転生魔法女王、2度目の人生で魔王討伐を目指す。   作:”蒼龍”

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皆様こんにちは、お久し振りでございます、第48話目更新です。
色々諸事情が重なり更新が遅れ気味ですが、この様な不定期更新の形にして少しずつですが話しを進めて行きます。
なお、今回は エミルとロマン達側の話になります。
では、本編へどうぞ。


第48話『巣立ちと苦悩の運命』

【カチカチカチカチ、カチャ、ビュゥゥゥゥン‼︎】

 

「…元の時間軸に帰れたね。

 行こう、アイアン村に」

 

「ええ、行きましょうロマン君、ちゃんと修正されたか確かめなきゃ…。

 その前に何処かでお花、買おうね…」

 

 ヴァイスを倒し、あの場で殺された過去アギラ代わりにシエルがミスリルゴーレムを生み出し歴史通りに修正し、それを見届け元の時間軸に帰って来たエミル達。

 その修正が上手く行ったかを確かめるべくロマンの提案でアイアン村に再び行く事になり、2人で転移魔法(ディメンションマジック)の用意をしていた。

 但し花を買うとエミルが言った為目標地をライラックに一度変更する。

 

「ロマン、エミル…」

 

「アイアン村に着き、其処を離れるまでか話し掛けられるまでは何も言うなティア。

 他の者も良いな?」

 

「分かってらぁ…コイツには心の整理が必要だってな…」

 

 ティアは2人が心配になり声を掛けようとした所でシエルが肩に手をそっと掛け、瞳を閉じながら向こうが整理がつくまで話し掛けない、また向こうから話し掛けて来るまでは何も言わずに居る様にと言われる。

 更にシエルはアル達にも同様の事を話すと、ロマン達と共に居た時間が長い組や空気を読めるリョウやアイリスはシエルと同様の意見を結論として出していた。

 

【ビュン‼︎】

 

「…さて、お花を見繕って…すみません、この花束を下さい」

 

「はい、お題は30S(シルバー)ですよ王妹殿下!」

 

 それからエミルは花言葉に『ありがとう』、『さようなら』、『永遠の愛』とある花を選び抜き、其処から花屋の店主に代金を渡して花束を持つ。

 

「じゃあエミル、皆、アイアン村に行くよ」

 

「ええ。

 ………後皆、覚悟した方が良いかも知れない、私達は歴史修正をしたけどその代償を見る事になる筈だから」

 

「代償…」

 

 ロマンが転移役を続けアイアン村に転移するべく魔法陣を展開した。

 するとエミルが全員に歴史修正の代償を見る事になると話し、サラやルルは何が代償なのか容易に想像出来てしまい、ティアが少し怯えている中アルがクシャクシャと頭をフード越しに撫でて、その目は何かあっても守ると言う目であった。

 

【ビュン‼︎】

 

「あ、皆〜、ロマンとエミル殿下達が来たぞ〜‼︎」

 

 そうしてロマンはアイアン村の中では無く再び門の前に転移し、門番に顔を見せると門番は慌てた様子で村の全員を呼び寄せ門を開く。

 すると村長を含む村人全員が門の外に集まり、村長が代表して前に出てロマンとエミルに話し掛け始める。

 

「ロマン、エミル殿下、我々は…可笑しくなってしまったのだろうか? 

 我々は確かに『ケイ達はロマンが12の時に死んだ』と覚えておるのに、『今まで村に居た』と言う記憶すらあるんじゃ。

 一体何があったのか説明して貰いたい」

 

「………良かった、戻ってる………う、うぅぅ…‼︎」

 

 村長はロマン達にケイ、テニア夫妻が確かに死んだ筈なのに村に居た記憶も持ち混乱に陥り、何か事情を知るなら説明してほしいと話し始めた。

 するとロマンはそれを聞き元に戻った事を知り、歪んだ歴史の中で最後に見せた両親の笑顔を思い出し泣き始め、自分はそれを直した(奪った)為に膝を崩し、地面に手を突きながら涙を零していた。

 

「ロマン君………村長さん、事情は掻い摘んで説明致しますのでしかと聞き届けて下さい」

 

「殿下…分かりました、では此処では無くかぼちゃ亭の食事席へ。

 彼処が村1番広く、客人達も共に座れる場所であります」

 

「じゃあ行こう。

 …ロマン君、辛いけど行こう?」

 

