2023/3/17 後半部分大幅追加 5000文字超えたんだが・・・。
この世界で、再び生を授かった意味は何なのか?
年がさほど離れていない俺の師匠、いや先代はこう言った。
「君はこの地に降り立ってまだ日は浅いだろう。己が誰なのか?わからないのは道理。生きていくうちに己が誰でありそして果たすべき使命とは何なのか自ずとわかってくる。今は大いに悩み苦しみそしてゆっくりと答えを見つけていくといい。」
師匠。
師匠には感謝の念が絶えません。
あの言葉がなければ俺は、わからぬまま一生を終えていたのかもしれません。
俺が果たすべき役割。
この力、この世界の安寧のために使います。
カンレキヲモタヌカンセンノ力ヲ
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船は今セイレーンの出現により完全に停止している。
「位置と規模はどれくらいだ?」
二人を追いかけるべく早足で階段を駆け上がりデッキに出たリーダーは、先に到着し双眼鏡を覗いているジュトランドに尋ねる。
「距離12000。視認できる範囲で量産型が10~15・・・まずいですね、上位個体もいます。それも1体ではない・・・2,3・・・4・・・4体です。」
辛うじて二人に聞こえる声量でジュトランドは戦況を報告する。
「かなりの規模だな」
腕を組み、顔を少し下に俯けて彼はそう呟く。
レーヴェンハルトからもらった最新の情報ではこの船が航行する海域のセイレーンは例の”END作戦”以降極小規模という報告があがっている。
俺の仲間も定期的にこの海域をアズールレーンに悟られないように哨戒してるが同じような報告が上がっている。
故にこれ程の規模のセイレーンが出現するのはおかしい。
「・・・・・・。」
すると、ジュトランドと同じように双眼鏡で戦況を確認していた、オースティンの口からこんな意見が出る。
「リーダー、護衛を担当しているKAN-SENの負担を減らすためにも私たち出たほうがいいんじゃない?」
「・・・オースティン。」
「いや、こうして突っ立ってベラベラと議論交わすよりもさ、ささっと攻撃してパパッと殲滅してヤヤっと救う方が早いと思うよ。現に今戦っているKAN-SEN達結構苦戦してるし・・・。」
「(その擬音は一体何なんだ・・・?)まあ確かにそうだな。あの量の弾幕を全てよけきれていないし、表情も少しずつだが疲れが出始めている感じがするな。」
「あのビームを全てよけきるのは至難の業だからね・・・できるのはリーダー含めて数人しかいないし。」
変わらず双眼鏡を覗き、冷静な口調で戦況を分析していた二人はリーダーの方に向いた。
「・・・主、俺たちがでます。これくらいの規模なら俺たちだけで問題はありません。」
「それにさ、もうこれ以上リーダーに負担を掛けたくはないの。」
・・・やむを得ないだろう
「そうだな・・・分かった。ただこれだけは言っておく。決して無理はするな。あと殲滅完了後お前たちはその足でNYへ行け。仲間にこのことを連絡しておく。」
「「了解。」」
二人は小さく敬礼すると先程まで使っていた双眼鏡を彼に渡し、部屋へと向かって走り出した。
二人が去ったあと、リーダーの彼は預かった双眼鏡で二人が言うその景色を眺めてみることにした。
(量産型は何隻か沈んでいるみたいだが、上空を飛んでいる上位個体は未だ撃破できていない・・・か・・・)
倍率を変え、今度は今まさに戦っているKAN-SEN達を確認する。
(ふむ・・・ほとんどが”END作戦”で遭遇しているから分かる。特にあの純白なドレスを着ている・・・確か名前は、イラストリアスだったかな?となると彼女がこの護衛チームのリーダーということか。)
「・・・ま、あの二人なら大丈夫か。昔ビクビクしていたあの頃より嘘みたいに強くなっているし。俺が仮に動けなくなったとしてもやっていけるだろう・・・大人しく部屋にでも戻るか・・・」
彼のそれは子供の成長を喜ぶ親のようだ。
仲間に連絡するため彼は踵を返し、その場を後にした。
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苦境に立たされているKAN-SENを救うべく出撃するため、部屋に戻った二人。
早速小さな鞄から戦闘服を取り出し、着替え始める。
オースティンは白い手袋を嵌め頭や耳に青い星の飾りを装着するだけ、気分によっては青い野球帽子も被るときもあるがこれ以上着飾ると目立つため今回は被っていない。
一方ジュトランドはというと、ロイヤル海軍に酷似した海軍帽子を被り、白いマントを羽織って完成だ。
