理場の中に入って行った。

 

 

 

 

~咲夜視点~

 

 

 

 

 

 朝、私は目覚める。

 いつものお嬢様がくれた私の部屋…

 普段は夜に起きてお嬢様を起こすが、今日から変える事にして朝起きて夜に寝ると言う事になった。

 理由は…あの茜と言う者が原因でもある。

 妹様の処罰として一週間、茜と一緒に暮らすと言うことで、茜は朝に起きて夜に寝るので噛み合わない。

 だからお嬢様は私達も朝に起きて夜に寝ましょうっと言って、昨日は夜に寝た。

 

「…お嬢様を起こしにいかないと」

 

 私は、服が乱れていないか鏡で確認してから、部屋を出る。

 

 

 

 

紅魔館 レミリアの部屋

 

 

 

 

ガチャ…

 

 お嬢様の部屋である、少し大きな扉を開ける。

 中は赤色がメインの部屋、赤い大きなベッドでお嬢様は寝ておられる。

 

「お嬢様、朝でございますよ」

 

 私はいつもの声でお嬢様に言う。

 

「…ん………朝、なのね」

「はい」

 

 お嬢様が体をゆっくりと起こして、私を見て朝なのかを聞いてきた。

 

「そう」

 

 短く返答をして、お嬢様が立ち上がる。

 そして、私は此処で時を止める。

 

「それではお嬢様、失礼させて貰います」

 

 私はお嬢様に近付き、パジャマの服を脱がしていく。

 

 

 

 

 

 

少女着替中…

 

 

 

 

 

 髪はこれで良い、服も乱れはなし…

 これで良いわね。

 そうして、私は時を動かした。

 

「…ありがとう、いつも助かるわ」

 

 お嬢様が服が変わった事に気付き、服を見てお礼を言う。

 

「咲夜、昨日パチュが渡してくれたあれは塗ってくれた?」

「はい、念入りに塗っております」

 

 

 お嬢様のあれ、と言うのはパチュリー様が昨日に太陽の日光に当たっても大丈夫なように作ってもらったクリームだ。

 

「そう、じゃあダイニングルームに行ってご飯にするわ」

「畏まりました」

 

 お嬢様と私は、部屋を出て行った。

 

 

 

 

紅魔館 ダイニングルーム前

 

 

 

 

 食卓の扉前まで行き、お嬢様が立ち止まる。

 

「あら、何だか良い匂いがするわね」

 

 そう目を瞑って言った。

 確かに、良い匂いがする。メイド達はちゃんと起きて料理は作っているようだ。

 

ガチャ

 

 そうして扉を開けると、誰も居なかった。

 おかしい、普段ならばメイドが一人や二人居て挨拶をするのに…

 

「今日は何か料理で忙しいのかしら?まあ良いわ。少し待ちましょう」

「それではお嬢様、私は料理の手伝いをしに行って参ります」

「えぇ、分かったわ」

 

 私は調理場への扉へと向かい、開ける。

 

「…あとは、5分ほど煮込めば完成よ、フラン」

「楽しみー♪」

「…え?」

 

 調理場には、あの茜と妹様だけが居た。

 メイド達は全然周りに居ない。

 

「あれ、咲夜じゃないの、料理なら後5分で出来るわよ?」

「何で、居るの? メイド達は…?」

「メイド達? 最初から居なかったわよ? あと何で居るかは、フランと食事をするため」

「………メイド達を起こしてくるわ」

 

 少し呆れ本望で私は急いでメイド達が居る部屋へと時を止めて向かう。

 

 

 

 

 

 

~茜視点~

 

 

 

 

 

「メイド達を起こしてくるわ」

 

 そう言って、咲夜が一瞬で消えた。

 表情は何か怒っているようであったが…

 まあ何にせよ、メイド達お疲れ様です!

