「でかお姉ちゃんはさ、もしもとか信じる?」
「は? なに突然。ガンプラの次は変な電波受信しちゃった的な」
さらっと傷つくことを言うなぁ、でかお姉ちゃんは。そんなんだからでかお姉ちゃんなんだよ。でもセツはもうすぐ1歳になる大人なので無視することができるのです。偉いでしょ、セツ!
タッグフォースバーサスから数週間。
最近はハルお姉ちゃんとナツキお姉ちゃんは一緒に受験べんきょーとかいうものをしているので、GBNにログインすることが少なくなっていた。
寂しく思うことはあるけれど、セツは大人なのでそういった寂しさを超えて強くなれるのだ。えっへん。まぁ今は寂しいのでこうしてでかお姉ちゃんと一緒にいるんだけど。
友達と一時的とはいえ別れたこともないセツにとって、この時間がどれだけ辛いものか。デカお姉ちゃんには分かるまいってやつだね。
ちのお姉ちゃんは来ることがあったり、来ない日もあったり。
配信してたり、個人のよーじでログインできない日もある。それも仕方ない事。
だからそんな時はミッションをしているか、フォースネストの喫茶店でぐでーっと机に寝そべっているかのどっちかだ。
変な話だってする。それは人間でもELダイバーでも変わらないと思うの。
もしもの話だって、してもおかしくはない。
「言うてもしも、っしょ? 想像するだけ無駄じゃん」
「そんなことないよ! 妄想はいつも人を元気にするってちのお姉ちゃん言ってるし!」
「ちのっちの妄想って、基本ちびっこ関連じゃん」
「そーなの?」
あー、でも妄想しているときのちのお姉ちゃんは若干妖怪めいているというか、げせた顔がやや不審者っぽく見えて、たまにゾッとするときがある。
「まー、だろうね」
「そーなんだ」
いつもちのお姉ちゃんが言ってることだし、間違いないと思うんだけどな。
内容は「セッちゃんがもし人間だったら」とか「セッちゃんがリアルサイズなら」とかそういうことばっかだけど、名誉のために言わないでおく。セツは大人なので!
「まぁ、やり直したいこったぁ、色々あるけどな」
「あるんだ。どんなこと?」
「まぁ1番は、ユカリっちとGBNでもっかい遊びたいなーって」
ユカリっち。度々口にするモミジお姉ちゃんの引きこもりのお友達。
もしも、があるとしたら。今でもユカリっちお姉ちゃんはGBNをやっていただろうし、セツとだって目いっぱい遊んでいたんだと思う。
でも実際は今という、殻に閉じこもった生活なんだ。なんかもしもって残酷だなぁ。
「こーかいなの?」
「まぁね。いつだって自分の力がもっとあったら、マスダイバーをぶちのめす力があったらっていつも思ってるよ」
お姉ちゃんはどことなく遠い目でお店の外を見ていた。
そんなに大切な友達なんだ。なんか、変なことを聞いちゃったかも。
でかお姉ちゃんもまた、寂しいってときが今なのかもしれない。そう思うと、胸の奥が疼く。何とか伝えたい。そんな気持ちばかりが早まって口が回ってしまう。
「で、でも! きっとユカリお姉ちゃんと一緒に遊べるよ! だって、お友達なんだよね?」
「……ちびっこ、早口。ウケる」
「な、なに?! セツ、でかお姉ちゃんを元気づけようと思ったのに……」
いつもでかお姉ちゃんには元気づけられてるから、ちょっとでもへこんでいるお姉ちゃんは見たくない。だって元気が一番なんだもん。お姉ちゃんは元気であるべき!
そう頬っぺたを膨らませていたら、何故だかお姉ちゃんが頭をポンポンと優しく撫でてきてくれた。
「ま、もしもがあったら、こうしてちびっことは和解できてないだろうけどね」
どういうことだろう。
その言葉の本意は分からないから聞き返してみた。
「ん、なんで? でかお姉ちゃんとセツは一緒だよ?」
「それが分かんない年頃なら、まだまだちびっこってこと」
「むー! お姉ちゃんのバカー!」