ヒカリちゃんはキングと遊びたい   作:SSKキング

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セリフなし、即退場、ワクチンマンっ♪

 

ヒーロー協会に激震、戦慄が走る。

 

 

 

 

某日 A市

 

 

 

 

 

「大変です!! 本部より北西へ約20㎞の地点……! 推定災害レベル鬼以上、竜の可能性も!! イナズマックスとスマイルマンが出動するも通信が途絶えました……!」

 

 

この街に、これまで確認された限りではおそらく最大規模の怪人が出現した。

街のありとあらゆる場所が破壊され、灰燼と化して逝く。

街そのものが死んでいっている様に錯覚する程に。

 

未だ報告はないが、この破壊の規模・A級に分類されるヒーローたちが次々と敗北、音信不通になる所を見ると、推定災害レベル竜であったとしても不思議ではない。

 

 

「うっ、狼狽えるな! この街は我々の本拠地だぞ!」

「はっ!! ……し、しかしS級が近辺にしかおらず……」

「B級でもA級でもかき集めてぶつけろ! ここの警護に当たってる者も直ちに向かわせろ! 連携だ! 連携を取らせて兎に角時間を稼ぐんだ!!」

 

 

怒号の様な指示が飛ぶ。

堅牢に作られたシェルターの様なヒーロー協会本拠地には未だ影響は及ぼされていないとはいえ、街の様子はすぐさまモニターされてた。

プロジェクターで映し出されたその光景は、まるでこの世の終わりを彷彿させる様だった。

 

 

「め、メタルナイトに機兵団を出すように伝えろ! 代わりにここを護らせる! タツマキにも急いでくるようになんとしてでも連絡をつけろっ!!」

 

 

S級を総動員したいところではあるが、S級の上位とは連絡がまだ付かず、この街にもいない事から、急行したとしても時間がかかるだろう。

 

仮に気づけたとしても、この規模の破壊だ。知らせを受け、駆け付けたとしても……それまでの間に街は消滅する。間違いなく。

 

 

 

よって、急ごしらえではあるが、どうにか集められたA、B、C級のヒーローたちに託された。

 

 

「それにしても、もの凄い破壊力ですねぇ……、これは命がけの時間稼ぎになる予感がします」

「………」

「気持ちで負けたらそこで終わりだ!」

「これ以上被害を広げさせちゃいけない、絶対にここで食い止めよう!」

「間に合わせのコンビネーションがどこまで通用するか……、さて」

 

 

【ヒーローの時間だ】

 

 

A級 ブルーファイア、バネヒゲ、三日月フトマユゲ

B級 ダブルホール

C級 無免ライダー

 

 

集まった5人のヒーロー。

彼らの中には逃げると言う選択肢は一切ない。

例え相手が強大だったとしても、例え命が失う事になったとしても、背を向ける様な真似はしない。逃げ傷をその背に受ける様な真似はしない。

いつもいつだって、前のめり。

 

その精神性故もあって、人は彼らをヒーローと呼ぶのかもしれない……が、今回ばかりは相手が悪すぎた。

 

 

災害レベル竜。

 

 

その強さは人知を超える。

5段階に分かれている災害レベルの1つ【竜】とは、上から数えて二番目に危険とされる分類。

ただ、最上位に位置する災害レベル【神】は、現在も尚、存在されていない代物なので、実質最大クラスの災害と呼んでも差し支えない。

 

その威力は凄まじく、まるで枯れ葉の様に吹き飛ばされてゆく。

枯れ葉ゆえに、相手は彼らヒーローに気付きもしない。

 

 

「ぐわあああああ!!! だ、駄目だ!! 全然だめだ!! 強さが異次元過ぎる!!」

 

 

皆で力を合わせ、現場に急行したヒーローたちも例外ではない。

 

 

「クソッ……!! 近づきさえ、出来ないなんて……!!」

「あいつ、俺たちに気付きもせず素通りしていったぞ!」

 

 

有象無象、塵芥とでも思われているのか、意に介する事なく蹂躙をし続ける。

 

 

 