 

「…な、何で貴女達が居るの!?」

「ん?」

 

 っと、また扉から誰かが来る。

 レミリアであった。

 

「レミリア、朝起きれたんだね?」

「え、そ、それは…茜がそう言うタイプ、だから……」

「え?」

 

 最後らへんから何かぶつぶつと音量が小さくなった。

 私がそう言うタイプ?

 水タイプとか風タイプとかry

 

「…私だって朝起きれるわよ!」

「あー…うん、そう」

 

 何かを張り切ってレミリアが言う。

 デレてるレミリア可愛い……はっ!

 私は後ろに向いて、煮込んでいたガスを急いで止める。

 5分なんてあっという間だよね、本当に…

 

「朝御飯ならもう出来たから、食べるわよ」

「茜が、作ったの…?」

「そうだけど? あ、フランの手伝いもあってね」

「フラン頑張ったよ!」

 

 フランがレミリアと同じく、何かを張り切った。

 何かは何かだ。

 あまり深くは追求しない方が身のためだと思う。

 

「食器とか準備は私がやるから、レミリアとフランは先に座っておきなさい」

「え、えぇ…分かったわ、行くわよフラン」

「うん」

 

 レミリアがフランに手招きをして、二人は戻って行った。

 

「んー、仲直り出来ている…よね?」

 

 まあフランがレミリアの方へと向かう時、少し手を繋いで戻って行ったから仲直り出来ていると信じたいが…

 そんな事を考えながら、私は食器を1つ1つ取って白い皿にご飯、細長い丸の皿に先程まで煮込んでいたカレーのルーを入れていく。

 

「……咲夜は、食べるのかな? っていうか美鈴食べに来るの??」

 

 うーん、後で門番に行こう。

 私は心の中でそう決めて、右手にご飯で左手にカレーを1つと、2つのご飯とカレーを物質能力で皿を浮かせて調理場から出た。

 

「お待たせー」

 

 私は笑顔で戻る。フランとレミリアは、左の所で向かい合って座っており、何か楽し気に会話をしていた。

 あぁ、やっぱし良いよね…こう言う光景…何かホッとする。

 

「あ、茜お姉ちゃん速くー!」

「いやいや、そんなに速く出来ないわよフ

ラン」

 

 フランが私を見て、待ちきれないかのように立ち上がって私を呼ぶ。

 っというか、こう見えても私は速くしたつもりなのですが…これはいったい……どうしろと。

 

「茜、フランはお腹が空いている時はいつもこうなのよ」

「あ、そう、なんだ…」

 

 レミリアが顔を横にして私を見ながら、少し何かを喜んでいるような、楽しんでいる感じで私にそう言う。

 あぁ、そうなんだ…

 レミリアったら昔のフランの事をまだ覚えているだなんて、愛情ねー……たぶん。

 私は会話をしながらも、皿をレミリアとフランの前に置いていく。

 

「わー、やっぱしおいしそう♪」

「あはは、まあフランの手伝いもあって、もっと美味しくなっていると思うよ?」

「本当!?」

「えぇ」

 

 フランは驚いた後、喜びの顔になって今か今かとうずうずしている。

 速く座らないといけないのだけれど、何処に座ろうかー…

 

「茜、貴女の席はそこよ」

「…いやいやいや、そこは普通レミリアが座る場所でしょ明らかに」

 

 私が何処に座ろうか迷っていると、レミリアが真ん中の奥席を指差して貴女の席はあそこだと言う。

 あそこ完璧お偉いさんとかが座る席だって…分かるかな、よく漫画とかで大きな細長いテーブルの真ん中にはお偉いさんが座っているシーンを……

 レミリアはそこに座れと言うのだ。

 絶対そこレミリアだって!!