二人はポケットからメンタルキューブを取り出し、艤装を展開して主砲や魚雷発射管の状態を確認する。
確認が終わると再び小さなメンタルキューブに戻してポケットにしまった。
「・・・行こう。」
「うん」
ジュトランドが僅かに部屋のドアを開け廊下の様子を確認する。
幸い人はいない。
二人は部屋の外に出て、再びきょろきょろと見回した後、船の後方に向けて走り始めた。
部屋を出て数分。
二人は海に飛び込める場所を探していた。
この船の後方海面からさほど高くない場所を見つけると二人は手すりに手をかけ海へと飛び込む。
艤装を展開し海面に着陸すると、戦場へと滑りだした。
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時間は数分前に遡る。
客船の護衛を担当していたKAN-SENはセイレーンの艦隊を発見するとすぐさま戦闘態勢にはいった。
砲撃を行う駆逐艦型に加えて大型の空母型も存在するため、空母でありこの護衛のリーダーであるイラストリアスを護るため輪形陣に移行する。
前衛はクレセント、ケント、エイジャックス
主力はイラストリアス、レナウン、レパルス
である。
だが戦況は思わぬ方向に向かうことになる。
量産型を撃破した直後、突如上空から上位個体が飛来してきたのである。
過去の哨戒で極小規模という報告を受けていたメンバーにとって予想外であり、徐々に押され始める。
上位個体のビームに加え撃破した空母型の残存艦載機の機銃掃射も相まって、彼女たちは回避に専念することしかできず、十分な弾幕も張れずにいた。
「だぁぁぁぁ、ちょこまか鬱陶しいのよ!エイジャックス増援はまだなの?」
「ひとまず連絡しましたが遭遇した地点が地点ですので到着まで最低2時間はかかりますわ!」
「くっ・・・ここまでの規模とは・・・」
「皆様は回避を。機会をみて攻撃を・・・」
イラストリアスが指示を出そうとした瞬間だった。
ドカーーーーーン!!
耳を弄する爆発音
上位個体が放ったビームが海面に着弾したのである。
しかも運が悪いことにその付近にクレセントがいたため吹っ飛ばされてしまった。
「クレセント!」
「ううう・・・」
吹き飛ばされたクレセントの艤装は大きくダメージを負った。
さらに最悪なことに・・・
「クレセント!直上!」
ケントの言葉にクレセントは、はっとし上を向くと、これを好機と捉えた敵の爆撃機が彼女の艤装にとどめを刺さんと突入する。
そして・・・
ガコンッ!
艦載機は彼女に目掛けて爆弾を放った。
戦闘による疲労、上位個体からのビームのダメージにより彼女は殆ど動けない状態。
最早絶望的状況であった。
(ああ・・・ごめんね・・・みんな・・・)
彼女の命を刈り取る爆弾が迫ってくる・・・
死を悟った彼女は空を仰ぎ目を閉じた・・・
だが・・・
ドーーーーーーン!
次の瞬間、爆弾がクレセントに到達する前に爆発した。
爆撃に失敗した艦載機は回避しようと旋回するが相手に軌道を読まれ機銃によって撃ち落されてしまう。
クレセントが静かに目を開けると目の前に二人のKAN-SENが立っていた。
一人は青い星の耳飾りと髪飾りをつけた白髪ポニーテールの少女、もう一人は海軍帽子と背中の上半分を覆う純白のマントを羽織った少年のような容姿をした銀髪のKAN-SEN。
しかし、展開している艤装の主砲配置や迷彩はロイヤルでは見たことのないものであった。
加えて素顔は仮面によって隠されている。
「まだ、諦めちゃいけないよ」
「・・・行く」
二人は敵陣へと突入する。
存在に気付いた敵機はダメージを与えんと機銃掃射を行う。上位個体もビームを放つ。
だが二人はその攻撃を難なくよける。
そして・・・
「Deo volente!」
青い仮面をかぶったKAN-SENはそう叫ぶと、全主砲を放ち上空を飛んでいる敵艦載機を次々と撃墜していく。
ある程度敵機が減るとその横から白い仮面を被ったKAN-SENが飛び出す。
そして、魚雷発射管から一本、魚雷を取り出すと・・・
「逝ね・・・」
なんとそのKAN-SENは魚雷を投げナイフの要領で上位個体に向けて投げた。
魚雷に搭載されている炸薬量は戦艦の主砲弾よりも多い。
(例:日本海軍が使用していた航空魚雷の91式は炸薬量は149.5~420kg。93式酸素魚雷は改良型の三型で炸薬量780kg)
そんなものが上位個体に直撃したらどうなるか想像に難くないだろう。
ズドーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!
