ヒカリちゃんはキングと遊びたい   作:SSKキング

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遅くなりました~~~~~~m(__)mm(__)m


地上戦決着?

 

―——いったい、なにがおきた?

 

 

ボロスは、力ある種族でありその中でも突出した力の持ち主であるからか、あまり知られてない事だが、その頭脳も見合っただけの性能を誇っている。

だが、今回のこの現象———それは一切思考回路が追い付かなかった。

 

ただ、思考を放棄し現在の状況だけをどうにか理解しようと試みた結果……宙を飛んでいる、と言う事だけは判明。そしてそれが功を成す事になる。

自分の現在の状況から導き出される結論に至るまでにそう時間がかからなかったからだ。

 

あの時、あの一瞬で臨戦態勢になった筈だった。例え相手が誰であったとしても、例えどの様な攻撃が来たとしても、例え何をして来ようとも対応できる筈、……筈だったんだ。

 

 

「ッッ!!!」

 

 

一気に意識を覚醒させると、ボロスは出力を地上に向けて全開にする。

後ほんの数秒、対応が遅れて居たら宇宙に放り出されていた可能性が有った。成層圏を抜けていたのだから当然だ。

闘いに来た筈なのに、闘いの「た」の字さえ行われず、まるで羽虫を追い払うが如くにこのまま、何も出来ず地球から追い出されると言う屈辱以外の何物でもない

 

 

自身を纏っていた鎧も見るも無残な姿。まさに粉々だ。でも、それは好都合とも言える。

ボロスが身に纏っている鎧、それは自分の身を護る為の鎧ではなく、己の力を抑える為のモノ。そうしなければ、戦闘した星が容易く砕け散ってしまう可能性があるからだ。

それでは楽しくない。だからこそ、自分の枷と言う意味でも鎧をまとっていたのだが……。

 

 

この相手には、自分の全てをぶつけなければ勝負にすらならない事を自覚した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお~~、なにあれ! キレイな……花火?」

「昼下がりなのにな。……ほっ」

 

 

ひょい、と宇宙船の外、天井部を抜けて外へと出てきた2人。

きょろきょろと見渡しても、宇宙の歯医者もボロも何処にもおらず少々焦った2人だったのだが、頭上で爆発? 花火? を見て取り合えず安心した。

特にサイタマは顕著にその様子が現れており、結構ヤル気になったのに何もせずに終わりとか……と半ばあきらめかけていたから。

 

 

空を見上げる限り、どうやらまだ終わりじゃなさそうだ。

 

 

待つ事数秒後———体中が真っ赤になったボロスが降りてくると、その額の大きな目がぎょろりと開き、サイタマとヒカリを見据えた。

 

 

「すまなかったな。全力で相手をするつもりだったが、どうやらまだ俺の心に贅肉がついてしまっていた様だ。これまでの戦闘が如何に楽しく無かったか、痛感させられる」

「おーおー、そんな負けそうなヤツが言うセリフ、とっとと止めてかかってこい。次、相手は俺だから。……お・れ! だからな!?」

「も~~、解ってるよぅ。そんな子供みたいにダタこねないでよぅ」

「子供っつったら、おめーの方もだろーがよ! オレだっつってたのに、横やりしただろーが!」

 

 

ずいっ! と前に出るサイタマ。

今の今までヒカリと横並びだったのがいけなかったのだ。速度の領域においてはヒカリが圧倒的に有利。結構本気出してしめてかからないと、最初から最後までヤられる。

 

だから、サイタマは念には念を入れたのである。

何せ、サイタマ自身もそれなりに期待している部分があったから。

 

 

いつもいつも、何だかんだ楽しめているヒカリとはやっぱり違う。ごっこ遊びで満足できる様な歳じゃない。頑丈なヤツと心行くまで殴りあえたら……と思う。

少なくとも、ヒカリの初撃を受けて尚立っている所を見ても、これまでのヤツらよりは強いと言えるだろうから。

 

 

「―――――」

 

 

ボロスは、明らかに侮られている事を実感していた。

こんな事未だ嘗て無かった事だ。

 

でも、不思議とそこまでの屈辱感は沸いてこない。未だかつてない巨大な強大な敵を前にして己が力を存分に振るえる事が出来て、ただただ歓喜している。

 

 

「ゆくぞ!!」

 

 

ゴッッ!!

