一誠たちが異世界に来て数十日。異世界での月日を言えば、
店兼に拠点として一誠を含む九人は住みつく。その殆どが一誠を慕い、
狙っている少女と女性ばかりで常日頃、一誠は片時から誰かと離れることはなく日常を過ごす。
そしてとある日。『ラブロック商店』の開店日となった。
―――○♢○―――
ロートレアモン騎士王家第五王女、ラーズグリーズ・ロートレアモンは聖ダーラム広場の付近に
存在する『ラブロック商店』に一人で足を運んでいた。その理由は一誠を手中に
収めるためでもあり、店の様子を見に行くためだ。ラブロック商工都市連合には何度か、
姉と共に行ったことがある。ラーズ自身は賑やかなところより静かな方が好きなのだ。
父、
常に自分の欲求を満たすため何かを求めるラーズにとってパーティなど茶番でしかない。
だが、欲しい物を手に入って遅くて数日、早くて数時間で飽きてしまい、
物であれば処分してしまう。人間だったら適当に相手をする。
特に自分に好意を抱く異性だったら、その気にさせるだけさせておいて、
最後は「全ては冗談よ?」と狐につつまれたような顔をする異性を見て弄び、
女だったら自分の手駒として傍に置かせる。
「さて・・・・・あの平民共の店は一体どんなものかしらね?
どうせ、大したことが無いでしょうけど」
大したことではないだろうと思いながらも、真っ直ぐ進む先は『ラブロック商店』。
目的の店に辿り着くや否や、ラーズはベルの音を鳴らしながら扉を開け放った。
「にゃ、いらっしゃいませにゃ!」
「・・・・・・」
客として訪れたラーズを出迎えたのは・・・・・二足歩行するクリクリとつぶらな瞳の猫だった。
猫の肉球のマークがある帽子とエプロンを身に包む猫を見て、
今度は自分が狐につつまれた顔をしたと自覚した時に猫が尋ねてくる。
「一人で来たのですかにゃ?」
「え、ええ・・・・・」
「では、こちらにどうぞにゃ」
トトトトと人間のように二本の足で床を歩く猫。
ラーズは困惑したまま、猫に導かれるままついてく。その間、ラーズは辺りを見渡す。
店の中は四方、多人数でも座れそうな座席が数多に設けられている。店の壁側には、
何やら細やかにとして布を垂らしている入口がいくつもあった。
「あれは・・・・・?」
ラーズはとある方へ目を向けた時だった。明らかに飲食店であるにも拘らず、
なにやらいろんな物が売っている空間が存在していた。遠くにあるので今いるところでは
あまり確認することができない。
そうこうしている内に猫はラーズをカウンターの席に案内し、座らせたのだった。
「ご注文を見て決まり次第、このボタンを押してくださいにゃ」
猫は務めを果たしたとばかりどこかへと行ってしまった。
「・・・・・あの生き物は一体何なのかしら」
未だに当惑しているラーズだが、カウンターに置かれている注文票を手に取りメニューを見る。
肉コーナ『肉×肉 肉×野菜 肉×魚介 肉×殻物 肉×果実 肉×乳製品 肉×酒』
野菜コーナ『野菜×野菜 野菜×魚介 野菜×殻物 野菜×果実 野菜×乳製品 野菜×酒』
魚コーナ『魚介×魚介 魚介×殻物 魚介×果実 魚介×乳製品 魚介×酒』
殻物コーナ『殻物×殻物 殻物×果実 殻物×乳製品 殻物×酒 殻物×酒 』
果実コーナ『果実×果実 果実×乳製品 果実×酒』
乳製品コーナ『乳製品×乳製品 乳製品×酒』
酒コーナ 『酒×酒』
肉の食材
『くず肉 堅肉 鳥肉 ゴムジャーキー サイコロミート ワイルドベーコン ガブリローズ
ミートワゴン 七味ソーセージ モスポーク プリンセスオーク キングターキー ポポノタン
マトングレート ギカントミート リュウノテール ガビアルカルビ』
野菜の食材
『棍棒ネギ まだらネギ ジャンゴ―ネギ ドテカボチャ ふたごキノコ オニオニオン
砲丸レタス ポッケポテト ヤングポテト キングトリュフ シモフリトマト レアガーリック
マイルドハーブ スライスサボテン 西国パセリ 五香セロリ 四つ足ニンジン』
魚の食材
『ホタテチップ 大巻貝 オンブウオ ワカメクラゲ くの字エビ 女王エビ 女帝エビ 骨タコ
大王イカ スパイフグ 兜ガニ 千年蟹 スネークサーモン ブリカブト 紅蓮鯛
たてがみマグロ ピンクキャビア』
殻物の食材
『粒麦 ウォーミル麦 フラヒヤ麦 ジャリライス ビンビーンズ ミックスビーンズ
ソウルビーンズ ミミパン 頑固パン ウマイ米 ココット米 大雪米 黄金米
ココットライス 古代豆 ジャンボパン クック豆 松永納豆 ヘブンブレッド
マスターベーグル』
果実の食材
