転生魔法女王、2度目の人生で魔王討伐を目指す。   作:”蒼龍”

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皆様おはようございます、第12話更新でございます。
今回は突然来訪したエミルの父達との話になります。
では、本編へどうぞ。


第12話『誓いの翼、謁見させられる」

 ランパルド国王が来ると言う騒ぎの直後、アイアン村の門が開け放たれその外からは親衛隊長マークスを含む親衛隊がランパルド国王、更にこの4年で逞しくなり騎士甲冑を身に纏うアルク第1王子と更に王女らしくなったドレス姿のレオナ第1王女、そしてアルクと同じく騎士甲冑を身に纏うカルロ第2王子までもが現れ村は騒然と化した。

 因みにエミルが王女だと言う事は村の狭いコミュニティの為既に知れ渡っていた。

 

「うわぁ、セレスティア王国の王族が勢揃いだ…一体、何が起きるの…⁉︎」

 

「…これは、私達への最初の試練がお父様達になるとは…このエミルの目を以てしても見抜けなかったわ…」

 

「おい、バカ言ってねぇでお前さんが1番前に出るんだよ!」

 

 サラはセレスティア王国の王族が留守の王妃以外は勢揃いした事に驚き、何が起きるか珍しく爛漫な態度が消え慌てていた。

 一方エミルは最初の関門が大き過ぎた為少しふざけた事を言うと、アルが後ろから小声で1番前に出る様に言うとエミルは直ぐにハッとなり1番前に出てその後ろにロマン、サラ、アル、ルルが横に並びマークス達親衛隊が道を開けると馬からランパルド達が地に降り立ち、親衛隊達が跪くと、エミル達も合わせて跪き父王が何か言うまで顔を下げていた。

 

「面を上げよエミル王女よ。

 其方の活躍、マークス達やギルド協会から聞き及んでおるぞ。

 勇者ロマンと共にリリアーデ港街の守護ベヘルット元侯爵家の息子の蛮行の断罪、ディスト海賊団の拿捕、それらを聞き父は良き娘を持ったと誇りに思うぞ」

 

「はい、国王陛下。

 全ては私が悪しきを罰し、弱き民や不当な扱いを受けた冒険者を救おうとした結果であります。

 そしてそれ等は勇者ロマン殿も居なければ成り立たなかったと私エミル第2王女は心得ております」

 

 先ずランパルドが国王としてエミルに話し掛け、その活躍を全て聞き及び誇りに思うと口にしていた。

 しかしエミルはまだ顔を上げず、天狗にならず、かと言って謙虚過ぎる事も無くさり気無くロマンの顔を立てて自分の力だけでは成り立たないと口にしていた。

 実際ロマンが居なければリリアーデの民を無傷で守れたか怪しく、ギャラン達の蛮行を早々と押さえる事は出来ず、ディスト海賊団を早期に捕らえられなかったと感じていた。

 

「ふむ、では勇者ロマンよ、面を上げよ」

 

「は、はい、国王陛下!」

 

「其方が我が娘、我が国の第2王女の助けになったそうな。

 その事に偽りはないか、顔を上げ答えよ」

 

 次にランパルドはロマンにこれ等が偽りないかと話し始め、ロマンは真っ白になりそうな頭の中で必死になって考えた事を口にする。

 

「は、はい、エミル王女殿下の言葉に偽りはありません! 

 し、しかし………ぽ、僕1人でもそれ等を成せたかと言えば違うと申し上げます。

 全てはエミル王女殿下の自信と慎重さ、そして他者を想う優しさが全て噛み合い成り立ったとロマンは思います…」

 

 ロマンもまたエミルが居なければ国王が言う功績が成り立たなかったと2度も顔を上げる様に言われてから顔を上げ話し始める。

 それはロマンも嘘偽り無く、全ての事柄にエミルが関わらなければロマンはリリアーデに留まらず、ギャランの悪事を見逃した可能性がありキャシーを救えなかったかも知れず、船を海賊から守れなかったと思っていた。

 

「ふむ…では何方も顔を上げよ。

 両者は互いに互いの存在がなければこれ等は成せなかったと申すのか?」

 

「は、はい、国王陛下! 