 

「良いのよ、そこは茜が座っている方が様になるの」

「あぁ…そう……?」

 

 言葉ではそう言うが、脳内ではまじで納得がいかん。だが此処でこんなどうでも良さそうな事で時間を取れば、フランの機嫌がヤバくなる。

 なので私はしぶしぶと真ん中の椅子に座り、両手に持っていたご飯とカレーをテーブルに置く。

 

「うん、手を合わせるわよー」

 

 私は手を合わせてそう言うと、左に居るフランと、右に居るレミリアが私を見て、静かに手を合わせる。

 

「じゃ…」

「「「いただきます!!」」」

 

 そうして、早速にもフランがスプーンを持ち、カレーをご飯にかけて一口食べる。

 

「うぅん♪おいしい!」

「あはは、それは良かった」

 

 フランがおいしいと、少し翼がパタパタと動く。

 

 なんだあれ!? か、可愛い…ブファ……

 鼻血が出そう…!!

 まてまて、落ち着け! 落ち着くんだ私…

 今此処で鼻血なんか出したら結構、いや、大変恥ずかしい…!

 

「…うん、やっぱし、メイドが作ったご飯よりも、茜が作った料理が一番ね」

「え、いやー…それはどうも」

 

 

 私が色々と変な事を考えているうちに、レミリアがカレーを食べていた。

 …すると

 

「お、お嬢様…私が作った料理よりも……おいしいのですか…!」

 

 突如、レミリアの隣に現れる咲夜…だがしかし顔色が良くない様です。

 

「あら、咲夜…えぇ、まあそうね、きっぱり言うと、茜の作る料理の方がおいしいわ」

「……」

 

 レミリアが咲夜に心に止めを刺す発言をして、固まってしまう。

 

「咲夜、悔しかったら一口食べてそれを覚えて、作ってみるのね…はい、あーん」

「お、お嬢様それは…!」

 

 レミリアがカレーをスプーンで一口分取って、咲夜に向けてあーんっと言う姿。

 あれはヤバイわ。効果抜群なんじゃないかな…

 するとどうであろう。咲夜はそのレミリアを見て固まっていた腕を動かして右手で鼻を抑えた。

 

「…すみませんお嬢様、トイレに行かせて貰います」

 

 そう言い残し、咲夜は消える。

 …きっとトイレで発狂しているに違いない。

 

「……あ、私ちょっと門番に行って美鈴呼んで食べてもらうように行ってくるわ」

「ん、良いけど、フランと一緒に行かないといけないのよ?」

「あ…」

 

 そうだった、そう言えば一緒に居ないと駄目なんだった…!

 私はフランを見ると、聞いていなかったかのようにカレーを食べている。

 とりあえず、聞かれては…いないのかな。

 

「んー、まあ仕方ないかー…」

 

 フランが食べ終わった後に、向かうとしよう。

 私はスプーンを取って、カレーをご飯に

 かけて食べる。

 

「うん、おいしい…」

 

 

 

 

 

 

少女食事中…

 

 

 

 

 

「ごちそうさまっと」

 

 私はスプーンを皿の上に置いてから手を合わせて言う。

 レミリアとフランを見ると、同じく食べ終わっていた。

 

「お嬢様」

 

 突如となく、またレミリアの隣に現れた咲夜。毎回あんな感じなのかしら?

 

「どうしたの?咲夜」

「はい。実は門前でそちらの茜様に会いたいと、射命丸 文と言う天狗の記者が居られるのですが…いかがなさいますか」

 

 …まさか、文がこんな所にまで来るとは……

 来る事は分かってはいたけど、タイミング良すぎでしょ。

 

「そうね…茜はどうしたいの?」

「んー、一回話し合わないとまた来られそうだから行ってくるわ」

 

 本当に、一度会わないとまた来そうである。

 

「そう、分かったわ。咲夜、先に行ってもうじき来ると言ってきなさい」

「あー、その必要はないわ。すぐ行けるから」

 

 私は立ち上がり、すぐ行けると言う。

 空間作ればすぐだからね。

 

「フラン、門番に行くけど…来る?」

「行くー♪」

 

 フランを見て、行くかと聞くと喜んで行くと言った。

 あ、そー言えば…

 

「食器どうしようかな…」

「それならば、私が片付けますのでご安心を」

「お、ありがとう」

 

