~レミリア 視点~
「あ…御姉様、また太陽が出てきた」
「ほらね、通り雲だと言ったでしょ?」
「それでも結構長い間だったよ?」
「大きな曇だったんでしょ…たぶん」
…皆さん、こんにちは……?
誰に言っているのか、私には分からないのだけれども、今私はフランと家でゴロゴロとしながら会話をしていた。
茜は食材を取りに行くと言っていたけれど…遅いわね。
ガラガラガラガラッ…
「ふー…ただいまー」
「此処が家なのかー…」
玄関が空いた音がしたので、そちらに目を向けると、茜と…
「…誰?」
見知らぬ金髪の少女が、茜の隣に居た。
「あー、うん今から説明するよ」
茜は玄関で靴を脱いで入ってきたが…黒いブーツ?……今まで茜の靴だなんて見ていなかったけど、あんなの履いてたのね…
少女説明中…
「…って事で、今に至るって訳よ」
「そうなのね…」
「血塗れだねー」
茜が説明し終えると、私は納得をし、フランはルーミアの服と顔に目がいったらしい。
確かに所々の顔や服…主に下と上に血が付いているのが分かる。
しかしその血は、少し黒くも濁っており、固まっていた。
何時間か前に付いた血なんだと、私は感じた。
「まあ、なんにせよ…」
「それにしても…」
「「茜(お姉ちゃん)に手を出すだなんて良い度胸ね(だね)」」
フランもそこを思ったらしく、声が合った。
「虐めは嫌なのだー!」
「まあまあ、良いんだよレミリア、フラン…私は何にも怪我してないんだし」
ルーミアをかばうかのように茜が言い、怪我をしていない手を見せたり、傷付いてない服を見せたりした。
「貴女も貴女で、甘いわねー…」
「次、茜お姉ちゃんに手を出したら容赦しないかんねっ!」
何故その場で殺さなかったのか…そう言う疑念を抱いた私は、茜を甘い人だと言い、フランはルーミアに忠告をした。
「とりあえず私は料理を作るから、大人しくしておくのよ?」
「「「はーい(なのだー)」」」
茜は少しクスッっと笑って、キッチンへと足を運んだ。
何が面白かったのかあまり分からなかったが、気にしないでおいた。
「ねーねー御姉様、いちお私達も自己紹介しとこうよー」
っと、そこでフランが私の服を少しグイグイと引っ張る。
「ん?…えぇ、そうね」
「自己紹介なのかー、私はルーミア、よろしくなのだー」
「吸血鬼のフランドール・スカーレットだよ!よろしくねっ!!」
「…私はフランの姉である吸血鬼のレミリア・スカーレットよ、よろしく」
ルーミア、ね。
まあ、覚えておいても…何にも意味は無さそうだけど、いちおで覚えておこうかしら。
~茜 視点~
何だか、向こうで楽しそうな声が聞こえる。
女同士って良いわねー…って私も女なんだけどね?
料理は、肉料理をメインで作ろうとしている。
だって、レミリアもフランもルーミアも肉食でしか見えないもんっ!
そんな連中に野菜出せってか、自殺行為ですよ自殺行為。
例えば、好きな彼女が「肉料理好きで嫌いなのは野菜です(テヘペロ♪)」って言う人に対し、野菜料理を出して「はい、出来上がり。たんと食えよ」と言ったらどんな顔になると思う?
無表情か激怒しますよ絶対に。
もしフランかレミリアかルーミアの誰か一人が激怒したらもうこの世界終わりかもしれませんよ。
その位の相手ですから。
特にフランだけは駄目です。
絶対に駄目です。
もう一度言うぞ、絶対に駄目です。
…と言うわけで肉じゃが風のを作ろうと思っている。
大丈夫だ、確かに肉じゃがにはジャガイモとか人参の野菜があるが、出汁を染み込ませれば味は変わる。
ふっ、こんな天才的な考えを思い付いたのは私くらいであろう。
おら、料理人掛かって来いよ、私が相手だ!
料理で決闘しやがれ!!
よし、設定として私の隣に超一流の料理人が居ようとしようじゃないか。
ふふふ、前世の私は実は料理が出来る。
家庭料理主婦VS超一流料理人
か、面白い、受けてたとう!
…ただまあ、時代が時代だしねー…ない材料もあるわけでして、ね?
…今思えば、真夏の記憶を見ていって、私は驚きで一杯だった。
此処が私の居た世界の遥か昔の時代だってことに……他に驚いたのが、真夏は生まれた時から周りの者は敬語しか使っていなかったこと…だから、永樹が自然体で、好きだったんだな……
…はぁ、おかしいおかしい、自分で自分を好きになるって感じだわ。
真夏の気持ちも、全部分かってるからな、今の私は…そうだ
"記憶忘れを切断"
っと…よし、真夏の記憶は残しとかないと駄目だしな。
…さて、待たせたな料理人よ。
いざ、勝負ぅうううう!!!