 僕1人の力ではとても大きな事を成せず」

 

「無論私1人の力でも成り立ちませぬと申し上げます。

 結論を申し上げれば、我々2人は互いに助け合った結果上手く事を成せました。

 これが我々2人の見解でございます国王陛下」

 

 そしてランパルドは結論として互いの存在が無ければ成せなかったと2人に聞き上げると、ロマンもエミルも同じ見解を示し互いの助け合いによりあの激動の2日間は乗り切れなかった事を進言した。

 そしてそれを聞いた国王は………満足気な笑みを浮かべ言葉を続け始める。

 

「私が聞きたかった事を突然の来訪にも関わらず2人は進言出来た。

 エミルにロマン君よ、良く互いに頑張り事を成したな、ロマン君の友人の父親としても誇りに思うぞ」

 

「も、勿体無きお言葉にございます!」

 

「その言葉を聞き、私は大変嬉しゅうございます…お父様」

 

 ランパルドは国王から1人の娘の父親に戻り、2人が互いに頑張って此処まで来れた事を心から誇りに思い、優しい笑みを浮かべていた。

 ロマンは相変わらず及び腰ではあるが、それでもランパルドの言葉に心は温まり、エミルも同様に思い王女から1人の娘に戻りランパルドの様に優しく、久々にあった家族としての顔を覗かせていた。

 

「さて、もう他の皆も顔を上げ立ち上がって良いぞ。

 賢王ロック殿の第1子サラ王女、予言者リリアナ様の1人娘のルル殿、そして職人王ゴッフ殿の弟子アル殿」

 

『はい、国王陛下』

 

 そしてランパルドはサラ達にも顔を上げて良いと話しすっかり国王から末っ子娘の父親となり、3人は社交辞令として国王陛下と呼びながら顔を上げ5人は立ち上がる。

 すると馬からアルク、レオナ、カルロも降りて来て先ずエミルと談笑を始める。

 

「エミル、久し振りだな。

 大きくなったな」

 

「レベルもアルクお兄様やカルロを追い抜いて185、素晴らしいですわ」

 

「そのレベルをきっとアレスター先生も神様の下で喜んで見てるだろうな。

 そして、本当に自慢の妹だよ、お前は」

 

 成長し25歳の大人になったアルク、22歳レオナ、17歳になったカルロはそれぞれエミルの頭を撫でて久々に再会した末っ子を可愛がっていた。

 エミルも観察眼(アナライズ)を使いアルクは158、レオナは148、カルロは153と単騎で親衛隊を上回る戦力になると言う4年間会わなかった中で彼等もまた中身も成長し、恩師アレスターの死が彼等を更に一回り大きくし4年で魔族と戦う前の自身に並ぶ実力を手にしたのだと思いながら頭を撫でられる事を黙って受け入れていた。

 

「へっ、魔王討伐を目指す姫様も人の子かー…まぁ、じゃなきゃ人は寄り付かないか」

 

 アルはエミルの久々に会った末っ子として頭を撫でられてる姿を見てあの魔族と魔法対決で戦った凛々しい少女と打って変わって完全に兄達に愛され、自身も兄達を愛する姿を見て人の子と称し、仏頂面ながら悪くないと思っていた。

 

「貴方は武具職人ゴッフ一門のアル殿、賢王ロック殿の第1子サラ王女、リリアナ様の1人娘のルル様、ですね。

 お初にお目にかかれます、私はセレスティア王国第1王子にして王国騎士団団長を務めさせて頂いておりますアルクと申します。

 此方は第1王女で外交長官のレオナ、そして第2王子で絶技講師官のカルロであります。

 以降お見知り置きを」

 

 するとそのアルやサラ、ルルの3人にアルク達が話し掛け始めて来る。

 そのエミル以上に整った王族の雰囲気や役職等を聞き、更にアルは3人が自身の作った武具を身に纏い、更に生存性を高める為に魔法祝印(エンチャント)が掛けられていると知り、以前なら癇癪を起こしたが魔族の武具の影響もありそうはならなかった。

 

「サラ王女殿下、ルル様、お久しゅうございます。

 またこうして出会える幸運にこのレオナは喜びに満ち足りております。

 …そして、アレスター先生の件について何とお詫びすれば良いか…」

 

「ああ、その件なら大丈夫だよレオナの王女殿下! 

