ソードアート・オンライン ~The Chosen Stars~   作:ASNE

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桐ヶ谷和人<The day before Aincrad>③

俺が病院で出会ったのは、病に侵されていた()()の姉妹だった。彼女たちを見た瞬間、俺の脳裏に浮かんだのは、前に居た双子の子供たちだった。俺は彼らに父親らしいことを何一つしてやれず、それどころか逆に彼らの大切な人の命を奪い傷つけた。死後もゴーストとなって見守っていたが、俺の存在が死後も彼らを苦しめてしまった。

……今も自分を許すことは出来ない。だから、重い病に侵されながらも懸命に気丈に振舞おうとする二人の姿を見た時、俺の中に『諦める』という選択肢は存在しなかった。

俺はそれから母の協力を得て、海外で骨髄移植による治験があることを知った。俺は暇を見つけては会いに行き、倉橋医師と共に骨髄ドナーを探したり、提供の呼びかけをインターネット上で行ったりし続けた。

 

 

私たち姉妹がその人に出会った時、抱いた第一印象は『どこか寂しそう』だった。私たちの両親は既に亡くなり、生き残っているのは私と妹の木綿季のみ。私たちも口には出さないが、死に近づいていることは感じていた。そんなある日、私たちが『メディキュボイド』という医療用VR機器のテストユーザーを打診されてすぐに重村教授という大学の先生に連れられた年上の少年、桐ヶ谷和人に出会った。彼は倉橋医師から私たちの病状を聞かされた後、辛そうに俯いた後、顔を上げて私たちにこう誓ったのだ。―『君たちは、俺が必ず助ける』と。

 

それから和人お兄ちゃんは、私たち姉妹に度々会いに来てくれた。色々な話をし、一緒に映画やアニメを見たりしてくれた。倉橋医師から私たちを救うためにドナーを探してくれている、と知った後、思い切ってこう聞いてみた。

『どうして和人お兄ちゃんは、ボクたちのためにそこまでしてくれるの?』

和人お兄ちゃんは何かをこらえるようにしながら、笑顔でこう答えた。

『俺がそうすべきだと思ったからだ』

 

 

俺が紺野姉妹を救おうと奔走していることは父にも伝わり、2020年の年末に帰国してきた折に話をした。

『和人、本気なんだな?』

『……うん。俺は諦めたくない。あの子たちに、綺麗な世界を見せてやりたいんだ』

父は一瞬逡巡した後、俺に出来ることはないか、と聞いてくれた。俺は……『二人が治ったら家に引き取りたい。無茶を言ってるのは分かってるけど……』と遠慮がちに伝えた。

父は目を見開いた後、

『別に構わないぞ、可愛い息子の頼みだ』と言った後、一拍置いてこう告げた。

『但し、俺にも会わせろ』

『え?』

三が日が明けた後、俺は父は勿論、母や直葉も連れて一家総出で会いに行った。そして、父は紺野姉妹に『治ったら家族にならないか?』と、告げた。二人は申し訳ない、と断ろうとしたものの『家族が増える』と乗り気な母や直葉の援護射撃を受け、俺も『俺は二人と一緒に生きたい。お兄ちゃんになりたいんだ』と二人に本音を伝えた。姉妹は泣きながら、『よろしくお願いします』と倉橋医師と頭を下げた。

 

 

―それから半年後、ついに二人にそれぞれ適合するドナーが見つかった。それから半年以上かけて移植とリハビリを行い、2021年の年の瀬についに完治した。

年明けを待ち、2022年1月に二人は紺野藍・紺野木綿季から桐ヶ谷藍・桐ヶ谷木綿季になった。俺は中学校に進学して勉学に四苦八苦しながら、妹が出来て大喜びしている直葉と共に双子の面倒をみた。

 

 

 

双子たちが桐ケ谷家に馴染んでいる最中、ナーヴギアが発売され、ソードアート・オンラインという初の専用VRMMOゲームが発売されることが決まった。俺が欲しがっていることを聞きつけたらしい茅場さんから融通しようか、という申し出もあったが自分の手で手に入れたかった俺はその申し出を丁重に断り、見事ナーヴギアもSAOのベータテストも勝ち取り、二か月間のテストプレイを全力で楽しんだ。久々に本物の剣を握る、ということもあり動けるか自分でも不安に思っていたがそこは杞憂で、過去を乗り越えられてきていると思う。誤算だったのは、双子にSAOのことを話したら二人は自分たちもやりたい、と言われたので二人にも色々な世界を見せたいと思っていた俺は一度断ったのに申し訳ない、と茅場さんに頭を下げ、二人分のナーヴギアとSAOを譲ってもらった。

 

 




お待たせしました。これでキリト編は終了です。次回はレイン編。
ユウキ・ランは桐ヶ谷姓となりました。
茅場晶彦と桐ヶ谷和人の関係は、たまに会って話す知人程度のものです。
次回はなるはやで投稿します。
では、よいお年を。
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