『フルーツジャム オイルレーズン 北風みかん 氷樹リンゴ 炎熱マンゴー 長寿ジャム
エメラルドリアン』
乳製品の食材
『ネンチャクリーム クヨクヨヨーグルト 苔チーズ 粉吹きチーズ 熟成チーズ チリチーズ
レッドチーズ ロイヤルチーズ 幻獣チーズ 頑固ミルク 塩ミルク 長寿ミルク
猛牛バター 幻獣バター』
酒の食材
『泥芋酒 ホピ酒 達人ビール フラヒヤビール モガビール バニーズ酒 狩人ビール
達人ビール 鬼芋酒 バニーズ酒 黄金芋酒 ブレスワイン 女殺し』
―――なに、このメニューは!?信じられない物を見る目でメニューを凝視する。
生まれてこの方、いままで聞いたことも見たこともない店のメニューにラーズは愕然とする。
食材を選んで注文するとは前代未聞だった。それで客の口に合う且つ、
満足できる料理をできるのか・・・・・とても信じられない。
「・・・・・」
ジィーとメニュー表を見ること数十秒。ラーズ以外に新たな客が入ってきた。
この店にいる客はラーズだけ。新たな客は、
出迎えられた猫に案内されて―――ラーズの隣に座らせる。
「まったく、お前の姿が見えないと思っていたら・・・・・ここにいたのか」
「あら、私じゃなくてあの平民に用があるからこの店に訪れたのではなくて?―――お姉様」
横目もすらせず、ラーズは隣に座る客ことシルヴィアに答えた。
さらにシルヴィアの隣の席にはコゼットもいた。
「そう言うお前もそうなのだろう?それで、あの男とは会えたか?」
「まだ会っていないわ。取り敢えず、
メニューでも頼もうと思っているのだけれど・・・・・どれにしようか悩むの」
「悩む?お前がか?」
珍しそうに言うシルヴィア。悩みなんて一切ないはずの妹が悩んでいることに首を傾げる。
ラーズがどれほど悩ませるメニューなのか、シルヴィアもメニュー表を手に取り開いた。
「・・・・・なんだ、このメニューは」
「でしょう?敢えて調理した料理の名前じゃなくて食材を選んで注文するの。
だから、下手に食材を組み合わせて変な料理が出てきたら嫌だから悩んでいるのよ。
無難に同じ食材で注文しようかと思っているのだけれど・・・・・その食材も、
私が知らない食材ばかりで・・・・・」
そう言いながらも店員を呼ぶベルを押した。店の中でピンポーンと鳴った直後。
「にゃー、ご注文は?」
猫が颯爽と現れた。ラーズは無難に注文をした。
「肉×野菜で・・・・・・ギカントミートとレアガーリック、と注文すればいいのかしら?」
「はいにゃ。肉×野菜でギカントミートにレアガーリックですにゃ?
しばらくお待ちくださいにゃ」
そう言い残し、猫はラーズから離れてどこかへと行ってしまった。
「あの猫・・・・・人語できるのだな。立って歩けれるしなんなのだ、この店は・・・・・」
「不思議ですねぇー。でも、可愛い店員さんではないですかお嬢様」
ニコニコと笑むコゼット。そこでラーズは、こことは別に何かを販売している空間へ
指を差し問うた。
「ねえ、あっちに何か置いてあるんだけど、何か分かる?」
「あちらにですか?少々お待ち下さいませ」
シルヴィアから離れ、ラーズが差した方へと赴いた。コゼットがいなくなると、
ラーズは口を開く。
「で、お姉様。メニューはお決まりになったの?」
「お前が注文した料理を見てからでも遅くはなかろう」
コップを手に取り、「水を提供してくれないのこの店は」と不満そうに呟いていると、
「あら、実の妹を丸で毒味をさせるかのような発言ですわね?私、何て非道な姉の妹として
生まれてしまったのかしら。ああ・・・・・私、可哀想ですわ・・・・・!」
ラーズが哀愁を漂わせ、シルヴィアを非難する目で言われ、
「なっ、別にそんなつもりで言ったわけでは・・・・・!ええい、わかった!」
ベルを押してシルヴィアも店員を呼ぶ。
「はいにゃ。ご注文は?」
「・・・・・肉×野菜、プリンセスオークとシモフリトマトだ」
「肉×野菜、プリンセスオークとシモフリトマトですな?少々お待ち下さいませにゃ」
ラーズのように注文を受けた猫はシルヴィアから姿を消すと、
入れ替わるようにコゼットが現れた。片手に袋を持ってだ。
「お待たせしました」
「それで、なにがあったのかしら?」
「はい、どうやら娯楽という複数人で遊ぶための道具が売られておりましたわ」
「娯楽?道具?」
首を傾げるラーズとシルヴィア。その疑問をコゼットが解消する。
ガサガサと袋から何かを取り出した。
「とりあえず、その道具を購入しました」
「むっ、箱?」
「箱ではありますが、この箱の中に数十枚の紙の束、トランプという物が入っております」
「トランプ・・・・・聞いたことがないわね。どうやって遊ぶのか知っているの?」