 立派な妹様のエミル王女殿下にご説明を頂きましたから! 

 なのでお互い、あの子を知る身としてアレスターを誇りに思いましょう、ね?」

 

「…私も………その方が、アレスター君は、喜ぶと、思います…」

 

 更にレオナはサラとルルと面識があり、サラ達が冒険者をし、レオナ達エミルの兄姉は更に修行やレベリングを積んだ為本当に、実に4年も会っていなかった事もありアレスターの件を話し始めようとしたが、エミルから話を聞いていた為サラはそれ以上は聞かず、アレスターを互いに誇りに思おうと言う形に落ち着きルルも交えて握手を交わすのだった。

 

「あ、それからエミル王女殿下にルル様、ベヘルット元侯爵の件はお世話になりました」

 

「良いの良いの、私達が関わるってルルの予知に出たし、ルルの『本業』発揮の時間だったからそっちも気にしないで良いよ!」

 

 更にレオナはベヘルット元侯爵の件の事で礼を述べると、それも気にしないで欲しいと言われ更にルルにも頷かれ、レオナも流石に苦笑したが本人達がそれで良いならと何も言わなかった。

 

「…家族、かぁ…」

 

「よう、お前がエミルが選んだ勇者ロマンだってな。

 俺は第2王子で絶技の講師のカルロだ、よろしくな。

 早速で悪いが何か絶技を見せてくれないか?」

 

「は、はい⁉︎

 エミル…王女殿下の、お兄様⁉︎

 それに絶技を見せてって…えっと、じゃあ空に向かって、光流波‼︎」

 

 一方ロマンは家族と言う結び付きを見て両親の遺志が詰まった剣の柄頭に手を掛けているとカルロが気軽に話し掛けて来た為面食らい、更に絶技を見せてくれと言われた為剣を引き抜き空に向かって光流波を威力を絞って撃った。

 するとカルロはそれを見て頷き、再びエミルに話し掛け始める。

 

「体内魔力と魔法元素(マナ)の結び付きに問題無し、技の熟練度も威力の絞り込み方も正しい…良い先生に教わったんだな」

 

「は、はい、死んだ…両親から。

 冒険者時代に魔力一体論を凄く教え方の良いエルフの人に教えて貰ったから、それで魔法と絶技の使用時の魔力の循環とかを教えて貰い、ました…」

 

 カルロはアレスターに教わった全てを頭に叩き込んだ上でロマンの絶技の使い方や魔力の流れを見てそれが正しい在り方である事を見抜き、良き師に教わったと話すとロマンは死んだ両親にと告げ、その両親も冒険者時代に教え方が良いエルフの人に自分が教わった事を伝授された事を話した。

 

「…凄く教え方が良いエルフの人…まさか………ふっ、良いご両親に育てて貰ったんだな。

 なら両親の事を忘れず、エミルが選んだ勇者だと気負わずありのままの自分でアイツを助けてやってくれ。

 アイツは、天才だが無茶するからな…支えてやってくれ、妹を」

 

「あ………は、はい‼︎」

 

 カルロはそのエルフについて心当たりがあり、まさかと呟いた。

 が、直ぐに切り替えてエミルをロマンと言うありのままの少年のまま守り抜いてほしいと彼女の兄であるカルロに頼まれる。

 それを聞きロマンはこのカルロ王子も自身に期待を寄せ、更にエミルが心配なんだと理解し力強くYESと答えた。

 その様子を遠目で見たマークスは矢張り自分の目に狂い無しともかんじていたのだった。

 

「さて、談笑も此処までにして我々が此処に来た理由を話したい。

 エミル、ロマン君、そしてサラ王女にアル殿にルル殿、我々4人とマークスと共にこの村のギルド運営の宿屋に来て貰えぬか? 

