ガンダムビルドダイバーズ リベスターズ   作:二葉ベス

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ある春の1ページ。始まりの空

 これはまだわたしが高校に入りたての時の出来事だ。

 いろいろあって落ち込んでいたけれど、なんとか踏みとどまって受験してどうにか入った高校で、わたしは脱力していた。

 手元にカフェオレを持ちながら、わたしは学校の中庭から空を見上げていた。

 

 とても雄大なのに、校舎が邪魔をしてまるで切り抜かれたフレームみたいに青色が天井を彩っていた。

 綺麗だなぁ。漠然とそんなことを思った。

 思うだけで、これといった具体的に何をしたいかとかはない。強いて言えばカメラに収めたら面白いかなぁぐらいなもので。

 でもそんなやる気は1年前のいつかに落っことしてきた。

 だから何も考えずに空を見上げていた。

 

「はぁ……。だる」

 

 やることは何もない。帰ったら寝るだけ。灰色の青春だ。

 何かあればよかったけど、何もないから何もしない。isそれが正義。

 

 昼休みはずっとこうしていよう。

 甘ったるいカフェオレを飲んで、上を見たら、奴がいた。

 

「何やってるの?」

「うわっ!」

 

 最初に入ってきたのは綺麗な顔。それから青みがかった黒髪。

 思わず立ち上がろうとして、そんな彼女と頭をぶつけあってしまった。

 瞬間。痛み。激痛。脳震盪とまではいかないけれど、相当な痛みだ。しばらくうずくまってしまった。

 

「いたた……。ごめんねー、急に話しかけちゃって」

「……いや、別に」

 

 誰だっけこの人。他人に興味がないというか、無気力すぎてクラスの人の名前全然覚えてなかったのを思い出す。

 でもいつもクラスの中心にいる陽キャだってことは覚えていた。綺麗だし、髪長いし。てか手足ほっそ。

 

「ナカノさん、何やってたの?」

「……なんでわたしの名前」

「いやいや、私が聞いてるんだってば! 何やってたの?」

 

 どうでもいい質問だったか。まぁ嫌がって言葉にしない理由もないし、何やってたかぐらいは答えておくか。

 

「空見てた」

「ここから?」

「うん。なんにもやる気なかったから」

「……なにそれ。なんにもないの?」

「なんにも。暇だから見上げてただけ」

 

 どうだ、これで満足だったか。ボーっとしてる人なんてみんなそんな感じだと思うんですけど、そうは思いません皆さん。

 誰に問いかけた変わらない言葉だけど、この目の前の綺麗めお姉さんの疑問に答えられたのならわたしも誇らしい。

 

「そっかー。いいよね、空って!」

「そんなもんかなぁ」

「好きじゃないの?!」

「別に。暇つぶしだって言ったでしょ」

 

 よほどびっくりしたのか、両手をわっとわたしに見せてオーバーリアクションする。

 なんだよぅ。そんなリアクションしたって、暇なものは暇なのだ。ボーっとして見上げるだけで何も考えずにいられるんだからそれでいいでしょ。

 

「なんか、ナカノさんって面白いね!」

「面白いかなぁ」

「うん。とっても面白いしかわいい!」

「……そう」

 

 ちょっと照れました。すみません。

 何に謝ってるかは分からないけれど、かわいいって言われる機会なんてそうそうない。わたしだって綺麗な女の子に言われたら死んでる表情筋を少し緩めてしまう。

 

「あ、照れてるー」

「うるさい」

 

 でも人に言われるのはちょっと癪だ。このぐらい反論するのは許してほしい。

 

「シライシー、次の授業の手伝い頼むわー」

「えー、分かったー! またね、ナカノさん!」

「ん」

 

 生気を感じさせない生返事で彼女は去っていった。

 そっか。あの人、シライシさんって言うんだ。まぁ関わる機会なんてもうないだろうし、覚えている理由はないか。

 と、そんなことを言いつつも1年後に本格的な交流をすることになるのだけど、それはまた別の話か。

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