ヒカリちゃんはキングと遊びたい   作:SSKキング

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めておでぃさぴあー!?

 

 

 

強さを求めてきた。

圧倒的な強さを。

 

 

そして、今現在……その強さを、強さの頂きの1つを目の当たりにしている。

 

 

巨大すぎる力持つ人を師として崇め、そしてその師が認める強者に対してはジェノスは尊敬の念を持っている。

以前までの自分では考えられない事だった。

 

 

 

―――背中を護ってくれる大きな存在とは、こうも自分の心を整えてくれるものなのか。

 

 

 

ジェノスは、あれだけ葛藤していた思考が、まるで時が止まったかの様に静かになっているのを感じた。

バングの言葉だけでなく、あの怪人にとって死を意味するキング・エンジン、人類最強クラス、キングの存在も大きいだろう。

 

そして、無論この場にはいない自分の師―――サイタマの存在も。

 

 

ジェノスは、己の衣服を破き捨てた。胸のパーツを外し、胸部内、人間で言う心臓部にある拳大の光る球体を取り出す。

 

 

「キング。まだ、手を出さずに見ていてくれ。それとバング。伏せていろ!」

 

 

失敗、二次的な被害。そんなの考える余裕がどこにあるというのだ?

キングが居る時点で、確定している未来だと言える。

キングやサイタマがこの星に居る限り、何人たりとも敵わない。

 

だが、だからと言ってその背に全てを任せて、後ろからただ見ているだけでいられるか?

 

 

答えは否!

 

 

 

「この一撃に、オレの今の全てを—————捧げる!!」

 

 

 

 

胸部のコア。

己の全てのエネルギー、その根幹を使った超螺旋焼却砲。

 

 

眩い光線の様に天へと放たれ———そして落下してくる巨大隕石と相対する。

 

 

 

 

 

 

ドウッ!!

 

 

 

 

 

 

隕石と衝突した瞬間感じるのは、圧倒的な質量、そして圧倒的な破壊力。

 

 

「ぐああああああああああ!!!」

 

 

ジェノスの焼却砲は、その身体と繋がっている為、威力を分散させる事が出来ずその衝撃を受け続けた。

 

それでもジェノスは地に伏す事はない。

 

 

「ぐ、ぐぐぐ………、こ、このくらい破壊出来なくて——————」

 

 

サイボーグの身体、その各部位がショートし、煙が上がるのも構わず、ジェノスは立ち続ける。そして、自分には似合わない【気合】と言う精神力で吼えた。

 

 

「先生の弟子が務まるものか!!!」

 

 

巨大隕石を中心に、波状に広がる衝撃波。

大気を震わせ、人間の目で確認出来る程に広がっている。

 

だが、隕石は落下を続けていた。

 

 

 

「おお! こりゃ、隕石が勢いを落としている様にも見えるぞ!」

「本当か!??」

 

 

ジェノスの渾身の一撃。

それが災害レベル【竜】にも届き得る、背が見えない師、そして人類最強の背に少しでも近づけたか!? と声色に活気が見れるジェノスだった……が。

 

 

「あ、すまん。気のせいじゃった!」

「このくそジジィめ!!」

 

 

上げて堕とす、とはまさにこの事。

精神的にも、中々落としてくれた最悪の言葉。

抜けた力を再び再充填して、天へと砲撃をするのだが—————。

 

 

 

「ぐ————ぁ………つ」

 

 

 

腕の接続させたコアの輝きがまるで花火が消えた時の様に切なく———軈て完全に消失した。

 

 

「……情けない事極まれり、だ。済まないキング……残り9秒。オレでは到底、敵わなかった。……不甲斐ない」

 

 

そんなジェノスの背に、手をかけるのが我らが人類最強・キング。

黙して語らず、ただただ ドッドッドッドッ————と、キングエンジンだけが場を支配し、鳴り続ける。

 

それでも、そこには安堵感が確かにあった。

この感覚は、恐らくはサイタマとキング以外には有りえない。

 

 

「さて、こっからがオレの出番だな」

「! だ、誰じゃねキミは!?」

「オレはヒーローをやってる者だ」

 

 

そんな時だ。

キングやバングの更に後ろから声が聞こえてくる。

この隕石衝突まで10秒切った後の無い状況で、新たな来訪者が現れる等、如何に武術を極めたと言って良い人類最高峰の武術家であるバングも想定外だったようで驚きを隠せれない。

 

 

「―――――サイタマ氏」

 

 

そして、キングは………死んだ魚の様な目をサイタマに向けた。

精神は、この圧倒的な死地を前に死んでしまっている。それでも立ち続けるのは、光が共にあるからだけだろう。

 

 

「勝負だ。サイタマ~~~………氏! どっちが先に、隕石(アレ)やっつけれるか!」

「お前と獲物の取り合いするなんざ、久しぶりだな」

「そりゃ、到着したら大体一発でぶっ飛ばしてるんだし。よーいドンっ! でやる事なんて殆ど無いんだし、仕方ないじゃん? それに忘れっぽい所もあるしね~」

 

