東方茜日誌   作:ミユメ

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二話同時投稿。


【第5話】 永遠の別れ

~永樹 視点~

 

 

 

 

 何か里の門壊されて、しかもそこから銃を持った人間達が攻めてきたんだけど…

 え、何々どうなってんの?

 俺は真夏の家の中で戸惑っていて、動くにもどうしようか迷っていた。

 

ドンッ

 

 すると、武器を持って走っていた天狗にぶつかり、天狗は俺を睨んで

 

 

「ぐぅ!邪魔だぞ人間!!」

 

 

 そう怒鳴った。

 

 

「あ、すみません…」

「チッ…!」

 

 

 俺は謝ると、天狗は舌打ちをしてから廊下の奥へと走っていった。

 …俺は、何をしたら良いんだ?

 敵が攻めこんできているのに、ジッとなんてしてられない。

 ……そうだ、真夏は…!?

 こんな事態になっているんだ。

 アイツが来ない訳がない。

 しかし、まだ来ては居ないそうだった。

 

 

「…行くしか、ねぇな」

 

 

 俺は真夏の所へと行く事を決意し、先程天狗が走っていった方に駆け出す。

 

 

 

 

 

 

少年移動中…

 

 

 

 

 

 

 何だよ…これ……

 外に出てみると、そこには死んでいる天狗や、人間が地面に倒れこんでいた。

 奥の方でまだ戦っている。

 相手の人間は銃…アサルトライフルを使っている。

 一方天狗は火縄銃なので、これは最早勝負が見えているにも近い。

 しかし大半の天狗は銃弾を避けながら突撃して槍で倒していっている。

 戦力は…同じなのであろうか……?

 

 

「…いや、今はそんな事を考えている暇はない。速く真夏の所へ行かないと!」

 

 

 だが、門前は戦場の中心となっており、近付けない。

 クソッ、何処か他に抜けれる道は無いのかよ…!

 

ザシュ!

 

 

「…?」

 

 

 隣の方から、何かを刺したようなそんな音が聞こえた。

 俺は音の聞こえた所に顔を向けると、銃を俺に向けていた人間の腹に、後ろから刃が刺さっていた。

 何が起きたのかがよく分からず、俺は少し呆然としていると、人間がゆらりと少し動いて右に飛んでいった。

 見ると、そこには血塗れになっている槍を持ったあの白髪の女性天狗…高音 白亜が居た。

 

 

「…貴様、死にたいのか?」

 

 

 高音は言いながら突っ立ったままの俺に近付き、止まる。

 

 

「これは天狗と月の人間の戦いだ、貴様が出る場所ではない!」

 

 

 最後に、槍を俺の目の前で突き立てる。

 一歩歩けば槍に当たる。

 

 

「…俺は、この事を真夏に伝える為に行くだけだ」

「ッ!!貴様ァ!!!」

 

 

 高音は槍を下ろして、更に近付いて来てから余っている手で俺の胸倉を掴んできた。

 

 

「いつもいつもそうやって真夏様を呼び捨てにするな!貴様は人間、我等は妖怪だ!!格の違いと言うものを知れ!!」

「うあっ!」

 

 

 高音はそう言うと、突き飛ばしてきた。

 俺はバランスを崩し、後ろに倒れてまた目の前に槍が突き立てられる。

 

 

「…此所で俺を殺す気か?」

「それも良いだろうな。貴様が死にたいと望むのならば、すぐにでも此所で殺してやる」

「……………」

「……ふん」

 

 

 しかし、興が覚めたのか、槍をまた下ろして一度視線を戦場となっている門に向けてから俺を見る。

 

 

「貴様を殺せば、私はすこぶる嬉しいな…しかし、真夏様が悲しまれる事は……したくないだけだ」

「…お前、真夏とはどういう関係なんだ……」

 

 