 エミルはロマンの様子から花束をアイリスに渡し、背中を摩りながら村長に何が起きたか掻い摘み話すとその場で説明の約束を取り付けると、村長はかぼちゃ亭の食事席で話を聞くとして村人達の波を開け、移動を始める。

 するとサラがエミルと共にロマンを立たせて歩き始めた。

 すると村人達はその様子から何と話し掛ければ良いか分からず、ロマン達の背中を視界に入れながらかぼちゃ亭に入って行くのを見送った。

 

「では此方に。

 殿下、何があったか説明をお願い致します」

 

「はい、今我々が直面している事態について説明致します」

 

 それからかぼちゃ亭に入った全員が村長に席に座る様に促され、其処から説明を請われた為エミルが一般人の村長にも理解出来る様に歴史を改竄する敵、その敵の所為で幾つも歴史が変わりその中にロマンの両親の死についてまで変わったと話し、自分達はそれからその歴史を直した結果、村人達に2つの記憶が存在する様になってしまったと説明した。

 

「…そんな事が………ですが、人の生き死に程度ならば直す必要は」

 

「生き死に『程度』? 

 村長、貴方様は理解しておりませんわ、人の生き死には歴史にとって、その者が歩んだ軌跡であり残された者にとって変えてはならない物です。

 それこそ国を揺るがす事になったり、ロマンさんの場合でしたら彼が此処までストイックに強く逞しくなる事は無く、アギラの動乱に参加出来たか怪しくなります。

 それを程度と言うのは、村を治める者として失格ですよ」

 

 村長は歴史が変わる事と聞き漠然とした様子を見せ、だが人の生き死に程度ならば戸口にした瞬間、エリスに化けているシエルが人の生き死にの重要性を話し始め、国を揺るがす事態やロマンが英雄と呼ばれる者になれなかったかも知れないとお嬢様口調だが語気を強め、眼光も鋭くして村長を射抜いていた。

 それ等を聞き、村長は自分の認識が甘過ぎると理解させられ、何も言えなくなってしまった。

 

「それに村長さん、ロマンはね‼︎

 優しいお父さんやお母さんが生きている事を考えて考えて考えた後に、これは間違ってるって泣きながら話して、それで歴史を元に戻したんだよ‼︎

 ロマンは沢山苦しんだんだよ‼︎

 だから、それを否定する様な事は言わないで‼︎」

 

「お、お嬢ちゃん………こんな子供にまで説教され、ロマンが苦しんだ事を理解出来ていないとは、私は村長失格だ…許してくれ、ロマン…‼︎」

 

 するとティアがロマンが必死に考え抜いて歴史を元に戻したと、沢山苦しんだと叫びそれを否定する事を言わないで欲しいと彼女なりに話すと、流石の村長も堪えてしまい頭を抑え、ロマンが苦しんだ事を理解しなかった事も含め村長失格だと口にしながらロマンに頭を下げて謝罪していた。

 

「彼が如何に苦しんだか少しは分かっていた頂けたなら幸いですわ。

 では説明は以上ですよねエミル様? 

 なら私達は行くべき場所がある筈ですよ」

 

「シ………エリス…。

 そうね、お話は以上です。

 村長さん、ロマン君の痛みを理解しろとは言いません、ただ苦しんだ末に選択したと覚えていて下さい」

 

 その謝罪を見たシエルはそれで満足したのか説明は以上だと、行くべき場所があるとエミルに言うと、エミル自身もそれを理解し、村長に苦しんだ末の選択だった事を覚えて置く様に話すと、村長は何度もロマンやエミル達に頭を下げて事の重大さを身に染みて理解し始めその背中を見送った。

 それからかぼちゃ亭の扉を開けると村人達が群がっており、全員で何をしたら良いか分からない様子を見せた。

 

「…村人さん達、私達はこれから村の中で行くべき場所があります。

 私達だけで行きたいのでどうか普段通りの生活に戻って下さい、お願いします」

 

「で、殿下………分かりました、ほら皆農業から門番まで普段やる事をやるぞ‼︎

 早く道を開けろ〜‼︎」

 

 エミルはそんな村人に向かう場所があると話し、自分達だけで行きたいとも言うと普段通りの生活に戻る様にお願いした。

 するとエヌが初めに頷き、全員に普段通りに戻る様に叫び群がりを終わらせ道を開け始めた。

 

「じゃあロマン君、皆、行きましょう。

 …シエル、貴女の村長に話した事、私達に響いたわよ」

 