 他の誰にも聞かれたくない話があるのだ」

 

 そうして談話をする中でランパルド国王は自身達がこの場に来た本題をかぼちゃ亭で他の誰にも聞かれず話したいと告げるとエミルやロマンのみならずサラ達も含めそれをしたいと話した。

 この時5人は直感する、国王は魔族と戦った件でこの場に来たのだと。

 

「…分かりました。

 勇者ロマン、国王陛下や兄君達をかぼちゃ亭へと案内しましょう。

 ガル殿やリィナ殿はギルド運営の宿主夫妻故、話を聞いても問題は無いので陛下が仰った人達のみでかぼちゃ亭へと入りましょう」

 

「わ、分かりました、エミル王女殿下!」

 

 そうしてエミルも再び王女モードに入りながらロマンに話し掛け、ランパルドやアルク達をかぼちゃ亭に案内する事になりロマンは空気を読みエミルを王女殿下と呼びながらサラ達と共にかぼちゃ亭内へと入り、其処で飲み食いしていた客達には急いで外に出て貰い空いている席にランパルド、アルク、レオナ、カルロが座り他の面々は立ったまま話をする流れになった。

 

「さて、先ずこのまま話をしても良いのですが………折角ですから『新しい魔法』の一つを試しましょう!」

 

 するとエミルは話を始める前に『新しい魔法』と言い、杖を出すと魔法陣が足下に浮かび始め、そしてかぼちゃ亭全体を何重にも覆う結界魔法が発動し、更にその結界は本来なら無色透明のガラスの様な結界では無く、碧玉色の結界でありそれを見たランパルド達は驚いていた。

 

「この結界は一体…エミル、新しい魔法と言ったが、これは何なのだ⁉︎」

 

「この結界は外から盗み聞く事、そしてこの中ではある物を阻害する効力を持つ結界魔法…名前は『盗聴防止結界(カーム)』と名付けましょう。

 レベル40から使える様に魔法構築しましたので術式を流布すれば誰でも使える様になりますよ」

 

 ランパルド国王が狼狽える中、エミルは淡々とした口調で結界の名と効力を説明し、全員それを聞き新しい魔法を創ったエミルに脱帽し、ロマンは昨晩から取り組んでいた事とはこれだったのかと思い聞き始めた。

 

「あの、エミル王女殿下。

 もしかして貴女が仰った新しい魔法ってもしかしてこれの事でしょうか?」

 

「ううん、違うよロマン君。

 これは単なる副産物で出来上がった物だよ。

 ただ今の状況的に役に立つから使っただけだよ?」

 

「つまり別の魔法創ったついでにこれも創ったんだ…エミル凄いや…」

 

 ロマンは作った魔法はこれかと聞くとエミルは副産物で出来上がった物だと口にし、サラやロマン達はこの他にも新しい魔法を創り上げたのだと知り凄いと思っていた。

 しかしエミルにとっては過去の自分(ライラ)の課題を終わらせただけの認識の為別段規格外な事をしでかした覚えは無かった。

 

「と、兎も角、これで外部に漏れる心配は無いのだな? 

 なら話そう、我々が此処に来た理由を。

 と言ってもエミルやロマン君達5人を含めた時点で何なのか分かるであろう?」

 

「魔族、ですね」

 

「うむ、エミル達が魔族を倒したと聞きそれを確かめに来たのだ。

 それが真ならミスリラント、フィールウッド、ヒノモトと共に対策を考えねばならない。

 魔血晶(デモンズクリスタル)も有している…と言うより、エミルが首から下げているとも聞く。

 それをじっくりと見せ、そして魔力を通してみたまえ」

 

 ランパルド国王はエミルの為す事を半ば強引に受け入れつつ外部に話が漏れない事を理解し、本題である魔族の件についてをエミル達に話し始めた。

 それが事実ならば魔族を警戒する4国家で議論を交わす必要性が出ると腹積りをし、事実確認に来たのだ。

 そしてエミルに魔血晶(デモンズクリスタル)を見せ、魔力を通す様にと命じる。

 

「はい、国王陛下。

 これが魔族の核、魔血晶(デモンズクリスタル)でございます。

 その証明に例の特性もお見せ致します」

 

 エミルは命じられるまま首から下げた魔血晶(デモンズクリスタル)を見て、そして魔力を通し始めて地上界の者を不快にする魔の光が放たれ、その場にいる全員はそれを見て浴び、嫌な気分になり始めた。