そうして、調理場では一人、熱いバトルが繰り広げられた。
料理を待っている子達は、この事に気付いてはいない。
少女調理中…
…うむ、出来た。
白ご飯見るの久々すぎて今ちょっと感動してる。
そして、私と戦っていた料理人が作った料理はなんと、味噌汁であった。(本当は茜が作ったが、気分は超一流の料理人が作ったと言う設定になっている)
私はメインの肉じゃがで、貴様は脇役の味噌汁だと…?
な、舐めてやがるコイツ…!(自分が作った料理なのに嫉妬しています)
そんなので私に勝てると思っているのか?
残念だが、諦めるんだな。
もうこの勝負の勝敗は決まっている。
なに、直ぐに分かるさ…
"食器を浮かす"
量が多かったので物質能力を使った。
因みにこれは昔こそは不安定だったけど、今なら揺れ1つなく行ける!
楽いですね、えぇ…
私は皆が居る部屋へと向かった。
「お待たせー」
「あ、茜お姉ちゃん…え!?」
「わー、食器が浮いてるのだー!」
「豪華そうねー…」
私が食器を浮かせながら部屋へと入ると、何故か全員木で出来た少し黒の四角いテーブル前で正座しながら私を見た。
正座、出来るんだ…貴女達……ってきり荒々しいかと思ってた。
まあそれはさておき、私は肉じゃがが入っている皿と、ご飯と、最後に味噌汁を置いていった。
「そーいえば、茜は能力なんなのだー?」
「ん?話して無かったけ??」
「話してないのだー」
あれ、そうだっけ…ま、いっか、言っておこう。
「そっかー…私の能力は『物質を操る程度の能力』だよー」
「そーなのかー…何でもありだなんてズルいのだー!」
そんなこと言われてもなー…困る。
とりあえず、食器も置き終えたし
「まあ、その話はあとあと、手を合わせましょ?」
私が言った通りに、皆は手を合わせる。
「じゃ…」
「「「「いただきます!」」」」
同時に皆は箸を取り、肉じゃがを食べ始める。
味噌汁は後なのであろうか…
「! 茜お姉ちゃんこれおいしい!!」
「あら、そう?ありがとう、腕によりをかけて作った甲斐があったわ♪」
「おー!おいしいのだー!!」
「中々の物ね!おいしいわ」
ふふ、皆がおいしそうに食べている。
…だが、味噌汁の味も聞かなければ勝負は決まらない。
「肉じゃがも良いけど、そっちの味噌汁も飲んでみなさい」
私は味噌汁が入っているお椀に指を指して言う。
「これ…?」
「うん」
レミリアが聞いて、その後、味噌汁を見ながら呆然としていた。
まさか、不味そうだとか…?
しかし、そう思った瞬間にレミリアは味噌汁のお椀を持ち、口に付けて汁を飲む。
さあ、どうだ…
「…あら、美味しいわね」
…まじか
「肉じゃがとその味噌汁、どっちが美味しい?」
「んー……」
レミリアが少し悩みながら肉じゃがのジャガイモを箸で指して口に入れ、よく味わって噛む。
ど、どうなんだ…!
「……これ、かな」
レミリアが指を指したその先には、肉じゃがが入った皿だった。
…いょ、よっしゃぁぁああああ!
勝ったぁぁああああああ!!
料理人に勝ったぞーー!!!
……いや、待てよ。
良く良く考えたら、実はどっちも私が作った訳で、味噌汁よりも肉じゃがが美味しい…あ、いや、思い出さないでおこう。
これ以上言うと何かがえぐられそうだ。
くそう!
何で私は私の料理を競っていたんだ!
今考え直すと、とても恥ずかしい。
だけどまぁ、楽しかったし良いか。
…………………楽しかった、し……
「あれ?茜お姉ちゃん??」
私が少し頭を下げて考えていると、フランがその事に気付いたのか、声を掛ける。
私はその声に反応して、フランを見る。
しかし、視界は少しボヤけていた。
「ど、どーして泣いてるのだー!?」
「茜!大丈夫なの!?」
泣いている…?
