ヒカリちゃんはキングと遊びたい 作:SSKキング
「(これはアテレコアテレコ……、自主製作、個人の小説アニメ化させて、いや、アニメも自力で作って今アテレコしてるだけ――――。いやいや、違う違う。まだ妄想の段階。妄想を口にしてるだけ――――。いつその時が来ても良い様に練習練習……みんなカボチャ……)」
いつもの怪人と相対する時よりは、精神に余裕が出来ている理由の1つとして、キング自身の趣味で制作している創作物。その作成過程? を連想させてたり、妄想だったりを利用しているから。
勿論、大半が命がかかってない場面だからだ。恥ずかしい想いをする方が大分マシだと言えるから。
勿論、キング以外の面子はキングの心情を理解している訳がない。※但しサイタマは除く。
目の前で突然輝きだしたかの姿に注目を集めた。
S級の超人達でも、人類最強と呼ばれるキングには敬意を払い、そして彼が成そうとしている事に横やりをしたりもしないという事だろう。
あの文句を言ったタツマキでさえも、今回ばかりは何も言わず、ただただ成り行きを見る側に回った。
そして、キングが輝いたのはほんの一瞬の出来事。
瞬き厳禁、とでも言えばよかったのか、あの光は気のせいだったのか? と思えてしまう程に、消失していた。
後に見えるのは、この集会所、S級が集ってるこの部屋の無骨な機械類の灯りだけだ。
そんな中で、これまたいつの間にか両腕を組み、上を見上げているのはキング。
威風堂々―――と言う言葉がピッタリなその風貌に一瞬だけ静寂が起こり……。
「………さぁ、ヒーローの時間だ」
キングの言葉で静寂は破られる。
視線はしっかりとカンペの位置へ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
FROM:ひかりちゃん
件名;緊急連絡! UFO襲来!? ヒーローよ、集いて戦えっ!!
本文:
ヒーロー協会に多分もうちょっと、後ほんのちょっとで攻撃してくるよ!
すごいよ! 空からおっきな乗り物が降りてきたもんっ! すごいすごいっ!!
だからね、キングもいつもの感じで( `・∀・´)ノヨロシク!
市民の味方! 皆を護るキングの光!
色々と演出の方は任せといてっ!
あ、追伸~~!
ワタシもキングみたいに色々と考えてみたんだ! こんな感じで今回やってみよーよっ!?
どかーんっ☆
動揺するヒーロー協会。
そこに、我らがキングが立ち上がり、言った!
キング『みな、落ち着け』
………以下長文。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ヒカリの即興小説? 最強ヒーローキングの大冒険(仮) は異様に長い大作となっていた。
本当にこの文字を打つ時間は何処にあったのだろう? と言う疑問も無くは無かったが、今は良い。
キングはセリフを覚えるのは完璧に出来る。
所々、丸投げ気味だった部分でのアドリブにも当然完全対応できる。
元々趣味で創作業していたし、ネット投稿すればそれなりに人気があったから自信もそれなりにあり、才能だって悪くない。
でも、それを公衆の面前……皆の前で行う事がかなり恥ずかしいのがネックだった。
落ち着きを取り戻して、エンジンも消えたと思ったのに、再燃してしまった。
そして、不吉極まる文に目を通した瞬間に、恥ずかしくて赤くさせていたキングの顔色は完全に消えている。
消えた、ではない真っ白になっている。
シッチが言っていたシババワの最後の大予言の事を思い返したからだ。
とてつもない事が起こる。それも半年以内に。
心の底から憂鬱に考えていて、今後の事をすり合わせてすり合わせて、相談して、身の安全を第一に考えて――――と頭の中でシミュレートしていたというのに……、まさかのUFO襲来。宇宙人の侵攻。宇宙戦争。
まさかのSFモノに驚きを通り越している。
そして間違いなくコレが予言の件だと連想出来るから。
普通なら、子供の戯言と一笑して一蹴して終わりにしたい所ではある。………でも、この連絡の相手が相手。そういう訳にはいかない。
地球生まれの怪人たちだけで飽き足らず、他の星から攻め入ろうとする者達が本当にいたのか……と、それと相対しなければならないのか……、と。意識した瞬間には、目がいつも通り死んだのだ。
間違いなく。予言が現実に起こった。
過去最大にして最悪、最強、最凶な相手がやってきたんだ。
「き、キング!? これは一体っ―――!??」
「落ち着け。シッチ氏。……外の映像、様子はここから解るか?」
腕を組み、天井を見据えながらキングはシッチに外の様子が解るかどうかを尋ねた。