 食器をどうしようか困っていると、咲夜が片付けてくれるらしい。

 とても助かる。本当に助かる。メイドって良いよね…

 

「じゃ、行ってくるわレミリア」

「えぇ」

 

 私はレミリアに行ってくると言い、フランに近付き隣に此所と門番の境界線を切って空間を作り出す。

 

「行くわよーフラン」

「うん!」

 

 そうして、私とフランは空間に入り、門の前の地に着く。

 

 

 

 

紅魔館 門

 

 

 

 

カツッ

 

 私のブーツが、岩の地面に着く。

 

「あ、茜さん! と、妹様!」

 

 美鈴が、後ろに振り向いて私を見て、フランを見てそう言った。

 

「あやややや、随分とお早いですね」

 

 っと、美鈴のその後ろに文が居た。

 

「咲夜よりは遅い方よ、あと美鈴、食卓に私とフランが作った料理あるから食べてきなさいよ」

「えっ! 良いんですか!?」

「まあ、良いと思うんだけど…?」

「…じゃ、じゃあ! 少しの間、おいとまさせて貰います!」

「いってらっしゃーい…」

 

 美鈴が門を入れるくらいまで開けてから中に入って、走って紅魔館へと入って行った。

 

「お腹空いていたのかな? 美鈴」

「う、うーん…どうだろうね……」

 

 隣に居たフランが、頭の上に ? が出てきているように見えた。

 

「…さて、それで? 用はなんなの?」

「用があるのは茜さんだけなのですがねぇ…」

「フラン、邪魔なの…?」

 

 文がチラッとフランを見てからそう言うと、フランは自分に指を指して邪魔なの?っと少し不安と言うより、悲しいような目をした。

 

「い、いえ、そう言う事は無いのですが…」

「フランとは訳あって一週間、私と一緒に居ないと駄目なのよ」

「あやや、そうなんですか、因みにその訳とは…?」

「そうねー…紅魔館異変での処罰として、そうなっている感じ?」

「茜さんの処罰ですか?」

「フランの処罰よ…」

「おかしな処罰ですねぇ…」

「本当にね…えぇ」

 

 っと、そこでまたフランを見ると、橋の手摺に座ってぼーっと空を見ていた。

 めっちゃ暇そうじゃん…!?

 

「…速めに終わらせれる?」

「あやや、何か急用でもあったりとかするんですか」

「急用でもないけど、フランが暇しているからねぇ…」

「……そうですね、じゃあ本題に入りますよ」

 

 文もフランを見てから、本題に入ると言う。

 はて、何を聞かされるにやら…

 

「茜さん、ズバリ言いますが…貴女は本当に天狗ですか?」

「……ん、どう言う事?」

 

 本当に天狗か…?

 今の体は真夏そのもの、つまりは天狗…

 天狗、だけど…??

 

「普通、天狗と言うのは人間や他の妖怪にはそれほど好意は持ちません。ですが茜さんは、隣に居るフランさんや、この紅魔館の主人とも仲が良い…本当に、天狗なんですか?」

「…あぁ、そう言う事ね……そうね。私は只の天狗、他の人とはちょっと違うのよ」

「何だか答えになっていないと思うのですが…」

「気のせいよ、それで? 話はそれだけなの??」

 

 手を顎に当てて、何かを考える文。

 一体何を考えているのやらか…

 

「…貴女について取材をしたいのですが…どうも天魔様が御許しをくれないので、あまり話がないんですよねー……」

「あらあら…白亜ったら、何ともまあ厳しいわね」

「そうですね…あ、これ今日の新聞です。良かったら読んでみて下さい」

「ん?」

 

 突然と、文が新聞を私に渡してきた。

 何かありそう…

 私は黙って新聞と文の顔を見ると、文は営業スマイルもしばければ、警戒もしていない。

 無表情に近かった。

 

「……………」

「あややや、そう見ないで下さいよ、別にお金だなんて取りませんから」

「じゃあ何で私にくれたの?」

「より多くの方々に新聞を見てもらう為ですよ」

「あー、そう…」

 