 

とてつもない圧力と共に、怒髪天と言えば良いか、坊宇宙人と似たような逆立つ髪を靡かせながら、突っ込んできた。

サイタマもそれに呼応する形で応じる。

髪がふさふさしていて、バサバサ棚引いている所を見て………複雑な心境を覚えながらも、今は戦いをしてみたい、と言う欲求だけに従い、ボロスの嵐の様な圧力と暴風雨の様な手数の攻撃を真正面から受けたのだった。

 

 

「わー、キレイだね~~」

 

 

ヒカリは、ぽてっ、と船の瓦礫の1つに腰かけて見上げる。

サイタマは、その気になったら空だって飛べる。……勿論、羽根がある訳じゃないので毎回地面に戻ってくる感じではあるが、虚空を蹴る事でそれなりには空を移動できるのだ。

 

因みに、ヒカリが聖典(マンガ)で見た技術をサイタマにやってみて! と言ったのが切っ掛けである。光に成れるヒカリは空中移動はお手の物。サイタマとは一応同じ地平に立ってる存在である、と認識しているのでキングとはまた違う意味で一緒に居たい人物なのだ。

 

長らく一緒に居たからこそわかる。

 

 

「……うーん。やっぱしツマラナイのかなぁ? ん? およ?」

 

 

ボロスと何度も何度も打ちあっているサイタマを見てヒカリはそう零したその時、ヒカリのポケットの中のスマホが震えている事に漸く気付くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとキング! 私もそろそろ攻撃したいんだから、アンタのバリア外してよ!」

「……あー、うー、忘れていたな(ひ、ヒカリ氏ぃいぃぃ!!)」

 

 

外に出てきたは良い。

敵船の半分をすっ飛ばしたのも良い。

 

でも、ヒカリの気遣いか、やっぱりヒーローとして民間人への被害はゼロのままにしたい、という気持ちがあるのは間違いないので、船をすっ飛ばした後再び地上を攻撃されない様に、瓦礫の落下を防ぐ為に、またあの光で一面包んでしまっている。

 

それはキングの所作である事は皆理解しているので、別に問題はない。

敵もまだ数体下に降りてきているので、地上で戦ってるから全く問題ない。

 

ただ、唯一の例外がこの戦慄のタツマキである。

 

 

船から降りてきたのは最初のデカいヤツ以外はほぼ烏合の衆。

S級ヒーローの敵ではなく、童帝・クロビカリ・番犬マン・豚神・ゾンビマン・駆動騎士らで十分過ぎる。

サイタマもキングに見せられて、張り切ってねじり切ってしまったので、早速暇を持て余してる状況になっているのだ。

 

一応、船が半壊した弊害からか、あの船から怪人(宇宙人?)が落ちてきているので、敵がいない訳じゃないんだけど、思いっきりライバル視しているタツマキにとっては物足りなさすぎる。他のヒーローが打ち漏らしでもすれば、意気揚々とやらない事も無いのだが、この面子にそれは望めない。

 

 

と、色々あったのでキングはポケットに手を突っ込み(格好つけ)、指を高速でタップさせながら、器用にスマホを操作。ヒカリに何通もメッセージを送っているのだ。

 

【タツマキちゃんがバリア外せと言ってる!!】

 

何度も何度も送信しては送信して―――軈て返信がきたのが、スマホが震えた。

それを確認すると同時に、キングは《今気づきました!!》と言わんばかりに、ゆっくりとした所作でポケットからスマホを取り出し。

 

 

 