「……キング? おぬし口調が………」

「……いや、何でもない。バング氏も離れて見ていてくれ。ああ、ジェノス氏を頼む」

 

 

膝をつき、もう身体を動かすエネルギーの欠片も無いジェノスをバングに託すキング。

 

 

「(ヒカリ氏~~~!! ほんとに大丈夫なのっっ!??)」

「(だいっじょ~~ぶ! サイタマ来ちゃったし? ほらほら台詞! 台詞頼むよキングっ! かっくぃぃヤツ!)」

 

 

キングの声色も完璧に再現できるヒカリ。

でも、その声色とキングの容姿からは、少々ギャップがあるので、時折違和感を感じるのだが、その辺りはキング自身がフォローをするから大丈夫だ。

自身が作成した短編アニメの声を当てた事もあるから、声優業だってお茶の子さいさい。

 

それが自分自身の声で、強者を演じるだけ……なら何ら問題ない。

 

 

ただ、問題なのは、いつもいつも地獄の様な場所がロケ地だという事。

無数の怪人の次は、天災の場。

 

 

こればかりは、キング自身が慣れる事は無い。

 

 

 

それに意図的になれない様にしている———と言うのもあったりする。

 

 

ヒカリの力を自分の力だと錯覚したり、過信したりしたらどうなるか。

よくある作品の強い力、それも他人の力を持ったモブキャラの末路。それを当てはめて考えてみれば………手痛いしっぺ返しを受けるのが目に見えているから。

 

 

「じゃあ、爺さん。オレからも頼むわ。ジェノスと一緒に避難しててくれ」

 

 

そう言うと、まるで垂直跳び? の直前の動作の様に深く膝を曲げて力を溜める。

 

 

「(あっ、フライング! キングっ、こっちも負けてられないよぉぉ!)」

「(わ、解った、わかったからっ!!)」

 

 

そして、キングも同様に準備に入る。

全身が光に包まれ———軈て、光は腕に集中。

 

 

 

ドンッ!!

 

 

 

その時、サイタマを中心に爆発が起きたのか? と思う様な衝撃が湧き起こった。

ビル全体に亀裂が入り、その地盤も砕かん勢いだ。

 

 

そして、驚くべき事に、その衝撃はまるでキングには届かないとでも言うのか、彼を中心に2~3m程の周辺は全くの無傷。

故に、バングもジェノスも吹き飛ばされたりしなかったのだ。

 

その中心部にて、死んだ魚の様な目をしていたキングの顔が赤く、燃える様に赤く染まっている。

力を溜めた弊害だというのだろうか? 光が集中する腕部よりも気になる点になってしまいそうだ。キングエンジンの高まりが更に上がったのも気になる。

 

 

「(ほらほら! キング! サイタマが壊しちゃうっっ!!)」

「―――――【轟キ渡ル破壊ノ光】」

 

 

怒りの本流、赤き王の右拳から迸る膨大な光。

それは、先ほどの全身全霊を以て放ったジェノスの一撃が霞んで見えなくなる程の差、果てしなく、どれ程離れているか解らない程の絶対的な差を感じた。

 

巨大な光の拳は、そのまま先に空を跳んだサイタマ目掛けて迸り———。

 

 

 

 

「オレの町に—————」

 

 

 

 

軈て、光はサイタマに追いつき————。

 

 

 

「落ちてくんじゃねえ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、隕石は消失した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイタマの拳が巨大隕石を貫いたのと同時に、光の奔流に包まれた隕石は、一瞬の内に粉微塵へと姿を変えたのだった。

 

 

 

「……信じられん。空が、空が晴れおった………」

「流石は、先生……、それにキング」

 

 

 

巨大隕石の接近により、空が朱に染まり、地獄の前触れの様な景色を形成していたというのに、それは全て一掃されて目が痛くなる程の蒼い空となっていた。

 

長年生きてきて、これほどまでの光景は見た事が無い、と暫くシルバーバングは唖然と空を見上げ、ジェノスは目指すべき頂きを……まだ、全く見えない状況ではあるが、いつの日か、その頂きに到達すると固く心に誓うのだった。

 

 

 

「う~~ん……ほぼ同時?」

「お前が後ろから来てたの解ったし、オレの方が一瞬早かったと思うぞ? つまりオレの勝ち。約束通り、高級焼肉セットな」

「ええぇ~~。でもサイタマ、隕石にパンチする事ばっかり考え過ぎてて、砕いた後の事考えてなかったでしょー! 私はちゃ~~んと、皆の事守ろうって考えてた分、ヒーロー度合いは私の勝ちっ!」

 

 

 

放心状態なキングは、そんな陽気なやり取りを聞いたとか聞かなかったとか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日後———。

 

 