「それは何よりですわ。

 ではロマン様、皆々様、行きましょう…共同墓地へ」

 

 それからエミルはロマンの背中を摩りながら歩き始め、更にシエルに対し先程の言葉が響いたと言うとシエルも満足し、それから向かうべき場所………共同墓地へと全員で足を運び始めた。

 ゆっくり、ロマンやティアの歩くスピードに合わせながら目的地に向かい、やがて辿り着くと…其処には、しっかりとケイとテニアの墓があった。

 

「…父さん、母さん、僕…正しいと思った事をやったよ…」

 

 墓地に辿り着き、アイリスから花束を手渡されたロマンは2人の墓に献花し、歪んだ歴史の中で言われた正しいと思った事をやり遂げた事を報告し、手を合わせ祈りを捧げた。

 するとティアも含めて全員が祈りを捧げ始め、更にエミル等ケイ達の顔を初めて見た者達はその優しさや愛を忘れないと思い、瞳を閉じていた。

 

「…それじゃあ父さん、母さん、僕達は行くよ…」

 

【スッ、ゴソゴソ、スチャ、シャキン、ザッ!】

 

 祈りを捧げ終えたロマンはそれから魔法袋(マナポーチ)を漁り始めると、形見のミスリルソードを取り出して鞘から抜くと、2人の墓前の間のスペースに立てる様に地面に突き刺して最後に胸に手を添えて別れの挨拶をすると後ろを振り返った。

 

「良いのか、形見の剣だぜ?」

 

「良いんだよアル、父さん達は僕を何時も見守ってくれてる、それに2人が死んだ歴史が正しいと思った僕は親離れしなきゃと思ったんだ。

 だからこれはけじめなんだ、僕なりの…」

 

 アルは形見の剣を手放す事を良いのかと話すと、ロマンは自身の考えやけじめだと話しながら空を見上げ、1羽の鳥が羽撃いているのを見つめながら親離れするのだと話し、全員それを聞いて決意が固いロマンに何も言わずにそれを受け止めていた。

 

「…さあ皆、次の場所に向かおう! 

 歴史をこれ以上改竄されない様に僕達の使命を果たそう‼︎」

 

「ロマン君…分かったわ。

 でも無理せず辛かったら私達に言ってね。

 だって私達は仲間なんだから…‼︎」

 

「うん、勿論だよ」

 

 そうしてロマンは泣きそうな表情から普段の表情に戻り全員に次の目的地に向かおうと話し、エミルはそれが強がりで無いかを確かめつつ仲間に辛ければ言う様にと話した。

 するとロマンは何時もの表情で応え、それから全員で門の外に出た。

 その時向かい風が吹き荒ぶが、ロマンは振り返らずにその場に立ち、アルやエミルから見たら一皮剥けた様に思えた。

 

「さて、次はフィールウッドですよ。

 皆用意は良いですね?」

 

「うん…えっとね、ロマン!」

 

「? 

 如何したのティア?」

 

 それ等を見たアイリスは転移魔法(ディメンションマジック)の用意を始め、次のフィールウッドへ向かう準備は出来たかと全員に尋ねると、ティアがロマンに向かって話し掛け始めた為、ロマンは何なのかと思い視線を合わせながら話を聞き始めた。

 

「えっとね、さっきロマンのお父さん達にお祈りをしてた時にね、私ロマンのことを守ってねってお願いしてたの‼︎

 だから、ロマンの家族の2人は必ず守ってくれるよ‼︎」

 

「ティア…ありがとうね。

 君は本当に優しい子だよ。

 うん、じゃあ僕も約束してあげる、お兄さんの所に送り届けるって! 

 そしてお兄さんにティアを守る様にお祈りするよ!」

 

「わぁ、ありがとうロマン‼︎」

 

 如何やらティアは先程のお祈りでケイ達にロマンを守る様に祈ってたらしく、更に自身の兄の様に優しかった2人なら守ってくれると励ましの言葉を掛けていた。

 それに対しロマンは必ず兄の下に送り帰す事やティアがやった様にロマンがティアの兄に彼女を守る様に祈ると約束した。

 それを聞きティアは満面の笑みを浮かべながら抱き付く微笑ましい光景が広がっていた。

 

「ふふ、如何やら心配は無さそうですね。

 ではフィールウッドへ行きますよ‼︎」

 

「はい‼︎」

 

【ビュン‼︎】

 