「ワタクシたちでは、止められません……!」

「っていうか、あんなの倒せる奴いるのか!?」

 

 

 

 

 

そして、通信は途絶えた。

再び、ヒーロー協会に激震が走る。

 

 

「現着したヒーロー合計、C,B,A級合わせて31名! 敗北! 撤退しましたッ!! アトミック侍、豚神、金属バット、タンクトップマスターは現場に急行中です!! ただ、豚神は協会の手配した車に入りきらず、徒歩でこちらに向かっていますが、4時間はかかるとの事……ッ!! 電波障害も発生し、他のS級とは連絡が取れません!」

 

 

如何にランクで言えば低い方であり、S級と言うトップヒーローがいない中だったとはいえ、彼らも決して弱いと言う訳ではない筈だ。

だが、それはあくまでも人間の範囲内に過ぎない。

真なる怪物、怪人の前には無に等しかったのかもしれない……。

 

 

 

「まずい、まずいぞ……!! この協会本部が陥落したら………」

 

 

 

人類が――――終わる。

 

 

 

誰もが脳裏に過った最悪の結末だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――ドッドッドッドッ

 

 

 

 

 

 

 

「ほ、ほんとにするの……?」

「あったり前じゃんっ! ほらほら、堂々としててよ! キング、でしょ!? ヒーロー、さいきょー、それがキングの称号、でしょっ!?」

「い、いや、それは君も知ってる筈だよね?? 勝手に回りが騒いだだけで、俺は何にも……」

「だいじょーぶだって! ああもう、サイタマが終わらせちゃうよ、早く早くっ! 今、私があそb……、目指してるのは影の大々ヒーローなんだからっ!」

「ああっ、今遊ぶって言ったでしょ、絶対!!」

 

 

 

 

 

 

 

―――――ドッドッドッドッ

 

 

重低音が場に響き渡る。

これこそがキングエンジンと呼ばれる彼が戦闘態勢である証!

 

無論、それは表向きの話ではあるが。

 

 

未だ物凄い轟音・揺れが続き、町全体が大爆発してるとさえ思える修羅の場に、まるで遊びに行くかの様に闊歩する男の名はヒーロー名 キング。

 

目の錯覚だろうか? あのキングエンジン以外にも、仄かな光に身を包まれいた。

光とキングエンジンを纏い、歩みを止める事はなく、ただただ爆発の震源地へと歩みを続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

あそぶ、と称し、歩いているその街中では所々に悲鳴も木霊している。

世の地獄があるとすれば、ここの事を言うのだろう?

建物に押しつぶされたか、或いは所々で起きている大規模火事に燃やされたか、或いはあの怪人に直接蹂躙されたか……、不幸にも(・・・・)即死する事が出来なかった人間たちは、ただただ痛みと恐怖の中、叫び声を上げ続ける。

 

迫りくる確実な死を前に、ただただ泣き叫ぶ。

 

 

 

「――――ううん、ここ素通りするひとは、ヒーローじゃないっ! よっし、キングっ! 打ち合わせ通りにやってよ?」

「え、えぇぇ……、ほんとに、そんな事するの? と言うか、出来るの……?」

「わったしを、しんじなさーい! さ、さっ、やろっ!? キングっ! ヒーローの登場だよー!」

 

 

まだまだ照れが見られる男……キング。

 

 

 

 

 

【星降ル光ノ空ニ】…………~~~~っっ///」

 

 

 

 

 

 

 

顔が真っ赤になりながらも、キングは片手を空へと掲げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ……、せ、せめて1人でも多くの市民を……」

 

 

地を這ってでも、血反吐を吐いてでも、出来る事を成そうとする。

あの怪人に勝つ事は出来ない、無駄死にする、それが解っていても、か弱く、助けを求める市民がいるのであれば、必ず駆けつける……、と思っていたその時だ。

 

 

上空に光が差したのは。

 

 

「は……?」

 

 

空が、黄金色に染まる。

まるでそれは神でも降臨したのか? と錯覚してしまう程までに、本当の意味で神々しいとはまさにこの事だろうか。

 

 

