転生魔法女王、2度目の人生で魔王討伐を目指す。 作:”蒼龍”
今回からこの章の主題となる事件が発生致します。
これをエミル達が如何に解決するかお楽しみ下さいませ。
では、本編へどうぞ。
遠き日の『彼』の記憶、あれから4ヶ月が経過した時にティアが突然倒れ、以前よりも体調が悪化し苦しむ日々が続いていた。
それも、日に日に悪化して行き遂に熱を出して倒れてしまっていた。
「先生、ティアは、ティアは治るんですか⁉︎
また立って歩けるんですよね⁉︎」
「…これは現在の魔界の医学では治せない病気になってしまってる。
元々生まれた時からレベル220を超えて名前を得て、その所為で体内魔力を制御出来ずに内なる魔力が身体を壊し切った結果によりこうなったとしか言えないね。
保って2ヶ月…覚悟はしておいた方が良いよ」
闘技場で荒稼ぎした金を使い名医を呼んだ『彼』はその医者から残酷な余命宣告を受けてしまう。
それを聞いた『彼は』膝から崩れ落ち、この世で唯一の最愛の妹が残り2ヶ月の生命しか無いと言う絶望の淵に立たされ、涙すら流れていた。
「ではせめて痛みを和らげる為の痛み止めを処方して置きます。
…こんなにボロボロになって良く頑張ったね、残りの時間は妹さんと一緒に過ごしなさい、それが妹さんの為だよ」
それから医者はこの病気の痛みを和らげる痛み止めを処方箋として『彼』に渡すと、肩を叩きながら残り僅かな時間を妹と過ごす事がティアの為だと告げると部屋から出て行き、家からも去って行った。
「はぁ、はぁ、お兄ちゃん…ゴホッ、ゴホッ…‼︎」
「ティアッ‼︎
…クソ、クソ、何でティアばかりがこんな…‼︎」
ティアが意識を失いながら兄を苦しみながら呼ぶ姿を見た『彼』はゆっくり薬を飲ませると床を叩き、泣き崩れながら死ぬしか無い運命を呪い始めていた。
此処から2ヶ月間弱り行くティアを看病し続け、そしてそのまま死んでしまい『彼』は覇道を歩む事になるのだ。
それが運命のあるべき形である。
確定した、変える事が出来ぬ流れの果てである。
「ふっ、ふっふっふ…」
しかし、その運命に何者かの介入が無ければである。
その兄妹の家の前に、彼等に害意を及ぼす者がたった『今』現れるのだった。
それも、誰にも気付かれず密かに…。
一方の現代、シリンダーツの鍛冶屋をアルが借りてソーティスの手により傷付いた自分達の武具を全て直すと、それぞれに武具を宿屋で渡していた。
「おらよ、全部キッチリ直してやったぜ。
ったく、エミルの
「それは単純ですよ、オリハルコン製の武具でしかソーティスの闘法に耐えられる武具が存在しないからです。
幾ら
アルはエミルの
外側より内側にダメージを与えるソーティスの闘法ではミスリル製は無意味とも取れる言動をし、アルに舌打ちさせていた。
「…アンタ、ソーティスにはオリハルコンの武具しか対抗出来ないのは分かったけど何時もの口調で話してくれない?