 それ等を見たエミル達はもう心配は無いと確信し、アイリスもそれを頷きながらフィールウッドへと全員で跳んだ。

 その瞬間狼の親子が木陰から現れ、親狼から1匹の子狼が巣立ち始め原っぱを走り始める。

 それはまるで、たった今親離れをしたロマンの様に…。

 

 

 

 一方何処かの時間軸にて、ニグラが帰って来た後残った4人で食事をしながら卓を囲み話し合いを始めていた。

 

「モグモグ…成る程ねぇ。

 それでネロ君は退場と」

 

「はい、その際にあの方の血を頂きましたが、身体が火照る程の熱い、熱い憤怒の炎に私の心は昂りましたわ。

 ソーティス様の命が無ければネイル様達の正義を堕落させて甘い、甘〜い蜜を深く深く味わっていましたわ」

 

 食事を摂るナイアはネロが帰って来ない経緯を簡略的に話し、リコリスの1撃で心臓が潰れた後そのままネイル達を殺そうとして逆に殺されたと話していた。

 その際にネロの血を啜った事で心が昂った事、ソーティスの命が無ければネイル達を精気吸収するまで相手していたと喋っていた。

 

「ふふ、流石はワシの代でも有名になった大淫婦様だなぁ。

 狙いを定めた獲物は逃さないと来たか。

 如何だ、その前哨戦としてワシがお前の相手を1夜を共にしてやろうか?」

 

 するとグレイはニグラの獲物を執拗に狙う姿勢を誉めており、それと同時にその目にはこの女魔族を独占しようとする剥き出しの欲が映り混み、言動も明らかにニグラの『身体』が目的である事は明白だった。

 

「………残念ですが、貴方様の様な方からは腐った実の味しかしない事を、貴方様みたいな方々を『お相手』した時に良く分かっていますの。

 だから貴方様は出番で成果を出すまでは………お・あ・ず・け、ですわ」

 

「んがっ⁉︎」

 

 しかしあらゆる者を毒牙に掛けた『経験』があるニグラはグレイの様な愚者が出す精気が『不味い』と良く分かっていた。

 その為、そう言う相手には成果を掲示し納得するまでは精気吸収をしない事と決めていた。

 それをお預けと称したニグラはグレイの唇に指を添えて軽く顔を押していた。

 それ等を聞きグレイは侮辱されたと感じ頭に血が昇り始めていた。

 

「それよりニグラ、次のポイントを改竄しろ。

 そうすれば俺の実験の集大成にまた1歩近付く事になる、さあ行け」

 

「はい、分かりましたわソーティス様。

 …何れ貴方様も私の事を愛させる様にいたしますわ、それまでどうか席を空けていて下さいませ…では、行って参ります」

 

【ブゥン、カチカチカチ、ビュン‼︎】

 

 それ等を見ていたソーティスは要らぬ衝突と実験を次の段階に進めようとしてニグラに次の歴史改竄命じると、その本人はソーティスも獲物と捉えているらしく何れ魅了魔法を掛けるのを仄めかして時間跳躍魔法(タイムジャンプ)で消える。

 そうして残されたナイアは腹を押さえつつ静かに笑い、グレイは料理が並べられている卓を蹴り上げた。

 

【ドガァ、ガシャンパキンッ‼︎】

 

「おのれあの売女め、魔王のワシを愚弄しおって‼︎

 帰って来た時にはその素っ首を斬り落としてくれるわ‼︎」

 

「く、くふふふ…ニグラは相変わらず相手を見る目の基準が低いか高いか良く分かんないなぁ、ああ面白かった!」

 

「何だとこの屑が、貴様の使命は如何した、何故此処に留まっているのだ‼︎」

 

 グレイは魔王と言う立場からニグラに馬鹿にされたと感じた為斬首すると叫ぶと、ナイアは嗤いながらニグラの基準点の曖昧さを面白いと称しながら卓を元に戻し始めた。

 するとグレイはニグラの件で怒り心頭の中ナイアにまで食って掛かり槍を取り出しながら彼女の首に押し当てようとしていた。

 

「止めろグレイ、ナイアなら既に使命を果たしに動いている。

 それも、自身の力を使ってな」

 

「そゆこと、ボクが如何やって彼方此方で『遊戯』を起こしていたか、その片鱗を見せてあげるよ…ふふふ!」

 