その慈愛の光? は、周囲の瓦礫の山とかした建物に降り注いだかと思いきや、それらの建物を丸ごと持ち上げてしまった。

 

 

「超能力……? 戦慄の、タツマキ……? っ、い、いや、あれは………」

 

 

その光景は見た事はある。

S級2位の戦慄のタツマキ。

 

超強大な超能力を駆使して戦う現行ヒーロー協会トップ中のトップヒーローと言って良い存在だ。

厳密には1位がいるのだが、そこは割愛する。

 

 

だが、以前見た事がある超能力とはどこか違う、と直ぐに気付いた無免ライダーは指を差した。

 

 

光の中心に立つのは、小柄な女性であるタツマキではない。男だ。

それにタツマキは大体空からやってくるし、実のところ、誰もが空を飛んでいる光景しか見た事がない。

臨時S級会議の様な場ではその限りではないが、A,B、C級は呼ばれる事がなく、そのまま空を飛んで帰って行ってしまうので、ある意味仕方がないともいえる。そもそも、空を飛んでいる、と言う場面が強烈過ぎて、印象に残った、と言うのもあるが。

 

 

 

――――ドッドッドッドッ

 

 

 

 

そして、タツマキではない、と決定づけるモノがこの音。

知っている。知らない訳がない。

 

 

地上最強の男 と称される絶対の男が戦闘態勢に入った時に鳴る音。

この音を聞いて、生きて帰った怪人は誰一人としていないと言われている代物。

 

 

「き、キング……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【スーパーキングモード】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、怪人はおろか、ありとあらゆる障害物、物質をキングの目の前にある事を許さない無敵形態の1つ。

 

話には聞いていたが、初めて目の前にする。

積みあがった瓦礫の山は、直ぐに宙に浮かされ、宙で一瞬で粉微塵にされる。

周囲に影響がないように、細かく、細かく……、肺に吸い込んでしまったら大変な気もするが、光の波動と共に上空高くに吹き飛ばしてしまったので、恐らくこの周囲は大丈夫だろう。

 

後々、雨と一緒に振ってきそうな気もしなくもない……が。

 

 

 

 

「い、いまの……みた?」

「非常識過ぎる、ひ、非常識な相手には非常識をぶつけるしかない、と言う事なのか……?」

「た、単独で向かってる……、本来なら、止めるべき筈なのに……」

「触らない方が良い。今のキングは完全な戦闘態勢だ……、巻き込まれない様に離れるぞ。キングが、キングが瓦礫を消してくれた……、今の内に生存者を……っ」

 

 

重症の身体だが、それでもあのキングが来てくれた事に安心感が芽生え始めるヒーローたち。

動けない身体に鞭をうち、この絶望的な状況の中で打開をしてくれた男の背を見て、己を奮い立たせる。

 

重症かもしれないが、それでもヒーローとして、そう生きていくと決めたヒーローとして、出来る事はある筈だから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーあ……、人助けも大切だけど、やってる間にサイタマが終わらせちゃったよ……」

「えっと、サイタマって?」

「私の仲間! トモダチ! かな? 色々あったけど、今は無敵のすごーーく強いヒーローだよ?」

「………」

 

 

暫く瓦礫処理をしている内に、一際デカい衝撃波が身体を叩いてキングはすっころぶ。

その拍子に、キングに入っていた? 者が外へと出てきていた。

それは、手のひらサイズの大きさで、何処か妖精を彷彿させる容姿で……。

 

 

「じゃあさ? 僕……俺と一緒にいるより、その人と一緒に世を正した方が良いんじゃ……?」

「うーん、それは駄目っ! 今のマイブームはキングと遊ぶ事なのっ! サイタマと一緒だったら、あっと言う間に終わっちゃって、なーんも残らないんだもんっ! ほら、キングが作ってた小説の主人公みたいにさ? 裏のヒーロー! あれがかっくいいんだもんっ!」