そのいかにもお淑やか風な口調に慣れないんだけど」
「あらごめんなさいエミルさん。
この姿になるとこの口調になる癖を付けてしまって何時もの口調が出し辛くなっていますの。
これも練習の成果、と言った所ですわ」
するとエミルはシエルの今の口調に調子を狂わされ、魔族としての姿の方の堂々とした口調で話す様に要求したが、シエルはこの姿になると口調もこのお淑やかな口調になる癖が付いていると話し、如何やら本人も意識して話そうとしない限りは何時もの口調が出なくなる様であった。
しかし2人の雰囲気はシエル側は笑みを浮かべているが、エミルは不機嫌であり明らかに相性が悪いと言った様子だった。
「…それで、魔界も今回の件が厄介だから聖戦の儀は一旦停戦にしてソーティス1人を倒す事に全力を注ぐって認識で合っているの?」
「ああ、その通りだ勇者ロマン。
だが奴に魔王様以外で対抗出来るのは現代には俺やシエル、アザフィール殿しか居ない為この3人で事を当たる様にしてる。
つまり、お前達の力も存分に使わせて貰う、と言う訳さ」
それからロマンは険悪ムードな2人を一旦置き、ダイズに魔界の対応についての認識を両者で共有すると、魔界は矢張り魔王以外ではこの3人しかソーティスに対抗出来ない為、ティターン兄妹の姿も見当たらない事から理解し、更に自分達地上界、天界の主戦力を使うとあっさり彼は話しながらロマン達に期待の目を向けていた。
「そんな事言って、上手い事私達だけ負傷とかさせてアレコレしようとか考えてるんでしょ?」
「サラの言う通りよ、貴女達が無償で手助けなんかする訳が無い。
そう言う意図があるんでしょ、シエル?」
「はい、勿論ですよ。
ただ事はそんなに上手く運ぶ訳がないですからこうなったら良いなぁ〜と言った願望程度ですけれどね」
しかしサラは矢張り今まで敵対した者がそんな簡単に手を取り合う訳が無いと考え、地上界にだけ打撃が入る様な同盟関係にあるとルルと共に考えを語るとシエルはあっさりと肯定した。
しかしそんなに都合良く行かないとも話し、その態度からこの姿になってもシエルはシエルのままと改めて思い知らされる。
その為余計にエミルに険悪感を出させる結果を生んでいた。
「おほん、だがそれを隠す事無く此方に話すと言う事は、矢張りソーティスは其処までの難敵であると言う事なのだろう?」
「その通りでございます、ネイル殿。
かつての私の友はあの様に厄介極まり無い存在であります。
故に此方も手は抜けないのです」
するとネイルは咳払いをしてからそんな打算的な物も隠さないで話すと言う事はソーティスと言う存在が厄介過ぎると言う事を聞くとアザフィールがその通りと答え、それ故に手を抜けないとまで明かしてシエル共々あくまで共通の敵が居る為仕方無く、しかしやるから手を組むからには徹底的にと言う気概が感じられ、此処まで清々しければ逆に信用出来るとエミルは渋々考えた。
「ならばその剣、拳で全てを語れ。
そうすれば俺達も全力で応えよう」
「…ほう、ヒノモトの剣士。
お前からは俺と似た波長を感じるな…ああ良いぞ、全力で応えさせて貰うさ」
最後にリョウがダイズ達に対して武器と拳で語る様に告げると、ダイズが真っ先に反応し自身の様な存在が地上界に居る事を知りこの上無い笑顔になり互いにシンパシーを感じながら話を終える。
するとエミルとシエルは思った、この2人は監視してないと道端でいきなり決闘し兼ねないと。
ロマン達も何故か会ってはいけない2人が出会った様な感覚に陥り頭を抱えていた。
「はぁ…それじゃあ先ず行動方針としてソーティス対策の為にオリハルコン製の武具を作り上げるで良いわよね?
じゃないとソーティスにまた遭遇して武具を損傷させられてたらキリが無いわ」
「…時間的猶予があるとは言えませんが、先ず貴女方の装備を整える意味ではそれは必至ですね。
ではそうしましょうか」
「それじゃあ行くわよエミル、シエル達。
オリハルコンを採掘しにミスリラントや世界各地に眠る鉱脈を掘りますよ、可及的速やかに」
それから溜め息を吐いたエミルはソーティスの闘法対策として武具をオリハルコン製の物に変える事を提案し、更にオリハルコンの武具は一般では出回っていない為1から作り上げると行動指針を決めるとシエルも猶予は無いが賛同する。
行動指針が決まった所でアイリス、エミル、シエルの順で前に立ち代金を支払うとそのまま宿屋の外に全員出て行く。
「…えっ、何ですかあの白い光は⁉︎」
すると宿屋から出たキャシーが真っ先にこの世界の空に走る白き光に驚きエミル達が警戒する中でアイリスやシエルはいよいよかと言う表情を見せていた。
「始まりましたね、彼方なる者の
「あれはその前兆、世界が書き変わる瞬間に発生する『時空の柱』よ‼︎
アレを観測出来るのは神様の眼か時空の腕輪の装備者、
あの光は時空の腕輪を着けてる者には衝撃となって襲い来ますわ‼︎」
アイリスは
その瞬間、時空の柱から光が広がり世界中を包んだ。
『きゃぁぁぁぁぁぁぁ‼︎』
