転生特典ガチャ・ドラえもん秘密道具ピックアップ   作:太郎丸

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1話

 俺が記憶を思い出したのは10歳の誕生日だった。

 

 転生といえば、記憶と意識を持ったまま赤ん坊として産まれてくるものを想像していたのだが、どうやら俺はそのタイプではないらしい。

 まあ最近では、あるきっかけをトリガーに前世の記憶を思い出すパターンの転生も増えてきているので、問題はないだろう。

 

 むしろ、赤ん坊として授乳や下のあれこれを世話されている期間に、記憶が戻らなくてよかったと思う。

 記憶を思い出すタイプの転生だった影響か前世を思い出す前の記憶も残っているが、3歳くらいの記憶が覚えている中で一番古い。

 羞恥プレイは回避出来たと思っていいだろう。

 

 それはともかくとして、今世の俺の名前は佐藤 浩介(さとう こうすけ)というらしい。

 父の名前は雄二(ゆうじ)、母の名前は一美(かずみ)

 佐藤という姓も相まって、両親ともども平凡感の溢れ出る名前になっている。

 

 両親は共働きで、俺は一人っ子。

 小学校には通っているが、クラスではあまり喋らないタイプで、仲の良い友達も特にいないため、学校が終わるとそのまま帰宅して家でゲームや漫画を読んで遊んでいるらしい。

 

 今世の自分は、前世の自分が小学生だった頃と、とっている行動や性格が瓜二つだ。

 この分なら、記憶を思い出したことによる影響はあまり大きくならないだろうと思う。

 

 そんな事を考えていると、リビングの方から母が俺を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

「浩介、朝ごはんできてるわよー。はやく起きてきなさい」

 

 今の時間は朝の7時。今日は土曜日だというのにゆっくり寝られないことを嘆けばいいのか、はたまた自分で作らずとも朝食が用意されることを喜べばよいのか。

 前世では一人暮らしをしていたため、そちらに引っ張られているのだろう意識を切り替えてリビングに足を向けた。

 

 

 

 

 俺は朝食を終えてすぐに、まだ眠いからもう一度寝るといって部屋に戻ってきた。

 これは、今世の自分がよくやっている行動なので、特に不自然ではないだろう。

 両親が外出する予定であることは、リビングのカレンダーで確認をしておいたのでしばらくの間一人きりになる時間を確保することができた。

 

 なぜ一人の時間を確保したのかというと、枕元に今朝から置かれている靴、転生特典である『絵本入り込み靴』の検証を行うためだ。

 

 確かにドラえもんの道具が手に入ったならば、一刻も早く使いたくなるのは当たり前の反応だと思う。

 けれど忘れてはいけないのは、俺のこの身体はまだ10歳で、この靴は一足しかないということだ。

 

 原作では、靴を片方落としてしまったために絵本から出られなくなった描写があった。

 つまり、絵本の中を出入りするためには両足とも靴を履いていなければならない。

 

 いくら絵本だといっても、危険な環境や登場人物は存在する。

 不用意に絵本に入って大怪我をしたり、靴が脱げて帰れなくなってしまえば一巻の終わりだ。

 そうならないために、まず何ができて何ができないのかを検証して把握することが重要なのだ。

 そう心のなかで呟きながら、俺は検証の為に本棚から本を抜き取り始めた。

 

 

 

 一通りの検証は終えることができた。

 その中でわかったことを挙げてみると、

  1.絵本でなくとも、紙芝居ならば入ることができる。

  2.靴を使って、漫画や挿絵付き小説などの中にはいることはできない。

  3.自分で作った手描きの絵本には入れない。

 ほとんど絵本に入らずにできる検証は、ひとまずこれくらいだろう。

 

 まず1つ目、これはおそらく紙芝居も絵本に近いものの部類に入るからではないだろうか。

 原作では、表紙がとれてバラバラになった絵本にも入り込むことができていた。

 バラバラの絵本も紙芝居も似たようなものだ、入り込めても不思議ではなかった。

 

 次に2つ目に関して、これは漫画や挿絵のある小説も絵がついている本ということで、絵本としていけるかもと思っていたが無理だった。

 残念だ…。これが出来れば、かなり今後の行動の幅が広がると思っていたのに……。

 

 最後に3つ目、自分で好きなように描いた絵本の中に入れれば、やりたい放題できると思ったのだが…。

 これはもしかしたら、手描き絵本が絵本として成立しないのは認識が足りていないことが原因なのかもしれない。

 その絵本が、ある程度の人数から絵本であることを認識されていないと、絵本として成り立たないのではないかと考えている。

 

 長々と考えを垂れ流したが、要は市販されているような絵本や紙芝居でなければ、中に入ることはできないという事がわかっただけだ。

 

 まあ、こうなってしまっては仕方がない。

 この特典を最大限利用して、新しい人生を満喫する方法を考えていこう!

 

 

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