ヒカリちゃんはキングと遊びたい   作:SSKキング

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キングって結構ヤベーよね(笑)


煉獄無双~~~略!!

 

「幅15m以内に怪人たちを誘導したら、『スーパースパーキングキングモード』(SSK)のキングさんの限定必殺奥義、【煉獄(れんごく)無双(むそう)爆熱(ばくねつ)波動砲(はどうほう)】で、跡形もなく消滅させる!」

 

 

ドッドッドッ

 

 

ドッドッドッドッ

 

 

ドッドッドッドッドッ

 

 

 

「これなら弱点の見当たらなかった凶悪怪人もまとめて倒せる! 今ちょっと糖分が足りなかったケド、なんとか成立する作戦が閃いてよかった……!」

 

「(そうか……、糖分て、本当に大事なんだな…………)」

 

 

キングエンジンが更に一際大きく、重く、大地を揺らさんばかりに鳴り続ける。

 

それはまるで、このSSK限定必殺奥義作戦を考えついた童帝の作戦に、キングが呼応したかの様だ。少なくとも、この圧倒的な戦力差を痛感した、【災害レベル竜】の怪人たちを前にして、勝機が見えなかった他のヒーローたちも、皆一様に頷き、一瞬の判断ミスが命取りとなる、この修羅場において、安堵する切っ掛けにもなった。

 

 

当のキングはと言うと。

 

 

「(かんべんして。今、いないんだよ、あの子(・・・)いないんだよ………。とっても強いあの子(・・・)も、それにサイタマ氏だって居ないんだよ。――――た、他力本願でここまでやってきたツケが回って来たのか……)」

 

 

 

地上最強のヒーローの称号を持つキング。

その実態は、最強でも何でもなく――――無職でオタクな引きこもり(29歳)。

大地を揺らさんばかりの振動、通称キング・エンジンは、ビビり過ぎて高鳴る心臓の鼓動が他人にまで聞こえてしまうから起こっている現象なのだ。

 

それでも、一切手を出さず、ここまで成り上がってきた? のは偶然の産物。

そして何より他力本願。

 

最強は他に居る。

寧ろ自分自身は最弱です。ただの人間です。

すみません、すみません、死んでしまう死んでしまう、死にたくない。

 

 

 

「すみませ――――」

「(ネーミングセンスが、お子様、って感じだけど、あたしは好きだよ、よっしゃ! それで行こうっ! キングっ!)」

「ッッ――――――!!??」

 

 

 

煉獄なんちゃら~ はさて置き、必殺土下座ぁ、をやろうか否かと思案していた矢先に聞こえるのは、陽気で明るく、無邪気な声。

 

 

 

ドッ、ドッ、ドッ―――――――――――――――――。

 

 

 

 

 

この瞬間。

キングエンジンが鳴りやんだ。

 

 

 

「(キング・エンジンが止まった……!?)」

「(この感じは……、出撃前の………!?)」

 

 

 

嵐の前の静けさとはこの事。

極限まで集中し、己を無とする。圧倒的な威圧感を放ちながらも、まるで消えたかの様に、一切水面に波紋が映らぬ静止した世界が訪れたかの様に。

 

場に静寂が訪れた。

 

 

 

「ッッッッ――――!!?? 余裕ぶっこいでる場合じゃねぇ!! いくぞ、オラッッ!! 54兆究極合体!!」

 

 

 

この静寂に耐えきれなくなった怪人・黒い精子(11兆4491億71万2553体)+黄金精子(43兆体)が行動を起こす。

この相手には、持てる全てを出し尽くさないと敵わない。消し飛ばされると本能的に察したからだ。

 

合体したら勝てる―――と本当に、本心で思っているかどうかは、この怪人にしか分からない。

 

 

 

 

「しめた!! キングさんの必殺奥義の予兆に堪えられなくなった! チャンスです! キングさん!!」

 

 

 

 

 

涼しい顔をしながら、戦況を見据えるキング。

エンジンはもう鳴らない。

 

ただ、その代わりに1つだけ、心に誓う。心底誓う。

 

 

 

 

「(―――身体、鍛えます。ちょっとくらいは………)」

 

 

 

 

 

そして次の瞬間光の奔流がキングを包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キング・SSKモード、煉獄無双爆熱波動砲が爆誕した事を記念し、少々時を遡ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故、ヒーローの中では誰よりも弱い、ビビリ、と嘆く彼がそれをする事が出来るようになったのか。

 

 

全ては、1人の青年……リストラされて無職となった1人の青年と、1体の怪人との出会いから始まった。

 

 

 

 

 

約4年前。

 

 

 