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎』
その光が身構えていたエミル達を包んだ瞬間それは確かな衝撃となっており、しっかりと足腰に力を入れねば吹き飛ばされる程の暴威に襲われ今にも後方の彼方に飛ばされそうになっていた。
『………っ⁉︎』
その中で薄らと目を開けていたエミルとロマンは目撃する。
この光に包まれたグランヴァニアの民達が次々と消えて行く瞬間を。
まるで水晶石の通信にノイズが発生した様に身体中がモノクロのノイズに包まれた後に消滅する瞬間を。
そして2人は本能的に理解してしまう、これが
それから10秒、1分、10分と長いとも短い後も言える暴威に晒された後、エミル達は光が収まった事を悟り身構えるのを解き周りを見渡していた。
するとシリンダーツの街は先程までの活気を失う所か宿屋や店、民達の家が砂や埃だらけになりすっかり廃れ切った様子を覗かせサラ達を混乱させた。
「な、何なの…何なの、これ⁉︎」
「分からねぇ‼︎
分からねぇが、何かが起きたとしか俺様には言えねぇ‼︎」
サラやアル、ルルにネイル達は自分達には衝撃があると説明されただけで、ただ光に包まれたグランヴァニアの民達や建物が時空の柱発生前と後でガラリと様子が変わり誰も居なくなった事にただただ混乱して周りを見渡したり、建物の中に入り誰か居ないか、先程までの品々が無いかを確認していた。
が、矢張り何も無く宿屋前に居るエミル達の下に全員戻って来る。
「ネイルさん、物品だけじゃない‼︎
人っ子1人も居なくなってる‼︎」
「…皆、光の中に消えた…アレが…
「私やダイズも初めて体験するが…成る程、コレが
ガムは宿屋前に居たネイルに人も物も消えたと叫び、エミルとロマンは先程見た光景を思い出し血の気が引くと言う表現が正しい程に青褪めながら立ち尽くしていた。
一方周りに地上界の者が居なくなった為シエル達は
「遂に起きてしまったわ…これで時空の腕輪装備者の私達は
「…
「時空の腕輪を装備し、
それを作り出すのが時空の腕輪の第2の効力。
そしてその歴史の改竄点を修復するのが私達の使命よ」
アイリスは遂にソーティスが動いた事を理解し、更に此処に居る16名が
エミルもロマンも先程までの活気に溢れていたシリンダーツが本来あるべき歴史の姿だと認識し、今広がる光景はソーティスが何かを書き変えこうなったと理解し始めた。
「更に擬似があると言う事は真の『
無論それは」
「ソーティス、奴なのね…‼︎」
其処にアザフィールが真の
「兎に角
エミル、キャシー、皆、この世界の変化として
これが前にも話した第1段階でこの状態が進行すればこの青い空も変色し始め、第2段階で空間に亀裂が走るわ!
無論それを認識出来るのは今の私達だけよ!」
そのエミル達の側にアイリス達は並び始め、今世界に起きてる変化に
それからアイリスはヒノモトやその前にも散々説明した事を口にする。
「確かに空気中の
「
それ等を聞いたエミルとロマンが1番前に立ち、自分達こそが正しい歴史の証明者と言う認識を持ちソーティスの歴史改竄を正そうと言う使命感が強まり始め、それが他のメンバー達にも伝播していた。
そうして全員が立ち上がる中、ルルは何かを思い出した様に
「ルル、何かあったの?」
「いえ、持ち物が時の改変で消えてないかの確認」
「
するとサラがルルの行動の確認をすると、彼女は持ち物の確認をしていたと話すと、リコリスが
「さあ先ずは歴史の改竄点を探しましょう‼︎
正確に改竄された部分を認識出来れば時空の腕輪が改竄点へ誘います‼︎」
「分かったわ、ソーティスが先に跳んだのは1ヶ月前だから先ずグランヴァニアでの戦いに異常が起きたのは間違いない!
ならあの戦いの結末を知る諸王達に確認すれば………え?」
アイリスは早速
それを聞いたエミルは先ずこの光景はグランヴァニアでの『アギラの動乱』時に異常が起きたとソーティスが1ヶ月前に跳んだ事から考察し、ならば王達に話を聞けば………そう話した所で、エミルは何かに気付きアイリスの作る魔法陣から外に出る。
「如何したのエミル?」
「今、誰かが咳き込む声が聞こえて来た様な…」
ロマンは何かあったのかと共に魔法陣から出るとエミルはこの誰も居なくなったシリンダーツの街で誰かが咳き込む声が聞こえて来たと話し、アイリスやシエルも不思議がりながらも
「────ゴホッ────ゴホッ──」
「っ、聴こえたわ‼︎
あっち、広場の方‼︎」
「っ‼︎
…あれは、魔族の、子供⁉︎」
するとサラは確かに咳き込む声を聴き取り、
何と其処には少し身形の良い服を着ている黒髪の魔族の女の子が居り、地面に倒れながら咳き込んでいた。
それを確認したエミル達は走り出し、シエルが魔族の女の子を抱き抱えていた。
「…凄い熱だ。
それにこの体内魔力の流れは…。
おいお前、大丈夫か、しっかりしろ!」
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ‼︎
はぁ、はぁ、はぁ…お姉ちゃん達、誰…?