 今までもそうだったが、他の天狗達は天魔様と呼ぶのに、高音の場合は真夏様と言う。

 何か人惜しい関係なのであろうか…

 俺は立ち上がり、服に付いた土を手で払い落とす。

 

 

「こんな事態になっていると言うのにも関わらず、そんなどうでも良い事を聞くのか?それに、私は今忙しいんだ」

「…じゃあ聞くのは止めよう。代わりに俺を真夏の所へと連れて行ってくれ」

「……人間、私は今忙しいと言ったぞ…?」

 

 

 頼み事を言うと、今にも怒り出しそうな表情で睨み付けてきた。

 俺は少し怖かったが、恐れを表に出さない様にしていた。

 

 

「お前、真夏が心配じゃ――」

「真夏様はそう簡単には死なないお方だ!!」

「…もし、お前が心配じゃないと言っても、俺は心配なんだよ」

「ッ!貴様良い加減に…!」

「白亜様!」

 

 

 っと、そこで上空から一人の天狗が降りてきて高音の隣へと走り、高音はその天狗に顔を向ける。

 

 

「何だ」

「我々の戦況ですが、第2部隊が壊滅し、第3部隊と第4部隊が危険な状態です!白狼部隊が全線で戦っていますが、状況はよくありません!」

「…分かった、私は第3部隊を援護する。お前は第4部隊を援護しろ」

「了解しました!」

 

 

 天狗はそう言ってから、また上空へと飛び立って行き、高音も何処かに飛び立とうとする。

 

 

「お、おい待てよ!俺を真夏の所に連れていってくれよ!」

「…飛ぶ事も出来ない人間め」

 

 

 また、槍を俺に突き立てる。

 これで三度目だ。

 

 

「……………」

「…速く掴まんか人間!」

「は、はぁ?」

 

 

 俺は訳も分からず戸惑ったが、槍の刃が無い部分を両手で掴んだ。

 直後、高音は大きく翼を打って飛び立ち、俺の体が浮く。

 門の少し右を行き、大きな壁を通り抜けた。

 そして森へと降りて、高音は槍を上に上げて下へと振ってきた。

 

 

「うわっ!」

 

 

ドサッ

 

 俺は勢いに負けて振り落とされ、地面に叩き付けられた。

 全身が痛かったが、俺は少し無理にでも立ち上がり、見上げている高音を見る。

 

 

「連れてきてやったんだ、お礼は今ので良い」

 

 

 …お礼を聞くだけは、物足りないってか。

 全く、怖い者だ。

 

 

「真夏様は此処から奥の場所で町長と居るはずだ。まあ精々、妖怪や獣に喰われない事だな」

「…そうだな、ご忠告ありがとう」

「……ふん」

 

 

 高音はそっぽを向き、壁の上へと飛んで中に入って行った。

 

 

「…さて、俺も出来る事をしないとな」

 

 

 俺は森の奥へと走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドンッ!

 

 

「銃声…!?」

 

 

 走っている途中、近い場所から発砲音が聞こえた。

 聞こえたのは此処から少し左らへんだ。

 すぐにそこへと向かうと、血塗れで倒れている真夏に向かって、ハンドガンを持ってにやけつける白髪の爺が居た。

 …アイツ、許さん。

 俺は怒りに溢れ、爺の隣に出る。

 

 

「俺の大事な嫁を、よくも汚してくれたなぁ?」

「誰だ!」

「紅夜真夏…基、天魔様の夫である赤眼永樹だよ、クソ爺!!」

 

 

 そして、頭の中がほぼ真っ白で言いたい事だけを言ってしまった。

 本当は夫でも無いのに…

 

 

「チッ!まずは貴様から死ね!」

 

 

 爺は真夏から俺に銃口を向け、射ってきた。

 "銃弾を止める"

 俺は瞬時に能力を発動させ、あと少しで俺の心臓を貫こうとしていた一発の銃弾が宙で止まる。

 

 

「なっ!何が…!?」

 

 

 爺は何故銃弾が止まったのか分からず、戸惑っていた。

 

 

「…お前と何時までも、喋っている暇は無いんだ。大人しくお前が死んでくれ、爺さんよぉ」

「ッ!?」

 

 

 銃弾を反対させ、尖っている方を相手に向けて右手の人差し指で弾く。

 

ピンッ!