ヒーロー協会本部に起こった現象、核シェルター並の強固な建造物を前に、ここまでの衝撃は前代未聞だ。怪人に接近された事もそう。A市は非常に大きな町だ。そんな大きな町に怪人が現れたともなれば当然騒ぎになる。
ヒーロー協会に近づく前に、必ず騒ぎになり、警戒網に引っかかる筈なのだ。
だが、それらが一切なく、直接本部に攻撃が来た。
それもシババワが死に、未曾有の災害、その予言を伝えた矢先の出来事。
キングに言われるまでも無く、外の様子は直ぐに確認させている。
そしてその内容を知らされ大騒ぎになる。
「ほ、報告します! A市、A市が消失――――!??」
「はぁっ!??」
内容とは、ついさっきまで有った筈の町。大規模なA市が完全に消失しているとの。
まるで最初から無かったかの様に真っ白に染まっていたのだ。
「ば、ば――――ばかな!! そんなばかなぁぁぁぁぁぁああああああ!!?」
シッチは、報告内容を信じず、自分自身の目で、外のモニターに目を通した。
ホログラムで見る3D映像は外の状態を正確に映し出していた。
確かに、映し出されたそこには何もない。全て塗りつぶしたかのだった。
他のデータも全て《ERROR》と表示されている。
生存、建物倒壊率等、全ての計器の表示が《ERROR》となっており、オペレーターの声が嘘ではなかった事の証明となってしまった。
「まさか、そんなまさか!? 今すぐ予言の時が来るなんて誰が予想できる!? ほんの一瞬で、町が、A市が――――この町が消え去ったと言うのか!?」
「おい! この建物はなぜ無事なんじゃ」
「ここは、この本部の建設はメタルナイトに依頼して、並のシェルターよりも強固に出来ている!! 核ミサイルを打たれても守れる! だが、外は、外がぁああ!!?」
大パニックになってしまってる間に、誰にもバレない様にいそいそと端末でやり取りしているのはキング。
「………………」
流石のキングも外の状態が解る筈がない。
ヒカリから送られてくるメッセージで全てを把握できるわけがない。
確かに文字数は非常に多いのだが、その中身は、キングに言わせれば少々稚拙。
擬音たっぷりで、地の文は殆どない台本式の小説だから、その情景は自分のセリフ? から想像するしかない。
そして、シッチから知らされた結果は外のA市の消失と言う想像を遥かに超えた事態だった。気を失いかけていたが、ヒカリとのホットラインが繋がってるので、どうにかこうにか意識を繋ぎとめる事が出来たのである。
「問題ない。……なにひとつ、問題ない」
短い時間ではあるが、全てを網羅しキングは再び話し出した。
大パニック状態であっても、彼の声はしっかりと皆に届く様だ。
「き、キング!? 何が問題ない、と言うのだ!? A市が! A市が消えたのだぞっ!!?」
当然シッチは、如何に人類最強キングに諭されても、起こった現実が変わる訳ではない、と声を荒げた。
そんなシッチとは実に対照的に、当然の様に平然と落ち着きを払っているのはヒーローたち。
「取り合えずキングさんの話を聞きましょうよ。外の様子を知る様に指示したのもキングさんだし、予期してた様にも思えるし」
騒然としている協会側を制する様に、ペロペロキャンデーを差し向けたのは童帝。
「うむ。説明は欲しいぞキングよ。町が消えて尚、何故問題なし、断言できるのじゃ?」
シルバーファングも続く。
「先生、キングは一体なに――――………!?」
そしてジェノスも気になり、サイタマにもいろいろとご教授願おうとしていたのだが、そこにはもう彼の姿は無かった。
ジェノスがそれを確認すると同時に、キングが口を開いた。
「今、
そして遡る事数十秒前。
ヒーロー協会を襲撃したのは空を統べる怪人たちだった。
何やらブンブンと上で色々と言っていた様だが、それ以上に気になる存在が更に上から迫ってくるのをヒカリは視たのだ。
「すっごいっっ!! SF漫画でも映画でも見たヤツだね、これっっ! これってあれだよね? 宇宙人が攻めてきた! ってヤツだよねっ!!」
両手をぶんぶん、と振るいつつ、わぁわぁきゃあきゃあと、興奮していた。
でも、ただただ子供の様に喜び、興奮しているだけじゃない。
マンガ等での宇宙戦争的な展開。その序盤。大体力の無い市民たちが多大な犠牲を被ってその脅威を知らしめる~~となるのを知ってるので早速行動。
「キングはぜーーんぶ、救っちゃうもんね!」
そんなセオリー通りにはいかない。
何故ならキングが居るから! 最強のキングが居るから! と興奮気味に素早く全ての対応を済ませる。
怪人をやっつけるだけでなく、皆を護るのもヒーローだ!!