 どうやら、私にも見てもらいたいそうだ。

 私は新聞を広げてみると、表の新聞一面には昨日の夜に起きた紅魔館異変についてびっしりと埋まっていた。

 「あの紅い館、吸血鬼の主人が速くも異変を!? 博麗神社の霊夢が、その異変を解決した!!」っと…ふむ。

 とりあえず、私は軽く全部読んでみて、ある事に気付いた。

 それは、私が載っていない事である。

 いや、別に載せなくても良いが…あ、そうか白亜か、なるほど。

 

「その異変なのですが、最後に何かあったようですね。何があったんです?」

 

 文が最後に何があったかを尋ねる。

 最後、と言うのはたぶんフランの暴走の事であろう。

 霊夢は何も言っていない、か…

 はて、言うべきか黙るべきか。

 

「うーん…」

 

 そうだなー…

 

「…ただの姉妹喧嘩よ」

「異変解決の後に姉妹喧嘩…?」

「あー、まあそうかな」

 

 姉妹喧嘩、だよね…いや、もうそうさせておこう。

 

「変な事が起きたんですねー、それは記事にはならなさそうです」

「茜お姉ちゃんまだー?」

「ごねんね。もうじき終わるわ! …っと言う事なんだけど、悪いけど此処までで良いかな?」

 

 文ががっかりすると、手摺に座っていたフランが私を呼ぶ。

 たぶんもう我慢が切れそうなのであろう。

 

「はいはい、大丈夫です!大体話したい事は話しましたので」

「そっか、それは良かったわ。じゃあねー文」

「またお会いましょう。では」

 

 そう言って文が上空へと飛んで妖怪の山方面へと行った。

 私はフランの方へと足を運ぶ。

 

「ふー…ごめんねぇフラン、またせちゃったわ。代わりに何処か連れて行ってあげるから、ね?」

「本当に!? やったー♪」

 

 素直に喜ぶフランは、本当に子供っぽかった。

 …いや、まあまだ子供なんだけれどもね。

 さて、とりあえずレミリアに許可貰わないとなーっと。

 私は隣に体の半分くらいの空間を切って、顔を入れる。

 

「レミリアー、ちょっとフランと出掛けてくるわー」

「…え、あ、茜!? ……怖いからやめてよ…」

「あ、ごめん」

 

 顔を出すと、レミリアの横顔が見えて普通に喋り掛けたが…うん、まあ確かに怖いであろう。

 なんせ急に隣から声が聞こえて、そちらに向けると顔と上半身しか見えないのだ。

 驚くであろうし、少し恐怖を覚える。

 そこで、レミリアの奥からひょこりと咲夜が顔を出す。

 私は「どうもー」っと手を少し振る。

 

「今度は気を付けるよ」

「…それで、フランと出掛けたいって?」

「そそ、ちゃんと一緒に居ておくから大丈夫だよ」

「茜がそう言うなら、別に良いわ」

「ありがと、じゃあ夕方くらいには戻ってくるわ。またね」

「えぇ」

 

 そう言ってから、顔を引っ込めて空間を消す。

 

「さ、行きましょうフラン」

「うん!」

 

 私は翼を出して、フランと共に空を飛んだ。

 さて、何処に行こうか…

 

 

 

 

少女移動中…

 

 

 

 

天狗の里 茜の家

 

 

 

 ヘヘッ、家に来ちまいやしたわ。

 何故来たのか?

 いやー、ちょっと用事思い出したからね。

 あのね、「しばらくフランと一緒に居ないといけない=紅魔館に居ないといけない」だから白亜にちょっと言っておかないと心配するかなーって事で来ましたよ。

 

「ねぇねぇ茜お姉ちゃん、これなーに?」

「んみゅ?」

 

 私が心の中で一人芝居をしていると、フランがテーブルの上を指して何かと聞く。

 いや、それはテーブルと言いまして……ん?