「ええええええ!! あ、アレ見たのっっ!?? 見ちゃったのっっ!?? だ、誰にも見せるつもり無かったヤツなのにっ!??」

「なんで驚くのさー。色々作って投稿してるんでしょ? それも大ヒット連発じゃん? ワタシ、好きだよー」

「そ、れはありがとう。いやいやいや、でも匿名だから出来る事であって、素性バレしてる人に知られるのって抵抗があるって」

「いいじゃんいいじゃん! っとと、それじゃキング! 戻るね? また遊ぼうっ! ばいばーーーい!」

「へ?」

 

 

爆発が止んだ。

もう大丈夫……と言っていたが、この場所は修羅の地、死地、非常に危険地帯。

なのに、その中心部まで来て、ここからは1人で帰れ――――ともなれば、より強く、より大きくキングエンジンが鳴り響いても仕方がない。

 

 

 

「さ、最後まで一緒にいてくれよぉぉぉぉ、へぶっっ!??」

 

 

 

慌てて飛んでいった方に向かって追いかけようとして……、足下が疎かになってしまっていた様だ。

本日の怪人、その細切れになったうちの1つであろう肉塊に足を取られて、キングはその血の海へとダイブした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は変わり、ヒーロー協会本部。

 

 

 

「朗報です!! A市の怪人、撃破に成功しました!!」

 

 

最初とは違う意味で、激震が走る。

盛大に騒ぎに騒ぐ。大歓声だ。

 

 

「おおお!! 良かった! やはり我々に敵う怪人などいないのだ! ふははははは!!」

「此度、仕留めたのは誰だ? 相応のポイントを付与せねばなるまい?」

 

 

 

常識では考えられない程の怪物。

過去最悪の怪人襲来、ヒーロー協会本部があるA市壊滅の危機。

 

それを防いだヒーローだ。一体だれか? と尋ねるのは当然の事。

 

そして、前代未聞の戦果を挙げた者の名を聞いて、直ぐに納得できるのも当然だ。

 

 

 

 

「やったのは、今回も《あの男》ですよ。……あんな脅威が我々の味方でいてくれるのが頼もしい限りです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今はまだヤバい場所。

一刻でも早く安全な場所へといきたくてたまらない男。

 

 

盛大にエンジンを鳴らせながら歩き続ける。

怪人の血だまりの上に頭からダイブしてしまったのだ。直ぐにシャワーも浴びたい。

返り血の様に滴り落ちてくる血がキモチワルイ。

 

 

この場所に来るまで結構歩いたし、走ったし、疲れてる。だから、決して早くはないが、それでも一歩一歩と大地を踏みしめる様に離れて行く。

 

 

「え、エンジンが鳴り響いてるって事は、あの先にまだ怪人が……?」

「今、一瞬でしたが、キングと目があいました。恐らく【次の怪人の元へと向かうから、ここは任せる】と言う意思表示かと思われます」

「あんなバケモノ倒した後直ぐに次に、か……、とんでもなさすぎるだろ……」

 

 

 

歩いていく大きな大きな背。

 

 

人類最強、その4文字に偽りなし。

 

 

S級ヒーロー キングここに有り!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそったれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「まーた騒いでる。早く倒すのが嫌ならさ? サイタマは加減、ってのを覚えた方が良いんじゃない? 怪人に加減がいるかどうかは置いといて」

「ぇぇぇぇぇぇぇ!! ……って、お? ヒカリじゃん。めっちゃ久しぶりだな! ………いや、ちょっと待て。毎度毎度、なんでお前は人の恥ずかしい場面に姿見せるんだよ。狙ってんのかよ」

「えっへっへっへ。欲求不満なら、私の事また殴ってみる? あ、でも思いっきりは駄目だよ? 宇宙からここに戻ってくるの大変だったんだからさ!」

「いや、だから! 望んでるみたいな言い方すんな! お前が自分を確認したいから、ちょっと殴ってみて? ってお願いしてきたんだろ? ……高級焼肉セットと引き換えに」

「だって、モノで釣らないと、サイタマやってくれないんだもん」

「見た目、女なお前を簡単に殴れるか。怪人でもあるまいし」

 

 

 

そして、世界はまだ知らない。

ここに無名にして無双、無類のヒーローがいる事を……。

 

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