「いや! やっぱり納得いかないよサイタマ氏!!!」

「んだよ、キング。ゲームならまだ終わってねぇぞ! まだ、お前と対戦する訳にはいかないんだ! おっさんファイターズのレベルをMAXに上げるまでは!」

「あ、そのキャラレベルMAXでも勝てないよ? だって最弱キャラだから」

「ええええ!! うわっ、一気にヤル気なくした……。オレのこの5時間のレベル上げは何だったんだ……」

 

 

サイタマ宅にて。

ニュースを寝転んでみつつ、視線は携帯ゲームでピコピコやっていたサイタマ。

キングは慌ててサイタマ宅へとやってきて、色々と訴えようとしたのだが……ゲームの話になっちゃって、完全に出鼻くじかれた様子。

本人はゲーム談だったら、他の事そっちのけで、かなり熱くなるから仕方ないと言えるかもしれないが。

 

 

 

「そんな慌ててどうしたんだキング」

 

 

そこに、家事全般を行ってるジェノスが変わりに来訪の理由を聞いた。

ジェノスに聞かれたからか、キングは、ハッ! として。

 

 

「そうだった! なんであの隕石騒動、全部オレの手柄みたいになっちゃってるの!? って話だよ、サイタマ氏!! サイタマ氏だって、ヒカ————……っ、お、オレと同じ、それ以上、先に隕石砕いたのはサイタマ氏なんだから、良くて半々でしょ!?」

「なんだ、そんな事か。別に良いじゃん。気にすんなよ。オレ全然気にしてねーし。ヒカリ、アイツだってそう言ってただろ?」

「ぅ……」

 

 

これが頂上に住む、超常の力を持つ男たちの会話か……と、ジェノスは何やらノートとペンを取り出して、一言一句聞き漏らすまい、としている。

 

 

「ジェノス氏もそう思うでしょ?? 一緒に協会に抗議しようよ!」

「いや、オレも思う所が無い訳ではないが、先生がそれを望む以上、弟子であるオレがこれ以上でしゃばる訳にはいかない、と判断している。そして、キングのその謙虚な姿勢には尊敬の念を覚える」

「ぅぅ……(ジェ、ジェノス氏もメッチャ勘違いしてる………。ヒカリ氏~~……)」

 

 

キングの力の正体をしるサイタマ以外のキングの株は更に爆上がり。

サイタマ自身も、キングにはかなり世話に(主にゲーム関係)なってるから、ある意味では信頼されているので拍手喝采大称賛、である。

 

 

「それより、オレらのランキング順位って上がってんだろ? キングはどーだったんだ?」

「……全力で拒否したよ。これ以上、あがりたくない」

「あ———そう。ジェノスは?」

 

 

キングはまた、死んだ魚の様な目で答えた。

サイタマはとりあえず頷いて、次にジェノスを見て聞いた。

 

 

「オレはS級17位から16位に。メタルナイトは8位から7位に。確かにキングは6位と不動でした」

 

 

隕石事件で絡んだヒーローで目立った行動をした者達は全員上がっている、と思っていたジェノスだが、キングだけは全く変動せず、不自然に感じていたが、キング程の力の持ち主であれば、本人の意思が優先されても不思議じゃないだろう、と理解した。

 

 

「そして、サイタマ先生はC級342位から5位に一気に上がってます」

「――――――は!? いやいやいや、待て待て。そりゃ、上がり過ぎじゃね!? 343位から5位っておかしくないか!?」

「いえ。寧ろ一気にA級かS級に昇格してもおかしくないレベルですよ。キングが辞退した分の繰り上がりが先生に行ってもおかしくありません。何せ、災害レベル竜の危機的状況でしたから」

「え………」

「オレの推察の域をでませんが、ヒーロー協会はおそらく今回の件はキングの役割が最も大きく、その評価のみを取っているのだと。メタルナイトとオレが上がってるのも、恐らくキングが辞退したが故の帳尻合わせ、と推察します」

 

 

サイタマはジェノスの言葉を殆ど右から左へと受け流す姿勢———だったが、1つだけ気になる部分が有ったので、そこだけを聞く事にした。

 

 

「………そういえば、いつも災害レベル~だとか、鬼が出た虎が出た、とか報道してるけど、あれ意味あんのか?」

 

 

災害レベル一覧。

 

それはサイタマはいつも気にした事が無い。付け加えるなら、キング————……ヒカリも全く気にした事無いし、図れるモノでもない。

 

 

5段階あるレベル。

 

狼<虎<鬼<竜<神

 

竜はいくつもの町が壊滅する危機、だ。

 

 

 

「あります。通常、ヒーローは恐らくC~Sと力量に応じて、出動するか否かの判断をそのレベルに合わせているのだと思いましたが、先生やキングには全く関係の無い話の様ですね」

「…………………」

 

 

 

関係ない話な訳無い!!

 

 

と、キングは大きな声で言いたかったが、そのまま沈黙を貫くのだった。

 

 

 

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