 そこで私は、何か上にある事に気付く。

 私はテーブルに近付き、少し古さを感じさせる一枚の紙を手に取る。

 紙には下手で、震えて書いたかのような文字がひらがなでこう書かれていた。

 

「ちていへいく」

 

 ちていへいく…地底へ行く、かな?

 あれ、何か右下にまた何か書かれている。

 

「…あー……そっかー」

 

 あぁ、忘れていた。

 今の今まで色々な事がありすぎて、すっかり忘れていたよ…

 

 …いずな

 

 そう紙の右下には書かれていた。

 

「イズナ…懐かしく、言うなー……」

「…茜お姉ちゃん、その紙がなんなのか分かったの?」

 そこに、フランが隣から持っていた紙を見ながら言う。

 

「えぇ、まあ、ね…フラン、明日は地底に行きましょ」

「地底…?」

「そ、地底…この幻想郷の下にあるのよ」

「へー、フランそこに行ってみたい!」

「じゃあ決定ね」

 

 さ、明日は地底へ行く事に予定が決まった訳ですし、そろそろ白亜の所に行こう。

 

「フラン、白亜に会いに行くわよー」

「うん!」

 

 フランは何かご機嫌斜めで、とても元気であった。

 そうして、私は襖を開けてフランと部屋から出て、廊下を歩いて行く。

 

 

 

 

 

 

少女移動中…

 

 

 

 

 

「それで、茜様は元気そうだったと…?」

「はい、それはもう普通ないつも通りでしたよ」

「そう」

 

 白亜と、文が私について話をしていた所に私は来てしまったようだ。

 はて、どうするか…このまま引き返すか、「やぁ」っと言って普通に登場するか…うーむ……

 

「あやや、茜さんじゃありませんか」

「えっ!?」

 

 文が私を見てそう言うと、白亜が驚いて顔を斜め後ろにして私を見る。

 

「や、やぁ…」

 

 プランBで取り敢えず答える。

 しかしぎこちない感じとなってしまった。

 とても恥ずかしい…

 

「え、え!? あ、茜さん!? いつからそこに!」

「んーと……さっき?」

「そ、そうなんですか…じゃあ良いです」

「? 何々? 何か私に聞かれたら駄目な事なの??」

「そういう訳でも、ないのですが…」

 

 白亜が私から視線を逸らして、少しもじもじする。

 本当に何なんですかっ!

 

「あ、茜さんが…元気か……今日会いに行った文に聞いただけです」

「あーなるほどね、まったく白亜は心配しすぎなのよ、天魔の仕事を優先しなさい?」

「そう、なのですが…何分、昔は真夏様…あ、いえ、茜さんの使者でしたので…仕事をしていても、茜さんの事が気掛かりで集中出来ないんですよ」

「あらら、そうなのね…」

 

 まあ、そうなるのが妥当と言うやつなのかな…

 昔が昔だしね。

 

「昔は、天魔様は茜さんの使者だったんですか?」

「…そうよ、茜さんは昔天魔様で、私は茜さんに使える使者だった。まあ、もう昔話は終わりにして茜さん、どうなされたんですか?」

 

 文が質問をして、それに答えるものの、昔話を中断させてどうしたのかと私に聞く。

 

「ん、えーと…実は、1ヶ月間この子…フランと一緒に居ないといけない事になったのよ。ほらフラン、自己紹介」

 

 そうして私は、後ろに隠れていたフランに優しくそう言う。

 うーん、また人見知りか?

 

「え、えと…初めまして、吸血鬼のフランドール・スカーレット と、言います。 お願い…します……」

 

 顔をひょこひょこと出しながら自己紹介をした。

 ひゃん!可愛い!!