「はい、それは―――」
コゼットが口を開いた瞬間、ガチャガチャと猫が皿を持ってくる。
その皿に盛られた料理は、ラーズの前に置かれた。
「にゃー、ギカントミートとレアガーリックの料理を待ちしましたにゃ」
「・・・・・」
自分が注文した料理は・・・・・湯気を立たせ、こんがりと焼けた分厚い肉の塊に香ばしい臭いを
漂わせて現れた。盛りつけに細やかとして野菜があった。
「ほう、ラーズが注文した食材が見事な料理となったな」
「すみません、この料理の名前は何と言うのでしょうか?」
「にゃ?名前なんてございませんにゃ。ただ、お客さまが注文した食材を僕たちや
ご主人様たちが作るだけにゃ」
「それでは」と猫はお辞儀をしていなくなると、入れ替わるようにシルヴィアが注文した食材が
料理となって猫の手によって目の前に置かれだす。
「お待たせしましたにゃ!」
―――○♢○―――
「はぁー・・・・・食べたわ」
「うむ・・・・・少々不安であったが、かなり美味であった。あのボリュームで値段もあの安さ。
文句もない」
「うふふ、お嬢様方は本当に美味しそうに食べておりましたわ。
このコゼットも見ただけでお腹が一杯になるほどです」
結局、ラーズは一誠と会うことはできなかったがあの店の料理の一端を知ることができた。
今日はこれで良しとしようと脳裏で決めた。
「明日もあの店で食べようかしら」
「あの男を会うためか?」
「ええ、それもあるわ。でも、お姉様には関係ないでしょう?」
「お前の言動で我が家がどんな評判になっているのか知らない訳でもあるまいに」
はぁ・・・・・と深い溜息を吐くシルヴィア。だが、ラーズは興味なさ気に言う。
「家の評判なんてどうでもいいわ。民が離反、クーデターを起こす程の事をしてもいないし、
迷惑を掛けていないわ。それ以前に個人的に私は、
お姉様方には迷惑を掛けるつもりはないわよ?」
「・・・・・」
「まあ、色々と私の為に動いてもらう時があるけれどね?」
「一瞬だけ感激した私の気持ちを返せ!」
ラーズに食って掛かるシルヴィア。そんなシルヴィアの反応に愉快そうに笑むラーズ。
この姉妹は仲が悪いようで実はそうでもないのであった。
だからコゼットは微笑ましく二人の様子を見ている。アンサリヴァン市街地が山の麓ならば、
三人が戻ろうとしている―――アンサリヴァン騎竜学院は山の頂上。ラーズ、シルヴィア、
コゼットは学院に存在する女子寮エポナ舎(男子寮はアポロ舎)、
晴れて
石壁で囲まれている学院に入るための門を潜り抜ける。これから午後の授業があるため、
一国の王女が遅刻するわけにもいかないのだ。もっとも、ラーズは堂々と遅刻する事もあるが。
「む・・・・・」
シルヴィアが途端に険しい顔を浮かべる。ラーズも嫌そうな表情を浮かべ出す。その理由は、
「ねえ、ギル様。今度はどこのお店に行かれますの?」
「ふむ、そうだね。お洒落な店でも行こうと思っている」
「まあ、素敵ですわ。その店はギル様のお気に入りの店ですの?」
「はは、お気に入りかどうか、皆の目で確かめてご覧。俺よりも寧ろ、
キミたちのような綺麗な子がもっと輝ける場所かもしれないからね」
これから午後の授業がるというのに、
一人の男子が十人ほどの女子を引き連れて市街地に行こうとしている。
金の長髪に赤い瞳、誰でも微笑められたら魅了してしまう整った容姿。身長も高く、
回りの女子生徒に抱きつかれてご満悦とばかり笑みを浮かべ続けている。
「嫌な男と会っちゃったわね」
「構うな。さっさと教室に戻ろう」
ラーズとシルヴィアは相手にしないとばかり歩を進める。が、二人の思いは呆気なく。
「やあ、シルヴィアとラーズ」
朗らかに声を掛け、手を挙げられてしまい、反応せざるを得なかった。
「なんだ、ギルフォード」
「やだな、シルヴィア。俺のことをギルガメッシュって呼んでくれ。
同じ
「私がお前のことをどう呼ぼうが私の勝手だ。
それより、お前はこれから授業が始まるというのに
市街地に行くつもりなのか?明らかに遅れるぞ」
避難する目で金髪の男子生徒、ギルフォード・ギルガメッシュに言う。
しかし、ギルフォードは笑みを浮かべる。
「常に学年トップの俺に勉学なんて必要ないんだよ。
いま必要なのはこうして学園生活を楽しく送ることさ」
「ふん、出席日数が足らず留年しても知らんぞ」
「おや、俺を心配してくれるのかい?嬉しいな」
勘違いもいいところだ、と心底から嫌悪を浮かべるシルヴィア。
そこでラーズはシルビアの手を掴む。
「お姉様、さっさと女にだらしない男と話さないで戻りましょう?