ルーミアがそう言い、レミリアが心配になったそうだ。
「ふふ…大丈夫だけど、ちょっと……外に出るね」
「え、う…うん」
今度はフランが心配してくれた。
私は少し泣きながらもブーツを履き、外に出たのだった。
外は夜が始まったばかりの時間帯だ。
涼しい風を肌で感じながら、翼を出して家の上に降り立ち、木で出来ている屋根に寝転んで星を見る。
「楽しい、か…」
私は再度、料理を作る前や、レミリアやフラン…ルーミアに会えた事などを思い出していく。
それらには『楽しい』と言う感情があてはめられた。
「真夏は、一万年もの間…ずっとずっと退屈だったのに……私は、これで良いのかな…」
そう、真夏は生まれてからずっと、自由などは無かった。
天狗を従え、修行をし、戦場へ行っては倒すだけ。
親が居なくなってからも、それらは続いた。
時には同胞の天狗が死ぬのを見て悲しんだり、時には天狗同士が殺しあっているのを怒って止めたりで…『楽しい』と言う感情があまりにも少なかった。
「………」
本当に、私はこんな生き方で良いのか…
本当に、私はこんなにも楽しんで良いのか…
本当に、私はこんなので真夏は喜ぶのか…
「…………」
私の体で、永樹は自由に生きて、楽しんで良いよ…
これは真夏が、最後の最後に心の中で言った言葉だ。
自由に生きて良い…
楽しんで良い……
そう真夏が言葉を残してくれたのに、私は……
「……はぁ」
私の心はいつも「とりあえず楽しむか」でしかない。
それでも良いとは思うが、何故か迷う。
いや、考えてしまう。
…実はこの思いは、昔までは度々考えてはいたが、今はそこまでは考えていない。
考えても考えても、毎回辿り着く答えは…
「真夏がそう言ったんだし…そうした方が…良いんだろうね」
であった。
本当にそうなのに、何故考えてしまうのか…
「…答えは、単純なのにね」
……………
ガララッ
そこで、下の家から誰かが戸を開ける音が聞こえた。
「茜お姉ちゃーん!」
「茜ー!何処に居るのよー!」
「何処に居るのだー!」
どうやら出てきたのはフラン、レミリア、ルーミアの全員であった。
…全く、あの子達は私が居ないと駄目なのかしら……?
私は少し笑って、屋根から降りる。
ザッ!
っと、ブーツが地面に付いて音がする。
その音に気付いた三人は振り返り、私を見る。
「何で探しに来るのかしらね、貴女達は…」
私は同じように少し笑いながら言う。
「当たり前じゃない!貴女が居なくなると、少し寂しいのよ…」
「そーなのだー!茜が居ないと何かが違うのだー!」
「茜お姉ちゃん…」
最後は弱々しく言うレミリアに、何かが違うと主張するルーミア…
そして私に抱き付いて、上目遣い+少し涙目で見てくるフランが居る。
……フラン、襲っても…良いですか。
…はっ、いかんせん、こんな事を考えては駄目だ。
私は誤魔化すかのように、とりあえず笑う事にした。
「ふふ…はいはい、じゃあ中に入って食事を再開しましょ」
フランをおぶって、私達は家の中にへと入って行った。
少女食事中…
…肉じゃがを食べ終わって、皆は静まり帰っている。
さて、今日…行かないとね。
「レミリア、フラン、そろそろ行くわよ」
「行くって何処に行くつもりなのだー?」
「…紅魔館よ、けど、一日で行けるような場所ではないわ?」
ルーミアが聞いてくるので、言おうとすると、レミリアが答えてくれた。
一日で行けるような場所ではない…?
大丈夫、その推測は並の人の速度で行ったらそうなるだけであろう。
私なら……
「大丈夫よ、一日なら1時間で行けるから」
「茜お姉ちゃんってそんなに速いの!?」
「ふふ、天狗の中では、私が一番よ」
あまり自慢でも無いことを言いながら、私達は家から出て、ルーミアに向き直った。
「ルーミア…お別れになるわ」
「ぅー…そーなるのだー」
お別れだと言い、ルーミアはショックを受けている。
ルーミアを連れていっても、意味がないのである。
紅魔館の関係者じゃないしね。
まあ私もそうなんだけど……
「ごめんね?ルーミア、けど、また会えるよ」
「…本当に?」
「うん、会えるよ」
会える。
何故なら、ルーミアは東方キャラクターの一人だ。
だったら、幻想郷が出来たら…また会える。
「…わかったのだー、じゃあまた会える日を楽しみにしてるのだー!」
ルーミア、立ち直りが速いと言うか、何て言うのかしら…
まあ、機嫌は治ったそうなので良しとする。
「じゃ、レミリア!フラン!私の所に来なさい!!」
「…ルーミア!またね!!」
「また。会えると良いわね」
「フランもレミリアはバイバイなのだー!」
フランとレミリアは、ルーミアに別れを告げて、レミリアは右に、フランは左に私のところへ来る。
私は右腕でレミリアの体を持ち、フランは左腕で体を持つ…あら、案外軽いわね
「それじゃ、行くわよっ!!」
「ルーミアーまたねー!」
「またなのだー!」
フランがルーミアに手を振りながら言った。
私は翼を出し、強く打った。
一回の羽ばたきで、私達は家の屋上近くまで行った。
そこから一気に上空へと行き、紅魔館がある北側へと、猛スピードで向かった…