『おっけー! ちょっぴり暇な時間になっちゃったからさ? ほらほら、行くよキング!! 右手を掲げて、指を立てて~~』

 

 

 

と、お馴染みの演出をキングに示唆。

何通送ったか解らないが、漸くつながった事にキングは安堵。相変わらず死んだ魚の様な目は変えられないのだが、それでも眼には光が戻り、ヒカリの指示通りに指を立てて左右に振った。

 

 

 

 

「お!?」

「空が、覆ってた光が……!?」

 

 

 

戦っていたヒーローたちも、その変化に気付いたようで空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分余裕の様だな、貴様ら!! 状況が解ってないと見える! 今、たった今、1人殺した! 脆い脆い貴様らは一撃で即死だ!!」

 

 

同刻、キングやタツマキらから少々離れた場所にて。

シルバーファングを吹き飛ばした怪人メルザルガルドは調子を取り戻す……事は無いが、己を鼓舞する様に、或いは恐怖心を誤魔化す様に声を荒げた。

 

 

船を一瞬で半壊させた正体不明の攻撃について何も解っていない。急いで対策を、或いは他の仲間たち、ボスであるボロスと合流する事が何よりも先だった。

明かな自分達の劣勢を誤魔化したいが為の強がりだった。

 

でも、あの異常な攻撃以外であれば自分が本気で攻勢に出れば余裕と言うのは信じて疑っていない。

 

あの攻撃をする強大な相手が来る前に、全滅させて離脱する。

 

 

「さっさと船に戻らせてもらうぞ! 貴様ら如きにてこずる訳がないのだ! オレは守らずに攻める。それだけを意識して攻め込めば、早々に片付ける!」

 

 

そう言うと、右手を刃状に変形させ、残った左手でアトミック侍を指さす。

 

 

 

「とっとと始末させて貰おうか。まずは貴様からだ雑魚剣士」

「―――ふはっ。見え見えだぞ、貴様のその小根が」

 

 

 

アトミック侍愛用の長爪楊枝を思わず吹き出しそうになるのを堪えつつ、出来る範囲内で思いっきり笑う。

 

 

「貴様はこう考えてる。……あの攻撃だけはどうしても抗えない。お仲間たちの元に逃げなきゃならない。でも、悔しくて悔しくてたまらないからせめて一矢報いたい。……違うか?」

「あ゛あ゛!!?」

 

 

アトミック侍の指摘を受けて、残った最後の頭部が異常に歪みを見せる。

髪は無いが、怒髪天をついているのだと容易に想像が出来る風貌だった。

 

 

「脳の足りてない弱小種族が。何筋違いな事を妄想している! そもそも、一矢報いるだと!? 先ほどの爺は殺しておいた。これでもまだ足らんと言うのなら、貴様の頭蓋を砕いて、屍を此処に追加するのみよ!」

「へぇ――――、誰が誰を殺したって?」

 

 

アトミック侍の背後から歩いてくる人影があった。

それが一体誰なのか……、それは直ぐに判明する。アトミック侍がこれ見よがしに、身体を半身動かしてハッキリとメルザルガルドに見える様に位置調節をしたからだ。

 

 

「うぃ~~~~、まさかこの歳でワープを経験するとはのぉ……。年甲斐もなく燥ぎたい気分じゃわい」

「!!!」

 

 

そこに現れたのは……まさかのシルバーファング

 

 

「ば、バカな!! 生きて―――、いや、それよりも! 何故そっちにッッ!??」

 

 

反対方向に吹き飛ばした筈だった。

なのにも関わらず、あのアトミック侍の後ろから現れるなんて、普通に考えたらあり得ない。

 

ただ、シルバーファングは今ワープと言っていた。

そんな超高次元の技術がこの地球にあるとは思えないのだ。

 

 

「それにしてもまぁ、鈍っとるのぉ。年寄りを労わってくれとんのは有難い事じゃが、たまには全力で運動せんといかんな」

 

 

そして、それ以上に何故生きているのかもわからない。

手応えありの一撃だったのは、メルザルガルド自身が一番よく解っているからだ。

 

 

「おい、俺から視線を外してんじゃねぇよ」

 

 

シルバーファングの再登場に思わず固まってしまっていたメルザルガルド。

そんな攻撃してください、と言ってるも同然な状態で待ってやる程甘くはない。

 

何より、先ほどは盛大に笑ったが、ここまで侮られて侮辱された事を良しとしている訳でもない。

 

 

 

―——アトミック斬!!!

