その時、世界(一部界隈)が戦慄した。
あの。あのっ! ジェノアスOカスタムがついに発売発表されたのである!!!!
AGE狂いたちは狂乱の渦に巻き込まれた。
何せ登場から十数年。第3部以降の登場とはいえ、根強い人気を誇っていた機体だ。
愛した人がいつも整備してくれたジェノアスを自らの手で改築、改良を重ねたオブライトさんの執念の塊とも言える相棒。
最終決戦での活躍は見る人すべてを感動させ、自らの心に焼き付けただろう。
一介のカスタム量産機がエース級の2機を相打ちにまで追い込んだ捨て身なる狂気。
エリート一般兵の鏡なんてものではない。すでに狂人の域にまで足を踏み込んだとも言えるその愛に、ジェノアスOカスタムの生産が待たれていたのだ。
それが……!
「それが……! ついに、ついにですよ!! っはーーー!!! ありがとうございます、バンダイ様! 一生貴方様についていきます!!!!」
もう感涙の涙をこれでもかというほど流している。
わたしは今、生きていて本当に良かったと、全身全霊で感じている!!
「……あ、あのさぁ、ムスビちゃん? そんなにすごいの、この機体?」
「何を仰いますか! そもそもAGEシリーズの展開自体がこれまでなかったにも関わらず、急に発表してきたのが本編での活躍が目覚ましいジェノアスOカスタム。出てほしい、プラモ化してほしい。その考えはずっと胸の奥にあったとしても、叶わないだろうなと諦めていたところの発表です。わたくしも、フォーンファルシアの再販ですら感動しているのに、まさかの商品展開に感涙です……」
「あ、そうなんだ……」
フレンが珍しく2人(AGEオタク)のテンションに困惑している。
ユーカリは基本的には後輩ムーブのおとなしい女の子だが、AGE狂いの強火オタクだ。
チャンプがいたとはいえども、最強難易度のAGEシリーズのストーリーミッションを踏破した猛者でもある。
私みたいな戦えればそれでいいガンプラファイターよりも、よほど生き生きとしているのだから、こういう恋人の姿を見ると内心とても嬉しくなる。
まぁ、問題はプレバン限定だから予約出来るかどうか、って話なんだけどもね。はは……。
「ん? エンリ、どうかしました?」
「どうか、って。私はなにもないわよ?」
たまに、本当にたまに。ユーカリという女は不意打ちを仕掛けてくることがある。
自分が興奮しながら話して、私が蚊帳の外にいると、どうやら不安になるらしい。
オタクあるあるだけど、そういう時の彼女を止める権利なんて、私にはない。
楽しいことはその一瞬こそが楽しいんだから。
「……ふふっ、エンリって意外と自分はなんでもないみたいな顔しますよね」
ん? それはどういう……?
「いいえ、なんでもありませんよー♪ わたしたちが楽しそうに推し事してるなー、ってニヤけてたなんて、悟られたくないですもんね!」
「え、ちょっと! それどういうことよ!」
「どういうことでしょうねー! あはは!」
ユーカリという女は本当にたまに不意打ちを仕掛けてくることがある。
なんでそういうところまで私のことを見てるのよ。
……恥ずかしいじゃないの。
隙あらばいちゃつくユーエン