お兄ちゃん、何処…ゴホッ、ゴホッ‼︎」
エミル達も駆け寄る中でシエルは額に手を当てて熱が物凄いと感じ取り身体を揺すり女の子を起こそうとした。
すると女の子は意識を取り戻し周りを見て見知らぬ者達に少し怯え、泣きそうになりながら兄を呼び始める。
すると再び咳き込み始め、容態が芳しく無いと誰が見ても明らかだった。
「拙い…おいお前達、諸王に話を聞くんだろう?
ならフィールウッドのロックに聞きに行くぞ‼︎」
「シエル、この子は一体」
「良いから早く連れて行け‼︎
この子の生命に関わるんだ、早くしろ‼︎」
シエルは容態が急変し始めた魔族の女の子の様子から慌て始め、エミル達もあの鉄仮面なシエルが此処まで取り乱すのは変だと思い始めたが当人は物凄い剣幕を張りフィールウッドに行く事を周りに言い出していた。
するとアイリス、リコリスも時空の腕輪に目を配りながら女の子の様子を見て頷き魔法陣を展開し始めた。
「魔族シエル、貴女の要望通りフィールウッド国に先ず転移します。
この地上界で最も優れた医師が居る彼の国へその子を連れて行きます」
「…助かる…」
周りが置いてけぼりの中でアイリスはシエルに対して地上界1の名医が居るフィールウッドに魔族の女の子を連れて転移する事を伝えるとシエルは女の子を抱き抱える中で一言礼を言うと女の子の額を撫でながら何処か優しげな表情を浮かべていた。
「ゴホッ、ゴホッ‼︎
はぁ、はぁ、おにい、ちゃん…」
「…心配しないで良い、君のお兄さんには見つけた私達が会わせてやる。
だから先ずは元気になるんだ…」
【ビュン‼︎】
相変わらず怯えて兄を恋しく呼ぶ女の子にシエルは兄に会わせると安心させる様に声を掛けて、更に元気になる様に言い聞かせた瞬間全員がその場から転移し、シリンダーツの街には誰も居なくなった。
【カチカチカチ、ビュン‼︎】
「ふっ、そうだろうな。
お前達はそう言う道を選ぶと思ったぞ…ふふふふ」
【ブン、カチカチカチ、ビュン‼︎】
その転移した直後に突如ソーティスが現れ、シエルやエミル達は絶対に女の子を助ける道を選ぶと思ったと口にすると不敵な笑みを零しながら再び
そして、それを知る者はこの世界では全てを見透す神以外に存在しなかった…。
【ビュン‼︎】
「なっ、エミルにロマン君達⁉︎
それに…魔族シエル達⁉︎
何故エミル達が魔族と⁉︎」
一方エミル達はフィールウッド、しかも何とロックとリリアナの目の前にアイリス達が転移をし、いきなり現れたエミル達やそのエミル達に何故かシエル達も一緒にいると言う訳の分からない構図に困惑していた。
すると近衛兵が魔族の名を聞き玉座に集まり始め王村の森の宮殿は緊迫した空気に包まれた。
【シュ、カシャン!】
するとシエルは武器であるオリハルコンソードを床に置き始め、アザフィールも大剣を床に置くとダイズも含めロックに跪き始めた。
それを見たエミル達はいよいよシエルが本格的にこの女の子を助けたい一心だと理解し始める。
「賢王ロック、魔族と言う身でありながらこの地に訪れた不敬不遜を赦して頂きたい‼︎
今はこの女の子を救いたいのです、どうかこの国1の名医にこの子を診て欲しい‼︎」
「何…?
