ちょっぴりえっちな美少女アヴュールとまじめなモンジャラのレポート   作:木村直輝

10 / 10
3日目_夜_41ばんすいどう?

――ここは アサギ みなと

  こうそくせん のりば――

 

「‥‥‥」

 決して広くはない格安の客室で、ベッドに腰を下ろし、アヴュールは静かに壁の方へ視線を落としていた。

 しばらく前に“アサギみなと”を出発したこの船は、今頃“うずまきじま”と“コガネシティ”の間を南下している頃合いだろうか。膝の上にモンジャラを乗せたアヴュールは、窓のない壁の先に真っ暗な海を望むように座っていた。

「もうしばらくしたら、ジョウトともお別れだね」

「もじゃぁ‥‥‥」

 細長い部屋の中を、しみじみとした空気が満たしている。

「‥‥‥」

「‥‥‥」

 モンジャラもアヴュールも、喋らなかった。

 特に何か、理由があるわけではなかったけれど。ただ、なんとなく、二人は黙っていた。

 旅の余韻にひたるように、旅の終わりの寂しさにひたるように。ただ、二人は静かに前を向いて座っていた。

「‥‥‥ねえ、モンジャラ。楽しかった?」

「もじゃー!」

「ふふ。よかった‥‥‥」

 うれしそうに微笑んだアヴュールを、膝の上でモンジャラが振り返る。

「もじゃー?」

「うん。私も楽しかった」

「もじゃ~!」

 二人はなにげない言葉をかわして、なにげない幸せをかさねて、なにげなく微笑み合った。

「‥‥‥お風呂、行こっか」

「もじゃー!」

 アヴュールに優しく頭をぽんとされたモンジャラは、膝の上からぴょんと飛び降りる。

「帰りもオーシャンビューらしいよ? あっ! コガネの夜景、見れるかな?」

「もじゃー」

 お風呂セットを準備するアヴュールの手が急ぎ出す。

「せっかくだし、見たいよね。急がなきゃ‥‥‥」

「もじゃー」

 焦るアヴュールをなだめるように、モンジャラが優しく鳴いた。

「うん、大丈夫。行こう」

「もじゃー!」

 アヴュールとモンジャラは客室を出て、大浴場へと向かった。

 残りわずかなジョウト旅行を、まだまだ楽しむために。

 

 ――人とポケモンが二人、旅してる。

 ――船の窓から星が見える‥‥‥。

 

      THE END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――― 

 

あとがき

 

 

 読んで下さった方、ありがとうございます。

 不快にしてしまった方、申し訳ございません。

 

 

 私が観測して、素敵だなぁと思い、文章という形に起こさせて頂いた「アヴュールとモンジャラの旅行」の断片を。みなさんにも楽しんで頂けていたなら、うれしいなと思います。

 

 

 改めまして――。

 読んで下さった方、ありがとうございます。

 不快にしてしまった方、申し訳ございません。

 

 皆様の人生が幸せなものでありますように――。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。