―――さっきから嫌な視線を向けられて虫唾が走ってしょうがないんだけど」
「それは酷いな。花を愛でる感じで見ていただけなのに」
「女をとっかえひっかえしている奴に言われてもね。
確か、最近じゃあ位の高い貴族の令嬢と熱いんですってね?あなたの周囲にいる女どもは所詮、
あなたにとって名の無い小さな花ってところかしら?あっ、雑草の間違いかしら?」
「な、なんですって・・・・・!?」
女子生徒がラーズの発言に怒りを覚える。ラーズは意地の悪い笑みを浮かべる。
「いずれ、そこのボンクラ坊ちゃんに捨てられるであろうあなたたちは虚しいわね。
今からでも違う男に乗り換えて幸せになったら?」
「ギル様が私たちを捨てるわけ無いじゃない!
王族だからといって言って良いことと悪いことがあるわよ!?私たちとギル様に謝罪しなさい!」
一人の女生徒が言うと他の女子生徒もラーズに非難の声を浴びせる。
しかし、ラーズはこう言い残してシルヴィアを引っ張るように引き連れた。
「あっそ、じゃあ、愛人でもなって幸せになりなさい。
精々、他の女に目を付けないように犬のように首輪を付けて檻の中に閉じ込めて・・・ね?」
―――○♢○―――
翌日。ラーズはまたラブロック商店に足を運んだ。今度こそ一誠と会うためだ。
いざ、聖ダーラム広場の付近に存在するラブロック商店に侵入すれば、
昨日とは違ってちらほらと先客がいた。
「にゃ、いらっしゃいませにゃ!」
「カウンターでお願いしてもいいかしら?」
「かしこまりましたにゃ」
店員の猫がラーズを昨日と同じ席に案内して座らせる。その際、ラーズは口を開いた。
「ねぇ、この店の店長は?」
「店長ですかにゃ?いま、厨房におりますにゃ」
「じゃあ、その店長を呼んで下さらないかしら?」
と、頼んでみた。獣に王族が頼むのは世間体どうかと思うが、相手は店員として務めている。
ラーズの頼みに猫は耳を申し訳なさそうに垂らした。
「すみませんにゃ。店長はいま外出中でして、いまいないですにゃ」
「いない?じゃあ、何時頃戻ってくるのかしら?」
「にゃあ、それは・・・・・」
困った顔をする店員。その表情が愛おしさを感じさせて、
頭を撫でてやりたい気持ちを抑えながら次に出てくる言葉を待っていると―――。
「どうかしたか?」
厨房に出入りするために作られた羽扉の向こうから深紅の長髪、
金色の瞳を持つ少年が料理を盛り付けた皿を持って現れた。
「あ」
「ん?」
ラーズの呟きに少年、一誠が振り返った。そして、納得したように頷いた。
「来たか。少しだけ待っていてくれ」
注文したであろう客に料理をテーブルへ置いてお辞儀をし、ラーズのもとへ近づいた。
店員の猫は一誠にお辞儀をして厨房の方へ行った。
「久し振りだな」
「ええ、久し振り。昨日もこの店に来たのだけれど、あなた、どこに行ってたのかしら?」
「こっちにも都合ってものがある。お前の思うようにはならないさ。
で、こっちは仕事中だが注文は?」
そうね・・・・・とラーズはメニュー表を手にして目を下に落とす。
「って、違うわよ」
思わず流れそうになってしまったと、一誠に抗議する。首を傾げる一誠にラーズは問うた。
「あなた、どうして魔方陣を竜綺華晶無しで扱えるの?