 するとソーティスが槍の刃先を持ち上げ、彼を制止させながら既にナイアは動いていると宥めた。

 するとナイアも自信満々になりながら手を叩き、グレイに自身が何故愉快犯かと呼ばれていたかの所以の片鱗を見せると宣言しながら笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 一方現代のフィールウッドにて、一旦最北の世界樹に寄ったエミルは目の前にシエルを立たせ、何かを始めようとしていた。

 

「おいエミル、下らない事をしようとする暇があるならさっさとリストを埋めに行くぞ」

 

「下らない事じゃないって。

 兎に角貴女、さっさと変身魔法(メタモルフォーゼ)IIを使ってみてよ」

 

「だから何故だ………ふう、使いましたけれど、何かありますか?」

 

 エミルはシエルに変身魔法(メタモルフォーゼ)IIを自分の前で使う様に指示し、シエルは何がしたいのかと呆れながらも従いエリスに化け始める。

 するとエミルはジッとシエルを見つめ………そして座っている岩から立ち上がりガッツポーズをし始めた。

 

「よっし、遂に術式が完成したわ‼︎

 いやぁ、何度も変身魔法(メタモルフォーゼ)IIの発動する時に発生する消費魔力や直ぐ消える魔法陣を目を凝らして見た甲斐があったわ‼︎」

 

「はい、完成した? 

 ………まさか、変身魔法(メタモルフォーゼ)IIに対応した看破魔法(ディテクション)を? 

 術式も見せてもないのに使用してただけで対抗魔法を創り上げましたの? 

 貴女………ふう、偶に変人とか言われないか?」

 

 エミルは術式が完成したと叫びながらシエルを見つめ、何度も変身魔法(メタモルフォーゼ)IIを見た甲斐があったと話していた。

 それを聞いたシエルは直ぐに魔法陣が消えるこの魔法に対する対抗魔法を創り上げた事に驚き、変身を解除しながらエミルに対して変人と呼ばれていないかと問い始めた。

 

「残念だけど私は変人なんて皆に呼ばれていないわよ。

 でしょ、皆?」

 

 対するエミルはドヤ顔を浮かべながら変人と皆に呼ばれていないと話し、そして剣の修行をしているロマンやリョウ、エミルかロマンか何方かを見ていた全員に聞き始めた。

 

「ああこいつは変人じゃねぇ、ただのバカだ」

 

「そうそうバカバカ………ってこらぁアルゥ‼︎」

 

 するとロマンの方を見ていたアルは何といきなりエミルをバカ呼ばわりし、エミルは変人と呼ばれていないがバカ呼ばわりされたことに怒りアルを猫が威嚇する様に睨んでいた。

 

「うーん、エミルはちょっと変わった魔法使いかなぁ? 

 だって魔法使いなのに前線にズカズカ走って行くしさ」

 

「えっと………面白い方、だと思います…」

 

「えっ、サラ、ルル?」

 

 其処にサラとルルが変わった魔法使い、面白い奴とフォローになっていない言葉を入れるとエミルは2人も見ながらプルプルと震え始める。

 そんなエミルに対してまだフォローが無い事にシエルは笑うのを堪えていた。

 

「そうですね、エミルは『バカ』ですね。

 転生魔法を創り上げただけじゃなく念話傍受魔法(インターセプション)に全属性融合の消滅魔法(ディストラクション)も創り上げるわ、新しい看破魔法(ディテクション)も見てから創り上げましたとなっては『魔法バカ』と褒め言葉で呼ばせて頂きます」

 

「ア、アイリスゥゥゥ⁉︎」

 

「ノーコメントだ」

 

 更に其処に今まで魔血晶(デモンズクリスタル)由来の魔法や今までに無い全属性融合をさせ創り上げた消滅魔法(ディストラクション)、更に術式を見た訳じゃ無いのに新しい看破の魔法すら創り上げてしまった事にアイリスに本人曰く褒め言葉として魔法バカと呼ぶと言われ、エミルもオーバーリアクションしながらアイリスを見ていた。

 因みに飛び火しない様に刀を仕舞ったリョウは何も発言しないと事前に言われ、残るはロマンとティアになった。

 

「えっとね、エミルは凄い人かな? 