その少女も魔族…だが、何か病気の気がある…しかし…」
シエルは更に武器を遠くに蹴りながら女の子が無理のない姿勢を取らせながらロックに不敬にして不遜と知りつつもこの地に来た事を謝罪し、その上で女の子を医者に診て欲しいと懇願する。
するとロックはその女の子も魔族だが、たった今意識を失い何らかの病気を患っている事を見抜く。
しかし将来の敵を増やすかも知れないと言う考えや相手が魔族と言う事もあり簡単に首を縦に振る事が出来ずにいた。
「賢王ロック様、魔族シエル達は私達が監視します。
ですのでこの子の容体を診てあげて下さい。
幾ら魔族と言えど、この様な小さな女の子を見殺すはアギラと同等の畜生に堕ちる事になります」
「それにこの子が将来の禍根にならない事を天使アイリスとリコリスが保証します。
なので賢王殿、その智を凝り固めぬ様にして頂きたいです」
其処に王女モードに入ったエミルがシエル達の監視を買って出る上に小さな子を見殺しにするのはあのアギラと同じ畜生になると告げてロックも
其処にロマンやサラ達の真剣な眼差しまで追加されロックは頭を押さえ始めた。
「…分かった、直ぐに医師を呼ぶので宿屋で待っていて欲しい。
但しシエル達の監視は怠らぬ様に、良いなエミル王女殿下にサラ達?」
『分かりました』
これ等によりロックは遂に折れてしまい医者を呼ぶと宣言し、代わりにエミル達にはシエル達の監視を任せる事を強く言い聞かせるとエミル達は全員で跪き勅令として受け取り宿屋に向かい出す。
その間にアザフィールが大剣を背負いロマンがシエルに剣を渡し、片手で腰に差した所で再び女の子を両手で抱き抱えながら歩き始めた。
「それにしてもアイリス、何でこの子が将来の禍根にならないって断言出来たの?
私は其処が不思議でならないわ…その一声があったからロックも頷いたと思うけど」
「理由は簡単です、この子が『時の迷い子』だからですよ。
先程時空の腕輪を近付けてその反応から分かったのですがね」
「時の迷い子?」
その間にエミルはアイリスに何故この名も分からぬ女の子が禍根にならないかと問い掛け始めると、アイリスは時空の腕輪を見ながら時の迷い子と言う単語を出し、また分からぬ単語が出た為エミル達は首を傾げ始めていた。
そんな様子のエミル達に今度はアザフィールが話し始めた。
「時の迷い子とはこの世界に稀にある何処かの時間軸から何らかの理由で弾き出されてしまい現れる本当の迷い子の事だ。
如何やら時の迷い子は別の時間軸から来た迷子であり、
「しかし、迷い子であるならそのまま何もせずに送り帰すべきでは?
今の我々が干渉して病気を治して送り返してしまうとソーティスの様な
するとネイルが時の迷い子に関して時空の腕輪の力で
「心配は要らないわ、
所詮時空の腕輪の力で擬似的な
ただこの子や元の時間軸にとってはちょっと良い夢を見た程度に過ぎないわ」
するとアイリスの話によれば時空の腕輪には
「寧ろ時の迷い子を送り帰さない方が秩序を乱すんだ。
ソーティスの様な急激な時空の乱れでは無いが、その時間軸と現代では僅かな乱れが起きて『世界の修正力』が働きこの子を消してしまう。
そちらの方が大問題だ」
その時相変わらず気を失ってる女の子を抱き抱えるシエルは時の迷い子を送り返さない方が問題だと話し、僅かな時空の乱れで世界の修正力が働いてこの女の子が消えると話し、宿屋に着いてまだ咳き込む女の子の背中を摩りながらベッドで寝かし始めていた。
するとまた分からない単語が出た為エミルは一気に日記に書き留めながらアイリス達にまた質問の視線を投げ掛けた。
「世界の修正力とは文字通り世界がその様にあるべきと乱れを正そうとする力の事です。
そもそも時空の乱れで世界が崩壊するのはこの修正力を上回る乱れの所為で世界の均衡が破壊されてしまい崩壊するのです。
そして時の迷い子を送り帰さなかった場合は修正力によりこの子は初めから存在しなかった事に…」
「…確かに、それは…酷ね…」
アイリスは最後に世界の修正力の説明をし、時の迷い子程度の乱れの場合は修正力が迷い子の存在を消すと話し、更に
それ等を聴きエミル達はこの子は何も悪く無いのに消されるのは残酷だと思い始めていた。
「…じゃあ、この子を元気にさせたら送り帰しつつ
「その認識で良い。
さて、後はこの迷い子を元気にしてやる事だ…私の想像通りならばこの子の状態は…」
そうして最後にロマンが方針としてこの魔族の女の子を元気にさせたら元居た時間軸に返し、ソーティスの
此処までの閲覧ありがとうございました。
過去が書き換わり、今の歴史に影響を及ぼす事態がソーティスの手で起きました。
それを正すのが時空の腕輪、そしてエミル達になります。
また、途中に出て来たシエルが助けようとしている女の子の正体…これについては名前が明らかになるまでこちらでは明かしません。
しかしこの子も今章のキーマンになる、とだけ今は言います。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。