私はそれを聞きたくてこの店に来たのだけれど」
「使えるから使っているわけだが?」
「・・・・・それで、私が納得すると思っているのかしら?」
「いや、思ってないな。だが、教える義理はないと思うが?」
片や知りたいが片や教えるつもりはないと、
互いの主張がぶつかって一誠とラーズの間に見えない火花が散る。
「それで、注文は?この店に来たからには食べていくんだろう?」
「話を逸らさないで欲しいのだけれど」
「だったら、この店に足を運んで俺と接していれば何時か知る時がくるかもしれないぞ?」
「・・・・・」
訝しむラーズだったが、
―――ぐぅぅぅ。
途端に、ラーズのお腹が小さくなった。それには思わず顔に朱が散って、一誠は小さく笑う。
「くくく、腹が減っては戦できぬ、だな?」
「っ・・・・・」
羞恥心で自分の腹に恨めしく睨むことを一瞥して自棄気味に一誠へ注文をする。
終始、笑みを浮かべ続ける一誠がムカついて自分の手中に収めた時は―――と一誠に対して
虐める手段を考え始めてしばらくした頃、
「ラーズ」
話しかけてくる人物が現れた。振り返るまでもないとラーズは口を開く。
「奇遇ですわね、お姉様」
「必然だ。お前は言っただろう明日も行くと」
「あら、そうでしたっけ?」
尻目で見れば、シルヴィアとコゼット。それに―――紅蓮の髪の少女と茶色の髪の少年、
ピンク・シルバーの少女がいた。
この店に入ってきた面々に不思議そうに振り返って言葉を発した。
「生徒会長、どうしてここにおられるのですか?」
「レースでの副賞に私と一日デート権だ。シルヴィアが騎竜際の優勝者としての義務を果たす
義務もあるし、遵守せねばならんからな」
ああ、とラーズは納得した。竜を騎乗してレースなど茶番でしかないため、
ラーズはサボったのだ。優勝はシルヴィアだろうとどうでもよさそうに思ってもいた。
「そして、シルヴィアがこの店にと言うものだから私は彼女のエスコートをしてもらいなら
来たというわけだ」
「それで、その一人と一匹は?」
「アンサルの香りでエーコが酔っ払い、アッシュ・ブレイクが当惑しているところを
見掛けてね。香りがしないところへと共に連れてきたのだよ」
なるほど、確かにピンク・シルバーの髪の少女、エーコは放心状態だった。
本当に人間がアルコールを摂取過ぎて意識が朦朧としているような表情をしている。
「しかし、可愛い動物が店員とは・・・・・変わった店であるな」
「その上、注文も変わっています」
「ほう?どんな風にだ?とりあえず、私たちが座れる席に移動しよう」
「私はここでいいですよ。生徒会長たちは自分の席で」
そう言った直後、厨房からラーズが注文した料理を一誠が運んでくる姿を捉えるラーズ。
「ん?ああ、シルヴィアと変態とエーコっていうドラゴン。来ていたんだな」
ラーズと対峙している面々に気付き、その中で見知った少年と少女の名を言うも。
「俺は変態じゃない!というか、この店に働いていたのか?」
少年は前のことを言っているのだと一誠に抗議をし、疑問をぶつけた。
一誠は隠すこともないと肯定する。
「まーな」
ラーズの目の前でさっさと料理を置いた。昨日、この店で食べていたシルヴィアはラーズが
注文した別の料理に見詰める。
「違う料理を頼んだのか?」
「そうよ?食べれる物を出してくれるって分かったから安心して注文できるわ。
後は私の口に合うかどうかだけど」
「残すなよ?好き嫌いはあるかも知れないが」
「そんなこと、客である私の自由―――」
パクリと料理を食べた。それからラーズは無言で料理を食べ続ける。
「どうやら口に合ったようだな」
一誠は無心で食べるラーズに微笑んだ。
―――○♢○―――
「おかしい・・・・・」
路地裏にある大衆食堂『竜牙亭』にてギルフォード・ギルガメッシュがいた。
「確か、原作ではレベッカとシルヴィア、アッシュとエーコが
ここで食べるはずだったのに・・・・・」
意味深なことを呟き顎に手をやって首を捻る。まるで仕掛けた爆弾が爆発しない、
と起こるはずのことが起きないことに疑問を浮かべる爆弾魔の様子だった。
ギルフォードは一人で竜牙亭に入ってきたは、誰かを待っているようにかれこれ小一時間は
居続けていたのだ。だが、一向にも現れない。
「生徒会に入ってレベッカに近づけたのは良い。でも、俺の思った通りになっていない。
いや、そもそもシルヴィアに妹がいることがおかしいんだ」
悩むその姿は、同じ店にいる一般人の女性や店員の女性を魅了させる。
胸が高鳴り続け、とろんと瞳を潤わせてギルフォードを愛おしいと思わせている。
「・・・・・しょうがない。俺から探すとしよう。
―――そろそろ、次のイベントが発生するだろうし」
椅子から腰を上げて、店員に代金を払って竜牙亭から出る。
「・・・・・こっちか」
光に吸い寄せられる虫の如く、ギルフォードは探し人を求め歩を進めるのだった。
―――○♢○―――
アンサリヴァンの市街地を一望できる鐘楼に、長身の痩躯の男は旅人風の装束に身を包んでいた。
顔に銀色の仮面を装着しているせいで顔の情半分を、すっぽりと覆い隠している。のみならず、