 

「う、うむ…これは間違い無く魔血晶(デモンズクリスタル)だ…もう良いぞエミル、その光を消しておくれ」

 

「はい、陛下」

 

「これが魔族の核………となれば本当にエミル王女殿下は魔族を倒したのか…。

 となると伝承の門の封印が解けてしまわれたと言う事に…」

 

 ランパルド国王は十分確認が取れた為エミルに魔血晶(デモンズクリスタル)に魔力を通すのを止める様に促すとエミルは魔力を通すのを止め、1歩下がる。

 マークスは初めて目にした魔血晶(デモンズクリスタル)が悍ましく感じつつエミル達の功績が大変な物であると実感していた。

 しかし同時に門の封印が解けた事を指摘するとランパルド国王もそれに頷く。

 

「うむ、名無しの魔族が地上界に進出して来ている。

 その可能性は極めて高いと言えよう」

 

「更にアギラ、と言う名ありの魔族までいる事が判明しております。

 我々が斃した名無しの魔族がレベル280の、とも言っておりました。

 そして、名ありの魔族と念話をしていた事から間違い無くライラ様の縛られし門(バインドゲート)は解けてしまってます」

 

「名ありの魔族まで、しかもレベル280だと⁉︎

 何たる事だ、急ぎ4国会議を開かねばなるまい‼︎

 エミル、此度はその情報を持ち帰り助かったぞ!」

 

 ランパルド国王やエミルもマークスの指摘に同意し、更にエミルは名無し魔族が最後に呟いたアギラの名とレベルを開示し、それ等を聞いたランパルド国王はセレスティア、ミスリラント、フィールウッド、ヒノモトの王達を招き4国会議を急ぎ行う意志を見せる。

 そしてエミルにその情報開示をした事に礼を述べると席から立ち上がり、アルク達も立ち上がりランパルド国王と最後の会議を開く。

 

「では陛下、私が書簡で3国の各国王陛下にこれ等の情報を送り、セレスティア王国に招きます! 

 更にギルド協会全体に魔族出現を冒険者達に流布し、警戒を促します!」

 

「では私とカルロは親衛隊含む王国騎士団、魔術師団より人選しレベリングを図る為諸外国訪問の名目の下、危険地帯へ足を踏み入れ魔物退治を行います!」

 

「うむ、事は一刻を争う。

 手早く事を済ませ、それぞれの役割を果たせ!」

 

『はっ‼︎』

 

 先ずレオナが外交長官として他の3国の各王に書簡を送り、4国家会議を開く事を伝えると同時に冒険者ギルド全体に魔族出現を知らせ、冒険者達に警告を促すと話し、次にアルクがカルロやマークス等と共に人選した人物達と共にレベリングを図る事を提案し、ランパルド国王はそれを了承。

 そしてそれぞれの役割を果たす様に促すと3人の息子と娘、更にマークスは跪き王命を承る事となった。

 

「では国王陛下、私達誓いの翼(オースウイングズ)は魔王討伐の勅令に基づき行動し、最優先事項としてレベリングと共に神剣ライブグリッターの探索を行います」

 

誓いの翼(オースウイングズ)…そうか、其方達はパーティを組んだのか。

 そして伝説の神剣の探索か………確かにそれが無くば魔王討伐は果たせぬと言われている。

 良かろう、エミル達は引き続き勅令に基づき行動せよ‼︎」

 

『はっ‼︎』

 

 次にエミルがサラ達と合流して誓いの翼(オースウイングズ)と言うパーティ名になったと知り、更にエミルはライブグリッター探索をしている事を明かしてサラ達を驚かせながら、ランパルド国王より勅令に基づき行動する事を告げられ5人も跪きその命を承る。

 そして会議が終わった所でエミルは盗聴防止結界(カーム)の使用を止め、マークス達が先に出ながら周りを確認しそのままランパルド国王を外に出し解散となった。

 

「それにしてもエミルとロマン君はライブグリッターを探しているんだね〜! 