「―――思い出した。オレ、小さい頃ヒーローになりたかったんだよ。サラリーマンじゃなく、テメェみてーなあからさまな悪役を一撃でぶっ飛ばすヒーローに。………就活なんざ、止めだ」

 

 

 

 

絶体絶命のピンチが訪れた。

カニを喰い過ぎて、突然変態を起こしたカニランテと言う怪人の襲来。

 

油性マジックで、乳首を描かれた事に激昂して、子供を殺そうとした場面に、飛び込んだ1人の青年。

 

仕事をクビになり、全てがどうでもよく感じていた、虚無だった筈なのに、身体が勝手に動いた。

子供が殺されそうになってる場面で、身体が勝手に動いた。

 

 

 

「かかってこいや!! コラァァ!!」

「プクプクプク。なぁにが……ヒーローだ!!」

 

 

カニランテの大きくて、硬質な蟹鋏で殴りつけられる。

何度も何度も殴りつけられる。

 

 

「キミに勝機なんてねーんだよ。折角、同じ目をしたよしみで見逃してあげたってーのに、相当お馬鹿さんなんだね。プーーックックックック(笑)」

 

 

 

実は少し前に遭遇して、彼を見逃したのだ。

カニランテの目的は、自分の身体に乳首を描いた子供。それも油性ペンで描いたから消えないし、蟹鋏だから、タオルで器用に拭いたりも出来ない。

だから、あまり彼に固執していなかったのだが、向かってくるのなら話は別。

 

 

「あのガキの前にバラバラにしてやるよー! プーーーックックックック!」

 

 

八つ裂きの刑、と鋏を大きく振りかぶったその時だった。

カニランテの傍で、至近距離でピカピカ、と瞬く何かが纏わりついていたのに、気付いたのは。

 

 

「ん?」

 

 

なんだ? とそれを凝視した途端。

 

 

「ぴかーーーーっっ!!」

「!!?」

 

 

 

何が起きたのか解らない。

ただただ、カニランテは絶叫する。

 

 

「ギョワアアアアアア!!!! 目が、目がぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

 

何が起きたのか、それはカニランテの眼前で、突然光源が発生した。

強烈な光を至近距離で受けた為、視力を奪われたのだ。

 

元々、蟹怪人であるコイツは、眼球が外に飛び出している。瞼を閉じて回避する~なんて事は出来ず、ただただ完全に視力を奪われてしまったその隙に。

 

 

「ぎゃあぎゃああぎゃああ!!」

「オラぁぁッ!!」

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

眼球にネクタイ引っかけて、思い切り引っ張り出した。

長い長いツタの様に伸び続けて伸び続けて、噴水の様に血を吹き出して―――軈て絶命する。

 

 

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……、なん、だったんだ? 今のは……」

 

 

殴られ続けたが為、己の血が目に入って視界が朧気だったお陰も有り、カニランテの様に強烈な発光で目をやられる事が無かった彼は、周囲を見渡した。

何が起きたのか……と確認する為に。

 

すると、光が形となり、軈てそれは小さな小さな少女の姿になる。

 

 

「格好良かったよ、お兄さん!」

「なん、だ? お前。……怪人、か?」

 

 

血糊を拭いながら何度も何度も凝視しなおす。

気のせいか? とも思ったが、どうやら気のせいでは無さそうだ。目の前に確かに存在する。

 

醜悪な怪人を見たばかりだったから、同じ怪人だとは思いたくない。けど、その身形を見れば人間じゃないのは間違いない。

 

 

「うーーん、まぁ、分類上はあたしも怪人、になっちゃうんだろうけど……あたしは、ヒーローの側が良い。お兄さん、めっちゃ格好良かった! 怪人より、ヒーローが良い!!」

 

 

ぴょんぴょん、ひゅんひゅん、と飛び回る得体のしれない何か。

一戦終えたばかりに心臓の鼓動がヤバイ。

頭がくらくらする、と自分の身体のダメージを再認識した男は。

 

 

「そう、かい。あぁぁ……、助かった。ありがと、な」

「ねーねー、あたしでもヒーローになれるのかな? 怪人ばしーーー! ってやっつけたら! 同族って訳じゃないし、別にかんけーないし! なれるかな?」

「あ? さぁ……、そりゃ、わかんね……」

「なに? 聞こえないよ! ねーねー、おにーさーん! あたしもヒーローが良いーー!! 今はぴかーーー! って目を晦ます程度だけど、ヒーローだったら強くないとねっ!! 頑張る!! 頑張ったら、なれるかなー!?」

「だぁぁぁぁぁ! オレ今結構重傷中なんだよ! 静かにしてくれ!!」

 

 

 

 

ヒーローになりたい男と怪人。

 

この2人の邂逅により、ここから4年後――――SSKキングが生まれるのだった。

 

 

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