高貴仲が気を放つ銀髪には、赤毛が混じっていた。あたかも、銀色の生地に鮮血を垂らし、
呪いの言葉を書き連ねたような禍々しさを感じさせる。その隣に花売りの少女がいた。
赤い布で頭に巻き付け、褐色肌を平民が着る質素な服装で身に包んでいる。
「ミルガウス様、時間でございます」
「そうか」
ミルガウスと呼ばれた男性はそれだけ呟く。二人がいる古びた寺院の最上階に位置する鐘楼は、
驚くほど静かだった。街の喧騒も、ここからだと遠く感じた。ミルガウスの背中を見詰めつつ、
少女は「不思議な人・・・・・」と思った。聖ダーラム広場に面したこの寺院は、
建物が老朽化してしまったため、一般人には解放されていない。技術的な問題で、
補修作業は遅れに遅れており、かれこれ十年は閉鎖されたままだという。とはいえ、
意外と管理体制が甘い為、裏口の扉を解錠し、こっそりと侵入するのは容易い。
その情報を持っていたのは、他ならぬミルガウスだった。
地元の人間でなければ知らないようなことを、ミルガウスは当たり前のように知っていたのだ。
「―――へぇ?これからしようとしていることがこんな風だったんだな」
「っ!」
ところが、ミルガウスと少女だけ侵入していなかったようだった。
少女がナイフのようなもので構え、ミルガウスの背後を庇うように立った。
「おっと、俺は別に邪魔しようってわけじゃないんだ。
ただ、これからする事を眺めていたいだけだぜ?」
「誰だ」
低い声音で少女は問うた。鐘楼の奥から足音がどんどん大きく、
こっちに近づいていることが分かる。
「ははっ、お前じゃ俺には勝てないって。
そんなチャチな武器を仕舞って年相応に笑っていろよ?」
姿を現したのは―――前髪を逆立て、後頭部に青く長い髪を一本に結んだ青い髪。鋭い眼つき、
耳に赤いリングを嵌めたアンサリヴァン騎竜学院の制服を身に包んでいる男子生徒だった。
「邪魔をしない?そんなこと、私たちが信じるとでも?」
「んじゃあ、お前は俺の背後に回ってソレを突き付けていればいい。
―――とある少年を殺そうと躊躇ったアーニャちゃん?」
「っ・・・・・!?」
アーニャと呼ばれた少女は激しく動揺した。ミルガウスに至っては
「とある少年・・・・・?」と少年の言葉に疑問を浮かべる。
「ほら、早くこれからやろうとしていることをして見せてくれよ。
俺はそれが見たくて他の奴らを警戒しながら来たんだからな」
「警戒?誰のことだ?」
「一言で言えば・・・・・そうだな。常人より逸脱した力を持つ人間たち、だな」
少年は口の端を吊り上げて、そう言うのだった。
ミルガウスは自分たちの作戦を邪魔する気はない少年だと判断して一歩踏み出した。
その足元には、例えるならば、棺のような箱が設置されている。ミルガウスが無言のまま、
蓋を開け放つ。棺の中にはしたいではなく、一振りの剣が収められていた。ただの剣ではない。
大人の胴体ほどある幅広の巨剣だった。歴史絵巻に登場する斬馬刀に似ていたが、
その刀身は漆黒。柄には美しい宝飾が施されており、工芸品のような趣もある。信じがたいことに、嵌めこまれた宝石の一つ一つは竜綺華晶だった。ミルガウスは漆黒の巨剣を持ち上げると、
呪文の詠唱を始めた。やがて―――あんなにも晴れ渡っていた空に、突如として暗雲が広がり始めた。
―――○♢○―――
「ほう、ラブロックからわざわざこの国に来たのか」
「ああ、そうなんだ。あっ、俺はイッセー・D・スカーレットだ。よろしくな」
「私はレベッカ・ランドール。歳は・・・・・同じか?」
「俺の方が上かも。18だ」
「なるほど、私は一つ年下ということか」
と、一誠と生徒会長と呼ばれた少女、レベッカ・ランドールは同じ席に座って話し合っていた。
休憩時間と兼ねて、この国のこと、学院のことを聞こうと思って一誠は接している。
「それにしても、現アンサリヴァン騎竜学院の生徒会長がレベッカみたいな綺麗な女子生徒だった
とはな。もしかして、学院の中で強いか?」
「ふむ・・・・・周りから私が学院の中で最強だと言われている。
が、私より強い
「例を挙げれば、聖竜騎士団団長のウルスラ・R・セルウィンとガラハッドか?」
「おや、知っていたのかい?」
「ん、一度だけ戦ったことがある」
その発言にレベッカは目を丸くした。その理由は―――。
「キミはパルがいるのか?ラブロック商工都市連合にはオーファンの儀式を受けた少年と少女は
いないはずなんだが・・・・・いや、それ以前に私より年上で、
パルを持っているのだということは、私がこの学院にいる間にキミは
ロートレアモン騎竜学院を卒業しているということだ。だが、私はキミのことを知らない」
「・・・・・」
「本当にキミはパルを持っているのか?本当にあのウルスラ団長と戦ったのか?」
レベッカは一誠に問うた。逆に一誠は思わず苦笑を浮かべた。そう言えば俺は異世界から
来た人間だ。だから、異世界のドラゴンの事とウルスラとの勝負は一部の者しか知らない。
だから―――。
ビッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!