凄まじい炸裂音と共に魚雷は爆発し、直撃を喰らった上位個体は跡形もなく消えてしまった。
残りの上位個体も同じ要領で撃破されていき、こうしてセイレーンの殲滅戦は二人の活躍により呆気なく終わってしまった。
「すごい・・・」
二人の圧倒的な戦闘力にレパルス含め護衛チームのメンバーはただ眺めるほかなかった。
「あ、あの、ありがとうございます。」
セイレーンとの戦闘後、メンバーを代表してイラストリアスがお礼を言った。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
だが二人は振り返らず、何も喋らず、ただただ沈んでいく量産型と燃えている上位個体を眺めている。
「結構強いじゃん二人とも!名前教えてくれない?」
「ちょ、ちょっとケントさん。」
すると青い仮面を被ったKAN-SENが振り向いた。
「・・・教えることはできないよ・・・」
「僕たちは影の存在・・・誰にも注目されることなく・・・歴史の中に消えていく者たちです・・・でも・・・もしかしたらまた会えるかもしれませんね・・・」
白い仮面を被ったKAN-SENが彼女の後に続いてそう語る。
「神のご加護があらんことを・・・」
その言葉を最後に、二人は静かにこの海域から去っていった。
プリンスオブウェールズを旗艦とするロイヤルの増援部隊が到着したのはその15分後。
彼女たちが到着したときには既に戦闘は終了しており、大きく損傷したクレセントは治療と修理のために一旦本土に戻ることになった。
そしてクレセントの代わりは、ロイヤルメイド隊のメンバーであるシェフィールドが勤めることになった。
「?・・・イラストリアス様、どうかされましたか。」
護衛が再開して早数分、クレセントの代わりに入ったシェフィールドは戦いが終わったというのに難しい顔をしているイラストリアスに尋ねる。
「いえ・・・あの二人・・・どこかで見たことがあるような気がして・・・」
「私たちを助けてくれたあの二人?・・・Hmmm・・・そうかな?」
「特徴とか覚えていますか?」
「そうですわね・・・一人は青い星の耳飾りと髪飾りをしていて、艤装はなにやらユニオンっぽい感じ・・・もう一人はロイヤルの指揮官が被っている軍帽に酷似していて、丈は短いですが白いマントを羽織っていましたわ。」
「それにあの艤装多分駆逐艦のだよね。それと二人とも素顔を見せたくないのか仮面をつけていたよ。」
エイジャックスとケントは遭遇した二人の特徴を話す。
「仮面・・・」
その言葉にシェフィールドは少し考え込む。
「・・・アリストクラット?・・・いや、まさか・・・」
「アリストクラットって確か私たちの情報機関が追いかけている組織ですわね。セイレーンが出現した初期の頃、アズールレーンが結成されるかなり前からその存在が判明しているという。」
「はい・・・未だに謎に包まれている組織・・・というか最近報告書に若干の修正が入って今は陣営となっています。」
「あら、そうなのですか?」
「はい、一番最初に確認された重桜の大型戦艦を長に二~三人ほどの幹部がいるのではないかと言われています。」
「その報告書なら私も見たことがありますわ。あくまで推測みたいですが。」
「これまでは戦艦や空母といった大型艦ばかりでしたが"あの戦い"を境にここ最近重巡や軽巡といった小型艦の存在が確認され始めています。」
「ねぇシェフィールド、もしかしてさ・・・あの時遭遇した駆逐艦の男の子って・・・」
「はい、駆逐艦は初めてです。しかも男性ですか。」
「うん声質や喋り方がそんな感じだったからさ。」
「・・・報告書自分で書いてくだいね。」
「うへぇ・・・めんどくさい・・・」
(続)
前回、感想を書いてくれた方、本当にありがとうございます。
そして、大変お待たせしました。
遅れた理由は戦闘描写ですね・・・
今話初文字数が4000文字超えました。まぁ頑張った方かな。
次回なのですが、アニメ本編に入りたいので少々駆け足になるかも。
※前半部分は後日修正する予定です。