最近パソコン買い換えました。中古だけど。
時は少し遡る。
(席・・・どこか空いてるかな・・・?)
時刻はお昼。
リーダーの彼は食事をとるために一人、この船の屋上にあるレストランに来ていた。
運よく店の入口に近い場所に空いている席があったのでそこに座る。
(さて・・・どれにするか・・・)
立てかけられているメニュー表を手に取り、どんな料理があるか眺めていた時だった。
「相席いいかしら?」
声を掛けられふと視線を上にずらすと、そこには私服に紺色の帽子を被り白いマフラーを巻
いた金髪の少女が立っていた。
「ああ、構わない。」
「では、失礼して・・・」
少女は彼が座っている席の向かい側の席に座った。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
二人は何も喋らずただメニューを眺めている。
聞こえてくるのは楽しそうな会話とせわしく歩く店員の足音、ナイフと皿がカチャリと小さく衝突する音・・・
「・・・・・・?」
ここでふと少女は何かに気づいたのであろう、先程まで持っていたメニュー表を静かに置き
彼のことをじっと眺め始めた。
「・・・ん?」
彼もまたそれに気づきメニュー表をわずかに下にずらした。
「・・・俺の顔に何かついているのか?」
「その耳、あなた重桜の人かしら?」
「ああそうだが。どうかしたのか?」
「いえ、珍しいと思ってね。旅行中かしら。」
「・・・まあそんなところだ。次はユニオンのNYを観光しようと思っていてね。連れの二人は今景色を見にデッキのほうに行ってる。」
「そう。無粋なことを聞いてごめんなさいね。」
「俺は気にしてないから。」
そう言うと彼は再びメニュー表に視線を戻す。
一方少女はというとメニューを眺めつつチラチラと彼を見ていた。
(あの髪型と大きな耳・・・どこかで見たことがある気がするのだけど・・・気のせいかしら?)
「そろそろ店員呼ぶか・・・。あ、金なら心配しなくていいぞ。今回は俺の奢りだ。」
「え?いいの?何の面識もない私に・・・」
「なに丁度話し相手が欲しかったからな。これも何かの縁だ。」
----------
出されたステーキを食べ、ワインを飲みながら二人は会話を交わす。
もちろん彼は正体を隠し、あらかじめ考えておいたカバーストーリーをベースに彼女との会話を楽しむ。
「驚いたな・・・まさか今の陛下の側近とはね。お忍びで旅行ってことか?」
「まぁね。二週間の休暇が取れたからたまには陣営の外の世界を楽しもうと思ってね。」
「なるほど・・・。側近となるとやはり仕事も大変だろ?」
「任務だけじゃなくて部下からあがってくる報告書の確認もしないといけないからね。でも陛下はその日来た量の半分も行かないうちに途中で寝ちゃうから私に回ってくる量がね・・・」
「おいおい大丈夫なのかよあんたの上司・・・(汗)」
「陛下に仕えるメイドたちの助力のおかげで幾分楽にはなっているわ。特にベルは優秀ね。彼女が仕事後に出してくれる紅茶は格別においしいわ。」
「機会があれば是非味わいたいものだ・・・」
口直しにワインを一口飲むリーダー。
彼女のこれまでの会話から彼は既に彼女の正体を見抜いていた。
(陛下はおそらくクイーンエリザベス・・・側近ということは・・・。髪型が変わってたから少々気づくのに遅れたけど・・・あの瞳はあの海戦でたまたま鉢合わせたときに見たものと同じ。間違いない彼女はウォースパイトだ。・・・問題は・・・”ベル”が何者なのか・・・)
と、ここまで考察していたところで彼女:ウォースパイトが静かに語り始める。
「ところで・・・あなたはこんな話を知っているかしら?」
「話・・・?」
「ええ・・・重桜は分からないけど、ロイヤルやアイリス、鉄血ではかなり知名度が高い話よ。」
ー伝説と語り継がれる謎のKAN-SEN達がいた
ー海上に突如現れ
ーその強力な兵装と卓越した戦闘力を以て敵を殲滅し
ー陰ながらアズールレーンを支えたその者たちは
ーやがてその姿を見ることはなくなった・・・。
ーその優雅さ、勇ましさに、我々は敬意を表しこう呼称するー
ーAristocrat
「アリストクラット・・・」
「今の言葉は諜報機関の人間が報告書の最後のページに記したものよ。だけど実際のところ彼らに関しては謎が多すぎるのよ。戦いが終わるといつの間にか姿を消しているし、顔も仮面で隠れてしまっているから素顔がまったく分からないのよ・・・。」
「それを今でも追いかけているのか?」
「ええ、私もあの海戦で助けられた身だからね・・・もし彼らに出会うことが出来れば一言お礼が言いたいわ。」
ナイフを静かに置き、顔を俯けてウォースパイトはそう語った。
「・・・そうか・・・。無事でなにより・・・」
「?・・・何か言ったかしら?」
「いや、何でもない。」
最後の一切れを口に運んだ。
----------
「楽しい食事だったわ、ありがとう。」
「いやいや、こちらこそ」
代金を支払った後、店の入口で二人は礼を言い合っていた。
「又話をしたくなったらこのレストランで会いましょう。」
「時間ができれば、の話だがな・・・じゃ」
短い会話を交わし、別れの挨拶を告げ、彼はレストランを後にした。
「それにしても、不思議な雰囲気を纏っている男ね。・・・あの大きな獣の耳はどこかで見たことがある気がするけど中々思い出せないわ・・・。これは帰ったら少し調べる必要があるわね。」
部屋に戻るため、ウォースパイトは静かに歩き始めた。
だが彼女は慌てた様子で走り抜けていく二人の存在に気づかなかった。
一方彼は、既に部屋に戻っておりベッドに座って本を読んでいた。
「・・・・・・。」
数頁読んだところで栞を挟んで閉じた。
ベットに仰向けになり目を閉じる。
「・・・・・・。」
が、これも駄目だ。
「・・・何か胸騒ぎがするな・・・」
突如、ガチャリと大きな音を立てて部屋の扉が開いた。
「リーダー!」
「主!」
オースティンとジュトランドが何やら焦る様子で駆け寄ってくる。
「何があった?」
「・・・セイレーンの反応が・・・」
「!?」
(胸騒ぎの正体はこれか!)