その刹那、大地を揺るがすような轟音が鳴り響いた。
「きゃっ!」
以外にも、突然の雷鳴に一番驚いたのはシルヴィアだった。両手で耳をふさぎ、
ガタガタと震えている。
「・・・・・禍々しい魔力を感じるな」
「なんだと?」
「―――リーラ!」
一誠は突然に席から立ち上がって叫びだした。その瞬間、
メイド服を見に包んだ女性が音もなく姿を現す。
「はっ」
「客たちを念のためにこの店の避難所に移動させてくれ」
「かしこまりました。ヴァーリ様たちはどういたしますか?」
「この店にいてもらう。俺は外の様子を見てくる」
と、歩を出入り口に向かって進める一誠だが―――。
「待ってくれ、私も行こう」
レベッカが席から立ち上がって一誠に言う。レベッカだけではない。
シルヴィア、ラーズ、アッシュ、エーコまでもがレベッカに同意とばかり席から立ち上がった。
―――○♢○―――
「・・・・・灰から灰へ、塵から塵へ。出でよ、
ミルガウスの呪文が完成すると同時に、暗雲に閉ざされた市街地に異変が生じた。
アーニャは瞠目した。ダーラム広場の中央に、一匹の巨竜が舞い降りたのだ。
「あれが・・・・・
アーニャはほとんど無意識に、その忌まわしき言葉を呟いていた。
ミルガウスが掲げる巨剣の表面には、真紅の文字が浮かんでいる。アーニャには読めない
古代文字だった。あたかも、剣自身が血の涙を流しているように見えた。暗雲の密度が高まり、
雷鳴が立て続けに轟く。
「ははは。へぇ、こんな感じだったんだなー」
青髪の少年は興味深そうに見つめている。本当にこの少年はこの光景を見たくて現れたのだと
アーニャは理解したのだった。
そして、遺灰を再構築する事で甦ったドラゴン―――
一応、ミルガウスから話だけは聞いていたが、実物を見るのは初めてだった。
尚且つ、実戦配備が可能か否かを判断する。
それこそが、今回の潜入作戦における最大の目的だった。
アンサリヴァン市は複数の候補地の中から、実験場として選ばれた。つい先ほどまで、
平和な空気に満たされていた街に落とされる恐怖という鉄槌。
なまじ市街地を偵察してきたアーニャは、我知らず唇を噛みしめていた。数年前まで、
血みどろの戦争に明け暮れていた故郷の風景が、脳裏をよぎった。
―――だけど、これが戦争なんだ。アーニャは自らを奮い立たせるように拳を握りしめると、
ミルガウスの背を見詰めた。
―――○♢○―――
「おいおい、なんなんだ、あれは?」
店から出るや否や、広場は大騒ぎになっていた。地元の住民も観光客も一緒になって、
ただただ呆然と立ち尽くしている。今すぐ逃げださねばならない状況なのは明らかなのに、
誰もが硬直したまま、目の前の異業を見上げることしかできない様子だった。
「な・・・・・なんなんだ、あいつは!」
「おい、店の中に入っていろって」
一誠と同じく店から出てきた少年ことアッシュ・ブレイク。他にレベッカたちも店から出てきた。
アッシュも愕然となった。巨大な生き物が、広場に舞い降りたところだった。
「ドラゴン・・・・・なのか?」
全身が体毛に覆われているという点では、
だが、
身体のあちこちがボロボロと崩れているのも、不気味だった。
「肉が腐敗している・・・・・半端な人工蘇生で甦ったドラゴンなのか?」
「人工蘇生?」
「人の手で甦らすことだ。この世界にそう言った知識と技術はないのか?」
「いや・・・・・俺が知る限りではそんなものは聞いたことも見たこともない」
「そうか」と一誠は呟く。灰色の竜の大きさは実に、千人をも収容できる聖ダーラム広場の
四分の一を、一頭のドラゴンが占領しているのだ。むくりと鎌首をもげただけで、
周囲に並び立つ塔の高さに匹敵した。魂を緩さぶるような方向が、暗い空に響き渡った。
何百という角笛を集め、一斉に不協和を鳴らしたら、こんな音色になるのかもしれない。
死者でさえ掘り起こしてしまいそうな、壮絶な鳴き声だった。ただ鳴いただけで暴風が渦巻き、
広場の中央に設けられた像こと『聖ダーラム像』を吹き飛ばした。
たちまち、腐乱死体を思わせる悪臭が漂い始める。
この時点で、ようやく人々は一斉に逃げ出したが、あまりに現実離れした事態を前に、
明らかに混乱している。アンサリヴァン市の保安官も出動はしていたが、
明らかに手が足りていない様子だった。阿鼻叫喚。転倒する者が続出した。
