ソードアート・オンライン ~The Chosen Stars~   作:ASNE

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桐ヶ谷和人<The day before Aincrad>①

「輪廻転生」という言葉を、皆何処かで聞いたことがあると思う。人などの生き物は死した後四十九日でその魂は生まれ変わる、というものだ。通常人は生まれ変わるかどうかも分からないし、仮にもし生まれ変わっていたとしても覚えてはいないだろう。

 

―だが、俺『桐ヶ谷和人』には何故か前世の記憶があった。前世の俺は物心着いた時から奴隷の身分であり、10歳の時にとある人に見いだされ、『フォース』という特殊な力を使う騎士となった。

……ここまで言えば、前世の俺が誰だったのかわかるだろう。俺の前の名前は『アナキン・スカイウォーカー』、またの名を『ダース・ベイダー』。かつての俺は、大罪人だ。力に振り回されて暴走した挙句愛する人や友人を裏切って刃を向け、幼い子供さえその手にかけた。

 

その重すぎる罪の記憶を思い出したのは、幼少期に車の事故に遭って実の両親を亡くし、怪我で入院した時だった。膨大な記憶が流れ込んできたため知恵熱を出し、数日は病院のベッドの上で魘されたものだ(病院の先生たちは怪我の影響だと思ったみたいだが)。

 

 

記憶を完全に思い出し、自己を確立した俺は前世の罪を忘れられずに過ごしていた。

そんな俺を暖かく受け入れてくれたのは、本当は叔父・叔母夫妻である現在の両親だった。辛く、苦しくて泣いていた俺を母翠は優しく抱き締め、背中をさすりながら優しくこう言ってくれたのだ。

「和人、泣いていいのよ。いつでも来て泣いていいからね」

母は俺が泣いている本当の理由を知る由もないだろうが、それでも俺は幾分か救われた。母翠と一緒に居ると、前世の俺の母であったシミ・スカイウォーカーを思い出す。彼女もまた、本当に優しくいつでも俺のことを気遣ってくれたものだ。

 

 

それから俺は、前世の罪のことは忘れることは出来なくとも必要以上に考えることを辞め、新しい両親の下で前世では味わえなかった平和な幼少期を過ごし始めた。その中でも、前のことを思い出すことがあった。

俺には妹が居る。と、言っても俺との血の繋がりのない義理の妹だ。名前は桐ヶ谷直葉。剣道好きな少女で、会って直ぐに俺にお兄ちゃん、お兄ちゃんと懐いてきてくれたものだ。そんな彼女と居ると、前世を思い出す。

 

前世の俺の騎士時代、一人の弟子が居た。名前はアソーカ・タノ。クローン戦争中に弟子となり、約二年という短い期間であったが一緒に戦い、教え導いた。俺にとって妹のような存在で、オビワンやパドメと同じくらい大切だった。

……だが彼女は騎士団への不信感から騎士団を去り、一度再会した後次に会ったのは俺が冷血のサイボーグに成り果てた後だった。俺はあろうことか彼女に刃を向け、その命を絶とうとした。後に生きていることを知ったものの、罪悪感は消えることはなかった。

 

その罪滅ぼしでもあるとは思うが、俺は彼女を兄として共に過ごした。俺はかつての罪から厳しい祖父が教える剣道に馴染むことは出来ず、対照的に剣道が好きだった直葉は俺を庇ってくれた。

『私がお兄ちゃんの分まで頑張るから、だからもうぶたないで!』

妹に庇われてはたまらないと俺は祖父に直訴し、たまに顔を出すことを条件に剣道を辞めることを許してもらい、今も昔も得意なコンピュータの技術について学ぶことに没頭していった。

本当に直葉には感謝してもしきれない。多分一生頭が上がらないだろう。

 




と、いう訳でキリトの掘り下げ回その一です。全三回を予定しており、次でユウキやランとの出会い、その次でベータテストをやろうかと思います。その次に一回レインの掘り下げをしてデスゲームに突入し、プロローグに繋げていく予定です。
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