 

 銃弾は脳を貫き、爺のデコには一つの穴が開いて声も無く倒れた。

 俺は倒れたのを確認し、すぐに真夏の所へと向かった。

 体を仰向けにさせ、状態を見ると、人間の俺にはとても酷い有り様であった。

 左腕には矢が刺さっており、右手と胸には銃で射たれた穴…それらの怪我の部分から、かなりの出血がしていた。

 息は静かく呼吸し、今にも閉じてしまいそうな眼をしている。

 妖怪であるから、此処まで生命力が強いのであろう。

 

 

「…真夏、大丈夫か!?」

「はは、残念だけど…ちょっと、無理…かなぁ……」

「…ッ!」

 

 

 真夏は普段何かよりも弱々しい声で答えた。

 

 

「…ねぇ、永樹」

「なんだ?」

「……私は、もう…無理かも…」

「駄目だ、駄目だ…!死ぬなよ!!頼むから、まだ大丈夫だと言ってくれよ!」

「無理だよ、永樹…」

 

 

 真夏が苦しそうにして、そう告げた。

 …俺は、俺は何も出来ないのか……

 くそっ…!くそっ!!

 自分の能力で、何か出来ないのか…!

 何か、出来ないのかよ……!

 

 

「永樹…自分の体は、誰よりも自分が分かる…ものなんだよ……ねえ、私の、頼、み………やってくれる?」

「頼み?」

「うん、永樹にしか…出来ない頼み」

 

 

 真夏が少し無理な笑顔で、言ってくる。

 俺にしか、出来ない頼み…何だってしてやる。

 何だって……する。

 それくらいしか、俺には出来なさそうだった。

 

 

「私を…取り込んで?」

「…ッ!!!?何で…お前、それを……」

「永樹は、わかってるんでしょ?取り込むやり方……だから」

「駄目だ!そんなの!!殺してくれと言っているもんだ!!!」

「…もうじき、私は死ぬんだよ?…死ぬんだったら、好きな人に殺されたいな…だから、ね……?」

「なん、で……」

 

 

 取り込む…それは、俺の能力を使って真夏の体を全て原始へとさせたあと、その原子を俺が受け止める事だ。

 …しかし、それをすれば…俺は真夏を殺す事にもなる。

 原子は取り込めても、真夏の魂は取り込めない…

 魂は原子ではない、存在するかどうかも分からない物体なのだから…

 だがそれよりも、何故それを真夏は知っているのか。

 

 

「何で知ってるか…気になるみたいだね」

「当たり前だろ!何で俺の能力の使い方を真夏が知ってるんだよ!」

「簡単、だよ…人も、妖怪も…皆、原始で出来てるから…ね」

「………正解、だ」

「自慢では、無いけれども…考えるのは、得意…だからね」

「…真夏には、敵わないな……」

 

 

 たった3時間程で、此処まで使い方を考えられるとは…流石だった。

 

 

「…永樹、そろそろ…速く、お願い……」

「…っ……ほんとに、それで…良いんだな?」

「…うん」

 

 

 ………

 

 

「………分かった、じゃあ…行くぞ、真夏」

 

 

 

 標的を真夏に

 "体全てを…取り込む"

 発動させると、真夏の回りから光る小さな小粒が、俺に取り込んで行く。

 これが、真夏自身の体の原始であろう。

 

 

「えへへ…永樹と一緒に居れる……私は、幸せ者だなー……」

「真夏…!」

 

 

 取り込んで行く時、同時に真夏の記憶までもが入ってくる。

 

 

 ――私、もしかして…アイツの事が……?