広場に面した店に入っていた客たちも、次々と外に飛び出し、逃げ戸惑っている。
「エーコ!?」
アッシュが叫んだ。理由はエーコが台座を砕かれ、
大地に空しく横たわる『聖ダーラム像』のに向かって駆けていったのだった。
エーコは毅然とした様子で立ちはだかっていた。エーコの正面には、
あの禍々しいドラゴンが鎮座している。無謀もいいところだった。
「なに考えてんだよ、あいつ!」
慌ててアッシュはエーコを連れ戻そうと動く。しかし、その間にエーコは突然、
ベレー帽をかなぐり捨てた。まん丸な角がむき出しとなる。
どうやら、自分が竜族である証を見せたつもりらしい。
「控えよ、下郎!このあたしを誰だと思っているの?この街にはねえ、
素敵なお店がたくさんあるのよ!」
一瞬、広場が静まり返ったほどの大音声だった。
「・・・・・え?なに言っているんだ、あいつは?」
唖然とする一誠。説得するにも明らかにお門違いだ。ドラゴンの眼差しが、
ゆっくりとエーコを補足する。互いの視線が交差したと見えた直後、
ドラゴンの体躯から数本の触手が生え、エーコに襲いかかった。
しかし、一誠が指をくいっと上げた。するとどうだろうか、エーコの体が地面から離れ、
触手に捕まる寸前に一誠たちのところに戻ってきたのだ。開口一番、一誠は言った。
「お前、バカだろう?」
「なっ!この誇り高き竜族のあたしにバカですって!?」
「いやいや、お前は竜になれたり、一人であのドラゴンを倒せれるなら分かるぞ?
お前、竜になれるのか?」
「ぐ・・・・・っ」
案の定、できないと口を噤むエーコだった。
「出しゃばるのは止めておけ。力のないドラゴンは所詮弱者だ」
「このあたしが弱いですって?冗談ではないわよ!愚鈍で愚劣で愚昧な人類なんかより、
あたしたち誇り高き竜族の方が強いわ!」
「他のドラゴンとお前と一緒にするな。お前は力のない人型のドラゴンだ。それが事実だ」
やれやれと肩を竦め、呆れ顔でエーコにそう発言する一誠。
「おい、いくらなんでもエーコに言い過ぎじゃないか?」
「力がなければ相手を倒すことも大切なものすら守り抜くことはできない。
俺はそう言いたいだけだ」
金色の瞳を真っ直ぐアッシュに向けた。
「言っておくぞ。何も竜だけの力で全て通れると思うな。自分の力、人間の力だって
必要な時だってある。竜から降りた人間はどれだけ脆いか、
自分が理解していると俺は思うけど?」
「それは・・・・・」
アッシュはそれ以上何も言えなくなった。アッシュだけではない。
一誠の発言にレベッカたちも沈黙した。
「―――そうだね、それについては俺も同感だ」
阿鼻叫喚の中、悠然と第三者が姿を現す。金の長髪に赤い瞳の少年が一誠たちに姿を現す。
「竜だけでこの世は動くとは限らない。
金、権力、地位、名誉、誇り、男、女といったものが主に世界を動かしている」
「お前・・・・・ギルフォード」
シルヴィアが呟く。ギルフォードは一誠たちを見るや否や、首を傾げる。
「なんで、あのドラゴンに捕まっていない?」
「は?なにを言っているのだお前は?」
その言葉に一行は首を捻った。どうして捕まらなければらないんだ?と。
ギルフォードは自分の発言に失言したと気付き、首を横に振った。
「―――いや、何でもない。さて、あのドラゴンを速やかに倒そうじゃないか。
ああ、そこの真紅の髪のキミ。さっさとこの場から逃げた方がいいよ。死にたくなければね」
ギルフォードは口を開いた。
「我が召喚に応じよ・・・・・アーサー!」
刹那、ギルフォードの足元に金色の魔方陣が出現した。その魔方陣からドラゴンの頭部が
出て来てギルフォードを乗せ、巨躯の金色のドラゴンが姿を現した。
「このギルフォード・ギルガメッシュが命じる。汝が創成し
その発言に呼応して、金色のドラゴンが激しい方向を放った。ギルフォードの全身が発光する。
学生服の上に金色の鎧が装着されていき、
ギルフォードは神々しい輝きを発する鎧を身に纏ったのだった。
「ふーん、ウルスラと同じ感じで鎧を着れるんだな」
「イッセー・・・・・本当にウルスラ団長と戦ったことがあるのか?」
「別に信用しなくてもいいぞ。俺は終わった後のことは気にしない方だからな。
―――ああ、それとだ」
一誠が徐にドラゴンの方へ指した。「なんだ?」と一行がそちらに視線を向ければ・・・・・。
「きゃあああああああああっ!」
なんと、エーコがドラゴンの触手に捕まっていたのだった。