あの美味しいスイーツ店の皆、美味しい美味しいスイーツをくれた皆の事は―――。
「ぜーーったい護るよ~~!」
と、ヒカリは気合がいつも以上に入った。
取り合えず放置しても問題なさそうな何匹かの怪人は無視して、キングに光を送る。
電波よりも余裕で早い光の速さで広がるヒカリ自身は容易にキングが居るヒーロー協会へと到達し、内部にまで侵入出来た。
この光もヒカリの一部の様なモノだから
「ぃよしっ! んじゃあ、
「『星降ル光ノ空ニ』」~~っと!」
キングの身体が輝き―――
そしてヒカリは笑顔で両手を振り下ろすと、瞬く間に世界は光に包まれた。
光は眼下の町を綺麗に覆い、まるで光の絨毯でもひいた様だ。
「な、何事だ!!?」
突然の事態にヒーロー協会を攻めていた怪人たちも驚き、全員が等しく時間が止まったかの様に固まった―――が、固まっていられたのは、ほんの一瞬だった。
空を統べる怪人たち、その長の名は【天空王】
配下を従え、一斉攻撃にうって出てきたが、まるで眼中に無し、と言わんばかりにあの宇宙船からの砲撃で全て吹き飛ばされてしまったからだ。
天空王1人を除いて……。
あまりの事態に狼狽する。
そんな天空王とはまた違った意味で困惑の色を隠せれない者もいた。
そう、攻めてきた宇宙船に乗っていた怪人だ。
「おかしいな」
「うん、おかしいと思う」
「突然光ったかと思ったら、これ、バリアーでも形成された? 砲撃が通ってない」
「この星の文明レベル結構高いって事か」
「うん、そうだと思う」
「取り合えず、下に降りてみる?」
「いいと思うよ」
突然光ったのは視認出来た。でも構わず一斉砲撃を行った。
でも、その全てが表面で爆発しただけで、光を消失させることも出来なかった。あの光の下がどうなってるのかは確認出来ていないが、それを確認する意味でも、降りてみよう……と下降を始める宇宙人。
それは多数の頭部を持つ宇宙人。
その後、降りる過程で天空王と鉢合わせたので、軽く一蹴したのだった。
何も言葉を介さない、ただ羽虫を叩き落とすかの様に。
「ぇ………これ、でおわり………?」
意気揚々と全てを統べる! と攻め入った王にしては何とも可哀想な展開。
片手間で叩き潰されて、その身体は爆散してしまった。辛うじて残った意識の中で、尋ねる様に虚空に呟くが無論それが正解。
日の目を見る事なく、天空王は消滅した。
地球の陸海空それぞれを統べる(と思ってる)怪人たちはこれにて全滅である。
※因みに陸を統べる地底王はサイタマ&キング(ヒカリ)と運悪く出た瞬間鉢合わせてセリフ無くワンパン。
「わおっ! サイタマ。出てきたんだね?」
「何かキングが色々とやりだしたから、ぜーったい、お前がやってると思ってな。案の定だ。今回は俺の方が早い! って思ったのによぅっ!!」
「まーまー、運が悪かった、って事で諦めてどーぞ! あ、食べる? クロワッサン美味しいよ」
「喰う!」
ある程度の対応をした後、ヒーロー協会本部の天辺で、足をプラプラさせながら座っていたヒカリの傍に、天井突き破ってやってきたのはサイタマ。
核シェルター並の装甲を意図も容易く……とツッコむ者はここには誰も居ない。
サイタマの実力を知っているヒカリしかいないから。