 だって弱気だった頃の僕の事を信じ切って旅の仲間にして今まで旅を続けているし、それにそんな発想や才能からどんどん新しい魔法を創り上げたり、その魔法で皆を支えてくれてる………だから僕はエミルの事をバカだとか思えない、本当に凄い人だって感じるよ!」

 

「ロ、ロマンくぅ〜ん…‼︎」

 

 するとロマンはエミルを凄い人だと評し、その理由も始まりから今までずっと旅を続け、様々な発展や才能から魔法を創っては既存のと合わせて皆を支え続けているからだと話し、それもエミルの目を見ながら話していた。

 それを聞いたエミルはロマンの言葉が胸に響き目をウルウルとさせながら見ていた。

 するとアルがロマンやエミル本人、『まだその年頃』では無いティア以外を手招きして呼び出しヒソヒソ話を始めた。

 

「(おい皆、今のロマンの言葉…)」

 

「(うん、単に褒めているって言うよりもあれってまるで………)」

 

「(…つまりアレか、ロマンはあの魔法バカに『惚れている』のか、それも2人共無自覚、或いはエミルが気付いてないのか? 

 やっぱりバカなのか、エミルに加えてロマンも?)」

 

 アル達はヒソヒソ話でロマンの言葉を反復させるとサラもアレが褒め言葉に止まらないと感じ、ルルとアイリスも頷きリョウは溜め息をしていた。

 そしてシエルが結論として『ロマンがエミルに対して惚れている』と話し、更に2人共無自覚、或いは片方が無自覚であると話し彼女は2人共バカなのかと呼び、集まった全員で頭を押さえ始めていた。

 まさかのロマンの想いに勘付き、それに気付かないエミルを見てる為である。

 

「私もエミルは凄い人だと思うよ‼︎

 私を助けてくれたし、お兄ちゃんに会わせるって約束してくれたし、魔法で皆を守るし、本当に強くてカッコイイ魔法使いなんだから‼︎」

 

「ティアちゃん〜‼︎

 ロマン君どティアちゃんだげが私の味方だよ〜‼︎」

 

『(………はぁ…)』

 

 最後にティアがエミルは凄くてカッコイイ魔法使いだと理由を添えながら話した所、エミルは感涙に咽びロマンとティアが味方だと話しながら2人に抱きついていた。

 するとロマンは頬を赤らめ苦笑していた、それを見た瞬間全員の『予想』が『確信』に変わり、これから恋心に気付かない者と片想いの勇者の会話を聞き続ける事になると思いシエルすら口から砂糖が出る様な感覚に陥るのだった。

 

 

 

「さて、そろそろ休憩は終わりだ。

 次で最後のリスト………アレスターの生死確認をする為にロックヴィレッジに戻るぞ。

 サラ、1つ確認するが覚悟は出来ているか?」

 

「…うん、大丈夫、出来てるよ。

 行こう皆、これでフィールウッドの確認も終わるから‼︎

 さあ、早くロックヴィレッジに行こうよ‼︎」

 

 それからアルがストレッチしたり、エミルがティアの魔法指導をして遂に灼熱雨(マグマレイン)や他の最上級魔法を体内魔力回復用ポーションを飲みながら放ち、頃合いとして枷を少し外しレベル30から90と枷が8分の1になりながらもティアは何ら体調の変化が起きない中、最後にアレスターの生死確認をするべくシエルが声掛けした。

 するとサラは覚悟は出来ていると話して何時もの明るい様子を見せていた。

 

「(サラ…もしかして何時も明るくしてたけど、私みたいに初めから…? 

 なら、サラはかなり苦悩した筈なのに表に出さないなんて…)」

 

「(サラ…君も凄いよ、僕よりもずっと…)」

 

 その言葉や何時もの様子を見せるサラにエミルやロマン、他の面々はかなり苦悩してロマンの様な決断を下したと考える。

 特にエミルやロマンはその苦悩をアイアン村で嫌と言う程経験した為、サラが誰にも相談せずにこの答えに行き着いた事に矢張り自分達よりずっと長く生きているだけあって何を成すべきか見極めているとして凄いとしか思えなかった。

 

「サラ、ロマンみたいに辛くなったら私や皆に相談してよ‼︎

 あんな風になる姿を私、見たくないから‼︎」

 

「ティアちゃん、ありがとうね。

 でも大丈夫、私はやるべき事をやるだけだから‼︎

 だから今度も上手く行く、大丈夫だよ‼︎」

 

 するとティアがサラに対し、ロマンみたいに苦しんだ末の決断や修正する際の姿を思い出し、常に明るいサラもそうなって欲しくないと思いながら声掛けした。

 それをサラは大丈夫だと口にし、頭を撫でながら笑顔を見せていた。

 

「(…馬鹿野郎が)」

 

「(サラ、貴女も『決断し切れていない』じゃないか…何が『大丈夫』なのよ、頑固者)」

 

 しかしこの中で最もサラと付き合いが長いアル、ルルの年長組はサラが『未だ結論が出ていない』と察し、2人でサラに近付きながら話し掛け始める。

 

「サラ、いい加減正直になりやがれや。

 お前もロマンみたいに結論が出てないんだろうが」

 

「えっ、な、何を言ってるのかな? 