 我ながら変な所でテンションが上がる。

 

「は、はぁ…それで、一緒に此所で…?」

「あー、違うのよねー…紅魔館で暮らさないといけないのよ」

「紅魔館?」

「湖にある紅い館よ」

「なるほど…」

「心配はしないでよ? 白亜」

「…努力します」

「うん、なら良いわ。じゃあもう行くね」

 

 もう今すでに心配している白亜が居るが、明日はそんな顔はしなくなるであろう。

 こう見えても白亜は努力家だ…そうでなければ天魔だなんてなっていない。

 私は広間の入り口である扉へと歩くと、フランは私の後ろ服を掴みながら付いてくる。

 

「あ、あの! 茜さん!!」

「? 白亜、どうしたの?」

 

 今まさに扉に手を掛けようとした時、白亜が私を呼ぶ。

 私は足を止めて後ろに視線を向ける。

 

「えっと、その一週間後に帰ってきた明日に、私と付き合って下さい!!」

「「え…?」」

 

 白亜の告白(?)に、私と文は「え?」っと声を出してしまう。

 いや、まじで「え?」なんですけども…

 

「茜お姉ちゃん、付き合うって、どう言う意味?」

「え、えっとー…それは男と女が外でいちゃいちゃとか……」

「え! 茜お姉ちゃんって男なの!?」

「そんな訳ないでしょ!?」

「あの茜さんが実は男…これを記事にしたら……!」

「違うから!!」

 

 フランが付き合うについて質問をしてきて、じゃあ茜は男なの?っと聞いてくるが、そんな訳ない。

 そして何で文まで食い付く…!

 待てや!やめやめやめ!!これ以上は止めろ!!

 …いや、確かに魂は男ですけども、体は女だからね?

 

「あ、あか、茜、さんが…お、男……」

 

 そして白亜が顔を真っ赤にさせて、私をチラチラと見ながら変な事を口走る。

 待て、男じゃないから!

 男じゃないからぁあああああーっ!!

 確かに魂は男だけど…ってもうめんどくさい!!!

 

「白亜、私は女だから落ち着いて」

「え! そ、そうですね…はは、す、すみません」

「はぁ………それで、付き合うって具体的にどんな事をするの?」

 

 白亜が少しずつ落ち着きを取り戻していき、私は付き合いの内容を聞く事にする。

 

「そ、そうですね…町をぶらぶらしたり、何か色々したいと思います」

 

 色々…?

 色々…え、白亜、正気なんだよね?

 色々とか言われたら普通に、あんなことやこんなこと想像しちゃうんだけど、私だけなの?

 っていうか、白亜は白亜で天魔の仕事ほったらかしにする気なのか…

 

「白亜、天魔の仕事大丈夫なの…?」

「大丈夫です、一ヶ月に一回は休みを作るようにさせていますので」

「あぁ、そう、なんだ…」

 

 どうやら、休みを取れるらしい。

 らしいって言うかこう言うの絶対白亜が決めた事なんだけどね。

 バイトで言う店長のわがままルールみたいなものだ。

 

「まあ別に良いわよ、約束する」

「本当ですかっ!? 良かったー…」

「天魔様と茜さんが付き合う…これはーー」

「文、付いてきたら…処罰を下すわよ?」

「あやややや! な、何の事ですか!?」

 

 文が何かをメモしていると、白亜がギロリと文を睨んで付いてきたら処罰すると言う…おぉ、怖い怖い。

 

「…それじゃ、もう良いかな?」

「…え、あ、はい! 楽しみにしています!」

「うん、またねー」

 

 白亜は怖い顔から一気に喜びの顔に変えて、手を振る。

 そうして私は扉を開けて、フランと一緒に出る。

 

「うーんと、もう夕方…か、フランそろそろ帰りましょ」

「え、もう帰るの?」

「レミリアとそう約束しているからねぇ…」

「そうなんだ…うん、分かった」

 

 本当はもっと行きたいが、レミリアとの約束時間は夕方…あまり破る訳にはいくまい。

 

「大丈夫よ、また明日も出掛けるから」

「…うん」

「それじゃ、帰ろっかフラン」

 

 私はフランの手を掴んで握る。

 そうして、紅魔館に向けて飛んで行くのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。