「それであのでっかいのは何なんだ?」
「えーサイタマ見てわかんない!? 宇宙人だよ! 世界大戦、じゃなくて宇宙戦争で宇宙大戦だよっ! とうとう、宇宙規模な戦いが始まるんだよっ! 面白いよきっと!! 大きな戦いだから、早い者勝負~なんて事しなくても大丈夫そうだね。地球育ちのヒーローVS全宇宙の王の激突だよっ!」
「うーーん……、盛り上がってるトコ悪いけど、いっつも1発で終わるから、面白い! って言われてもなぁ……正直微妙。まぁ、やって見てから感想言うわ」
「そりゃ、サイタマが力加減が絶対的に下手っぺなだけでしょ? 折角カッコイイ演出とかアイディアとか出したのに、ぜーんぶダメにするんだもんっ」
「つーか、忘れてたけど、俺はずいぶん前から言った筈だぞ! いろいろ小細工演技すんじゃなくて、頑丈で丈夫なヤツと思いっきり全力で! って。そもそも、おままごとしてるみてーで、ガラじゃねーんだよ。俺はもう大人だ」
「ムリ言わないの。それなら流れ星にでも願ったら良いじゃん。強くて頑丈な怪人きてくれ~~って。いっちょ勝負しようぜ! って。頑張って願ってたら叶うかもしれないよ? ……でも、サイタマ流れ星壊しちゃったしなぁ~」
「そりゃ、お前も一緒だろ? 跡形も無く破片すら残さず消したって意味じゃ、俺より性質悪いぜ」
わいわい、といつも通り談笑を楽しんでる2人の元に、とてつもなく巨大な砲弾が放たれた。
それは一撃で町を破壊し、吹き飛ばす威力を備えている凡そ、人類では作れそうにない破壊兵器………。
「さっきからドッカンドッカンうるせーのは
「そっ。着実に侵略してきてるよっ!! ……ま、でもやっぱレーザービームとかじゃなくて良かったね。あれ、波長が合っちゃったのか私の光透過してくるパターンとかあったし。皆の事も護るヒーローとしては、やっぱり考えものだし?」
「そりゃ同感。なんせ服が燃えねぇしな。……思いだした。光貫通したヤツ? それキングがビビッて立ったまま気絶してたやつだな。 いや、面白かったよ。うんあれは面白かった」
そんなヤバい兵器がやってきても、何も変わる事が無いのはサイタマとヒカリ。
何ならお茶でも1杯やって悠長に~と出来そうな気がするのだが、流石にそんな勿体ない事はしない。
「んじゃ、いい加減お返し行ってくるわ」
「りょーかい。私はキングに町の皆避難させて~~って言ってるから。それが終わったらキングと一緒に色々と活躍するよ! 上も下も、ってちょっと疲れちゃうし、やっぱり集中したいじゃんっ! ……あ、でも空飛んでるし、空での戦いは初めてだし。キング嫌がらないかなぁ? ちゃんとついてきてくれるかな?」
「―――まぁ、嫌がるだろな。んでも、キングもヒーローだ。お前も一緒に居るし、怪人相手に全拒否はしねぇんじゃねーの?」
話を終えると、サイタマは勢いよくジャンプ。
ヒカリによる守りの光を突破出来ないのに業を煮やしたのか、あの砲弾が雨あられの様に降り注いできた。
その内のひとつにサイタマは狙い定めてシュート。
「頭上でドッカンドッカン喧しいわ。星に帰れ」
跳ね返された極大砲弾は、宇宙船に当たって大爆発。
それは、いつもの怪人が爆散するグロくて汚い花火ではない。
爆炎の綺麗な花火。
それが開戦の合図となる――――。