 確かにロマン君なら振るう事が出来る筈だね!」

 

「あ、あはは…兎に角、皆と助け合う為に僕、頑張るよ‼︎

 サラ達も、エミルもこれからもよろしくね‼︎」

 

「勿論だよロマン君!」

 

 そうして国王達の帰還を見届けに行きながらサラはライブグリッター探しをしている2人に関心し、更にロマンなら振るう事が出来ると話すとルルも頷き、信頼を寄せる人が一気に増えた為戸惑いながらもエミル達と共に助け合いながら頑張ると話すとエミルは少しずつだがロマンが自信を持ち、且つ独り善がりでは無い皆と支え合う道を行こうとしていると感じ取り矢張り自分の目は狂いがなかったとして笑みを浮かべていた。

 

「さて、じゃあライブグリッター探索の旅の最初の目的地はミスリラント本国、レベリングをしながら職人街ゴッフェニアを目指そう!」

 

「ゴッフェニア…成る程、誓いの剣(オースブレード)ゴッフ(ジジイ)に話を聞きゃぁ行方が分かるかもな。

 だが、レベリングはこんなレベルになっちまったらもう思う様には上がらないぜ?」

 

 それから暫くしてランパルド達は無言でエミル達に会釈すると門から村の外に出てセレスティアへ戻って行った。

 するとエミルはライブグリッター探索とレベリングを図る為ミスリラント本国のゴッフェニア、ゴッフの名を刻んだ職人街を目指すと決める。

 アルはゴッフなら何か知っていると合理的に考えたが、レベリングはレベル180オーバーでは中々上がらないと話して首を傾げていた。

 

「其処で依頼、ミスリルゴーレムに狙いを定めて薙ぎ倒すのよ! 

 連中は熟練度元素(レベルポイント)の塊で魔物の巣(ダンジョン)化した廃坑内をウロウロしてるから鉱石を乱獲するわよ!」

 

「ミスリルゴーレム………確かに、あれなら…レベル200まで上げる事が…出来るかも、知れません…」

 

 其処にエミルはミスリルゴーレムを依頼で受けながら鉱石目的で乱獲すると言い出し、ルルもミスリルゴーレムならば今のレベルでも上げられると話し、全員それで納得した上でその方針で行く事になった。

 

「それじゃあ早速このままミスリラント領の港から本国の港にまで行くとして…その前に、魔血晶(コレ)を、いい加減始末するわ‼︎

光龍波(ドラグライトウェイブ)』‼︎」

 

【ポイ、ジュワッ‼︎】

 

 そうして誓いの翼(オースウイングズ)の行動方針が決まった所でエミルは首から下げていた魔血晶(デモンズクリスタル)を空高く投げると光の中級魔法を使用し、今まで盗まれない様に肌身離さず持った魔族の核を消滅させ、あの名無しの魔族の一生を終わらせた。

 

「…もう魔血晶(デモンズクリスタル)は必要無くなったの?」

 

「ええ、アレは解析して新しい魔法を創る為に必要だった物ですからね。

 そうで無ければ百害あって一利無しの物を確保するメリットが無いですから」

 

 ロマンも魔族の核を破壊した事でエミルはもうアレは必要無くなったのだと思いながら敢えて聞くと、エミルは百害あって一利無しの魔血晶(デモンズクリスタル)を確保する理由が無くなればそのまま消すタイプと改めて知り、今後は魔族は魔血晶(デモンズクリスタル)を消滅させる様な攻撃しかしないだろうと思いながらならば自身もエミル達を守る為に魔血晶(デモンズクリスタル)を積極的に狙おうと覚悟するのだった。

 

「…うん、そうだよね。

 あ、そう言えば新しく創った魔法って一体何なの?」

 

「ああ、色々あって言いそびれちゃったね。

 じゃあ盗聴防止結界(カーム)を掛けてと」

 

 更にロマンは結局新しい魔法とは何か、エミルに問い質すとエミルも言いそびれていた事を思い出し、再び盗聴防止結界(カーム)を掛けながら話し始めた。

 

「私があの魔血晶(デモンズクリスタル)を解析して創り上げた魔法、それは魔族が魔法元素(マナ)を介して念話をする事から、その念話に使われた魔法元素(マナ)を見て連中が何を話しているかを視て聞く魔法…『念話傍受魔法(インターセプション)』よ」

