ガンダムビルドダイバーズ リベスターズ   作:二葉ベス

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下ネタ注意


リレーションシップ バトローグ
恋をムスんで。性夜の6時間ってなんですの?!


「ムスビちゃん。これは真面目な相談なんだけど」

「なんですの? いつもマヌケな顔ですのに」

「……GBNってセクハラ行為ってどこまでOKなのかな?」

「いつも通りマヌケでしたわね」

 

 前略。わたくしのELダイバーはバカだった。

 大真面目に相談に乗ろうとしたわたくしの方がマヌケだったのかもしれない。

 そんな後悔すら感じてしまうほどの内容だった。

 じゅるじゅる飲んでいたトマトジュースは今日も美味しい。流石カゴメ産は格が違う。

 

「違うんだよ! アタシだってもっとムスビちゃんにセクハラしたいの!」

「わたくしは御免ですわよ?!!!」

「でもGBNはそうはさせてくれない。ガードフレームちゃんがアタシたちの恋路を邪魔するの」

「まだ付き合ってもいませんわよ」

「だからアタシは決めました! どこまでなら許されるか! その瀬戸際を!」

「クリスマスになに言ってますのよ」

 

 そう。世間ではクリスマスらしい。

 おうちではユーカリさんがクリスマスツリーの飾りつけをしているし、当然のように家にいるエンリさんは当然のごとく鉄血のガンプラを作っている。

 わたくし、ムスビ・ノイヤーはと言えば、息抜きにGBNにログイン。フレンさんもそれに付き添ってログイン、という形をとっていた。

 つまるところ、今フォースネストにはわたくしとフレンさんしかいない状態。二人っきりなのである。

 

 普段使わない直感が何故だかここから逃げろとレッドアラートを鳴らしている。

 のんきにトマトジュースを飲んでいる場合ではないようだ。

 

「クリスマスだからだよ! クリスマスと言えば性の6時間という単語すらある恋人たちはいっぱい盛っているイベントだよ?!」

「ど、どこで習ったんですかその知識は?!」

「そりゃあ、マギーちゃんのところにいたら~、そういう知識も学びを得るわけよ」

 

 頭が痛くなってきた。まずはここから逃げることを考えた方がよいのでは。

 もれなくじりじり迫ってきているフレンさんから、何も考えずに逃げることを考えた方が今後の生活的によいと、猛烈なアラートが鳴っている。

 

「ま、まぁそれはそれとして。わたくしはこれから友達とクエストをしますので、これで……」

「ムスビちゃんに、友達なんていないよね?」

 

 ……この女、なかなかにドストレートなことを言ってきますわね。

 そうですよ! わたくしに友達なんていませんよ! いたとしてもフォースの面々ぐらいしかいませんわ!!

 そう叫んでいる内にフレンさんが退路を断つ。そう、出入口付近に立ったのだ。まるで獲物を狩る肉食動物のような狩猟の仕方。わたくしは草食動物ということなのだろう。って、そんなことを冷静に比喩している場合ではありませんわ!

 

「大丈夫だよ、アタシは優しいから!」

「あなたほど肉欲に溺れそうな人はいませんわよ!!」

 

 じわじわとわたくしの活動範囲が迫っていく。

 追い込み漁。わたくしという回遊魚を捕らえるべく、親友以上恋人未満の女が迫ってくる。

 まずいですわ。このままでは本当にやりたい放題やられてしまう。最後には2回目の垢BANを食らうかもしれない。その程度にはフレンさんの目はマジだった。大マジだ。本気だ。本気すぎてドン引きしてしまうぐらい。

 

 やがて背中が壁にぶつかる。左右は客席。逃げられない。

 引きつった笑顔が徐々に失われる。獲物の前で舌なめずりをするのは三流のすることらしいが、これが三流に見えたのならその人こそが三流なのだと思う。その程度には、ヤバい顔だ。

 

「このまま、アタシの女にする」

「や、やめてくださいまし! こんな方法でバーチャル処女を奪われるのは想定外でしてよ!」

「大丈夫、優しくするよ」

「い、嫌ですわよ! わたくしの純潔はユーカリさんの物であって……」

「でもログアウトしないよね?」

「はえ?」

 

 ……あ、そうでした。嫌ならログアウトすればいい。その発想に至れなかったのは焦っていたからだろうか。それとも。

 

「アタシになら、エッチなことされてもいいって思ったんじゃないの?」

「い、いや。ですが……」

「違うの?」

 

 半ば身長だけは大きいわたくしの胸元からフレンさんの顔がのぞきこむ。

 明るい金髪。朱色のメッシュに赤いリボン。それからわたくしが望んでも手に入れられなかった緑眼。うるんだ瞳で見られている理想の姿に思わず胸が苦しめられる。

 

「本当に嫌ならしないけど、ムスビちゃんもまんざらじゃないよね?」

「…………っ」

 

 この女。わたくしの心に土足でずけずけと。

 でも抗えない自分もいるわけで。悔しい。悔しいけれど、好きには抗えない。

 

 だからわたくしだって誤魔化すしかない。フレンさんの後頭部に手を添えて、こちらを向かせないように胸元に彼女の顔を押し当てる。

 

「んっ、なにこれ!」

「あまり、恥をかかせないでくださいまし」

 

 どうせこのぐらいならガードフレームも出てこないはず。

 だからこのぐらいで勘弁させてほしい。これ以上は、本当に身体がもたなくなる。

 

 と思っていた矢先、フレンさんはわたくしの胴体を覆うように抱きしめる。な、なんですの?!

 

「ムスビちゃん、ホント細いよね」

「フ、フレンさん?!」

「……こんなことされたら、アタシだって恥ずかしいんだよ」

 

 同じタイミングでわたくしたちは地面に腰を抜かす。ぺたんとくっつけた腰が動かないのはきっと動きたくないからなんだと思う。

 

「しばらくこのままでいさせて」

「……しょうがありませんわね」

 

 今思えば、フレンさんのそれは相当無理をしていたのかもしれない。

 だから気が抜けた今、腰を抜かして動けなくなっている。それを言うならわたくしもなのですが。

 ですからしばらく。そう。その"しばらく"の間だけ一緒にくっついて差し上げます。

 別に、そういう目で見てくれたのが嬉しかったとか、そんなのではありませんからね。

 

 憧れを手で梳きながら。わたくしは2人っきりの時間を過ごすのでした。

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