 

 

 ――赤眼と一緒に居ると、本当に楽しいなー…

 

 

 ――永樹、私…

 

 

「…あぁ……真夏…俺も、真夏が好きだ」

「告白…?」

「…そうだ」

 

 

 そうか…真夏は、俺の事が……

 もしかすると、俺も…そうなのかもしれない。

 気付けば、俺は泣いていた。

 今更そんな事に気付いて、涙が出たのかもしれない。

 

 

「ありがとう、永樹…」

「うん……ごめん、こんな事になるまで、気付いて居なかったなんて…」

「ううん、良いよ……ねえ、キス…して……」

「…あぁ」

 

 

 真夏がキスをしてほしいと頼んできたので、俺は何の迷いもなく、綺麗な顔の真夏の顔に近付き、唇を合わせ…

 

 

「んっ……っ……………」

「……ん…………ぷはっ」

 

 

 キスをした。

 それは、短いディープキスで、真夏との初めてのキスで、最後のキス…

 

 

「はぁ……ふー…えへへ、初めての…ファーストキス、永樹に取られちゃった」

「はぁ、はぁ……俺も…初めてのファーストキスを、真夏に取られたよ…」

 

 

 キスをしていた間に、真夏は消えていく。

 

 真夏が消えて、居なくなるのだ。

 

 …俺の一番の友達であり……俺の初めての………彼女が。

 嫌だ…!消えるなよ…真夏!!

 涙が止まらない、もう、どうしようもないくらいに…

 すると、目に少し涙を貯めていた真夏が泣き始めた。

 

 

「ゥゥ…永樹が泣いてばっかだから、私も、泣けてきたよ…!」

「だって!…だって…!!」

 

 

 真夏が消えるのに、悲しくない訳がない。

 悲しいから、涙が出る。

 

 

「…笑って……?永樹…私に、最後の笑顔を、見せて」

「…グスッ……こ、こうか?」

 

 

 俺は、真夏に言われた通りに笑顔を見せる為に、必死にして笑顔を作った。

 泣きながらの笑顔だが、俺には関係なかった。

 それを見て、真夏も泣きながら笑顔を向けた。

 

 

「へんな笑顔…でも、嬉しい……」

「変でも…それなら……良いよ」

「……永樹」

「…なんだ?」

「私、永樹と一緒に居れて、楽しかったよ…永樹と一緒に、能力の練習…したかったな……もっと、お喋りしたかったな…けど、もう、永樹とは喋れないし、もう二度と会えない……だから、今までありがとう…!ありがとね!永樹!!」

 

 

 その言葉を聞き、俺は堪らず真夏を抱いた。

 

 

「真夏…真夏!……俺も、真夏と一緒に居れて、本当に楽しかった…!!ありがとう…真夏」

 

 

 俺が言える事としたら、これぐらいだった。

 楽しかった、好きだ、今までありがとう。

 

 

「…うん……じゃぁ………ね………………」

 

 

 …そして、真夏は消え、俺(私)は…生まれ変わった。

 

ドサッ…

 

 そこで俺の意識は、途絶えた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………

 

 

「…ん………?」

 

 

 …此処は?……何処だ?

 森の中で、俺(私)は倒れていた。

 …俺(私)?

 体を起こして、体中を見回す。

 肌は綺麗な色をし、髪はなんだか伸びていて、焦げ茶色。

 服は白い天狗服で、中からは黒い服が見える。

 そして、何よりも…

 

 

「…真夏の翼……か」

 

 

 俺(私)の背中には、いつも見ていた真夏の大きく、美しい黒い両翼が生えていた。

 取り込みは、成功したようだった。

 

 

「真夏…俺(私)、真夏の為にも生きるよ…ありがとう」

 

 

 俺(私)は立ち上がり、途方もない道を、歩いて行った。




次で本格的に東方のキャラが出ます。
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