 

「…魔族の、念話を………盗み見したり聴ける、魔法ですか…⁉︎」

 

 エミルは魔族の念話の仕組みを理解し、それを魔法術式を構築し組み込む事で念話を視て聞く魔法、念話傍受魔法(インターセプション)を作り上げた事を話すと、ルルを初めとした面々は驚愕し、あの魔血晶(デモンズクリスタル)1個からそんな魔法を創り上げ、副産物すらも用意したエミルと言う少女を改めて凄い人物だと思っていた。

 

「けど、誰彼もがこれを使って悪戯に魔族に命を奪われない様にする為に使用出来る人を名無しの魔族の最低ラインと同じレベル150以上にしたわ、理由は…少し分かるよね?」

 

「あ〜、皆使えたら魔族に挑み掛かる無謀な人とか出ちゃうから、でしょ? 

 その判断は正しいね」

 

 更にエミルはこの魔法を使える者をレベル150以上に設定し、変な気を起こす者が出ぬ様にし、その意図を皆に分かるか聞くとサラが真っ先に答え、賢王の娘は矢張り同じ様に聡いと思いながらエミルは頷き、ロマン達もまたそれが正しいと思っていた。

 

「で、私がこれを創った理由なんだけど。

 相手の動向を知りたいからってのもあるけど………相手ばっかり念話で秘密の作戦を立てるなんて狡いでしょ? 

 それにその所為で友人や知人を失うなんて結果は受け入れる事何て出来ない、そう思ったからなの」

 

 最後にエミルは念話傍受魔法(インターセプション)を創り上げた理由を話し始め、途中子供じみた理由があったが、大体は理不尽なる謀略を防ぐ為に作り上げたと言う事を話した。

 それを聞き皆が黙って聞き………そして頷き返された。

 

「へっ、エミルの言ってる事も分かるぜ、相手ばかりズルしてんじゃねぇってな! 

 それじゃあ行こうぜ、魔族に一泡吹かせる俺様達の初の旅路って奴によ‼︎」

 

「うん、さんせ〜い‼︎」

 

「…お、おー…!」

 

 そして、最初にアルがエミルの話した理由に同意しながら全員に声を掛け馬車へと走り、サラ達も自分達の馬車に乗り込み始め出発準備を整え残りはエミルとロマンだけとなったから

 

「さあ行こうロマン君、未だ見ぬ先の世界へ皆で歩んで行こう!」

 

「うん、行こうエミル‼︎」

 

 最後にエミルがロマンの手を引き、自分達の馬車へと乗り込むと馬屋に賃金を払い馬車を走らせ門を潜り村人達が見送る中でアイアン村をエミル達誓いの翼(オースウイングズ)は去って行った。

 全ては魔王討伐を果たす為に。

 その1歩としてライブグリッターを探索する為に。

 

「(…さて、新しく創った魔法が機能するか試運転しましょうか。

 …うん、成功ね。

 覚悟なさい魔族達、貴方達の好きにはさせないわよ…‼︎)」

 

 その中でエミルは念話傍受魔法(インターセプション)を使い始め、魔族にこれ以上好き勝手はさせないと固く誓いながら港へと馬車を走らせ、何かがあれば記憶し、全員に警戒を促す事に決めたのであった。

 

 

 

「ふむ、この先はミスリラント本国………なら罠を張らせて貰うとしますか。

 クフフ、フハハハ………」

 

 そんなエミル達の様子をエミルが感知する300キロメートル範囲外から千里眼(ディスタントアイ)を使用し、アギラが覗き込みミスリラント本国に向かう事を予想してその先に罠を張るべく転移魔法(ディメンションマジック)でその場から消えるのだった。

 悪意を剥き出しにした名ありの魔族にエミル達の行く末が如何なるか、それは誰も分からないのであった…。

 




此処までの閲覧ありがとうございました。
エミルは新しい魔法を創り上げた事により魔族側の念話傍受が可能に。
しかしアギラがその影から先周りを開始して来ました。
これにより誓いの翼(オースウイングズ)はミスリラント本国でも魔族との戦いは避けられない事になります…。

次回もよろしくお願い致します。

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