 

 

 

一瞬千斬。

アトミック侍の必殺技は、メルザルガルドを粉々に剣閃で切り刻んだ。

 

 

 

【生意気な、生意気な!!】

 

「普段は肉体のどこに心臓部があるか解らんように自由に移動させている。……で、肉体が復活する時は頭部から再生されて、その中心に心臓部がある」

 

 

シルバーファングは、再生されていく頭部へと一足飛びで到達すると抜き手を以てその頭部を穿った。

まだ、再生の途中だった為、非常に脆く用意に心臓部に到達し、その小さな球を引っこ抜いた。

 

 

 

 

 

「これだけ見せりゃ、猿でも要領を掴めるわい。ほい、王手じゃ」

『くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』

 

 

 

 

 

 

握り潰されて、そのままメルザルガルドは消失した。

 

 

 

「アトミック侍よ。お前さん、よく解ったの? ワシが背後から出てくると」

「キングのあの光が視えた。シルバーファング、お前さんが受けた衝撃をあの光がいなしているのがな。目で追えば容易に解る」

「いや驚いたもんじゃよ。それに、こうも労わってくれるとはのぉ。後で礼をいっとかんと」

 

 

キングの光は、形を性質を自在に変える事が出来る様だとアトミック侍は認識した。

加えてあの破壊力。……地上最強の称号に相応しい人物だと改めて認識。

 

遠距離攻撃手段を持ってない訳ではないが……それでもあの域には到底及ばない。

 

 

「何れは、俺の剣撃もあの域に――――」

 

 

キングの攻撃を思い返して、アトミック侍は己の剣の束を強く握りしめるのだった。

 

 

 

「バングさん!!? 無事だったのですか!?!」

「おーう。ピンピンしとるぞい。一応強がっておくが、キングの守りが無くとも問題なかったわい。肩こりがとれたくらいじゃな」

「えええ!!」

 

 

シルバーファングが吹き飛ばされた瞬間を見て誰よりも心配し、誰よりも驚き、誰よりも戦慄していたイアイアンだった……が、ケロっとしてるシルバーファングを見て絶句。

 

A級とS級には、限りなく限りなく……いや、最早見えない程の大きな隔たりがある事を実感してしまう。

 

 

「イアイ。日々精進だ」

「ッ……は、はい!!」

 

 

そんな心情を察したのか、或いは偶然なのか、師であるアトミック侍はイアイアンに向かってそう告げる。そして、イアイアンもヒーローとして生きていくと、このアトミック侍の元で心身共に鍛えると決めた以上、後退の二文字は無い、と気を新たに持つのだった。

 

 

 

「これで勝利! と言いたいが、キングきゅんが吹っ飛ばした船の断片からワラワラと宇宙人共が落ちてくるな」

「こりゃ、掃除が面倒くさそうだ。頭数だけは多いぞ」

 

 

プリズナーと金属バッドも勝利の余韻に浸りたい気分ではあった。再生する厄介な怪人を倒し、これにて勝利! ……とはならないので、そんな気分は捨てる。

 

ヒカリのバリアが解除された事と、船が思いっきり傾いている状況もあって、空からどんどん新手が迫ってる状況(……ただただ落ちてきてるだけ?)を見て、改めて己の得物を構え、己の肉体に力を入れて、再び臨戦態勢になるのだった。

 

 

 

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