 ほら私は大丈夫だって、世界の安定の為にも早く」

 

「辛いなら辛いって言って欲しいよ。

 支えてあげるから。

 私達はその為の仲間でしょうが」

 

 先ずアルが正直になる様に切り込み、サラから後ろの逃げ道を無くす。

 するとサラは大丈夫だとまだ話すと今度はルルが仲間は辛い時に支える為に居ると話して前の逃げ道すら塞いだ。

 するとエミルやロマン、リョウはサラの何時もの様子だった為気付けずに居たのでそれに気付いたアル達を矢張り付き合いが長い分気付けたと思い始めた。

 

「………如何して気付いちゃうかな…。

 うん、私アレスターが『生きてた』時を想定したら怖いよ…だってまた『殺す』んだから…何で気付けたの?」

 

「お前、辛い時に自分に大丈夫って言い聞かせている癖があるの分かってないのか? 

 さっきから大丈夫って連呼してるぜ」

 

「だから気付けた、以上。

 さあ、辛いなら吐き出して」

 

 サラは何故気付かれたかと尋ねると、アルが自身も気付かなかった癖、自分が辛い時は大丈夫と言い聞かせると明かし、更に先程からそれを口にしていると指摘する。

 ルルもだから気付けたと話し、辛いなら吐き出す事を口にしながら肩に手を添えていた。

 アルも腰をつけ、話を聞く姿勢になった。

 それからサラは………表情を崩して泣き崩れ始めた。

 

「う、うぅぅあぁぁぁぁぁ‼︎

 怖いよ、怖いよ‼︎

 もしもアレスターが『生きてた』ら、私があの子をまた『死なせる』なんて嫌だよぉ‼︎

 でも、ロマン君だって同じ道を選んだんだよ、だから私だけが駄々を捏ねる何て出来ないよぉ‼︎

 あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………‼︎」

 

 サラはもしも自分が言った先にアレスターが『生きてる』痕跡を見つけた瞬間、ロマンの様に『死なせる』しか無く、だがサラ自身にそれをする決断が出来ていなかった。

 幼い赤子だった頃のアレスターを抱いた感触、魔法使いの才能に秀でた事が分かり祝杯をあげた事、セレスティアの専属講師になったお祝い、全てが得難き思い出だったのだ。

 

「サラ………気付けてあげられなくてごめん。

 そうだよね、辛くない訳無いよね…」

 

「サラ…ごめんなさい…」

 

 だが、ロマンがこの決断を苦しみながらやったので、自分だけそれから逃げる訳にはいかないと王族や彼の姉、そしてロマンの決断を無駄にしたく無い為にこの痛みが伴う道を行くしかなかったのだ。

 その苦しみに気づけなかったロマンやエミルは彼女を見つめながら謝罪し、その場で立ち尽くしティアはサラの頭を悲痛な表情で撫で始め彼女が泣き止むのを待つしか出来なかった。

 それに対してシエルやアイリスは口出しせず、思うまま泣かせるのであった

 

 

「さあ早く来て下さい、そして私を…『殺して下さい』、サラ姉さん、エミル様、ロマン君、皆様方…」

 

 そして運命とは何処までも残酷だった。

 ロックヴィレッジのアレスターの書斎には彼が『生きて』座っており、本を閉じながらサラやエミル達が来るのを待ち侘びていた。

 そう、今この場に居る自分を『殺して』欲しい為に。

 そんな残酷な運命の道筋を、エミル達は未だ知らなかった………。




此処までの閲覧ありがとうございました。
ロマンの形見のミスリルソードは墓前の地面に深々と刺されて親からの自立をする事になりました。
更に今度はサラの番になります、果たしてこれを如何に乗り越えるかは…後編更新までお待ちくださいませ。
なお、ロマンのエミルに対する感情がそうなったのは彼女がロマンを信用し、彼もエミルと言う少女を信じ合った結果そうなった訳です。

次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
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